Amazon Web Services ブログ
Kiro CLI の紹介:Kiro エージェントをあなたのターミナルへ
深夜 2 時、本番サーバーに接続してバグをデバッグしています。この一週間、IDEでAIエージェントを使って効率よく開発を進めてきたあなたなら、こんな時こそAIの力を借りたいと思うでしょう。しかし、コンテキストを切り替えるとすると、ターミナルセッションが切れ、SSH 接続も失われ、作業の流れが途切れてしまいます。結局、手動でログを確認し、構文を検索して、一人で格闘することになります。AI が使える IDE で作業するか、実用的だけれど AI サポートのないターミナルで作業するか。本来なら、こんな選択を迫られる必要はないはずです。
今回、私たちはそのギャップを解決しました。Kiro CLI なら、AI エージェントを直接ターミナルで使えます。同じエージェント、同じ機能を、どこでコーディングしていても利用できます。
Kiro CLIとは?
Kiro CLI は Amazon Q Developer CLI の高度なエージェント機能(エージェントモード、MCP、ステアリング、カスタムエージェントを含む)をベースに、ソーシャルログイン、Haiku 4.5、そしてパフォーマンス、効率性、出力品質のバランスを自動調整する Auto エージェントを追加したツールです。プロジェクトの構築、本番環境の問題のデバッグ、インフラコードの作成など、すべてシェルを離れることなく行えます。必要なことを自然言語で説明するだけです。
この強力さの秘密は専門化にあります。あなたのコードベースに合わせたカスタムエージェントを作成できます。API パターンを熟知するバックエンドスペシャリスト、コンポーネントに精通したフロントエンドエキスパート、インフラを理解する DevOps エージェントなどです。各エージェントは、担当するワークフローに関連する情報にコンテキストウィンドウを集中させます。
すでに Kiro IDE を使用していますか?あなたの .kiro フォルダ設定は両方の環境で動作します。Kiro CLI は同じステアリングファイル(プロジェクト全体で AI の動作を制御するルール)と同じ MCP サーバーを利用できます。一度設定すれば、どこでも使えます。
なぜ Kiro CLI?
ターミナルから離れる必要がありません – コンテキストを切り替えたり構文を調べたりする手間が省けます
AI ワークフローを体系化 – カスタムエージェントで異なるタスクに最適化された環境を瞬時に切り替えられます
一度の設定で両環境に対応 – MCP サーバーや設定ルール、プロジェクトドキュメントがKiro IDEとKiro CLI両方で使えます
実際の作業スタイルに対応 – インフラ管理、コードレビュー、デバッグなど、特定のワークフロー用エージェントを作成・共有できます
高速な自動化を実現 – コードフォーマット、テスト実行、ログ管理などを自動化されたシェルコマンドで処理できます
始め方
インストール
Kiro CLI は macOS と Linux で利用可能です。インストールは簡単です。
curl -fsSL https://cli.kiro.dev/install | bash
最初のステップ
1. 認証:あなたの資格情報でサインイン
kiro-cli
2. コマンドを探索:いつでもヘルプを取得
/help
主要機能
1. カスタムエージェント:ターミナルでのAIコーディングの構造化
カスタムエージェントは、AI が異なるタスクに対してどのように動作すべきかを正確に定義できるようにすることで、AIを活用したターミナルワークフローに構造をもたらします。
- 事前承認されたツール – 毎回許可を求めることなく、信頼できるツールを自動実行できます
- 永続的なコンテキスト – プロジェクトファイルやドキュメント、標準設定を自動的に読み込みます
- アクセス制御 – 利用可能なツールを制限して、焦点を絞り、安全を確保します
- ワークフロー固有の設定 – 用途に応じた異なるエージェント:AWS オペレーション用、コードレビュー用、デバッグセッション用など
エージェント設定の例:
{
"name": "backend-specialist",
"description": "Expert in building Express.js APIs with MongoDB",
"prompt": "You are a backend developer specializing in Node.js and Express. You write secure, well-tested APIs with proper error handling, input validation, and RESTful design.",
"tools": ["fs_read", "fs_write", "execute_bash"],
