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お知らせ: Compute for Climate Fellowship の 2025 年度のコホートが決定しました

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陸、海、空でより持続可能な未来を形作っている 23 のチェンジメーカーをご紹介します

地球規模の気候変動対策には、大胆なアイデアと革新的なテクノロジーが求められます。また、官民両セクター、産業界、政府、研究リーダー間の連携も不可欠です。変化への意欲は高まっており、生成 AI などのテクノロジーが画期的な進歩の新たな可能性を切り開いている今こそ、革新的でスケーラブルかつ持続可能な気候変動対策ソリューションに投資すべき時です。そこで役立つのが、Compute for Climate Fellowship です。

Compute for Climate Fellowship は、Amazon Web Services (AWS) と International Research Centre on Artificial Intelligence (IRCAI) によって 2023 年に設立されたグローバルな R&D 資金提供プログラムです。毎年、選ばれた複数の企業がこのプログラムへの参加を認められ、大胆なアイデアを、実際の成果をもたらす気候変動対策ソリューションへと転換するためのサポートが提供されます。

イノベーションと、変革を推進する責任共有を基盤とするフェローシップ

フェローシップのメンバーは、画期的な概念実証 (POC) 気候変動対策ソリューションを開発します。これらのソリューションは、クリーンエネルギー、低炭素輸送、持続可能な農業と食料、循環型経済と産業、持続可能な建築物、温室効果ガス (GHG) 管理、二酸化炭素の除去、環境および気候リスク、気候危機に対する先住民の知見を活かした解決策という 9 つの主要分野のうち、少なくとも 1 つにおいて価値を提供する必要があります。

メンバーの参加が認められると、AWS クレジットの形で助成金が支給されるほか、AWS と IRCAI から先駆的な科学および技術サポートを受けることができます。構築プロセスは 3 か月間続き、参加者はあらゆる段階において、AWS と IRCAI のエキスパートからパーソナライズされた技術に関するメンターシップを受けることができます。また、高性能コンピューティング (HPC)、量子コンピューティング、生成 AI など、AWS の高度なコンピューティングサービスにアクセスできます。選ばれた参加者には、国連や他の国際機関で POC の結果を発表するなど、メディアやプロモーションの機会も Fellowship から提供されます。

投資を拡大し、進捗を加速する

世界中で深刻な気候変動の課題が見られており、AWS と IRCAI は対応への取り組みを強化しています。今年はプログラムの規模を拡大し、23 社に提供できるよう、最大 400 万 USD の資金を用意しました。これは、2024 年において、8 社のために用意された 150 万 USD から増加したものです。

また、Fellowship は今年、先住民コミュニティによって、先住民コミュニティとともに、そして先住民コミュニティのために構築されるソリューションに新たな焦点を当てています。これらのコミュニティは、気候変動の影響を直接受けることが多く、私たち全員が直面する課題への取り組みにおいて重要なリーダーです。これらのコミュニティは、気候危機と生物多様性の喪失に対する強力なソリューションを私たちが構築するのに役立つ、有益な知識、イノベーション、慣行を提供してくれます。

それでは早速、今年のコホートをご紹介しましょう。

80 Acres Farms

80 Acres Farms は、垂直農法の分野におけるリーダー的企業であり、干ばつが頻発する地域における持続可能な食料生産の向上に取り組んでいます。同社は、クラス最高レベルのテクノロジーとディープアナリティクスを組み合わせることで、100% 再生可能電力を使用した屋内農場を運営しており、水使用量を 95% 削減しています。Compute for Climate Fellowship との連携の一環として、80 Acres Farms は、精密育種を加速し、遺伝子作物の最適化を改善できる、機械学習を活用した遺伝子コンピューティングプラットフォームを構築しています。

Aionics, Inc.

