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AI-DLC Unicorn Gym for Startup【2026年8月開催レポート】 ー AI 時代のソフトウェア開発プロセス

みなさん、こんにちは!

スタートアップソリューションアーキテクトの大越、白石です。

2026 年 8 月 26 日(水)から 28 日(金)までの 3 日間、東京・麻布台の AWS ジャパンのオフィスで、「AI-DLC Unicorn Gym for Startups」を開催しました!

Mico、アミフィアブル、FiT、Bitkey、FastDoctor、TwoGate、タレントアンドアセスメント(順不同、敬称略)スタートアップ 7 社より、PdM・デザイナー・エンジニアなど、さまざまなロール・意思決定者を含めた計 8 チーム・45 名が参加し、AI を中心においた新しいソフトウェア開発手法である「AI-DLC」を実践的に体験しました。

AI-DLC Unicorn Gym for Startups 会場の様子
参加者の集合写真

AI-DLC Unicorn Gym は、AI 駆動開発ライフサイクル(AI-DLC)を座学で紹介するプログラムではありません。3 日間のほとんどはグループワークの時間として、参加各社が実際の開発案件を持ち寄り、AI-DLC 開発プロセスを実践します。

「AI を取り入れているにもかかわらず、開発プロセス全体の生産性が上がらない」という課題感を持つ、多くの企業様に参加いただいているプログラムです。

スタートアップでは、すでに AI を開発の中に取り組んでいるだけでなく、多くがアジャイル開発プロセスを採用し、ビジネスとエンジニアの距離が十分に近い開発体制です。そんなスタートアップであっても、今回参加した各社からは、最大 95.0% の削減効果(3 ヶ月の開発が 3 日)、最小でも 50% の削減効果(20 日の開発が 10 日)があったと、最終アンケートにて回答いただきました。

本記事では、どのように 3 日間が進んだのか、参加者の皆様の様子とともにレポートします。

なお本記事の進め方は AI-DLC のワークフロー V1 にもとづきます。現在は V2 が公開されており、両者の違いは AI-DLC Workflow V1 と V2 の比較 にまとまっています。

目次

ワークショップの様子

AI-DLC(AI 駆動開発ライフサイクル)とは

AI-DLC は、AI を開発の「支援ツール」ではなく開発プロセス全体の協働者として置き直し、ライフサイクルそのものを組み替える手法です。AI-DLC V1 は、3 つのフェーズで構成されます。

  • Inception: 要件を詳細化し、ユーザーストーリーを起こし、作業をユニットに分割する
  • Construction: アーキテクチャ・技術仕様・実装・テスト・デプロイまでを進める
  • Operations: 本番運用とインシデント対応

今回の 3 日間では、このうちの Inception・Construction フェーズを実際に実践しました。AI-DLC において最も重要なことは、エンジニアだけではなく、ビジネス・企画の人間もその場に参加することです。

事業企画、PdM、エンジニア、デザイナーなど、意思決定に必要な様々なロールの人間が集まることで、従来の人間主導の開発のボトルネックであった「人間の意思決定」を高速化させます。また、AI 主導でのコミュニケーションにより、ロールによって異なるテクニカルワードを持つ人間同士の意思疎通を円滑化させ、従来ではできなかった開発速度を実現します。

AI-DLC の詳細については、GitHub にて公開している aidlc-workflowsAI 駆動開発ライフサイクル:ソフトウェアエンジニアリングの再構築 や、AI-DLC ホワイトペーパー をご参照ください。

開催概要

  • 日程: 2026 年 8 月 26 日(水)から 28 日(金)までの 3 日間(各日 10 時から 18 時)
  • 会場: 東京・麻布台の AWS ジャパン オフィス
  • 参加: スタートアップ 7 社 8 チーム・45 名
  • 業種: ヘルスケア、不動産・空間管理、人材、金融が各 1 社、業務 SaaS が 3 社
  • チームの人数: 3 名から 8 名(1 社が 2 チームで参加)
  • ハーネス: aidlc-workflows
  • 使用ツール: 各社が普段使っている IDE と AI エージェント

