導入事例 / ソフトウェア & インターネット

2025
株式会社JPデジタル

JPデジタル、『みらいの郵便局』構想のもと使いやすさにこだわったスマートフォンアプリを開発。リアルとデジタルを融合した新しい顧客体験を提供

300 万

『郵便局アプリ』のダウンロード数(2024 年 11 月現在)

サーバーレス構成でインフラの拡張性、スケーラビリティと可用性を実現

IaC によるヒューマンエラーのリスク低減や作業簡略化

ユーザーの体験価値を向上する UI/UX の実現

概要

日本郵政グループのデジタルテクノロジー専門部隊として事業会社化された株式会社JPデジタル。顧客視点で DX の実現を目指す同社は、リアルの郵便局ネットワークとデジタルを融合して新しい顧客体験を生み出す『みらいの郵便局』構想の一環として、スマートフォンアプリ『郵便局アプリ』を提供開始。リリースからわずか 3 か月で 100 万ダウンロードを突破し、現在も機能拡張・規模拡大を続けるアプリの基盤として採用されたのが、アマゾン ウェブ サービス(AWS)です。

株式会社JPデジタル

ビジネスの課題 | 巨大組織が手掛ける DX のスタートとしてユーザー向けアプリを開発

2021 年に設立された JPデジタルは、日本郵政グループ内で立ち上げられた日本郵政DX推進室からスタートしました。事業会社としての同社のミッションは、日本郵政グループのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していくことであり、デジタルの力で業務改善や顧客価値の創出に幅広く取り組んでいます。

「日本郵政グループは、中期経営計画『JPビジョン2025』で『グループ一体での DX の推進』を掲げています。その中で JPデジタルは、DX の対象を 2 つの方向で考えています。1 つは、郵便局を利用するお客さまの体験価値を徹底的に高めていくこと、もう 1 つはグループ内の DX 推進により業務効率化や社員の働き方を変えることです」と、JPデジタル 執行役員 CTO の伊藤友紀氏は語ります。

日本郵政グループの業務のどこかを 1 つ変えようとしても影響は広範囲に及ぶため、変革をしていくには関係者の巻き込みも重要となります。その中で、まずはリアルの郵便局ネットワークとデジタルを融合し、新しい顧客体験を生み出す『みらいの郵便局』構想の一環として、郵便サービスをデジタルで支援するスマートフォンアプリの開発に本腰を入れました。そして、「いつでも」「どこでも」郵便サービスを利用できる新たなグループプラットフォームアプリ『郵便局アプリ』の開発が始まりました。

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『郵便局アプリ』を皮切りに、『みらいの郵便局』構想に基づく DX をさらに進め、日本郵政グループ全体の方向性の中で、JPデジタルが貢献できるところを検討していきます"

伊藤 友紀 氏
株式会社JPデジタル 執行役員 CTO

ソリューション | アプリの大規模開発でユーザビリティ、運用効率を追求

JPデジタルは『郵便局アプリ』の開発にあたり、チームラボ株式会社から 100 名規模で支援を受けました。JPデジタル内のチームは約 50 名、合計 150 名強という大規模なプロジェクトです。伊藤氏はチームラボの支援について次のように振り返ります。「以前から前身となるアプリは存在していましたが、あらためて郵便局アプリでは『使いやすさ』を重視し、お客さまに、『これいいね』と思ってもらえる体験価値向上にフォーカスしました。私たちが求める使いやすさを UI/UX で実現することを得意とするチームラボの知見、デザイン力に全面的に協力いただいたことは大きかったです」

チームラボ 取締役 共同創業者の堺大輔氏は「UI から裏側の仕組みまで一気通貫で対応し、システム実現性と業務運用性の両面から考えて総合的にシステムを構築できる、そこがチームラボの大きな強みです」と語ります。

また、郵便局アプリの基盤となる環境に AWS を採用した理由について、JPデジタル エンジニアリング部 シニアマネージャの鶴巻仁氏は次のように語ります。「日本郵政グループでは開発のほとんどをオンプレミス環境で行ってきたため、初期投資やハードウェアの負担が大きく、急なリソース増強も困難で、チューニングなどにも時間がかかっていました。特に設立間もない JPデジタルにとってはシステムの調達リードタイムの短縮が課題であり、将来的には郵便システムやゆうちょ銀行、かんぽ生命との連携も見据える必要がありました。そこで複数のクラウドサービスを比較して、業界シェア、開発コミュニティの充実、必要なサービス調達の容易さ、マネージドサービスの安定性、豊富なサービスと安定性などを評価して AWS を選択しました。基本的に構築はサーバーレスを目指しました」