Aionics は、AI を使用した次世代バッテリー材料の発見を加速させています。スタンフォード大学とミシガン大学のエキスパートによって構築された同社のプラットフォームは、新しい電解質やコンポーネントの迅速なシミュレーションとスクリーニングを可能にします。Fellowship の一環として、Aionics は AWS 上で機械学習 (ML) を活用した原子間ポテンシャルと量子シミュレーションを用いて、不燃性リチウムイオン電池電解質の計算モデルを構築しています。

Amini

Amini は、高度な衛星データと地上データの統合を通じて、グローバルサウスにおける気候変動に対する回復力の変革に注力するディープテックスタートアップです。データとコンピューティングのギャップを埋めることをミッションとして掲げる Amini は、300,000 超の小規模農家にインサイトを提供しています。Fellowship では、多時期かつマルチスペクトルの衛星データを活用し、バルバドスにおける陸上ベースの気候インテリジェンスのための生成 AI 基盤モデルを開発しています。

Anthrogen

Anthrogen は、最先端の Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats (CRISPR) と合成生物学を駆使して、二酸化炭素の回収および変換のための新たな酵素を開発しています。同社のテクノロジーは、CO₂ を価値あるポリマーや燃料に変換することを可能にします。Fellowship の一環として、Anthrogen は、数十億年にわたるたんぱく質の進化をシミュレーションできる離散拡散フレームワークの一部として、生成 AI 基盤モデルを開発しています。その後、これらのシミュレーションは、クリーンな製造のための、自然界に存在しない酵素の開発を促進するために使用されます。

Aura Aero

Aura Aero は、19 席の Electrical Regional Aircraft (ERA) 旅客機を含む、電気航空機とハイブリッド航空機を開発しているフランスの航空宇宙メーカーです。同社は、航空業界が 2030 年までに二酸化炭素排出量を 55% 削減し、2050 年までにカーボンニュートラルを達成することをサポートすることに尽力しています。この取り組みと Fellowship への参加の一環として、Aura Aero チームは、航空機の空力、構造、エネルギーシステムの完全デジタルシミュレーションをクラウドで実行するための高性能コンピューティングファームを構築しています。

Avalo, Inc.

Avalo は、機械学習と進化生物学を活用して作物の開発を加速させています。同社の高速進化プラットフォームは、遺伝子組み換えを加速させ、高い回復力を備えた高収量の植物を生み出します。Avalo は現在、シミュレーションを用いて作物の収穫量を最適化および改善する AI ドリブンのゲノム選抜システムを構築しています。

Barnwell Bio

Barnwell Bio は、商業農業に重点を置き、バイオサーベイランスとメタゲノムシーケンシングを通じて動物の健康の改善に取り組んでいます。Fellowship の一環として、同社は、動物のプロアクティブな健康管理を実現するために、大規模言語モデル (LLM) と予測分析を組み合わせる AI チャットボットである MetaVet を開発しています。

BeyondMath

BeyondMath は、リアルタイム産業規模エンジニアリング向けの市場最大級の AI モデルを基盤として構築された、物理世界シミュレーションのための生成物理プラットフォームを提供しています。同社は、リアルタイムの空力最適化と持続可能な車両設計のために生成 AI を活用しています。BeyondMath は、Fellowship を通じて、効率性と持続可能性をさらに高める車両設計のための生成 AI 基盤モデルを開発しています。

Climate X

Climate X は、銀行、融資機関、資産運用会社に、AI を活用したリスク分析を提供し、これらの組織が回復力の高い不動産ポートフォリオを構築するのをサポートしています。同社の主力ツールである Spectra は、気候リスクを評価して、それに適応するために、不動産の高解像度デジタルツインを作成します。Fellowship の一環として、Climate X は、Spectra の局所的な気候事象と適応戦略のシミュレーション機能を強化しています。

Climavision

Climavision は、エネルギー、農業、保険分野に重点を置いて、従来の手法に存在するギャップに対処することで、世界の気象予報を進歩させています。Fellowship の一環として、Climavision は、1 キロメートル未満の気象予測を強化するために ClimaHD プラットフォームを拡張しており、HPC を活用して精度を高めています。