開発環境は普段の環境と変わらない環境での開発となります。開発に利用する AI エージェントなどの環境は、事前にセットアップを依頼させていただきました。

7 社 8 チームが持ち込んだテーマ

テーマは事前ヒアリングで集めました。

  • 既存プロダクトに、利用者向けの提案機能を AI で追加する(既存改修)
  • 応募者の回答データから任意の項目を抽出して一覧に出力する機能(既存改修)
  • 貸与機材と SaaS アカウントを一括管理する社内ツールの新規開発(新規)
  • 顧客と日々の接点をつくるミニアプリの新規開発(新規)
  • 製品導入のオンボーディングを支援するツールの新規開発(新規)
  • 案件ごとの収支・予実・リスクを管理するプラットフォームの新規開発(新規)
  • 複数プロダクトに分散した管理者向け ID 基盤の統合(新規と既存改修の両方)
  • 別事業から流用しているシステムを、その事業専用に置き換える構想(新規と既存改修の両方)

内訳は新規開発が 4 件、既存システムの改修が 2 件、両方にまたがるものが 2 件でした。事前に要求定義や画面モックまで用意して当日持参したチームもありました。

8 チームそれぞれには、企画・ビジネス両方のメンバーに必ず参画いただきました。

実際に参加した皆様は、PdM・エンジニアリングマネージャー・SRE・QA・デザイナー・カスタマーサポート・オペレーション・経理・取締役まで、幅広い役職の皆様が集まりました。

3 日間の様子

3 日間はこのように進みました。

  • 初日: AI-DLC の説明と Amazon Bedrock の紹介、ハンズオンで手順を通し、午後はモブエラボレーション
  • 2 日目: モブエラボレーションからモブコンストラクションへ移行し、午後はモブコンストラクション
  • 最終日: 午後前半までモブコンストラクション、午後後半は成果発表会

Day1:Inception フェーズ

Day1 モブエラボレーションの様子1
Day1 モブエラボレーションの様子2

初日は、午前の座学・ハンズオンの後、午後からすぐにグループワークがスタート。はじめの Inception フェーズでは、最初はチームメンバー全員で、モブエラボレーションを行います。ドライバーとなる担当の人の操作画面を見ながら、aidlc-workflows を利用して、AI が要件を固めるために出すさまざまな質問に回答し、作成された成果物を全員でレビューします。ユーザーストーリーをベースに、AI に依頼してモックを作成することで、全員の共通認識を固めるなど、エンドユーザーに届ける価値をチームメンバーが共有・理解しながら進めます。

Day2:Inception 〜 Construction

Day2 Inceptionフェーズの続き

2 日目の午前中も、ほとんどのチームは Inception フェーズの続きを行いました。Inception フェーズの最後には、ユニット分割を行います。独立して作業できる単位に作業単位を分割することで、Construction フェーズではユニット単位にチームを分け、並列作業で開発を行います。多くのワークショップではこのユニット分割に戸惑うことが多い印象ですが、参加いただいた各社はユーザーストーリーの精査に時間を取る一方でユニット分割はスムーズに進められていたのが印象的でした。

ワークショップでは、全日程を通して、途中で進捗報告を挟むことで、各チームの状況を知りつつ、学びや気づき、振り返りを共有頂きました。

Day3:Construction・追い込み・成果発表会

Day3 追い込みの様子1
Day3 追い込みの様子2

いよいよ追い込みの三日目です。三日目は成果発表会があるため、各社報告会に向け、最後の Construction フェーズの追い込みを行いました。作業に集中するため、個別の部屋にて作業するチームもありました。