"toolsSettings": {
"fs_write": {
"allowedPaths": ["src/api/**", "tests/api/**", "server.js", "package.json"]
}
},
"resources": [
"file://.kiro/steering/backend-standards.md“
]
}
この構造化されたアプローチにより、プロジェクト設定を常にコンテキスト切り替えしたり再説明したりする必要がなくなります。AI は必要なことを把握しており、あなたは作業の流れを維持できます。
この例のエージェントは、バックエンド開発に特化したスペシャリストです。フロントエンドや DevOps など無関係なトピックに時間や精神的エネルギーを費やすことがありません。ファイルパスの制限により、バックエンドファイル(src/api/** や server.js など)のみを扱うことができ、フロントエンドや設定ファイルを誤って破損することを防ぎます。バックエンド標準の md ファイルを自動的に読み込むため、async/await、エラー処理、API 設計に関するチームのルールを毎回思い出させる必要がありません。結果として、エージェントが無関係な情報に惑わされることがないため、より速く、より正確で、一貫して標準に従った回答が得られます。
個々のツール制限を超えて、Kiro CLI はさらに柔軟性を高めるための幅広い許可パターンもサポートしています。
@builtin ネームスペースを使用することで、すべての組み込みツールを一度に事前承認するか、正確な制御のために個々のツールを指定するなどきめ細かいツール許可を行うことができます。
{
"allowedTools": ["@builtin", "my_custom_tool"]
}
2. ビジュアルインジケータによるスマートなコンテキスト管理
Kiro CLI は 3 つの柔軟なアプローチでコンテキストを提供します。
- エージェントリソース:重要なプロジェクトファイル用のセッション間で永続的なコンテキスト
- セッションコンテキスト:クイック実験用の一時ファイル
- ナレッジベース:コンテキストウィンドウのスペースを消費せずに大規模なコードベース(PDF もサポート!)のセマンティック検索
コンテキスト使用率:kiro-cli chat を開いた状態で、/context と入力するとビジュアルインジケータが表示されます。これにより、コンテキスト消費を意識し、長い会話中にそれを積極的に管理するのに役立ちます。
3. 柔軟な認証オプション
Kiro CLI はあなたのワークフローに合わせて複数の認証方法をサポートしています。
- GitHub:GitHub アカウントとのシームレスな統合
- Google:Google の資格情報でサインイン
- AWS Builder ID:AWSデベロッパー向けの迅速なセットアップ
- AWS IAM Identity Center:集中管理による企業グレードの認証
IAM Identity Center を使用しているチームでは、管理者は AWS マネジメントコンソールからすべてを管理できます。例えば、サブスクリプション層の割り当て、MCP サーバーの設定、支出の追跡、組織全体の請求の統合などです。追加のアイデンティティプロバイダーのサポートはまもなく提供される予定です。
4. Kiro IDE との統合
すでに Kiro IDE を使用していますか?既存の設定はそのまま機能します。すべてを最初から再設定する必要はありません。Kiro IDE の設定は Kiro CLI にシームレスに適用されます。
- MCP サーバー:
.kiro/settings/mcp.jsonをコピーすれば、MCP ツールの準備が整います - ステアリングルール:
.kiro/steering/*.mdファイルは Kiro CLI で同じプロジェクト標準、同じコンテキストで機能します - プロジェクトドキュメント:すべての
.kiroドキュメントと設定が引き継がれます
つまり、コンテキストを失ったり AI アシスタントを再設定したりすることなく、IDE とターミナルの間を行き来できます。同じ Kiro の使い心地が、異なる環境で利用できるのです。
5. 最新のエージェント CLI 体験に期待されるその他の機能
ターミナルでのインタラクティブAIチャット
コマンドラインから直接 Kiro との会話を開始できます。
kiro-cli
新しいプロジェクトをゼロから構築し、インフラストラクチャーをコードとして記述し、既存のコードベースに機能を追加できます。これらすべてをターミナルを離れることなく行えます。Kiro はプロジェクトのコンテキストを理解し、複数のファイルにわたって意味のある変更を加えることができます。
