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Kiro : リモート MCP サーバーの紹介

本記事は 2025 年 10 月 31 日に公開された Erik Hanchett(Developer Advocacy)、Jay Raval(Developer Experience)による “Introducing Remote MCP Servers” を翻訳したものです。

Model Context Protocol(MCP)は、エージェントがツールや外部システムに接続するための標準となりました。関数の実行やファイルアクセス、プロンプトの実行などを行うための汎用インターフェイスです。MCP は AI コーディングアシスタントで広く利用されており、大規模言語モデルの機能を拡張するために使われています。

MCP は、Anthropic が 2024 年 11 月に発表して以来、大幅に進化しました。エージェントは当初、主にローカルで実行される MCP サーバーに接続していましたが、リモート MCP サーバー接続がますます一般的になってきています。リモートサーバーを使うことで、エージェントの機能をローカル環境の枠を超えて拡張できます。リモートサーバーを利用することで、データソースやインターネット上のツール、各種サービスにより簡単に接続できます。たとえば、ノート作成サービスにアクセスできるリモート MCP サーバーに接続できます。また、セキュリティの観点からもより安全に運用できます。これにより、ユーザーにとって新たな統合の可能性が無限に広がります。

Kiro ユーザーは私たちのローカル MCP サーバーサポートを愛用しており、仕様、ステアリング、フックを MCP と組み合わせることで構築された多くの興味深いアプリケーションを見てきました。これをさらに進化させるために、リモート MCP サーバーサポートとワンクリック MCP インストールを新たに発表します。これらの機能により、Kiro での作業とアプリの構築がより簡単になります。

リモート MCP サーバーの説明

リモート MCP サーバーサポートにより、ローカルマシンではなくインターネット上でホストされている MCP サーバーに接続できます。基盤となる仕様は同じです。リモート MCP サーバーは、従来と同様のプロンプト、ツール、リソースを公開しますが、プロトコルが異なります。コンピューター上でローカルに接続する場合に使用する stdio の代わりに、Streamable HTTP 経由で接続できるようになりました。

Streamable HTTP はクライアント接続を処理します。Server-Sent Events(SSE)を使用して複数のサーバーメッセージをストリーミングするという追加の利点があります。Streamable HTTP は、再開可能性、再配信、セッション管理、下位互換性などの追加機能を提供します。なお、Kiro は Streamable HTTP に加えて、非推奨となった HTTP+SSE トランスポートプロトコルにも対応しています。Kiro を使う際は、こうした基盤技術を意識する必要はありません。すべて自動で適切に動作します。

Kiro でのリモート MCP サポートの使用

Kiro は常にローカル MCP サーバー(またはプロキシ経由のリモートサーバー)をサポートしてきましたが、現在はリモート MCP サーバーをネイティブサポートしています。わずか数ステップで、リモート MCP サーバーを追加して使い始めることができます。必要に応じて、認証ヘッダーを追加するか、動的クライアント登録を介して直接認証できます。動的クライアント登録では、Kiro がウェブページを開いてサインインと認証を行うよう求めます。

ここでは、動的クライアント登録を使って Notion MCP サーバーを追加する手順を見てみましょう。

ステップ 1: Kiro を開き、Kiro パネルから MCP サーバーセクションに移動します

ステップ 2: リモート MCP サーバー設定を追加します。保存後、画面の右下にサーバー認証用のポップアップが表示されます

ステップ 3: 認証をクリックし、Kiro が外部ウェブサイトを開くことを許可します。サインイン後、Notion MCP サーバーを使用できるようになります

MCP 接続のセキュリティ確保

MCP サーバーは多くの場合、API キーや認証トークンを必要とします。これらを設定ファイルにハードコーディングするとリスクが生じます。誤ってバージョン管理に含めてしまったり、スクリーンショットなどで公開してしまうおそれがあります。Kiro は現在、${ENV_VAR} 構文を使用した環境変数をサポートしています。認証情報はローカル環境に留まり、設定ファイルには保存されません。

Bearer トークンが必要なサーバーに接続する例を以下に示します。

{
  "mcpServers": {
    "my-remote-server": {
      "url": "https://your-mcp-endpoint.com",
      "headers": {
        "Authorization": "Bearer ${SECRET_TOKEN}"
      }
    }
  }
}

Kiro が新しい環境変数を検出すると、承認を求めるセキュリティプロンプトが表示されます。これにより、悪意のある設定が許可なしに環境にアクセスすることを防ぎます。承認された変数は設定で管理でき、いつでもアクセスを取り消すことができます。

これにより、認証情報をローカルに安全に保持でき、簡単にローテーションできるうえ、うっかり公開してしまうことも防げます。

ワンクリックでサーバーを追加

Kiro への MCP サーバーの追加がこれまで以上に簡単になりました。新しい Add to Kiro ボタンにより、ワンクリックで MCP サーバーをインストールできます。ボタンをクリックすると、Kiro が設定の承認を求め、その後自動的にサーバーをユーザー設定セットアップに追加します。

開始に役立つサンプル MCP サーバーのコレクションを厳選しました。

今すぐ始めよう

MCP サーバーを日常的に使っている方なら、リモート MCP サポート、環境変数、ワンクリック MCP インストールといった新機能をきっと気に入っていただけるはずです。開始するには、Kiro の最新バージョンに更新して、今日これらの機能を試してみてください。ご意見をお聞かせください!

詳細はリモート MCP サーバーのドキュメントをご覧いただくか、サンプルサーバーを試して気になるものを見つけてみてください。

翻訳は App Dev Consultant 宇賀神が担当しました。