3 日目の成果発表

最終日の午後は、全チームが順番に前へ出て、作ったものと振り返りを発表しました。

3 日間という短い時間でしたが、チームによっては、翌週には新機能をリリースできる直前という、スタートアップならではの速度で開発を実現したチームもありました。

ただし、3 日間での進捗自体は、採用しているテーマの想定している難易度やスコープなどにも大きく左右されます。ユニコーンジムの目的は完走することではなく、この体験会を通して、学んだことの体験を、自社の開発プロセスの変革に活かすことになります。

ある参加企業様の声では、「今回体験することができてよかった!」「自社の今後の開発に AI-DLC を取り込みたい」など、懇親会の場やアンケート含めて、ユニコーンジムでの体験から、自社に持ち帰るといった声を多く頂きました。

印象的だったのは、エンジニアロールの方は「企画やビジネスについて知る」非エンジニアロールの方は「開発プロセスを知る」、それぞれが、それぞれの役割を超えて今後必要になると感じてらっしゃるという点でした。

懇親会の様子
成果発表会の様子

アンケートが答えた「どれくらい速くなるのか」

最終日にアンケートを実施し、7 社すべてから計 37 件の回答を得ました。

生産性については 2 つの数字を聞きました。今回のテーマを従来の方法で実装した場合の想定工数 と、同じ成果物を AI-DLC で作る場合の想定工数(プロセスに慣れた状態で、説明やデモの時間を含まない前提)です。回答の単位がばらついたため、1 人月を 20 人日、1 週間を 5 人日として換算しました。

  • 従来の方法での想定工数(中央値): 20 人日
  • AI-DLC での想定工数(中央値): 6 人日
  • 削減率(中央値): 66.7%(最小 50.0%、最大 95.0%)

公開されている 別の 9 社合同開催の回 では工数削減率の平均が 74.0% でした。

参加者の声

イベント後のアンケートでは、全体の満足度は 5 段階中 4.43 で、満足と答えた回答の割合は 97.3% でした(回答数:37)。その他、「AI-DLC は自分の働き方を変える可能性がある」5 点中 4 点以上が 70.3%、「AI-DLC を適用するならチーム構成も変えたほうが効果的」5 点中 4 点以上が 51.4%、「AWS からの継続的なフォローアップに興味がある」75.7% となりました。

「デザイン領域や、アプリ外でも活用ができそうなので、社内に持ち帰ってさらに活用していきたい」

「初めて複数人で回しましたが課題もみえました」

「非エンジニアですが、楽しく参加できました」

おわりに

AI-DLC は、 AI 時代の新しいソフトウェア開発ライフサイクルを提唱するものですが、重要なことは、人間のボトルネックを解消し、「意思決定を早く回す」ことにあります。

AI を開発に取り込むだけでは、ソフトウェア開発プロセス全体の効率性にはつながりません。開発プロセスを今後どのようにしていくべきか、悩んでいらっしゃる方もいるのではないでしょうか。

ユニコーンジムでは体験を通じて、参加者が学びや発見を自社に持ち帰る場です。今回の体験を通じて、ぜひ行動変容に繋げるとともに、組織の変化を促す機会として、今後もぜひご活用ください。

※ AI-DLC の手順は、 aidlc-workflows で公開されています。まずはワークフローを取り込み「AI-DLC プロセスで始めたい」と AI に伝えることで開始できます。

イベント全体の様子

AWS メンバー

大越 雄太

アマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ ソリューションアーキテクト 大越 雄太

初日に AI-DLC の考え方を説明するセッションを担当し、3 日間は各チームの席を回って相談に応じました。

白石 一乃

アマゾン ウェブ サービス ジャパン スタートアップ ソリューションアーキテクト(西日本) 白石 一乃

プログラム全体の設計と、モブエラボレーションのファシリテーションを担当しました。

深津 颯騎

アマゾン ウェブ サービス ジャパン スペシャリスト ソリューションアーキテクト(DevTx) 深津 颯騎

最終日に、AI-DLC のワークフローの次のバージョン(V2)を解説するセッションを担当しました。