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新しい AWS ローカルゾーンにより、シカゴとニューヨークでレイテンシーを低減
本投稿は、グローバルビジネス開発部門のキャピタルマーケットスペシャリストである Julie Hutchinson と 金融サービスチーム内でサービス開発を統括している Adam Honoré による寄稿を翻訳したものです。
現在 AWS では、FINRA の統合取引監視システム、Trading Technologies のオーダーマネージメントシステムと取引監理、数千のポートフォリオに数秒で対応できる Atreyu Group のプライシングリスクカリキュレーターなど、多くの金融商品の取引関連のワークロードが実行されています。これらのお客様からは、シカゴやニューヨーク都市圏といった取引の流動性がある地域にできる限り近い AWS リージョンを拡張する方法が必要であるとご要望を頂いていました。本日、シカゴとニューヨーク (ニュージャージー州) の AWS Local Zones の一般提供を発表しました。これにより、金融サービスのお客様は、取引施設から 1 ミリ秒以内 (光の速度で 1 ミリ秒で移動できる距離は、 186 マイルに相当) の低レイテンシーにて、取引関連アプリケーションを構築およびデプロイできるようになります。
これらの新しいローカルゾーンは、AWS のお客様にオンデマンドでバースト可能なコンピューティングを提供します。これを使用して、変動の大きい取引日の管理、リスクの監視と管理、そしてレイテンシーに敏感である新しい取引の機会を示すモデルへの迅速な対応に役立てることができます。ローカルゾーンは、取引所のフェイルオーバーや災害対策のシナリオを計画し、設備投資を最小限に抑え、必要なときにオンデマンドで支払いを行うのに最適です。
ロンドン、フランクフルト、パリ、ミラノ、ストックホルム、シドニー、東京、ソウル、香港などの主要な世界的なトレーディングセンターには多数の AWS リージョンがあり、現在、ローカライズされたキャピタルマーケットのワークロードをサポートしています。ニュージャージーとシカゴのローカルゾーンは、クラウドベースのワークロードを取引マッチングエンジンや市場データ配信のハブに近づけることに関心のある世界中の顧客に、これまでにない選択肢を提供します。2022 年には、この増え続けるリストにスイスの新しい AWS リージョンを追加する予定です。
Proof Trading, Inc. の最高技術責任者であるPrerak Sanghviは、ローンチについて次のように述べています。「 Proof Trading では、クラウド上に米国株式市場向けに低遅延アルゴリズム取引システムを作成しました。シカゴ/ニューヨークで Amazon Local Zones がローンチされたことを嬉しく思います。これにより、当社のシステムがシカゴ/ニュージャージー州の主要な取引施設に近づくことになるからです。当社のクラウドベースの取引システムと同様、地理的レイテンシは、当社のシステムとオンプレミスの取引システムとの間に残った最後の違いでした。これにより、俊敏性、スケーラビリティ、運用コストなどのクラウドのメリットを引き続き享受しながら、より合理化された取引体験をお客様に提供できるようになります。」
最初のローンチでは両方のロケーションへのインターネットアクセスが含まれていますが、お客様は AWS Direct Connect ロケーションがシカゴの Equinix CH2 と QTS にあり、ニュージャージー州の CoreSite NY1 および Equinix NY5 も近い将来接続される予定です。これらのロケーションのいずれかにコロケーションしているお客様は、コロケーション施設内で Direct Connect を利用して、レイテンシの影響を受けやすいワークロードを最も近いローカルゾーンに簡単に接続できます。ローカルゾーンは、AWS の高帯域幅と低レイテンシーのグローバルバックボーンを介して最も近い AWS リージョンに接続されているため、お客様はレイテンシーの影響を受けにくいワークロードにデータを移動できるため、リージョンで実行されているワークロードと相互運用できます。
新しいローカルゾーンでは、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2)、 Amazon Elastic Block Store (EBS)、 Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS)、 Amazon Elastic Kubernetes Service (EKS)、 そして Amazon Virtual Private Cloud (VPC) が提供されます。お客様からのフィードバックにより、どのサービスが追加されるかが決まります。
AWS をご利用されているキャピタルマーケット、トレーディング、フィンテック、ISV のお客様は、ローカルゾーンのいずれか、または両方でワークロードをテストするよう招待されています。ローカルゾーンを使用してパフォーマンステストを実施したり、ハイブリッド展開戦略に含めたり、一連のステップで実行する必要のあるオンプレミスのクラウドへの移行をサポートしたりすることができます。取引業務を行っているお客様からよく聞かれるもう1つのユースケースは、ローカルゾーンを使用して、マーケットデータ、エクストラネット、注文/執行/リスク管理プラットフォームなどのパートナーソリューションに接続できることです。
ニューヨークのローカルゾーンに加えて、本日、ラスベガスとポートランドに2つのローカルゾーンを追加しました。このリリースの詳細については、AWS News Blog をご覧ください。ローカルゾーンの詳細または使用を開始するには、AWS Local Zones のサイトを参照してください。
翻訳はソリューションアーキテクトの澤野佳伸が担当しました。原文はこちらです。