すべてのスタートアップ企業が予算を設定すべき理由と、AWS Budgets がそれを簡単にする方法。

予算設定は本当に必要なのか

スタートアップ企業として、スピーディーに製品を開発し、できるだけ早く市場に投入するために、スピードを優先していることでしょう。製品に集中することは不可欠ですが、特に AWS Activate のようなクレジットプログラムを実行していない場合には、AWS の支出を見落としがちです。また、チームメンバーがそれぞれの役割においてさまざまな役割を担っているため、人員を割いたり、コスト管理に注意を集中したりすることが難しくなる可能性があります。

しかし、1 つの想定外の請求で事業が破綻する可能性がある分野において、立ち上げたばかりのスタートアップ企業は最初から質素で、ランウェイを最大化するためにコストを注意深く見守る必要があります。CBInsights によると、スタートアップ企業が失敗する最大の理由は、資金が尽きてしまうからです。そのため、最初から適切なコスト管理の習慣を確立していないと、大きな失敗に終わる可能性があります。

AWS でのコストのモニタリングは大変な作業のように思えるかもしれませんが (そして、そのプロセスを完全に無視したくなるかもしれません)、そうする必要はありません。AWS Budgets では、予算をわずか数分で設定できます。これにより、想定外の請求書を未然に防ぐことができます。また、経時的にコストと使用量をモニタリングできるため、毎月の請求額を最適化し、クレジットから移行した後も永続的な AWS 無料利用枠を最大限に活用できます。

AWS Budgets とは何ですか

AWS Budgets では、コストと使用量を追跡する予算を設定でき、予算が自己定義のしきい値を超えると通知が届きます。AWS は、初期段階のスタートアップ企業から本格企業まで、あらゆる規模のワークロードを処理できるように構築されているため、企業規模に達する前に、コスト超過や予想外の支出を未然に防ぐ方法を用意しておくことが重要です。早い段階で予算を組むことで成功への準備が整い、最初から適切なコスト管理の習慣を確立するのに役立ちます。

セットアップする

1-Click デプロイ

AWS コンソールから予算を設定するのにかかる時間はわずか数分です。手順を追ってプロセスを学びたい場合は、ステップ 1 から始めてください。それ以外の場合は、下の AWS CloudFormation テンプレートを使用して予算をワンクリックでデプロイできます。これまでに CloudFormation テンプレートを使用したことがない場合は、こちらをご覧ください。

ステップ 1 - ターゲット額を選択

最初のステップは、毎月の予算額を設定することです。その値を決める方法は次のとおりです。

• インフラストラクチャに毎月費やす額はすでに決まっていますか? その場合は、その額を予算額としてください。
• そうでない場合、過去 6 か月間 AWS でワークロードを実行したことがありますか? その場合は、 AWS Cost Explorer のホームページにアクセスしてください。デフォルトのビュー (下図) には、過去 6 か月間の総支出が表示されます。この月々の平均値を取り、この数字を予算額として使用してください。

• 支出履歴が 6 か月未満の場合は、痛点を把握してください。 毎月の支出額がどれぐらいなら破綻しないでしょうか? この数字を予算値に活用してください。

予算の目的は、予想外に高額な請求書が大きな経済的苦境に陥る前に警告することです。しかし、いったん目標を超えているという通知が届き始めたら、それはすでに危険な道を進んでいることを意味します。予算を有効に活用するには、通知が多すぎず、可視性を提供し、偶発的な設定ミスを修正する時間が与えられるだけのスイートスポット値を考え出す必要があります。

ステップ 2 - AWS Budgets で予算を作成

目標値を決定したら、AWS Budgets に移動して予算を作成します。目標はすべてのサービスにあまり費用をかけないようにすることなので、支出額を把握するために [コスト予算] を選択します。

予算額を設定するときは、次のオプションを選択します。

• 期間: 1 か月あたり
• 予算発効日: 経常予算
• 予算編成方法の選択: 固定
• 開始月: デフォルトのままにする
• 予算金額: 上記で決定した目標額

予算額を設定したら、予算の範囲を設定します。これにより、特定のサービス、タグ、リージョン、アカウントなどにのみ適用される予算を作成できます。ただし、この例では、作成中の予算は、コスト超過を高いレベルで把握するため「支出超過予算」として機能します。従って、スコープを適用する必要はありません。

しかし、一般的なベストプラクティスとして、実行するワークロードごとに個別の予算を設定する必要があります。予算スコープを使うと、新しいサービスや Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスタイプのテストや開発コストなどをモニタリングしたり、組織内のさまざまなチームに予算を設定したりできます。予期しない料金が発生しないように設定できるカスタム予算のその他の例については、こちらをご覧ください。

ステップ 3 - 通知をセットアップ

支出が定義したしきい値に達した場合に通知を受け取るようにアラートを設定できます。支出をモニタリングしたいものの、通知の数が多すぎて無視するようになるのを避けたいという場合もあるでしょう。そのため、まず 2 つのアラートしきい値を設定して、予算額の 50% と 75% に達したときにメールが届くようにすることをおすすめします。

より高度な設定を行うには、Amazon Simple Notification Service (Amazon SNS) を介して他のチャネルに通知をパイプできます。これにより、通知方法を SMS、HTTP エンドポイントなどに拡張できます。Slack を使いたい場合は、Amazon SNS を AWS チャットボットに接続して、予算に関するアラートを Slack チャンネルに直接送信することができます。Amazon SNS トピックを Slack 用 AWS Chatbot に接続する方法の詳細については、こちらをご覧ください。

まとめ

規模や資金調達段階に関係なく、すべてのスタートアップ企業には、アカウントレベルで急上昇する支出を把握するための予算が必要です。この予算の設定に数分を費やすだけで、コスト超過を回避し、ランウェイを最大限に活用し、長期的にコストをモニタリングする習慣を確立することができます。

この予算を立てることは重要なステップですが、コスト管理に向けて実行できるアクションはこれだけではありません。最初の予算を設定したら、デベロッパーごとに特定のコストを追跡したり、特定の Amazon EC2 インスタンスタイプで一定時間以下の機械学習トレーニングを受けたりするなど、さまざまな側面を考慮した他の予算を含むように拡大することを検討してください。スタートアップ企業の規模や複雑さが増しても、AWS Budgets を使用すれば、手作業で何時間もかけて追跡する必要がなく、コストをすばやく簡単に把握できます。また、将来的にコストがかかる可能性のあるミスを防ぐのに役立ちます。