インフラ開発を支援したチームラボ パッケージチーム エンジニアの熊谷幸村氏も、サーバーレスのモダンな構成の採用について次のように説明します。「今回のようにユーザー数が多く、将来もどんどん機能を増やしたいという要件の場合、ユーザー数の増加に合わせて柔軟に拡張していける環境が重要です。AWS なら必要に応じて構成を増やし、スケールアップも容易という特性を活かせます。また、AWS のマネージドサービスを利用することで冗長構成を実現し、便利な機能を活用するというのもコンセプトでした。そしてヒューマンエラーのリスク低減や作業簡略化のため、手動のプロセスや設定の代わりにコードを使用する Infrastructure as Code(IaC)については最初から利用を考えており、手動操作が必要なところ以外は AWS Cloud Development Kit(CDK)で落とし込むということを徹底しました」

チームラボ カタリストチーム カタリストの藤本將太郎氏は、AWS の運用のしやすさについて「現在はオートスケールでサーバーの台数を増やす、管理画面を確認する、再起動をかけるといった作業も JPデジタル社内で実施できており、オンプレミス環境ではできなかった操作が実現できているところもメリットです」と語ります。

一方、きめ細かく郵便サービスを提供するには、再配達など、個人の顧客情報を把握するためユーザー認証の仕組みを構築する必要がありました。そこで、以前から郵便・物流サービスを使うために提供していた『ゆうびん ID』をさらに進化させ、日本郵政グループ内のサービス連携を視野に『ゆう ID』として改名し整備し直しています。

導入効果 | 一般ユーザー向けアプリに続き、グループ全体の DX を推進

郵便局アプリは 2023 年 10 月のリリースからわずか 3 か月で 100 万ダウンロードを達成。2024 年 11 月現在で 300 万ダウンロードという勢いです。

「オンプレミスでは絶対設計しきれない規模で、AWS 環境がないと到底スケールできませんでした。今後 2 年ほどで現在の 2 倍、3 倍を超える目標も掲げています。ユーザーの反応はアプリストアの評価点を見て確認していますが、認知が進み比較的高得点を維持しています。新機能のリリースも続々と控えており、引き続き高評価を維持していきたいです」(伊藤氏)郵便局アプリの成功は、日本郵政グループ内での JPデジタルの評価にもつながっています。「グループ内のシステム案件について相談も増え、当社の信頼度が上がっていると実感しています。次のミッションは郵便局内の DX ですが、チームラボの協力を得て、グループの中でも DX の理解が進んできています」(伊藤氏)

今後についてチームラボの熊谷氏は、運用保守のさらなる効率化・省エネ化を挙げています。また JPデジタルの鶴巻氏は、AI に関する施策を進めていると語ります。「ルール的な課題をクリアし、お客さまにも社員にも資する AI サービスの活用やシステムとの連携ができれば、窓口業務の効率化や働き方のスマート化にもつながると考えています」

そして、伊藤氏はさらなる DX 推進を見据えています。「『みらいの郵便局』構想における DX は多岐にわたるため、日本郵政グループ全体の方向性の中で、JPデジタルが貢献できるところを検討していきます。郵便局での“お金”に関する機能、郵便局のポイントサービス(ゆうゆうポイント)機能など、『郵便局アプリ』はさらなる利便性を追求していきます」 

カスタマープロフィール:株式会社JPデジタル

日本郵政グループのデジタルテクノロジー専門部隊として、2021 年 7 月に設立。日本郵政グループ各社に対する DX 推進の支援、日本郵政グループ各社からの依頼によるデジタル関連サービス・ソリューションの開発・試験・運用、デジタルテクノロジーを活用した新規サービスの企画・構築・提供・運用、デジタル人材育成に取り組んでいる。

伊藤 友紀 氏

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鶴巻 仁 氏

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