AWS Startup ブログ

健康保険をオンライン化する Ottonova

フランク・バーツル氏が地元ドイツでヘルスケア企業を設立しようとしたとき、バーツル氏は多くの人と同じことをしました。グーグルで設立方法を検索したのです。しかし、「ドイツで健康保険会社を始める方法」で検索結果は返ってきませんでした。彼はこう言っています。「私はとても驚きました。今時、グーグルで何かを検索して結果がゼロなどということがあり得ますか?」 既存の戦略は存在せず、完全な白紙状態でした。そこで彼は、彼のデジタル時代のアイデアに対して若干古風なアプローチを取ることにしました。バーツル氏は当時を振り返って、「ロードショーのようなことをしたのです。構築する必要がある様々なコンポーネントのすべてを、車で見て回りました」と話します。 計画を立てるために、「私はホワイトボードを使って、システムがどのように構築されなければならないかについて主なアーキテクチャを描きだしました。」

2017 年 6 月、ドイツ初の完全にデジタル化された民間健康保険会社として Ottonova が立ち上げられました。(現に、Ottonova は 2000 年以来初めて設立された新しい民間健康保険会社でした。) Ottonova のユニークな提案は、健康保険を完全にオンラインで販売し、顧客経験全体をシンプル化することでした。見込み客は、それぞれの保険料をオンラインで計算し、数分で契約することができます。顧客はその後、ネイティブアプリを使って、健康保険に関する事柄のすべてをオンラインで管理できます。

バーツル氏の経歴は e コマースであったものの、結果的に、彼がアーキテクチャについて持っていた最初のコンセプトは的を得たものであったことが明らかになりました。「もちろん、それは私の当初の落書きよりもはるかに詳細で高度なものですが、私が最初に想像した設定とほとんど変わらないものになりました」とバーツル氏は語ります。彼は、大学からの昔なじみであるアンドレアス・カツィッシュ氏とチームを組みました。彼らは、2016 年に AWS Summit で偶然に再会するまで 10 年も顔を合わせていませんでした。この挑戦についてカツィッシュ氏は、「誰も触れない大きな壁があったのです。私たちは単に、その壁に最初に触れて、壊してしまう人物になりたかったのです」と話しています。カツィッシュ氏は、エンジニアリング部長としてチームに参加しました。

Ottonova チームは、製品を構築し、必要な規制当局の承認を受けるために 6 ヵ月の期間を設定しました。「稼働開始までの最初のタイムラインは 6 ヵ月でした」とカツィッシュ氏は言います。この分野は何でもありという状態だったので、バーツル氏と彼のチームはすべてを一から構築しました。チームは、レガシーソフトウェアを避け、最高のサードパーティーベンダーのみを選ぶことができました。その結果、彼らは AWS 認定サービスのみを使用し、すべてのデータをドイツ内に保持しています。彼らは、ドイツで最初の健康保険を設立したオットー・フォン・ビスマルクにちなんで、会社を Ottonova と命名しました。

当初、人々は Ottonova に対し、保険のような複雑な製品をオンラインで売れるわけがないと言いました。通常、民間保険は保険ブローカーを通して購入されます。それに加え、健康保険は、最初に連絡を取り合ってから契約まで長い時間差があり、6 ヵ月かかることもあります。このため、Ottonova は、スタートアップ企業の保険に加入することを怖がる可能性が少ない「典型的なテスラ購入者のような、物事を最初に試してみたい人たちであるファーストムーバー」をターゲットにしました。そのアカウント設定プロセスも、できる限り簡単かつ安全に設計しました。Ottonova は、機密性が極めて高い場合がある見込み客のデータを保護するために、二要素認証を使用しています。

保険会社に対する通常の期待とは対照的に、Ottonova は顧客中心のアプローチを取りました。カスタマーサポートはコンシェルジュサービスとしてリブランディングされ、その機能はすべてチャットを通じて利用できます。顧客は、アプリを使って予約を入れたり、新しい医師を探したりすることができます。また、カスタマーサービス担当者は、非常に多くの会社が依存するようになったチャットボットではなく、現実の人間です。Ottonova はそれ自体を高品質企業として位置付けているため、その顧客が可能な限り最高のサービスを受けることを確実にしたいと考えています。患者は、詳細な健康情報を提供し、生身の人間がそれに対応すると理解しておくことができます。「基本的に、医師に話しているかのように私たちに話すことができるのです」とバーツル氏は語ります。

健康保険は国家レベルで極めて入念に規制されているため、現在 Ottonova には会社をグローバル展開するという抱負はありませんが、Ottanova は、外国人居住者を含むドイツ全国で成長し続けており、外国人居住者には特殊関税も提供してます。昨年 6 月、Ottanova はドイツ公務員に対する特別保険料率を開始し、ドイツ最初の民間健康保険会社として全顧客に遠隔医療を提供しました。

これからは、グーグルで「ドイツで健康保険会社を始める方法」を検索すると、健康保険イノベーションに対して独自のロードマップを描いた会社の物語が表示されるようになるに違いありません。

 

このブログの作者:ミシェル・クン – Michelle Kung

ミシェルは、AWSのスタートアップマーケティングチームに所属し、コンテンツ制作を率いています。AWSに参加する前は、Index Venturesのコンテンツリードとして活躍していました。それ以前には、The Wall Street Journalにおける貴社および編集者を経験、Huffington Postのビジネス記事編集者、The Boston Globeの特派員、Publisher’s Weekでのコラムニスト、Entertainet Weeklyにおけるライターの経験を持っています。