Amazon Web Services ブログ

週刊生成AI with AWS – 2025/11/10 週

みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの野間です。 だんだんとAWS re:invent 2025 が近づいてきました。そして毎年おなじみ怒濤の1時間。「AWS Black Belt Online Seminar 2025 年 AWS re:Invent 速報」を今年も開催いたします。ぜひこちらのページより事前登録をお願いします。
最近AWSのトレーニングサイトのAWS Skill builderで面白いトレーニングを発見しました。Meeting Simulator という、実際の会議や現場を模した仮想シナリオ上でコミュニケーションスキルや説明力を実践的に鍛えるトレーニングコースです。経営層・ビジネスリーダー・技術担当者など現実に近い複数の立場や性格を持つAIキャラと会議をシミュレーションして、現実的なビジネス課題に対してディスカッションします。AI英語学習のAWS版みたいなものです。会話がまだ英語しか対応していないようですが、面白いので興味がある方は覗いてみてください。 そして、AWS認定全冠ホルダーの皆様、もうすぐ AWS Certified Generative AI Developer – Professional のベータが開始されるようです。最新情報をチェックしてみてください。
AWS ジャパン生成 AI 実用化推進プログラム」も非常に引き続き募集中ですのでよろしくお願いします。

では今週も生成 AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう!

