AWS Startup ブログ
【開催報告 & 資料公開 & sli.do の回答】Blockchain@Loft #00
スタートアップソリューションアーキテクトの中武 (Twitter: @zabbiozabbio) です。7/25 に AWS Loft Tokyo で記念すべき第0回を開催した Blockchain@Loft について報告します。
Blockchain@Loft とは
Blocichchain@Loft は AWS 上でブロックチェーンを始めようとしている、または、開発/運用しているデベロッパー、事業開発者のためのコミュニティイベントです。定期的に AWS Loft Tokyo で開催し、毎回活発な議論を行うことを想定しています。
第0回である今回は、ブロックチェーンを活用したサービスを展開する最先端の各社から実践的な事例を紹介していただきつつ、匿名アンケートサービス sli.do を使って会場と登壇者がインタラクティブにやりとりしたり、本イベントに参加される方々からの次回開催に向けてのフィードバックを集めたりしました。
本ブログ記事では、登壇いただいた各社の資料を公開し、さらに当日は時間が足りず会場で回答できなかった sli.do 上の質問に対する各社からの回答を記載いたします。
株式会社 Ginco COO 房安陽平 様
「暗号資産管理ツールの設計とクラウド HSM の活用方法」
様々なブロックチェーンサービスを展開されている Ginco 様。そのなかの暗号試算管理を自社プロダクトの、Ginco Enterprise Wallet にて AWS CloudHSM を採用した事例を発表いただきました。
また Amazon VPC を利用することで、インターネットから遮断された環境をクラウドで利用可能になることで、よりセキュアでフレキシブルなウォレットを実現可能になりました。
Amazon Managed Blockchain を利用したブロックチェーン導入ソリューションも展開されています。
double jump.tokyo 株式会社 リードエンジニア 満足 亮 様
「AWS 上で動く世界 No1 ブロックチェーンゲーム」
AWS上で動く世界No.1ブロックチェーンゲーム / No1 Blockchain Game on AWS
Ethereum 上での NFT 取引量/取引数世界1位の MyCryptoHeroes のアーキテクチャやブロックチェーンゲームについても発表いただきました。
Amazon S3 や、Amazon Aurora をはじめ、可用性/拡張性といった、全体の安心感から AWS を採用したことで、gRPC などの新規領域の技術へ全力でチャレンジすることができるようになりました。
デジタルアセットの話も必見です。
Curvegrid 株式会社 Co-founder Jeff Wentworth 様
「AWS の上に大規模ブロックチェーンインフラ」
開発が困難なブロックチェーンサービスを便利にする基盤を提供している Curvegrid 様。
フルノード/アーカイブノード運用で使用しているインスタンスタイプや実際のメトリクスなども含め発表いただきました。
株式会社 ALIS リードエンジニア 冨樫 圭樹 様
「ブロックチェーンとフルサーバレスでのシステム構築」
フルサーバレスでブロックチェーンサービス開発されている ALIS 様の発表。
Amazon API Gateway、AWS Lambda といったサーバレスサービスを活用し、1年の開発/運用を経た上で、ブロックチェーンとサーバレスはお互いが補完関係にあって相性がよく、両者はアーキテクチャとして極めて優秀とお話しいただきました。
会場からは遠慮のない匿名質問!登壇者パネルディスカッション
会場にて匿名アンケートサービス sli.do を使って声を集め、それをテーマに各登壇者がパネルディスカッション形式でディスカッションを行いました。
ここからは時間がなくてその場で回答出来なかった質問をいくつかピックアップして回答いたします。
次回以降の Blockchain@Loft に関するご意見
Q: 技術系コンテンツを重点的にききたいです (スマートコントラクトのライブコーディング、セキュアな実装方法やテスト方法、Ethereum や Hyperledger Fabric などフレームワークごとのセミナーをやってほしい)。
Q: ユースケースの事例を深堀した内容。ビジネスの観点と技術的観点。を継続的に聞きたいです。
様々なご意見ありがとうございます!本イベントは継続的に行いますので、次回開催の参考とさせていただきます。
次の開催は9月を予定しています。(SA 中武)
Q: ブロックチェーンを使ったシステムを簡単に作るにはどうすればいいのかを教えていただきたいです。 誰でもこうすれば PoC ができるような HelloWorld を書いてもその次に行けない。。
Blochchain@Loft でエンジニア向けのハンズオンも企画として考えていますので、そちらにご参加いただければと! (SA 中武)
double jump.tokyo 満足さんへの質問
Q: double jump.tokyo さんがおっしゃられていた NFT 同士の相互運用性って、どういった形で現れますか?こうなったら面白い、というレベルで構わないので教えてください!
異なる事業者の NFT をコントラクトに預けることで、コンバートできれば面白いかなと思い現在計画中です!(double jump.tokyo 満足さんより)
Q: MyCryptoHeroes のユーザコミュニティの人たちはどういう風にコミュニケーションしているんでしょうか?また、どれくらいの数のコミュニティがあるんでしょうか?何か支援をしているのでしょうか?
