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2024 株式会社アプリボット

『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』のマルチプレイサーバーに Amazon GameLift を採用。快適なプレイ体験を実現

ゲーム

概要

スマートフォンなどの次世代端末を利用したゲームや、クリエイティブスタジオ「SSS by applibot」、グローバルパートナー事業を運営する 株式会社アプリボット。同社は『FINAL FANTASY VII』シリーズ最新作のスマートフォン向けタイトルである『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』のインフラ構築において、アマゾン ウェブサービス(AWS)のマネージドサービスを活用。運用負荷の低減や機能改善を実現しています。
Promotional image for Final Fantasy VII Ever Crisis featuring two main characters with large swords standing in front of a futuristic cityscape, used for the Applibot case study.

課題・ソリューション・導入効果

課題

大量トラフィックをさばくマルチプレイ用インフラ環境の構築が不可欠に

アプリボットは「世界震撼」をビジョンに掲げる企業。表現力と技術力を両立させることで、ユーザーから愛されグローバル市場で評価されるゲーム作りを目指しています。同社は次期ゲームタイトルとして、株式会社スクウェア・エニックスと協働して『FINAL FANTASY VII』のスマホアプリゲームを開発することを決定しました。同作は『FINAL FANTASY』シリーズのなかでも根強い人気のある作品であり、リリース時には大規模なプロモーションを予定していました。さらに、日本国内だけはなく海外での同時リリースも行います。これらの前提から、リリース時に数十万規模の同時接続を処理することがシステム要件として求められました。また、同社のこれまでのゲーム開発ではプレイヤー同士がマッチングして同じバトルに参加する“マルチプレイ”の実装経験がありませんでした。そのため、「大量のトラフィックをさばくことだけではなく、マルチプレイの仕組みをいかにして実現するかについてもシステム構築の重要なポイントでした」とバックエンドエンジニアの永田員広氏は述べます。

ソリューション

Amazon GameLift の導入によりスケーラビリティを担保。インフラ管理が不要に

ゲームのマルチプレイサーバーの構築は煩雑です。ゲームセッション・プレイヤーセッションの管理やマルチプレイサーバーのスケーリング、マッチングシステムの設計・実装などが求められます。また、ゲームのコアとなる機能であるため、もしもマルチプレイサーバーで障害などが発生した場合、プレイヤー体験を大きく毀損してしまいます。

SRE チーム エンジニアの西村遊氏は「マルチプレイサーバーの構築をすべて自社のエンジニアが行うのではなく、開発や運用の負担を軽減するために信頼できるマネージドサービスを使う方針にしました」と語ります。

2021 年 3 月より複数 SaaS の比較・検討を開始。同年 6 月にマルチプレイヤーゲーム用のクラウドサーバーを管理するマネージドサービス Amazon GameLift の採用を決定しました。「マルチプレイを実現できる他の SaaS では、費用を抑えるために長期契約が必要であったり、サーバーで使用する OS に制約があるなど、さまざまな課題がありました。しかし、Amazon GameLift であれば、これらの課題が解決できるだけでなく非常に安価に利用開始できるうえに、AWS のソリューションアーキテクトやテクニカルアカウントマネージャーによるサポート体制が充実しているため、採用を決めました」(西村氏)

アプリボットでは Amazon GameLift のフルマネージド機能である GameLift Hosting ではなく、運用の自由度が高く自社でのカスタマイズができる Amazon GameLift FleetIQ をあえて採用しています。

SRE チーム エンジニアの長谷部充洋氏は「GameLift Hosting と Amazon GameLift FleetIQ とを比較した結果、私たちの場合は後者を用いる方がより処理効率の向上やコストの削減に結び付けられると判断しました。ユースケースに合わせて使い分けられるのも Amazon GameLiftのメリットです」と話します。

システムの構築を進めるにあたって、AWS のサポートは大きくプラスに働きました。前述のソリューションアーキテクトやテクニカルアカウントマネージャーによるサポートだけではなく、アプリボットのメンバーと Amazon GameLift のサービス開発チームのメンバーとが直接会話する機会もありました。

