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2025 GMO ペイメントゲートウェイ株式会社

GMO ペイメントゲートウェイ、ミッションクリティカルな決済代行サービスを AWS のマネージドサービスで開発し、運用コストを 20% 低減

金融サービス

概要

総合的な決済関連サービスや金融関連サービスを展開する GMO ペイメントゲートウェイ株式会社。同社は決済代行サービスにアマゾン ウェブ サービス(AWS)のマネージドサービスをフルに活用し、スタートアップ企業向けの決済代行サービス『fincode byGMO』を開発しました。AWS の活用で短期間のサービスリリースを実現し、運用コストをオンプレミス比で 20% 削減しています。

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課題・ソリューション・導入効果

課題

決済関連サービスや金融関連サービスへのクラウド適用の拡大

EC 事業者と、カード会社、コンビニ、金融機関などの決済事業者をつなぐオンライン総合決済サービスを中心に事業を展開する GMO ペイメントゲートウェイ。同社は 2019 年から開発やテスト環境として AWS の利用を開始しました。

「インフラの調達リードタイムが短縮でき、事業の成長と併せてスケールできるのが AWS 採用の理由です」と語るのは GMOインターネットグループ デベロッパーエキスパートであり、GMO ペイメントゲートウェイ システム本部 システム企画統括部 R&D 室 室長/フェローの駒井直氏です。

その後、外部向けのサービスにも AWS 活用を拡大し、店舗向け QR・バーコード決済の『GMO Cashless Platform』などで利用を開始しました。2020 年 10 月からはフロント系や周辺系のシステムでも本番利用を始め、現在も活用領域を拡大しています。

「AWS を利用し続けている理由の 1 つは、アプリケーションスタックがわかりやすく、オンプレミスからのリフトがしやすいことにあります。オンプレミスに慣れているエンジニアの思考を大きく変えることなく移行できる点において優位性があります。さらに、充実したサポート体制があります。開発時に課題が発生した際、サポートに問い合わせると、実際に動作検証しなければ分からないレベルまでの回答をいただけ、ユーザーと一体になって解決を目指す姿勢に安心感を覚えました」(駒井氏)

ソリューション

Amazon ECS on AWS Fargate で決済代行サービスを開発

GMO ペイメントゲートウェイは、開発・構築スピードの向上、コスト効率、新技術に触れられるエンジニアのモチベーションアップなどの観点から AWS を利用しています。

こうした中、クラウド活用が難しいと言われていた決済代行サービスを、社内で初めて AWS で開発したのが 2022 年 5 月にリリースした、GMO イプシロンが提供する『fincode(フィンコード) byGMO』です。

fincode byGMO は、スタートアップ向けに開発した、自身のプロダクトにオンライン決済機能を実装するためのサービスです。開発の背景には、人手の少ないスタートアップならではの課題解決に貢献する目的がありました。従来の決済代行サービスは、営業担当者がついてどのようなサービスを使いたいのかをヒアリングし、マニュアルを参考に導入を進めるのが一般的です。人手が少ないスタートアップにとっては、コア業務に注力したいため、決済機能にリソースを割く余裕がなく、優先度は低くなりがちです。そこで、E コマースはもちろんプラットフォームやサブスクリプションなどさまざまなビジネスモデルに必要な決済機能を取り揃え、スタートアップの IT 担当者がプロダクトやサービスに手軽に組み込めるコンセプトで fincode byGMO を開発しました。

「エンジニアファーストを掲げて、REST API や複数開発言語に対応した API リファレンス、さまざまな言語に対応したサンプルコード、決済画面の UI コンポーネント、モバイル SDK などを提供しています。簡単なアカウント登録だけでテスト環境をすぐに用意でき、本番環境も最短で当日中に利用が可能です」(駒井氏)

fincode byGMO のアーキクチャは、クラウドネイティブとサーバーレスをテーマに、AWS のマネージドサービスをフル活用しました。API 処理を実行するアプリケーションはコンテナを採用して Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS)と AWS Fargate で構築し、データベースには Amazon Aurora を採用しています。

