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月刊 AWS 製造 2026年2月号

みなさん、こんにちは。AWS のインダストリーソリューションアーキテクトの山本です。
このブログでは開催予定のイベントや直近1カ月に発表された製造関連のブログ・サービスのアップデート・事例などをお届けしています。国内だけでなく海外の情報も含めていますので、リンク先には英語の記事・動画も含まれていますが、解説を加えていますのでご興味あればぜひご覧ください。

先月号はこちらです。未読の方はあわせてご覧ください。
今月は、ピックアップコンテンツとして昨年ごろから大きな潮流となりつつあるフィジカル AI を特集します。

ピックアップトピック – フィジカル AI

フィジカル AI は物理システムの制御方法をこれまでのプログラムやルール、アルゴリズムベースからデータやモデルによって制御するという大きな転換に当たり、その方向性やもたらす価値について境界のない議論が行われています。

2026/1/27に AWS Japan が提供するフィジカル AI についての開発支援プログラムがアナウンスされました。VLA/VLM などのモデル開発について、技術支援やクラウド使用料クレジットの提供、さらにコミュニティ形成や GTM の支援を提供する取り組みで、お客様やパートナー様から大きな反響をいただいています。

フィジカル AI に関連するブログ・動画のご紹介

昨年後半からコンテンツが増加しているフィジカル AI についての有用なブログ記事を 5 本、日本語に翻訳しました。一部の記事については英語版を先月号で共有しています。前半の 3 本のブログはAWS がフィジカル AI をどの様に捉えるか、お客様がどの様にこれを活用しているかについてです。 2 本のブログと Youtube 動画は AWS を活用して NVIDIA の提供するモデルやシミュレータを動かすための実践的な内容です。

  • フィジカル AI: 自律型インテリジェンスに向けた次なる基盤を築く
    • AWS のフィジカル AI フレームワークについての解説記事です。物理世界を認識、理解、推論、学習し、相互作用するハードウェアとソフトウェアのシステムとしてフィジカル AI を定義し、6 つの関連する機能からなる包括的なフレームワークを提示しています。クラウドでのトレーニングループとエッジでの自律ループを統合した二重ループアーキテクチャにより、継続的な学習サイクルを実現し、自律経済への移行を支援します。
  • AI による物理的な現実世界の進化 : インテリジェントな自動化の最前線
    • このブログは、AI と物理システムが融合したフィジカル AI のもたらす変革について解説しています。 4 段階のレベルの分類と、製造業における 25% の効率向上や医療での合併症 30% 減少といった成果、2034 年における AI ロボット市場が 1,242 億ドル、デジタルツイン技術市場が 3,790 億ドルといった予測が述べられています。AWS は MassRobotics、NVIDIA と共同で立ち上げた Physical AI Fellowship を通じて、次世代ロボティクスと自動化ソリューションを開発する 8 社のスタートアップを支援しています。
  • フィジカル AI の実践: 人間と機械の相互作用を支える技術基盤
    • このブログは、フィジカル AI の実践的な技術基盤について解説しています。人間と機械の相互作用を支える完全な開発ライフサイクルとして、データ収集・準備、強化学習や模倣学習などのモデルトレーニング、量子化や蒸留による最適化、エッジでの運用までを詳述しています。Diligent Robotics の Moxi ロボットを事例に、病院環境で 120 万回以上の配達と 60 万時間近くのスタッフ時間節約を実現した成果を紹介し、ガバナンス、安全性、倫理的配慮の重要性も強調しています。
  • AI を具現化するブログ: パート1 AWS Batch でロボット学習を開始する
    • AWS Batch を使用して NVIDIA Isaac GR00T N1.5 3B モデルをファインチューニングするためのスケーラブルな基盤の構築方法を解説します。ロボット学習の最新技術である模倣学習や強化学習のフレームワークを紹介し、AWS CDK を用いた自動デプロイメント、Amazon EFS による共有ストレージ、Amazon DCV を活用したシミュレーション評価環境の構築手順を詳しく説明しています。クラウドの弾力性と NVIDIA の先進的なロボット学習スタックを組み合わせることで、開発サイクルを加速し、大規模なデータセットを効率的に管理できます。
  • 知的なフィジカル AI 構築: Strands Agents、Bedrock AgentCore、Claude4.5、NVIDIA GR00T、および Hugging Face LeRobot によるエッジからクラウドへ
    • Strands Agents、Amazon Bedrock AgentCore、Anthropic Claude 4.5、NVIDIA GR00T、Hugging Face LeRobot を活用した、エッジからクラウドまでの知的なフィジカル AI の環境構築について解説しています。エッジでのミリ秒レベルの応答性と、クラウドでの高度な推論を組み合わせ、ロボットが物理世界で認知・判断・行動するハイブリッドアーキテクチャを実現します。SO-101 ロボットアームや Boston Dynamics Spot での実装例により、VLA モデルによる直接的な物理制御と SDK ベースの制御の両方を紹介し、継続的な学習と改善を実現するアプローチを提供しています。
  • How to Build Physical AI Agents: Natural Language for Real-World Robotics
    • 上記のブログと対応した内容の AWS Show and Tell シリーズの動画です。O-101 3D (印刷可能なロボットアーム)を Jetsonエッジデバイスに接続し、ファインチューニングされたNVIDIA GR00T VLAモデルを用いて、ハードウェア統合用の Hugging Face LeRobot を接続しています。Strands Agents フィジカル AI エージェントを自然言語でインテリジェントにオーケストレーションします。
  • Physical AI Unleashed: Teaching Humanoid Robots to Pick, Place & Inspect
    • この動画では、NVIDIA GR00t N1.5とUnitree G1を搭載したヒューマノイドロボットが、リアルタイムの品質検査を行いながら精密なピックアンドプレース操作を実行できるようにする現実世界のアプリケーションを構築します。コンピュータービジョン、生成 AI、ロボティクスを組み合わせて、物体を動かすだけでなく、その処理内容を理解するインテリジェントなシステムを構築します。自然言語による指示から、在庫確認 → ナビゲーション → ピック&パック → 配送 → 帰還という一連の作業の自律的な実行も実現しています。
  • Revolutionizing warehouse automation with scientific simulation
    • Amazon Science のブログ記事で、Amazon Robotics の ID チーム(AR-ID)が開発した Sensor Workbench について述べています。これは倉庫内のセンサー配置を最適化するための革新的なシミュレーションプラットフォームで、CAD で記述された詳細な倉庫モデルをシミュレーション用の 3D アセットに変換し、OpenUSD をシミュレーションプロセス全体のデータ基盤として活用、NVIDIA の Isaac Sim をベースにしたシミュレータにより、物理ベースのセンサーモデリングと高精度な 3D 環境を組み合わせたシミュレーションが可能です。
  • AWS re:Invent 2025 – Train, Simulate, Deploy: Building NVIDIA-Powered Physical AI on AWS (AIM117)
    • re:Invent 2025 のセッション動画で、NVIDIA のソリューションによるフィジカル AI を AWS クラウド上で実行する方法について解説しています。Amazon EC2 GPU インスタンスや、 AWS Batch および NVIDIA Isaac Lab を活用して大規模に実行する方法について紹介しています。
  • ガイダンス: ロボティクスのためのフィジカル AI on AWS
    • 12月の本ブログで紹介済みですが、フィジカル AI を AWS クラウド上で実現するためのリファレンスアーキテクチャとガイダンスです。