さまざまなニュース

    • AWS生成AI国内事例ブログ「[対談記事] 「その AI の精度が 1% 上がったとき、顧客価値は?」 freee が語る、価値創出論と AI ネイティブ組織への変革」を公開
      フリー株式会社は創業時から「AI CFO」というビジョンを掲げ、LLMの登場を機にAIネイティブ組織への本格的な変革を開始しました。同社は「AIラボ」という横串組織を設立し、機械学習の専門家が各プロダクトチームと協働してAI機能を実装する体制を構築しています。「成功基準」という独自フレームワークの確立で、AI投資のROIを適切に評価し、真の顧客価値創出に繋げる実践的な方法論を示しています。特に「確認コスト」と「修正コスト」を分離した業務フロー設計により、AI導入後の総コストを正しく把握し、業務効率化の実効性を高める手法は皆様にとって参考になります。技術的な精度向上だけでなく、それがどれだけの顧客価値を生み出すかを定量化する「成功基準」フレームワークと、AI専門組織による全社支援体制の構築方法は、AI活用をPoCレベルから実際のビジネス価値創出へと発展させるための具体的な組織運営手法として大変有益な知見となります。
    • AWS生成AI国内事例ブログ「株式会社 Berry 様の AWS 生成 AI 活用事例「Amazon Bedrockで医療機器のQMS業務を効率化」」を公開
      医療機器メーカーである株式会社Berry様が、Amazon Bedrockを活用してクラウド型eQMS「QMSmart」に3つのAI機能を導入した事例を紹介しています。医療機器業界では、QMS省令やISO 13485などの厳格な規制要件への対応、膨大な文書管理、品質イベント処理が大きな負担となっていましたが、Amazon BedrockのGuardrails機能により高いセキュリティレベルを確保しながら、AI文章チェック機能(規制適合性の自動判定)、AI根本原因分析支援機能(なぜなぜ分析支援)、AIテスト生成機能(文書から理解度測定問題を自動生成)を実装しました。当初はRAGやファインチューニングが必要と考えていましたが、システムプロンプトの工夫だけで専門性の高い回答を生成できることを検証で確認し、開発期間を約1か月から約1週間に短縮できました。
    • ブログ記事「Kiro : リモート MCP サーバーの紹介」を公開
      Model Context Protocol(MCP)は、AIエージェントがツールや外部システムに接続するための標準プロトコルとして、AIコーディングアシスタントで広く活用されています。これまではローカル環境で動作するMCPサーバーが主流でしたが、Kiroは新たにリモートMCPサーバーサポートとワンクリックMCPインストール機能を発表しました。リモートMCPサーバーを利用することで、エージェントの機能をローカル環境の枠を超えて拡張でき、データソースやインターネット上のツール、各種サービスにより簡単に接続できるようになります。従来のローカル環境に限定されていたAIアシスタントの機能が、インターネット上の豊富なリソースやサービスと連携できるようになることで、より柔軟で強力な開発支援環境の構築が可能となり、AIを活用したソフトウェア開発の可能性が大きく拡がることになります。
    • ブログ記事「繰り返すのをやめよう:あなたが見逃していた AI コンテキストレイヤー、グローバルステアリングとは」を公開
      Kiroの新機能「グローバルステアリング」は、AIアシスタントに毎回同じプロンプトや設定を繰り返し説明する必要性を解決するAIコンテキストレイヤーです。開発者はグローバルステアリング機能により新しいプロジェクトを開始するたびに発生していた設定の繰り返し作業が不要になり、時間節約と一貫性のあるコード品質の維持が実現できます。特に複数のプロジェクトやチームで作業する開発者は、個人の好み、チームの規約、組織の基準を階層的に適用できるため、効率性と標準化の両立が可能になります。AIアシスタントが初回から開発者の意図やチームの基準を完全に理解した状態で作業を開始できるため、より高品質で一貫性のあるコード生成と、プロジェクト間での技術的負債の削減が実現され、AI支援開発の生産性が向上することになります。
    • ブログ記事「【開催報告】セキュリティと生成AI について学ぶ GameDay with AWS Partners」を公開
      2025年10月14日に「セキュリティと生成AIについて学ぶGameDay with AWS Partners」を開催し、24社70名が参加してセキュリティインシデント疑似体験に取り組みました。AWS GameDayは実際のAWS環境で発生しうるセキュリティインシデントをシミュレーションし、参加者がチーム単位で不正アクセスの検知やデータ漏洩調査、マルウェア感染対処など現実世界の技術課題に取り組む実践的なトレーニングプログラムです。参加者はAWS SecurityHubなどの実際のAWSセキュリティサービスを駆使しながら、制限時間2時間でインシデント対応を体験し、ゲーミフィケーション要素により競い合いながら学習を進めました。イベント後半では、Palo Alto Networks、CyberArk、Weights&Biases、KnowBe4の4社パートナーによるAgentic AIの時代におけるセキュリティソリューションの紹介があり、AWS Well-Architected Frameworkを活用したセキュリティ強化の重要性も説明されました。
    • ブログ記事「re:Invent 2025 における AI 駆動のオペレーションとオブザーバビリティの活用」を公開
      2025年12月1日から開催されるAWS re:Invent 2025のクラウドオペレーショントラックでは、5つの主要テーマにわたる30のセッションを通じて、監視とオブザーバビリティのモダナイゼーションに関する知見を提供します。特に注目されるのは生成AIとインテリジェントな運用分野で、Amazon CloudWatchの自動分析によるインシデント対応の加速化、Amazon Bedrock Agentsを活用したクラウドオペレーション自動化、AI エージェントによるテレメトリーデータの実用的情報変換など、従来の手動トラブルシューティングを数分で解決する効率的なAI駆動ソリューションを紹介します。
    • ブログ記事「AgentCore Gateway の MCP サーバー統合による MCP アーキテクチャの変革」を公開