「コンテナを採用した理由は、オンプレミスならではの課題感の解決のためでした。構成管理とデプロイプロセスのばらつきに対し、コンテナの採用によって構成管理を、Amazon ECS のプラクティスによることでデプロイプロセスをそれぞれ標準化し、デプロイ作業におけるトラブル解消を目指しました」(駒井氏)

fincode byGMO の開発は 2021 年 4 月から開始し、2022 年 5 月にリリースしました。開発は内製で行い、従来方式とは異なる開発プロセスを採用しています。同社の一般的な開発プロセスは、企画チームが要件定義を担当し、エンジニアリングチームがデリバリーを担当する分業体制を取っていました。しかし今回は、企画チームとエンジニアリングチームが同じフロアで席を並べ、両者が緊密なコミュニケーションを取りながら進めました。

「エンジニアが企画段階から『この機能は絶対に欲しい』といった意見を出し、それらを取り入れながら開発しました。結果として、企画チームとエンジニアリングチームが両者ともにいい刺激を受け、これまで企画職に口出ししてよいのか遠慮してしまっていたエンジニアも、自分たちの意見がプロダクトの機能に反映されたことで成長につながっています」(駒井氏)

導入効果

マネージドサービスの活用によりスピーディにサービスをリリース

fincode byGMO は順調に契約数を伸ばし、決済金額は 2023 年 10 月から 2024 年 10 月までの 1 年間で 630% の成長率を記録しています。AWS 上で開発した効果としては、マネージドサービスの活用により開発期間を短縮してスピーディにサービスをリリースできたとともに、運用負荷を軽減しています。

「オンプレミス環境で運用した場合と比較して、20% 程度のコスト低減を図ることができました。インフラ調達のスピードもオンプレミス比で 10 倍以上早く、ビジネスのリードタイム短縮にもつながっています」(駒井氏)

2024 年 2 月には後払い(BNPL)サービスの『アトカラ』をリリースしました。アトカラは、店頭や EC サイトなどで商品を購入した後に、コンビニや銀行などで代金を支払う、GMO ペイメントゲートウェイ、GMO ペイメントサービス、三井住友カード 3 社で運営するサービスです。決済方法には都度与信型と会員登録型があり、会員登録型では eKYC(電子本人確認)を利用して認証を行っています。fincode byGMO と同様にフルマネージドで開発し、Amazon ECS、AWS Fargate、Amazon Aurora を活用することでコスト効率を高めています。

GMO ペイメントゲートウェイは、今後もコンテナを中心したアーキテクチャでサービス開発を進めていくほか、サーバーレスサービスを積極的に活用していく方針です。

2024 年 10 月には不正アクセスを抑止する本人確認機能『Verify サービス』を、フルサーバーレスのアーキテクチャで、リリースしました。これにより、運用コストの大幅な軽減が実現する見込みです。その他、生成 AI のエンジンとして Amazon Bedrock を採用し、開発プロセスの改善や製品への適用に向けた PoC を実施しています。

「オンプレミスが主流の決済代行サービスのプラットフォームですが、今後も各種サービスの開発や業務支援に向けて AWS の最新サービスを積極的に活用していきます」(駒井氏)

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AWS のマネージドサービスのフル活用により、年間成長率 630% の決済サービスを短期間にリリースすることができ、運用コストもオンプレミス比で 20% 低減することができました

駒井 直 氏

GMO ペイメントゲートウェイ株式会社 システム本部 システム企画統括部 R&D 室 室長/フェロー GMO インターネットグループ デベロッパーエキスパート

アーキテクチャ

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GMO ペイメントゲートウェイ株式会社

決済業界のリーディングカンパニーとして、オンライン総合決済サービス、対面領域での決済サービス、後払い・BNPL(Buy Now Pay Later)、金融機関・事業会社への BaaS(Banking as a Service)支援、海外の先端 FinTech 企業への戦略的投融資などを展開。年間決済処理金額は 18 兆円を超え、主力のオンライン総合決済サービス『PG マルチペイメントサービス』は EC 事業者や NHK・国税庁等の公的機関など 15 万店舗以上の加盟店に導入されている。(2024 年 9 月末時点、連結数値)

取組みの成果

 

  • 20% - 運用コストの軽減率
  • 630% - 新決済サービスの年間成長率
  • 新決済サービスの短期間リリース
  • 社内カルチャーの変革