カワサキモータース

ハイレートな走行データ処理を AWS によって実現
コネクティッドサービスでモーターサイクルに
新たな “Let the good times roll” を

2022

Kawasaki』ブランドのモーターサイクル、ジェットスキー® などを世界で展開するカワサキモータース。同社は“コネクティッドビークル”機能を車両に搭載し、ユーザーにモーターサイクル用スマートフォン連携アプリを提供しています。コネクティッド機能から得られた走行データや車両状態の情報を収集、分析するプラットフォームをアマゾン ウェブ サービス(AWS)上に構築。製品の改善につなげると同時に、ユーザーエクスペリエンスの向上による新たな ”Let the good times roll*” に挑んでいます。

*「カワサキに関わる人すべての、よろこびと幸せのために」、カワサキモータースのカンパニーミッションです。
*「JET SKI」「ジェットスキー」は川崎重工業株式会社の登録商標です。

カワサキモータース
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当社には、”操る悦び”を味わうためカワサキモーターサイクルを選んでくださるお客様が多くいらっしゃいます。”ライディングのビジュアル化”には、モーターサイクルの心臓とも言えるエンジンの回転数や車体姿勢などの変動を詳細にとらえる必要がありました。ハイレートなデータを処理できる Amazon Kinesis Data Analytics がなければ、実現できなかったと思います"

衣畑 昌範 氏
カワサキモータース株式会社
企画本部コネクティッド推進部 部長

モーターサイクルに新たな“Let the good times roll”を

川崎重工業のモーターサイクル&エンジンカンパニーから、2021 年 10 月に新会社として生まれたカワサキモータース。『Ninja』で知られるモーターサイクルやパーソナルウォータークラフトの代名詞である『JET SKI®』、オフロード四輪車、芝刈り機などに搭載される汎用ガソリンエンジン、路面電車や地上蓄電設備に配備されるギガセルなど、幅広いラインナップを誇ります。同社は事業方針でコネクティッド技術を「成長の軸」と位置づけています。

2015 年からは IoT 端末としての機能を備えるコネクティッドビークルの開発を推進。企画本部コネクティッド推進部 部長の衣畑昌範氏は、「コネクティッドサービスによって製品の付加価値を高め、モーターサイクルの新たな”Let the good times roll”をお客様に提供していくことが目的です。データを取得/分析して、製品の改善や企画など、データドリブン経営に活かしたいという考えもあります」と語ります。

モーターサイクルメーカーとして長年の歴史と実績を誇る同社にとっても、IT サービスの提供は新たなチャレンジです。ユーザーのニーズを見極めながら効率的に開発を進めるため、クラウドサービスでスモールスタートし、徐々に拡張していく方針としました。

理想のイメージを最も実現できるクラウドとして AWS を選定

カワサキモータースは複数のクラウドの中から、同社の事業イメージに最も近い展開が可能と判断して AWS を選定しました。

企画本部コネクティッド推進部でコネクティッドビークルのデータ基盤の開発を担当する志村拡俊氏は、「AWS の開発者コミュニティが非常に大きく、新しいサービスが出るとコミュニティ内ですぐに議論が出てくるので、最新技術をキャッチアップできます。これは私たちにとって大きなメリットです」と語ります。衣畑氏も、「カワサキは世界中に拠点を置いていますので、グローバルなリソースの規模なども含めて AWS が適切と考えました」と付け加えます。

開発のパートナーには、IoT 関連の実績が豊富な IoT.kyoto(株式会社KYOSO)が選ばれました。京都に本社を構える IoT.kyoto はカワサキモータースの本社がある兵庫県とも近く、カワサキメンバーとの密接な連携を期待したと衣畑氏は言います。

モーターサイクルに適したデジタルサービスに向け大量データ処理や効率的な開発運用環境にAWSを活用

2019 年、カワサキモータースはコネクティッドビークルの核となる同社初のスマートフォンアプリ『RIDEOLOGY THE APP』サービスを開始。このアプリはBluetooth 接続によって車両のさまざまな情報を取得し、オドメーターや航続可能距離など車両情報の確認、トラクションコントロールやパワーモードなどのセッティング変更、メンテナンス履歴の閲覧といった機能を利用できます。

同時に、コミュニティ機能の追加やアフターサービスの向上といったユーザーエクスペリエンスの高度化を目指して、クラウド連携の開発プロジェクトも開始しました。なかでもこだわったのが、走行中の車両情報を取得し、地図/3D グラフィックで自身の走りを振り返ることができるライディングログ機能による”ライディングのビジュアル化”です。しかし、エンジンの回転数など非常に多くのデータを短時間で扱うことは、IoT プロジェクトの実績豊富な IoT.kyoto も未経験でした。そこで AWS の技術者に相談したところ、当時まだ北米のみで展開されていた Amazon Kinesis Data Analytics を紹介され、ストリーミングデータをリアルタイムで変換および分析できることを知ります。早速 PoC を実行して、問題なくデータを集め処理できることを確認しました。