      このブログでは、Amazon Bedrock AgentCore GatewayにMCPサーバーをターゲットタイプとして直接サポートする新機能を紹介しています。この機能により、複数のドメイン特化MCPサーバーを単一のゲートウェイインターフェースの背後に統合することが可能になり、従来の課題であった組織全体でのツール発見・共有の困難さ、複数MCPサーバー間での認証管理の複雑さ、個別ゲートウェイ維持の管理工数を中央集約型アプローチで解決する方法が説明されています。具体的には、ショッピングカート、製品カタログ、プロモーションといった異なるチームが運用する特化MCPサーバーを、ルーティング、認証、ツール管理のための単一制御ポイントとして統合し、REST APIやAWS Lambda関数と同等に扱う実装手順が詳しく紹介されています。
    • ブログ記事「金融機関向け生成 AI 活用のリファレンスアーキテクチャとユースケースを公開(金融リファレンスアーキテクチャ日本版 2025)」を公開
      このブログでは、AWS金融リファレンスアーキテクチャ日本版に新たに追加された生成AI関連コンテンツとして、金融機関のセキュリティ要件に対応した生成AIワークロードのリファレンスアーキテクチャと、実践的な活用例を紹介しています。リファレンスアーキテクチャでは、オープンソースの「Generative AI Use Cases(GenU)」の閉域版をベースに、金融機関向けの閉域ネットワーク構成、AWS KMSカスタマーマネージドキーによる暗号化強化、Amazon Bedrock Guardrailsの設定強化、監視・ガバナンス機能を実装したサンプルが提供されています。また、具体的なユースケースとして、文書・コンテンツ審査(AIと人間の協働による膨大な文書審査業務の効率化)、AI活用営業・窓口対応トレーニング(ロールプレイ)、契約書業務アシスタント(複数の専門AIエージェントによる包括的支援)、ATM不正検知(マルチモーダルモデルによる特殊詐欺防止)の4つの実装例が詳しく解説されており、一部についてはAWS CDKによるデプロイ手順も紹介されています。
    • ブログ記事「【開催報告 & 資料公開】AWS 秋のオブザーバビリティ祭り 2025」を公開
      このブログでは、2025年11月6日に開催された「AWS秋のオブザーバビリティ祭り2025〜最新アップデートと生成AI×オブザーバビリティ〜」のイベント報告として、オブザーバビリティ分野における生成AI技術の活用事例を中心に紹介しています。特に注目される内容として、「生成AIで進化するAWSオブザーバビリティ」セッションでは、運用課題の解決手段としてのAIOpsアプローチが解説され、Amazon CloudWatchに組み込まれたAI機能(CloudWatch Investigations、Query Generator、CloudWatch Logs Anomaly Detection、CloudWatch Anomaly Detection)によるインシデント調査・対応の効率化手法が紹介されました。また、Amazon CloudWatch MCP ServerやAmazon CloudWatch Application Signals MCP Serverを活用し、Amazon Q Developer CLIを通じてインシデント調査からレポーティングまでを自動化するデモも披露されています。さらに、「Amazon Bedrock AgentCoreで実現!お手軽AIエージェントオブザーバビリティ」セッションでは、2025年10月13日にGA となったAmazon Bedrock AgentCoreを活用したAIエージェント開発・運用における CloudWatch GenAI Observability機能の詳細な活用方法が紹介されています。
    • ブログ記事「SAP アプリケーション開発を Amazon Q Developer でより速く」を公開
      このブログでは、SAPアプリケーション開発におけるAmazon Q Developerの活用方法を紹介しています。Amazon Q Developerを活用し、ABAP コードの生成、BTPとFioriアプリケーションの生成、単体テストケースの作成、レガシーABAPコードのドキュメント化という4つの主要な使用例を紹介しています。自然言語のプロンプトから機能的なABAPコードや完全なFioriアプリケーションを生成でき、SAPのプログラミングフレームワーク全体において生産性向上を実現出来ます。
    • ブログ記事「SAP Cloud Application Programming を加速する Amazon Q Developer」を公開
      このブログでは、SAP Cloud Application Programming Model(CAP)開発を加速するAmazon Q Developerの活用方法を紹介しています。CAPは、Python、Node.js、Core Data Servicesを使用してエンタープライズクラウドサービスとアプリケーションを開発するためのSAPのフレームワークで、コアシステムを変更せずにカスタムアプリケーションを作成できるサイドバイサイド拡張をサポートしています。このツールにより、SAP開発者は複雑なCAPフレームワークの技術的詳細から解放され、従来手動で行っていたプロジェクト構造設定、依存関係構成、ボイラープレートコード作成の時間を大幅に短縮できます。

サービスアップデート

    • Anthropic社のClaude Sonnet 4.5が AWS GovCloud (米国) のAmazon Bedrockで利用可能に
      Anthropic社のClaude Sonnet 4.5が、AWS GovCloud (米国東部および米国西部)でAmazon Bedrockを通じて利用できるようになりました。Claude Sonnet 4.5はAnthropicの最も高性能なモデルで、複雑なエージェントの構築、高度なコーディング、長期間にわたるタスクの実行において卓越した性能を発揮します。AWS GovCloud (米国)での提供により、政府機関や規制の厳しい業界でも、セキュリティとコンプライアンス要件を満たしながら最新のAI技術を活用できるようになりました。

今週は以上です。それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Aiichiro Noma

野間 愛一郎 (Aiichiro Noma)

AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、製造業のお客様を中心に日々クラウド活用の技術支援を行なっています。データベースやデータ分析など、データを扱う領域が好きです。最近、ハーブを育てるのにハマっています。