Pfizer が生成 AI を活用して、ライフサイエンスにおける患者中心のイノベーションを推進

Pfizer は 1849 年の創業以来、科学的イノベーションを中核的な価値として重視してきました。「テクノロジーの進化のスピードに追いつくには、AWS がリリースするテクノロジーを常に学習する必要があります」と Pfizer の Head of Data and Digital Innovation for Pharmaceutical Sciences Small Molecule (PSSM) である Vijay Bulusu 氏は述べています。「AWS とのコラボレーションにより、Pfizer は科学的な研究に集中しつつ、AWS から提供される広範で奥深い新しいテクノロジーを活用できます」。

2021 年、Pfizer の PSSM グループと AWS は PACT を立ち上げ、Pfizer のラボ、臨床製造、臨床サプライチェーンに関する取り組みで分析、機械学習、コンピューティング、ストレージ、セキュリティ、クラウドデータウェアハウスの領域における AWS の機能を活用しました。Pfizer の医薬品開発および臨床製造チームは有望なアイデアを創出し、AWS は Solutions Architect と AWS Prototyping and Cloud Engineering チームを通じて技術的な専門知識を提供します。

Pfizer のチームが進行中のテクノロジープロジェクトに大きく注力する一方で、PACT はプロトタイピングに必要な帯域幅に関する課題に対処します。「このコラボレーションにより、AWS のプロトタイピングチームがビジネスチームや IT チームと直接連携し、関連する課題に取り組んでいます」と Bulusu 氏は述べています。「これにより、当社は、学習、知見入手、フェイルファストのサイクルで、迅速にプロトタイピングを行うことができるようになりました」。

成功したプロトタイプは、組織が AWS 上で望ましいビジネス成果を実現するのをサポートするエキスパートのグローバルチームである AWS プロフェッショナルサービスのガイダンスの下で実用最小限の製品 (MVP) ステージへと進み、場合によっては本番環境へと移行します。「私たちにとっての大きな価値は、多くの深い技術的知識が必要となる評価とプロトタイピングに社内リソースを割く必要がないことです」と Bulusu 氏は述べています。「AWS と連携することで、最終的に使用するかどうかわからない多様なテクノロジーに精通することなく、課題を解決し、ソリューションをスケールするために、新しいテクノロジーをテストできます」。

PACT により、Pfizer はプロトタイプを MVP に移行するまでの時間を大幅に短縮できました。「当社だけでこれを実行するとすれば、リソースと適切なスキルを持つ人材を確保できたとしても、少なくとも 3 か月間はかかるでしょう」と Bulusu 氏は述べています。「PACT のプロトタイプは通常 6 週間以内で完成しました」。 PACT は、イノベーションで期待されるビジネス価値に基づいてユースケースを選択し、社内業務全体にまたがる問題に焦点を当てます。

最初のユースケースでは、1,500 名の PSSM 科学者のために、データ探索に費やす時間を最大 80% 削減することを目指しました。1 つの医薬品の開発では約 20,000 件のドキュメントが生成されることがあり、科学者は、さまざまなツールを使用して手動でデータを検索し、過去のデータを見つけなければならないことがあります。初期の実験により、新しい AWS サービスである Amazon Kendra が開発されました。これは、組織が組み込みコネクタを使用してさまざまなコンテンツリポジトリを検索するために利用するインテリジェントなエンタープライズ検索サービスです。

検索機能の効率性を高めるために、PACT チームは現在、生成 AI を使用し、先駆的な AI 企業が提供する高性能な基盤モデルの幅広い選択肢を提供するフルマネージドサービスである Amazon Bedrock を通じて Anthropic の Claude 2.1 にアクセスしています。サイエンティストは、Vox と呼ばれる社内プラットフォームを通じて Amazon Bedrock にアクセスし、音声コマンドとチャットボットで自然言語を使用して質問して、ドキュメントを検索します。Pfizer は、科学者がデータの検索と抽出に費やす時間を年間最大 16,000 時間削減できると見積もっています。また、インフラストラクチャコストを 55% 削減できると見積もっています。

別の PACT プロトタイプは、Pfizer の Portable Continuous Miniature and Modular (PCMM) 製造と呼ばれる経口固形医薬品の連続製造プロセスにおける異常を検出します。エンジニアは、ほぼあらゆるユースケースに対応する高性能かつ低コストの機械学習を実現する幅広いツールセットを統合したフルマネージドサービスである Amazon SageMaker を利用して、PCMM 異常検出プロトタイプを構築しました。

Pfizer のサイエンティストは、AWS 上に構築されたソリューションの機械学習機能を通じて、PCMM 製造における異常を発生時に検出し、メンテナンスの必要性を予測して、機器のダウンタイムを削減できます。また、このソリューションは、機器の異常な動作を検出して、組織が対応し、計画外のダウンタイムを回避できるようにする機械学習産業機器モニタリングサービスである Amazon Lookout for Equipment と、メトリクス内の異常を自動的に検出して根本原因を特定する Amazon Lookout for Metrics も利用しています。最終的に、この取り組みは時系列データに特化した製造分析ツールの実装につながりました。「現在、当社の高分子グループでもこのテクノロジーを利用しています」と Bulusu 氏は述べています。「PACT プロジェクトから得られたことは、Pfizer の複数のグループや事業部でイノベーションにもつながっています」。

PACT は、アイデアが本番に移行できる段階に達していなくても、Pfizer チームの情熱を後押しします。例えば、トレーニングに仮想現実 (VR) と拡張現実 (AR) を活用するというアイデアが検討されました。「これは、迅速なプロトタイピングを行い、ユーザー側でこのテクノロジーを利用する準備がまだ完全には整っていないことを理解したすばらしい例です」と Bulusu 氏は述べています。「こうしたプロトタイピング実験により、当社は迅速に学習およびフェイルファストできます。これは、当社にとって大きなメリットです」。

PACT の当初のリストに含まれていた 14 のプロジェクトのうち、5 つのアイデアが本番に移行済みです。「当社はまだプロトタイピングを行っている段階で、AWS にすぐに収益がもたらされるわけではありませんが、AWS は常に優秀なチームで対応してくれます」と Bulusu 氏は述べています。「AWS の優秀な人材には、いつも感銘を受けています」。

PACT イニシアティブにより、PSSM グループは、以前であれば実現不可能であると考えられていたようなアイデアも、積極的に進められるようになりました。「AWS の優秀な人材とテクノロジーを活用できるようになったことで、当社はイノベーションの文化を変革でき、非常に短期間で多くの成果を上げることができました」と Bulusu 氏は述べています。「従業員がグループ間で共有した導入事例を目にしたり、AWS チームとのコラボレーションについて耳にしたりするにしたがって、以前は誰も手を挙げなかったような課題についての話を聞かれるようになりました。PACT プログラムを通じて私が得た最も重要なメリットは、より大胆に考えることについて従業員にインスピレーションがもたらされたことです」。