CounterCurrent

Fellowship に最初に参加したオーストラリア企業 2 社のうちの 1 社である CounterCurrent は、AI ドリブンの船舶計画により、海上での二酸化炭素排出量を削減しています。同社のプラットフォームは、生成海洋予測と強化学習を組み合わせて航路を最適化します。同社は現在、Fellowship と連携して、リアルタイム海洋予測と適応型航路計画のための同社の独自ツールである HydraOdysseus を改善しています。独自の生成 AI 基盤モデルを構築することで、チームはハードウェアを変更することなく、船舶の燃料消費量の最大 25% の削減に役立てることを目指しています。

Cusp AI Limited

Cusp AI は、生成 AI と計算化学を組み合わせることで、画期的な二酸化炭素回収材料の発見を加速させています。Compute for Climate Fellowship への参加が認められた同社は、気候対策関連用途のための金属有機構造体 (MOF) の設計を加速できる、AI を使用したシステムである CloudMiner を構築しています。この取り組みの一環として、Cusp AI チームは、カスタム生成 AI 基盤モデルをトレーニングしています。

Eavor Technologies Inc.

Eavor は、閉ループ型の Eavor-Loop™ システムを通じて次世代の地熱エネルギーを提供しています。Eavor-Loop™ は、水圧破砕なしで、あらゆる地質で稼働可能で、スケーラブルかつクリーンなベースロードエネルギーソリューションの開発に活用されています。この目標達成に向けて、同社は現在、AWS 上でモジュール式のクラウドネイティブマルチフィジックスソルバーの POC (概念実証) を開発しています。このソルバーは、AI を活用して、掘削、システム設計、自律型地熱発電を世界規模で最適化します。

FortyGuard

FortyGuard は、世界初の AI を活用した都市向け温度オペレーティングシステムを構築しました。これにより、リアルタイムのヒートマッピングと予測冷却が実現され、エネルギー使用量を 30% 削減できます。Fellowship の一環として、FortyGuard は、衛星画像と IoT データを組み合わせる新しい生成 AI 基盤モデルを構築しています。このモデルは、都市によるエネルギー消費量の削減、公衆衛生の保護、気候変動に対する回復力が高いインフラの構築に役立ちます。

Fuse Energy Supply Ltd

Fuse Energy は、英国を拠点とするフルスタックの再生可能エネルギー企業です。太陽光発電所と風力発電所を所有および運営し、消費者への直接供給のために資産開発と小売を統合しています。Fellowship の一環として、Fuse Energy は、再生可能エネルギー発電のリアルタイムモニタリングと自動取引を実現するエネルギー取引およびリスク管理 (ETRM) システムを開発しています。

Matnex

Matnex は、量子力学、AI、ハイスループットスクリーニングを統合することで、持続可能な材料の発見を加速しています。同社は、バッテリー、自動車、鉄鋼などの分野に注力しています。Fellowship では、Matnex は 10¹⁰ を超える材料組成をスクリーニングできる構造ベースの ML プラットフォームである SCOUT に関する取り組みを進めています。このプロセスの重要な部分として、カスタム生成 AI 基盤モデルの開発を挙げることができます。同社は、このモデルが持続可能性を実現するために最適化された材料組成の迅速な特定に役立つことを期待しています。

Muir AI

Muir AI の製品インテリジェンスプラットフォームは、企業が二酸化炭素排出量を削減し、コストを最適化するのに役立ちます。同社は AI を使用し、製薬業界や半導体業界 (Amazon を含む) において、製品の二酸化炭素排出量を数か月ではなく数分でモデル化します。Muir AI は現在、ユニバーサル部品表処理を通じて、製品の二酸化炭素排出量とコスト分析を効率化する AI システムである「Omni-BoM」を構築しています。

