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新しい Billing and Cost Management カスタムダッシュボードで AWS コスト分析を効率化
本日、AWS Billing and Cost Management において、複数の請求およびコストデータのビューを 1 ページ内で表示できる新機能「Billing and Cost Management ダッシュボード」が一般提供となったことをお知らせします。この新機能により、AWS Cost Explorer のデータと、Savings Plans やリザーブドインスタンスに関する使用率・カバレッジを組み合わせて表示できるカスタマイズ可能なビューを作成でき、支出パターンや相関関係を把握し、データに基づいた財務的な意思決定が可能になります。また、作成したダッシュボードはアカウント間で共有できるため、FinOps チームによる組織全体での一貫したコストレポートの標準化にも貢献します。
なぜ Billing and Cost Management ダッシュボードを利用すべきか?
AWS 上でより多くのアプリケーションを構築・運用する中で、多くのお客様は比較分析、傾向把握、異常値の特定を行うために、複数のメトリクスを同時に確認・分析する必要があります。Billing and Cost Management ダッシュボードを利用することで、以下のことが可能になります:
- 複数の可視化されたウィジェットを組み合わせて単一ビューで表示し、相関関係や傾向を把握する
- 頻繁に実施する分析のためにカスタムダッシュボードを作成・保存する
- ダッシュボードをアカウント間で共有し、共通のレポート基準を組織内で確立する
ダッシュボードの主な機能は?
Billing and Cost Management ダッシュボードは、以下の主要機能を提供します:
カスタマイズ可能なダッシュボード:複数のウィジェットを追加して、カスタムダッシュボードを自由に構築できます。各ウィジェットは独立した可視化コンポーネントであり、グラフまたはテーブル形式でデータを表示するように構成できます。複数のウィジェットを単一のダッシュボード内に組み合わせて配置することができ、相関関係の発見やデータに基づいた財務判断に役立てることができます。例えば、Savings Plans のカバレッジや使用率を示すチャートと、Amazon EC2 スポットインスタンス や オンデマンドインスタンス の費用をアプリケーション別に示すチャートを組み合わせて、コスト最適化の進捗を確認するためのダッシュボードを作成することができます。ウィジェットのサイズや位置も柔軟に調整でき、理想のレイアウトを構築できます。
複数のウィジェットタイプ:様々なウィジェットタイプを使用してダッシュボードを構成できます:
カスタムウィジェット:レポートニーズに合わせて設定可能な基本ウィジェットです。
- コストウィジェット:サービスごとの支出傾向を追跡するためのコストデータを可視化します。
- 使用量ウィジェット:すべての AWS サービスにおける使用状況を集約して可視化し、全体的なリソース消費量を監視できます。
- Savings Plans の使用率・カバレッジウィジェット:使用率ウィジェットは、Savings Plans のコミットメントのうち、対象使用量に対して実際に使用されている割合を可視化するのに役立ちます。カバレッジウィジェットは、選択した期間中に、該当する AWS の使用コストのうち何パーセントが Savings Plans でカバーされているかを表示します。
- リザーブドインスタンスの使用率・カバレッジウィジェット:使用率ウィジェットは、リザーブドインスタンスのうち、対象使用量に対して実際に使用されている割合を可視化するのに役立ちます。カバレッジウィジェットは、選択した期間中に、該当する AWS の使用コストのうち何パーセントがリザーブドインスタンスでカバーされているかを表示します。
事前定義済みウィジェット:すぐに使用可能なウィジェットで、サービス別月次コストや日次コストなど、一般的な用途に合わせて事前構成されています。レポートニーズに応じて、追加でカスタマイズすることも可能です。
- サービス別の月次コスト:過去 6 か月間のサービスごとの月次コストを可視化
- 連結アカウント別の月次コスト:過去 6 か月間の連結アカウントごとの月次コストを可視化
- EC2 の稼働時間の月次コスト:過去 6 か月間の Amazon EC2 の月別稼働時間に基づくコストを可視化
- 日次コスト:過去 6 か月間の日次コストを可視化
- AWS Marketplace コスト:過去 6 か月間の AWS Marketplace におけるコストを可視化
柔軟なレイアウトオプション:各ダッシュボードには最大 20 個のウィジェットを追加可能です。ウィジェットのサイズや配置を自由に調整することで、目的に応じたレイアウトを作成できます。
共有機能:AWS Organizations 内のアカウントや、AWS Resource Access Manager (RAM) を使用して外部アカウントへ作成したダッシュボードを共有することができます。共有時には、「閲覧のみ」または「編集可能」のアクセス権限を設定できます。ダッシュボードを共有しても、コスト関連の元データそのものが共有されるわけではありません。共有されるのは各ウィジェットの設定 (例:表示されるコストメトリクスやフィルター) とレイアウト情報のみです。組織内のメンバーアカウントに対して、複数アカウントを跨ぐコストと使用状況ビューへのアクセスを許可するカスタム請求ビューを作成することが可能です。共有先のアカウントでは、同一レイアウト・同一フィルターで、自身に許可された範囲のデータを表示することができます。
利用開始方法
前提条件:
開始する前に、ダッシュボードの表示、一覧取得、作成、更新、削除を行うための権限、および AWS Cost Management に対するきめ細かなアクセス制御への移行 が必要です。詳細については、「AWS コスト管理にアイデンティティベースのポリシー (IAM ポリシー) を使用する」を参照してください。また、コストおよび使用状況に関するウィジェットを利用するには、AWS Cost Explorer を有効化する必要があります。
ダッシュボードを組織内の他のアカウントと共有するには、AWS Resource Access Manager (RAM) を使用する必要があります。RAM を使用することで、ダッシュボードなどのリソースを AWS アカウント間で安全に共有することができます。カスタムダッシュボードの共有には、AWS Resource Access Manager を使用してダッシュボードを共有するための権限が必要です。詳細については、「How AWS RAM works with IAM」を参照してください。
ユーザーガイドの手順に従って、新しいカスタムダッシュボードを作成しましょう。これらのダッシュボードは追加料金なしで利用できます。また、API を用いたプログラム経由での作成や管理も可能です。詳細については、API リファレンスガイドをご覧ください。
結論
Billing and Cost Management ダッシュボードは、AWS のコストを可視化・分析するための強力な手段を提供し、組織内でのより良いコラボレーションを可能にします。詳細については、ドキュメントをご覧いただくか、AWS Billing and Cost Management コンソールから今すぐ使い始めましょう。
翻訳はテクニカルアカウントマネージャーの西村が担当しました。原文はこちらです。