「当社のお客様には、単なる移動手段としてではなく、”操る悦び”を味わうためカワサキモーターサイクルを選んでくださる方が多くいらっしゃいます。お客様の感性に響く“ライディングのビジュアル化”には、モーターサイクルの心臓とも言えるエンジンの回転数や車体姿勢などの変動をとらえる必要があると考えました。ハイレートなデータを処理できるサービスは、Amazon Kinesis Data Analytics がなければ実現できなかったと思います」(衣畑氏)

今回のサービスのアーキテクチャは Amazon Kinesis Data Analytics に加え、サーバーレス/マネージドサービスの活用によって短期実装、サービス品質安定化を実現。アプリからのユーザー認証は Amazon Cognito を使い、アプリが利用する車両情報などの時系列データは可用性や拡張性に優れた Amazon DynamoDB に格納。ユーザー検索や統計情報などの複雑なクエリが必要となる機能のデータベースには Amazon Aurora を使い、アプリからは Amazon API Gateway および AWS Lambda を用いてデータにアクセス。また、アプリの一部にある WebView にはモバイルアプリ構築サービスの AWS Amplify を利用しています。

また、市場やお客様の変化に柔軟かつアジャイルに対応できるよう、IaC(Infrastructure as a Code)として AWS Cloud Development Kit(CDK)を採用。CI/CD パイプラインを構築し、自動テスト/デプロイができる環境を実現しました。

動作検証を進めると、運用の課題も出てきました。「サーバーレスのマイクロアーキテクチャを採用したこともあり、運用監視の負荷が高まっていました。IoT.kyoto からの提案で運用ダッシュボードを作り、分散トレーシングの AWS X-Ray も使って負荷を下げていく工夫をしました」(志村氏)

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AWS の基盤で実現するコネクティッドサービスを成長の軸に

第 2 世代のクラウド連携サービス『RIDEOLOGY THE APP MOTORCYCLE』は日本で 2021 年 10 月、世界で同年 12 月にローンチされ、まったく新しいサービスとしてユーザーの高い関心を集めています。「アクティブ率が高く、走行距離などの統計データのランキングを熱心にご覧になっているお客様もおられます。世界中のいろいろな地域からお客様のご意見が入ってくるようになり、目的どおり、お客様の反応を直に感じられるようになっています」(衣畑氏)

志村氏は IoT.kyoto について、「当社メンバーへの技術講習もしていただきながら、一緒に開発いただきました。IoT.kyoto を通じた AWS のサポートもレスポンスがよく助かりました」と評価しています。

カワサキモータースは、コネクティッドビークルから得られるデータを活用して製品の付加価値を高める活動を促進し、電力化時代におけるユーザーエクスペリエンスをさらに向上させていくことを計画しています。

「データドリブンで DX を進め、収益にも貢献していきます。データ活用基盤づくりにも AWS や IoT.kyoto の協力を得て、コネクティッドサービスが『成長の軸である』と、胸を張って言えるようにしていきたいです」(衣畑氏)

衣畑 昌範 氏

衣畑 昌範 氏

志村 拡俊 氏

志村 拡俊 氏


カワサキモータースについて

  • 設立年月:2021 年 2 月 12 日
  • 従業員数:9,300 名(2022 年 3 月 31 日現在)
  • 事業内容:モーターサイクル、パーソナルウォータークラフト、汎用ガソリンエンジンなどの製造・販売

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • ユーザーの高いアクティブ率
  • ユーザーコミュニティを活性化する新機能提供
  • データ分析による付加価値向上
  • 他の車両カテゴリへの展開

AWS セレクトティア サービスパートナー

IoT.kyoto(株式会社KYOSO)

「まだ世の中にない価値をお客様に届ける」をミッションとし、IoTを中心にAIやサーバーレスコンピューティングなどの最新のクラウド技術を駆使し、DX によるビジネスの変革を支援しているAWS パートナー。エンタープライズ領域での IoT プロジェクトに
豊富な実績を持ち、デバイスの量産やグローバル大規模プラットフォーム、レガシーな工場設備のレトロフィットなど、難易度の高い領域を強みとしている。

IoT.kyoto(株式会社KYOSO)

ご利用中の主なサービス

Amazon Kinesis Data Analytics

Amazon Kinesis Data Analytics は、Apache Flink を使用して、ストリーミングデータをリアルタイムで変換および分析できる最も簡単な方法です。

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Amazon API Gateway

フルマネージド型サービスの Amazon API Gateway を利用すれば、デベロッパーは規模にかかわらず簡単に API の作成、公開、保守、モニタリング、保護を行えます。

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AWS Lambda

AWS Lambda は、サーバーレスでイベント駆動型のコンピューティングサービスであり、サーバーのプロビジョニングや管理をすることなく、事実上あらゆるタイプのアプリケーションやバックエンドサービスのコードを実行することができます。

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Amazon Aurora

Amazon Aurora は、組み込みのセキュリティ、継続的なバックアップ、サーバーレスコンピューティング、最大 15 のリードレプリカ、自動化されたマルチリージョンレプリケーション、および他の AWS のサービスとの統合を提供します。

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