OnDeck AI

OnDeck AI は、視覚言語モデルと検索拡張生成 (RAG) を用いて海洋環境の視覚モニタリングを自動化します。同社の革新的なアプローチは、ラベル付けされた学習データの必要性を排除します。Fellowship を通じて、OnDeck は AWS 上で、非構造化海洋動画データをリアルタイムで解釈して保全をサポートできる、動きに基づく動画推論システムを構築しています。

Pretred

Pretred は廃タイヤを、建設やインフラ整備に使用される、環境に優しい産業用バリアに変えています。Fellowship の一環として、同社は SaferCrash SIM を構築しています。これは、材料の性能を予測し、バリアの設計を最適化する機械学習ツールで、道路での死亡事故を減らし、ゴム廃棄物の循環型再利用を可能にするのに役立っています。

Rainstick Pty Ltd

Rainstick は、オーストラリアを拠点とするスタートアップであり、Fellowship に参加する初の先住民主導企業です。同社は、AI と先住民アボリジニの知識体系を組み合わせて、再生農業と生態系の回復のための生体電気的種子処理を開発しています。Rainstick は現在、作物の収穫量を増やし、土壌の健全性と在来種の回復力を高める「生体電気的種子レシピ」を開発しています。

SXD

SXD は、廃棄物ゼロの製品設計を生成する AI 設計プラットフォームです。これは、CO2 排出量を 80%、材料消費量を 69%、コストを 55% 削減するのに役立ちます。同社は現在、Fellowship と連携して、コンピュータビジョン、機械学習、組合せ数学を活用することによって、従来の製品設計を、廃棄物ゼロの製品設計に変換できるアルゴリズムである「To Zero by SXD AI」を開発しています。

Windfall Bio

Windfall Bio は、メタン分解微生物を用いて、メタンを肥料などの有用な製品に変える革新的なソリューションを開発しています。Fellowship の一環として、Windfall は、メタゲノムデータ分析を用いて最適な微生物環境を予測する AI システムを開発しています。

Xcimer Energy, Inc.

Xcimer Energy は、エキシマレーザーテクノロジーを用いた慣性核融合を通じて、クリーンなベースロード電源への新たな道を切り開いています。Fellowship の一環として、同社は、レーザー性能を最適化して、核融合エネルギーシステムの開発とデプロイを加速させるために構築されたデジタルツインプラットフォームである Iris を開発しています。

気候変動対策で求められる成果の実現

Compute for Climate Fellowship の 2025 年度のコホートの各メンバーは、産業の持続可能性、ビジネスの効率性、地球の安全性を高めるための成果を生み出すことに尽力しています。今後数か月間の進捗状況にご注目ください。

 Lisbeth Kaufman

Lisbeth Kaufman

リズベス・カウフマン(Lisbeth Kaufman) は、Amazon Web Services(AWS)における気候テックスタートアップ事業開発チームの創設者兼責任者です。AWSクラウド技術を活用し、先端気候テック企業の成長とスケールアップを支援することで、地球規模の気候危機の打開を目指しています。技術リソースの提供や市場参入支援、非希薄化型資金調達などを通じて、スタートアップが様々な課題を乗り越えられるようサポートしています。気候分野と起業領域に精通する彼女は、シェアリングエコノミー企業 KitSplit.com(Forbesより「カメラ版Airbnb」と称される)および、米国内の各住所に対して気候リスクレポートを提供するLucidHome.coの創業者兼CEOを務めた経歴を持ちます。起業以前は、米国上院にてエネルギー・環境・農業政策のアドバイザーを務め、省エネ改修プログラムの立ち上げや、農業従事者向けのクリーンエネルギー法案の起草・成立に貢献しました。学歴面では、イェール大学で学士号を取得し、NYUスターン・スクール・オブ・ビジネスでMBAを修了(ディーンズ・スカラーとして表彰)。現在はTechstars、Venture for Climate、Entrepreneurs Roundtable Acceleratorのメンターとして、気候テック分野の起業家に対してプロダクト開発、成長戦略、資金調達の助言を行い、AWSやAmazon社内の関連チームとの戦略的連携も支援しています。

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