地域コミュニティと学校をつなぐ AWS AI Agent ワークショップ
2026-08-03 | Author : 平賀 博司
はじめに
皆さん、こんにちは。AWS Academy 日本担当 Technical Trainer の平賀です。
2026 年 6 月 20 日 (土) 、JAWS-UG 富山支部が富山高等専門学校 (富山高専) を会場に、第 6 回目の勉強会「AWS AI Agent ワークショップ in 富山高専」を開催しました。参加者は 25 名。社会人エンジニアに加え、富山高専の学生さん 3 名も参加し、世代を超えた学びと交流が生まれた 1 日となりました。
今回の記事では、このイベントがどのようにして実現したのか、当日の様子、そして参加した学生さんたちの声をお届けします。
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学校 × 地域コミュニティ ― この会が実現するまで
AWS Academy がつないだ縁
JAWS-UG 富山が富山高専で勉強会を開催するのは、実は今回が 2 回目です。この連携を可能にしているのが、AWS Academy という教育支援プログラムの存在です。
AWS Academy は、高等教育機関で AWS のクラウドコンピューティングを授業として教えていただくためのプログラムで、富山高専もこのプログラムに参加されています。担当の石田先生が AWS Academy を通じて JAWS-UG 富山とつながり、「学生と地域のエンジニアが直接交流できる場を作りたい」という想いが共有されたことで、この取り組みが始まりました。
なお、ここで一点補足させてください。JAWS-UG の活動は、あくまで AWS ユーザーの皆さんによる自主的なコミュニティ運営です。今回、AWS Academy の立場としては、富山高専に JAWS-UG 富山支部をご紹介させていただいた、いわば「橋渡し役」に過ぎません。企画・準備・当日の運営すべてを担ったのは JAWS-UG 富山の運営チームの皆さんであり、その熱意と行動力があってこそ実現したイベントです。
「学校でやる」ことの意味
裏話になりますが、この会の実現には石田先生と運営チームのかなり綿密な事前調整がありました。
特に大きかったのは、石田先生からいただいた「学生に参加してもらうには、学校で実施することが効果的」というアドバイスです。外部の会場に出向くのは学生にとって心理的ハードルが高い。でも、いつも通っている学校であれば「ちょっと覗いてみようかな」と思える。このシンプルだけど大切な気づきが、学生参加の鍵になりました。
もちろん、学校で開催するとなると、試験や実習など学校側のスケジュールとの調整も必要です。石田先生が校内での調整や学生への告知活動を一手に引き受けてくださったおかげで、スムーズに開催にこぎつけることができました。
当日のプログラム ― 座学からグループワークまで、丸一日の学び
当日のタイムテーブルはこちらのような流れで行われました。朝 9:30 から夕方まで、がっつり学ぶ 1 日でした。
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時間
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内容
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担当
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|---|---|---|
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9:30 - 10:00
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受付 |
ー |
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10:00 - 10:05
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開会のあいさつ |
藤井さん (MC) |
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10:05 - 10:20
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AI Agent とは ? (座学) |
崎田さん |
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10:20 - 11:30
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Agent を作ってみよう!記憶機能を付けよう! (ハンズオン) |
石黒さん |
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11:40 - 12:50
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利用状況をモニタリングし、Agent を評価する仕組みを作ろう (ハンズオン) |
宮本さん |
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13:00 - 14:00
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ランチ |
ー |
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14:00 - 14:50
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Agent が使えるツールを実装しよう!ブラウザを操作させよう! (ハンズオン) |
藤井さん |
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15:00 - 17:00
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Kiro を使ってエージェントを開発しよう ! (チーム別ワークショップ) |
全員 |
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17:00 - 17:30
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発表 |
各チーム |
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17:30 - 18:30
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ビアバッシュ (ノンアルコール、軽食) |
ー |
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19:00 - 21:00
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大人の懇親会 |
ー |
運営チームのこだわり ― 「教える」のではなく「一緒に学ぶ」
今回のテーマは「AWS AI Agent」。正直なところ、運営メンバー自身もこの分野は勉強中です。でも、だからこそ「初歩的なところから丁寧に説明しよう」という姿勢で各セッションが組み立てられていました。