> PostgreSQL、Redis キャッシング、Docker セットアップを備えた新しい FastAPI プロジェクトを作成
> JWT を使用して私の Express アプリに認証ミドルウェアを追加
> RDS と ElastiCache を使用した 3 層の AWS アーキテクチャ用の Terraform 設定を作成
より長く詳細なプロンプトを作成する必要がありますか? /editor を使用して好みのテキストエディタを開き、複数行で詳細な指示を書くことができます。
マルチモーダル入力:画像を直接参照
スクリーンショット、図、またはエラーメッセージを共有する必要がありますか? Kiro CLI は自動的に処理します。UIの問題のデバッグ、アーキテクチャ図の共有、視覚的なコンテンツの助けを得るために画像を渡すことができます。
Model Context Protocol (MCP)のサポート
Kiro CLI は Model Context Protocol (MCP) をサポートしており、外部ツールやサービスでその機能を拡張できます。最も良い点は?既に Kiro IDE で MCP サーバーを使用している場合、それらは Kiro CLI でもシームレスに動作します。MCP の詳細については、「Kiro : リモート MCP サーバーの紹介」をご覧ください。
クレジット使用量
IDE と同様に、Kiro は使用に応じて使用したクレジット数を表示するので、追跡することができます。
Autoエージェント
Kiro CLI には、Kiro IDE を強化するのと同じインテリジェントな Auto エージェントが含まれています。Auto は各タスクに最適なモデルを動的に選択し、速度、コスト、品質のバランスを取ります。その結果、優れた効率性—Autoモードで使用するとXクレジットかかるタスクが、手動で Sonnet 4 または Sonnet 4.5 を選択すると 1.3X クレジットかかるでしょう。どのモデルを使用するか考えることなく、より良い価格でより良い結果を得るために Auto に任せましょう。
Auto はデフォルトで有効になっており、Kiro CLI で /model コマンドを使用してモデルを選択することもできます。
実世界のユースケース
上記の backend-specialist の例を思い出してください?以下は Kiro でそれを活用する方法です。エージェントの設定を実装した後、それを使う準備ができています。以下の例は、このエージェントを呼び出す方法と、実世界でそれを活用するためのサンプルプロンプトを示しています。
kiro-cli chat --agent backend-specialist > 認証されたユーザーがプロフィール情報を更新できる新しい /api/users/profile エンドポイントを追加してください。メールフォーマットとパスワード強度の検証、データベース障害に対する適切なエラー処理、そして単体テストを含めてください。 > メッセージ、既読ステータス、タイムスタンプのフィールドを持つユーザー通知用の新しい MongoDB スキーマを作成してください。RESTful の規約に従って CRUD エンドポイントを追加し、パフォーマンスのための適切なインデックスを含めてください。 > /api/orders エンドポイントで断続的に 500 エラーが発生しています。より良いエラーログを追加し、注文処理ロジックの潜在的な競合状態を特定するのを手伝ってください。
あらゆるワークフローに特化したエージェントを作成できます。例えばリントツールとチームのスタイルガイドを備えたコードレビューエージェント、インフラアクセスとデプロイメントスクリプトを持つ DevOps エージェント、またはログユーティリティと一般的なトラブルシューティング手順が事前ロードされたデバッギングエージェントなどです。各エージェントはそれぞれの特定のタスクに関連することにコンテキストを集中させ、AI とのやり取りをより速く、より関連性の高いものにします。
Kiro コミュニティに参加しよう
ぜひあなたのご意見をお聞かせください!フィードバックの共有、エージェント設定の交換、そして他の Kiro ユーザーとの交流をお待ちしています。Kiro Discord コミュニティに参加して、チームメンバーや他の開発者と交流しましょう。
今すぐ始めよう
Kiro をあなたのターミナルにインストールする準備はできましたか?Kiro CLI をインストールして、実際に使いやすい AI を活用したコマンドラインワークフローを体験しましょう。
curl -fsSL https://cli.kiro.dev/install | bash
既存の Kiro IDE ユーザーであれ、Kiro を初めて使用する方であれ、AI のサポートを受けながらターミナルで作業することができます。