「Amazon GameLift を開発チームと直接話せたことで、サービス仕様の確認やワークアラウンドの対応が迅速に行えました」とバックエンドエンジニアの美濃爽太氏は述べます。また『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』のプロダクションリリースの際には、アプリボットのエンジニアと AWS のテクニカルアカウントマネージャーが緊密に連携して、システムの監視・運用を行いました。

川口氏は「もしもマルチプレイのシステム基盤を自社でゼロから構築する方針を選び、AWS のサポートも受けなかったとしたら、このスピード感でリリースすることは不可能でした」とプロジェクトを振り返ります。

導入効果

リリース後 3 か月経過時点でのインフラ起因の大規模障害はゼロ。他タイトルへのノウハウ展開やコスト最適化を推進

『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』のプロダクションリリース以降 3 か月経過していますが、インフラ起因の大規模な障害は発生していません。リリースから 1 週間で約 500 万ダウンロードを達成し、多くのユーザーが快適にゲームをプレイできる環境を実現しています。また、『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』全体でかかるインフラの費用は、同社が提供する他の人気ゲームタイトルの 2 分の 1 ほどに抑えられています。

「当初の想定では、マルチプレイを実現するためにはかなりのインフラコストが必要になると考えていました。しかし、Amazon GameLift を活用したアーキテクチャにすることで、結果的にはコストを大幅に低減できました」(川口氏)

『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』はリリースされたばかりのタイトルであり、今後も大きな機能開発を予定しています。今後も AWS の各種サービスを有効活用しつつ、さらなるシステムの利便性やユーザー体験の向上を目指しています。

また、ゲームのプロダクションリリースから 3 か月が経過したことで、サービス運営に必要なインフラのスペックも把握できてきました。そこで、今後同社ではインフラにかかるコストを最適化し、よりコストパフォーマンスに優れたアーキテクチャにすることも見据えています。「『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』の事例においては、マネージドサービスをうまく活用することでインフラ構築のコストを最小限に抑えながらサービス運営する実績を作ることができました。アプリボットでは他にも開発中のゲームタイトルがありますが、それらのインフラにも『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』で培ったノウハウを横展開できたらと考えています」(川口氏)

The logo of Applibot featuring a stylized blue and black design with the word 'applibot'.
サポートの手厚さは AWS の大きな強みです。Amazon GameLift のサービス開発チームと直接対話できたことで、インフラ構築がスムーズに進みました

川口 一毅 氏

株式会社アプリボット プロジェクトマネージャー

アーキテクチャ

Architecture diagram illustrating the AWS infrastructure for Applibot's game battle server solution, featuring services like Amazon CloudFront, S3, ECS, Aurora, ElastiCache, DynamoDB, Lambda, GameLift, and SNS for scalable game and battle server hosting.

株式会社アプリボット

「世界を震撼させるサービスをつくる」というビジョンを掲げ、スマートフォンなどの次世代端末を利用した各種情報提供サービスを企画・制作・運営するサイバーエージェントのグループ企業。過去にリリースした主な作品は『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』(2023 年)や『NieR Re[in]carnation』(2021 年)、『BLADE XLORD ―ブレイドエクスロード―』(2020 年)など。

取組みの成果

  • 約 500 万 - リリースから 1 週間のアプリダウンロード数

  • 約 2 分の 1 - 同社が提供する他の人気ゲームタイトルと比較したインフラ費用

本事例のご担当者

川口 一毅 氏

A man wearing glasses and a black hoodie with a barcode design, sitting and speaking in an indoor setting. This image is used for the Applibot case study speaker profile.

永田 員広 氏

A portrait of an Applibot case study speaker seated in an office setting, wearing a light blue striped shirt, looking slightly to the side and smiling.

美濃 爽太 氏

A person sitting and smiling, featured as a speaker for the Applibot case study. The individual is dressed in a teal shirt, seated indoors with a wooden and white background.

長谷部 充洋 氏

A portrait of a speaker in the Applibot case study, showing a person in a light blue shirt and glasses, seated indoors against a wooden and white background.

西村 遊 氏

A portrait of a speaker for the Applibot case study, showing a person seated at a desk and smiling, wearing a blue jacket and white shirt.