崎田さんによる冒頭の座学「AI Agent とは ?」で基礎知識を共有した上で、石黒さん、宮本さん、藤井さんといった方々がそれぞれのハンズオンパートを担当。Agent の作成から、記憶機能の実装、モニタリング、評価の仕組み、そしてツール実装まで、段階的にスキルを積み上げていく構成です。
運営メンバーのこだわりポイントは 2 つありました。
1 つ目は、初心者でも参加しやすいハードルの設定。 AI Agent という最先端のテーマでありながら、「まったく触ったことがない人」でも手を動かせるよう、丁寧なステップバイステップの進行を心がけていました。また、作業の前には何をやるのか?技術的にはどういうものなのか ? といったレクチャーもきちんと挟んでいました。
2 つ目は、最後のグループワーク。 午前〜午後のハンズオンで学んだ内容を活かして、Kiro CLI」 を使ったチーム別のエージェント開発に挑戦する時間を設けました。ここには「参加者同士のコミュニケーションを促したい」という想いが込められています。ハンズオンだけだと個人作業になりがちですが、グループワークにすることで自然と会話が生まれ、学生とエンジニアが同じチームで議論する光景が見られました。
ハンズオン環境 ― AWS Workshop Studio の活用
今回のハンズオンでは、AWS が提供する「Workshop Studio」を利用しました。
Workshop Studio は、AWS がイベントやトレーニングで活用しているプラットフォームで、ラボの手順書が公開されているだけでなく、イベント期間中に参加者へ AWS アカウントを無料でお貸しする機能も備えています。つまり、参加者は自分の AWS アカウントを持っていなくても、その場ですぐにハンズオンを始められるのです。
今回利用したのは「Amazon Bedrock AgentCore ワークショップ : 基本から高度なエージェント開発まで」というコンテンツです。Lab 1 から Lab 6 まで、Code Interpreter によるエージェント構成、AgentCore Runtime へのデプロイ、Memory (記憶機能) 、Observability (モニタリング) 、Evaluation (評価) 、Identity (認証認可) と、体系的に AI Agent 開発を学べる構成になっています。
参加者全員が同じ環境で、同じ手順で進められるので、「環境構築でハマって時間を浪費する」ということがなく、本質的な学びに集中できたのは大きなメリットでした。
学生さんの声 ― 「思っていたほど孤立しなかった」
今回、富山高専から 3 名の学生さんが参加してくれました。石田先生が校内で告知してくださったことがきっかけです。
参加した学生さんに直接お話を聞いてみると、とても嬉しい声をいただくことができました。
「前回も参加して楽しかったので、今回は友達に声をかけました」
なんと、前回参加した学生さんがリピーターとして戻ってきてくれただけでなく、友達を誘ってくれたそうです。そして、声をかけられたその友達も実際に参加してくれました。口コミで広がるコミュニティ、まさに理想的な形です。
また、こんな声もありました。
「専攻は IT ではないんですが、最近 AI に興味があって。面白そうだったので参加してみました」
IT を専攻していなくても、AI という旬のテーマに惹かれて飛び込んでくれる。この「興味があれば誰でも歓迎」という空気感は、JAWS-UG 富山が大切にしているものです。
参加してみた感想としては、
「内容は若干難しかったけど、思っていたほど孤立することもなく、周りのエンジニアの方々と直接交流できたことが楽しかった」
との声。「孤立しなかった」という言葉が印象的です。学生にとって、社会人ばかりの勉強会に参加するのは勇気がいること。でも、グループワークやビアバッシュを通じて自然と交流が生まれる設計になっていたからこそ、この感想が出てきたのだと思います。
ビアバッシュという工夫 ― 大人と学生の交流の場
JAWS-UG の勉強会といえば、本編後の懇親会が定番です。でも今回、運営チームはひとつ工夫を加えました。
通常であれば本編後にそのままアルコールの入る懇親会を開催するところを、今回から「ビアバッシュ」(ノンアルコールですが !) として、学生も一緒に交流ができるよう、ソフトドリンクとピザなどの軽食で 1 時間ほどの交流会を設けたのです。
これにより、学生さんも気兼ねなく参加でき、大人のエンジニアと学生が同じ空間でリラックスして会話できる時間が生まれました。ハンズオンの感想を共有したり、「普段どんな勉強してるの ?」「仕事ではこんなことやってるよ」といった会話が自然と生まれていたそうです。
もちろん、大人たちはその後しっかり「大人の懇親会」に繰り出しました (笑)。
なお、ランチのお弁当やビアバッシュのピザ、飲み物は、株式会社日本オープンシステムズ様、株式会社 NTT データ北陸様の 2 社のご協賛により提供されました。ありがとうございました!
先生と校長先生も一緒にハンズオン !
今回特筆すべきは、AWS Academy ご担当の石田先生だけでなく、校長先生にもご参加いただけたことです。
お二人とも参加者と一緒にハンズオンやグループワークに取り組んでくださいました。先生方が学生と同じ目線で学んでいる姿は、「学ぶことに年齢も立場も関係ない」というメッセージそのものだったと思います。
石田先生には、会場の校内調整から学生への告知活動まで、開催に向けた多大なご尽力をいただきました。AWS Academy というプログラムを通じて学校と地域コミュニティがつながり、こうした形で継続的に交流できていることは、本当に素晴らしいことだと感じています。
今後の展望 ― 温かく、開かれたコミュニティへ
JAWS-UG 富山の運営チームに今後の展望を聞いてみました。
まず、学生さんの継続的な参加を推進していきたいとのこと。会場は必ずしも学校である必要はなく、どこで開催しても学生が「参加したい」と思える会にしていきたいという想いがあります。(今回学生間の口コミで参加者が増えた点もいい流れになってきている証かもしれません)
そして、「初心者からベテランまで、参加して価値があったなと感じてもらえる温かい会として発展させていきたい」という言葉が印象的でした。
今回の特徴として、学生だけでなく若いエンジニアの参加が多かったことも挙げられます。これは運営メンバー自身に若手が多く、地域のつながりなどで積極的に声がけをしてくれていることが大きいようです。参加者年齢の若返りや、「初めて参加します」という方々を増やしていきたい ― そんなビジョンを持って活動されています。
さいごに
地方の技術コミュニティと教育機関が連携し、学生と社会人エンジニアが同じ場で最先端の技術を学ぶ。言葉にすると簡単ですが、実現するには多くの方々の想いと努力が必要です。
JAWS-UG 富山の運営チーム (盛川さん、藤井さん、崎田さん、石黒さん、宮本さん、熊膳さん、高安さん、田村さん、松本さん) の綿密な準備、石田先生の校内調整と学生への働きかけ、協賛企業様のサポート、そして何より「参加してみよう」と一歩を踏み出してくれた学生さんたち。すべてが揃って、この温かい 1 日が実現しました。
JAWS-UG 富山の勉強会は、初心者も、学生も、ベテランも、誰でも歓迎です。次回の開催情報は connpass ページをチェックしてみてください。皆さんのご参加をお待ちしています!
筆者プロフィール
平賀 博司
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
AWS Academy 日本担当 Technical Trainer
AWS Academy プログラムを通じて国内の高等教育機関の先生方に AWS に関連する授業をしていただくためのトレーニング (研修) の提供と AWS コミュニティの橋渡し役として活動中