CES 2026

  • 2026年1月6日~9日に開催された CES では、Alexa Plus や Amazon Leo などの最新のプロダクト、テクノロジーの展示とともに、 Amazon Robotics と共同で、フィジカルAI によるアームロボットのピック作業をデモを展示しています。Siemens Xcelerator / NVIDIA Omniverse を活用した工場のデジタルツインや Snlowflake を活用した予防保守も統合されています。

製造関連の主要なアップデート

直近で開催予定のイベント

    • re:Invent製造領域 re:Cap
        • 昨年12月に開催された re:Invent 2025 の製造領域の日本語による振り返り(reCap)セッションを、本年は Black Belt オンラインセミナーとして提供予定です。コンテンツはこちらの Youtube Playlist で公開される予定です。

事例のご紹介

製造業に関連する事例や、ブログによる技術詳細説明です。

製造関連ブログのご紹介

今月もたくさんのブログが公開されました。

  • 12/26
  • 1/7
    • 「AWS IoT Greengrass と Strands Agents を使用した Small Language Model の大規模デプロイ」
      • AWS IoT GreengrassとStrands Agentsを使用して、Small Language Model(SLM)をエッジデバイスに大規模デプロイする方法を解説しています。製造業のOPC-UAプロトコルを例に、リアルタイムの機械データをローカルで処理しながら、複雑な分析はクラウドで実行するハイブリッドアプローチを実現します。SLMは軽量でありながら、制約のあるハードウェア上で動作し、オペレーターに即座の洞察を提供できます。
  • 1/7
    • Amazon Kinesis Video Streams の warm ストレージ階層で長期動画保存コストを最適化
      • このブログは、Amazon Kinesis Video Streams の新しい Warm ストレージ階層について解説しています。従来の Hot 階層と比較して最大 67% のコスト削減を実現し、長期的な動画保存に最適化されています。高解像度ビデオでより大きなコスト削減効果が得られ、30 日以上の保存期間で特に効果を発揮します。耐久性と可用性を維持しながら、物理セキュリティや監視システムでの大規模なカメラネットワークの運用コストを大幅に削減できる実践的なソリューションを提供しています。
  • 1/15
    • AUMOVIO Boosts Software Development with an Agentic Coding Assistant Powered by Amazon Bedrock
      • Continental からスピンオフした AUMOVIO による自動車業界向けのコーディングアシスタントについてのブログ記事です。AUMOVIOのソリューションは、複数のAIモデルを利用してさまざまな開発ライフサイクルのステップを加速すると同時に、AUTOSAR, MISRA-C/C++ といった自動車業界標準との整合性の確保や、独自のコーディング規約を順守するのに役立ちます。コードの再利用を最大化し、必要な変更を最小限に抑えることで、アシスタントは他の V-model ステップの労力を大幅に軽減します。
  • 1/25
  • 2/3
    • 【開催報告】第9回鉄道技術展2025 AWS出展報告
      • 2025年11月26日から29日に開催された「第9回鉄道技術展2025(Mass-Trans Innovation Japan 2025)」に AWSが出展した際の報告ブログ記事です。展示内容としてクラウドとAIを活用した鉄道保全システムのソリューションをご紹介しており、製造業における設備保全の観点でも参考になる内容です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。いかがだったでしょうか?このような形式で毎月最新の情報を製造業の皆様にお届けして参ります。月刊 AWS 製造ブログを今後ともよろしくお願いします。それでは、また来月お会いしましょう!

著者について

山本 直志

山本 直志 (Tadashi Yamamoto)

製品開発エンジニアから、組み込み開発のアーキテクトやエンジニアリング支援を経て、エレクトロニクスや自動車産業のお客様を長年支援し、AWS では製造業のスペシャリストソリューションアーキテクトとして活動しています。製造業における業務課題解決や新規ビジネスにおけるクラウド活用の可能性をお客様と一緒に探求しています。