Twitter や Discord での会話がメインです。コミュニティごとに Discord サーバーを立てて交流しているようです。ユーザー大会やその YouTube での実況、オフラインイベントなんかも企画されています。このあたりはブロックチェーンだから、ということはないと思います。
支援というほどではないですが、オフラインイベントの費用を一部協賛させて頂いたり、ユーザー大会の賞品を提供させて頂いたりしています。(double jump.tokyo 満足さんより)
ALIS 富樫さんへの質問
Q: Serverless がスパイクに強いが Blockchain はスパイクに弱いので補完関係とのことですが、API Gateway がスパイク捌けても後ろにいる Blockchain な Amazon VPC 内のリソースはちゃんと保護されますでしょうか?
Blockchain が必要な処理については Amazon EC2 なので、指摘通り API Gateway が捌けても後ろは捌けないです。Blockchain を必要としない処理について API Gateway → Lambda で捌き、可能な限り Blockchain を経由しないで済む設計となっています。
現状 ALIS では主にプライベートチェーンを利用しているため、スパイクによる負荷問題は発生していないですが、状況によっては Amazon SQS を挟む等の対応が必要になる想定です。(ALIS 富樫さんより)
Ginco 房安さんへの質問
Q: Ginco さんのサービスは ERC-1400 など、セキュリティトークンにも対応していくんですか?
仰るとおり、セキュリティトークンにも対応し、証券・不動産・その他のデジタルアセットの安全な管理が可能なシステムにしていくつもりです。(Ginco 房安さんより)
Q: Ginco さんの AWS CloudHSM の鍵管理がオフラインということは、暗号資産を移転する際に手作業が入ることが前提でしょうか。
暗号資産を移転する際のセキュリティにおいて、鍵の管理者による承認作業は必要なオペレーションです。その際に生じる署名処理についてはセキュリティの観点から申し上げることはできませんが、一般的に行われる”手作業”と比べて遥かに効率的な署名処理を実現しています。(Ginco 房安さんより)
Q: ブロックチェーンの基礎技術、最新技術の習得はどうやっていますか?
基礎的な内容については、暗号技術と P2P 通信技術について、専門書と海外情報を追いかけながら実際に手を動かして技術を蓄積しています。最新技術の習得については、海外の Github やコミュニティ向けの Medium からキャッチアップをしています。
またアウトプットとしてブロックチェーンの最新動向をレポートにしているので、興味があればご覧ください。(Ginco 房安さんより)
Q: Ginco さんがハッシュも実装してるような話があったと思います。 ハッシュのアルゴリズム自体は公開されてますが、何か特別な特徴があるんでしょうか?
ハッシュアルゴリズム自体は、一般的に公開されセキュリティの保証された内容に則っています。こうした複数のハッシュアルゴリズムや暗号処理を実装用にモジュール化し、アプリケーションやシステム内に自由に組み込めるようにしております。(Ginco 房安さんより)
Q: Ginco さんに Ledger との違いを解説頂きたいです。
技術的に細かいことは説明が難しいのですが、根本的な開発思想そのものが大きく違うと考えています。例えば、ウォレットのセキュリティについて、私たちが重要視しているのは「権限を管理する責任者の承認作業がないかぎり、絶対に暗号資産を移動させられないこと」、すなわち「マニュアルコントロール」の考え方です。 オフライン環境でマニュアルコントロールを成立させつつ、複数の鍵管理手法と署名ツールを組み合わせて利便性を最大限高めたのが、私たちの事業者向けウォレットになります。(Ginco 房安さんより)
意外と多かった質問について
Q: Yuki さんって誰?
わたしです (SA 中武)
Amazon QLDB と AWS Manged Blockchain について
Q: Amazon QLDB とAmazon Managed Blockchain の使い分けについての意見を聞きたい
ユースケースによって選択いだければと思います。
QLDB は集中型の不変で検証可能なトランザクションログを提供することを目的としていますが、Managed Blockchain は複数の当事者が互いに透過的にトランザクションを行える目的で利用します。
利用シーンにおいてどちらのサービスが適切か迷う場合は、お近くの SA にお声がけください。 (SA 中武)
Q: 複数の Node、複数の関係者がいる場合、Amazon Managed Blockchain のアカウントは分けられるのでしょうか?
アカウントを分けたい理由が質問からは汲み取れなかったのですが、特定の関係者と台帳を共有したいのであれば、Channel を作成しそれを使用するのはいかがでしょうか?
Amazon Managed Blockchain では使用する Edition によって作れる数の制限値がありますので合わせてご確認ください。 (SA 中武)
今回はここまで
次回は9月を予定しておりますので奮ってご参加ください!それではまた次回をお楽しみに!
このブログの著者
中武 優樹(Yuki Nakatake)
Blockchain、Database、Zabbix が好きなスタートアップ ソリューションアーキテクトです。