Amazon AppStream 2.0 の特徴
Amazon AppStream 2.0 は、Software-as-a-Service (SaaS) アプリケーションのストリーミング、およびコードを書き換えることなくデスクトップアプリケーションを SaaS 配信モデルへ変換するのに最適化された AWS エンドユーザーコンピューティング (EUC) サービスです。ストリームアプリケーションに使用する場合、AppStream 2.0 にアプリケーションをインストールし、起動設定し、アプリケーションをユーザーが利用できるようにすることが簡単にできます。AppStream 2.0 は、豊富な設定オプションを提供しており、アプリケーションやエンドユーザーの要件に最適なインスタンスタイプや自動スケールリングパラメーターを選択することができます。AppStream 2.0 を使用すると、アプリケーションをお客様のネットワークで起動できます。つまり、そのアプリケーションから既存の AWS リソースを操作できることになります。
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主な特徴主な特徴
シンプルなアプリケーション管理
Amazon AppStream 2.0 では、Image Builder を使用して短時間で簡単にアプリケーションをインストール、テスト、更新できます。Windows Server 2016、Windows Server 2019、Windows Server 2022、Amazon Linux 2、または Red Hat Enterprise Linux 8 で実行されるすべてのアプリケーションがサポートされており、変更を加える必要はありません。テストが完了したら、アプリケーションの起動設定とデフォルトのユーザー設定を行い、ユーザーがアクセスできるようにイメージを公開できます。マネージド AppStream 2.0 イメージの更新を使用すると、最新のオペレーティングシステムの更新、ドライバーの更新、および AppStream 2.0 エージェントソフトウェアでイメージを最新の状態に保つことができます。
複数のインスタンスタイプ
Amazon AppStream 2.0 では、必要な GPU、CPU、メモリ、ストレージ、およびネットワーキングキャパシティーを備えたストリーミングインスタンスを使って、アプリケーションを実行します。AppStream 2.0 では、ストリーミングインスタンスをいくつかのタイプから選択できるため、アプリケーションのパフォーマンス最適化と、全体的なコストの削減を達成できます。ユースケースに応じて汎用、コンピューティング最適化、メモリ最適化、グラフィックデザイン、グラフィックスプロ、グラフィック G4 の各インスタンスファミリーから選択できます。ユーザーは同じストリーミングインスタンスからすべてのアプリケーションにアクセスし、ストリーミングインスタンスはいつでも 1 ユーザーのみに割り当てられます。
オペレーティングシステム
Amazon AppStream 2.0 は、Windows Server 2016、Windows Server 2019、Windows Server 2022、Amazon Linux 2、Red Hat Enterprise Linux 8 など、複数のオペレーティングシステムをサポートしています。
GPU 最適化インスタンス
Amazon AppStream 2.0 では、Graphics Design、Graphics Pro、Graphics G4 および Graphics G5 というインスタンスファミリーを提供しています。
Graphics Design インスタンスは、DirectX、OpenGL、OpenCL のハードウェアアクセラレーションを必要とする Adobe Premiere Pro、Autodesk Revit、Siemens NX などのアプリケーションを提供する場合に最適です。AMD の FirePro S7150x2 サーバー GPU を搭載し、AMD Multiuser GPU テクノロジーを搭載したインスタンスで、2 つの vCPU、7.5 GiB のシステムメモリ、1 GiB のグラフィックメモリの構成から、16 個の vCPU、61 GiB のシステムメモリ、8 GiB のグラフィックメモリの構成までご用意しています。
グラフィックス G5 インスタンスは EC2 G5 ファミリーをベースにしています。Amazon EC2 G5 インスタンスには NVIDIA A10G Tensor Core GPU と第 2 世代 AMD EPYC プロセッサが搭載されており、グラフィックスを多用するアプリケーションや機械学習推論では最大 3 倍のパフォーマンスを発揮し、Amazon EC2 G4dn インスタンスと比較して単純から中程度の複雑な機械学習モデルのトレーニングでは最大 3.3 倍高いパフォーマンスを実現します。AppStream 2.0 では、グラフィックス G5 向けに 7 種類のインスタンスサイズが提供されています。4 つの vCPU と 16 GB のシステムメモリを搭載した xlarge から、96 個の vCPU と 384 GB のシステムメモリを搭載した 24xlarge までさまざまです。
グラフィック g4dn インスタンスのベースは EC2 G4 ファミリーです。Amazon EC2 g4dn インスタンスは、業界内で最も費用対効果と汎用性の高い GPU インスタンスで、AWS でグラフィックスを多用するアプリケーションに適しています。G4dn インスタンスは、最新世代の NVIDIA T4 GPU、AWS カスタム Intel Cascade Lake CU、最大 100 Gbps のネットワークスループット、および最大 1.8 TB のローカル NVMe ストレージを備えています。これらのインスタンスは、AppStream 2.0 を使用する CUDA などの NVIDIA GPU ライブラリに依存するグラフィックスを多用するアプリケーションのストリーミングに最適です。AppStream 2.0 は、4 つの vCPU と 16 GiB のメモリから 64 vCPU と 256 GiB のメモリまで、6 つの異なる g4dn インスタンスサイズを提供します。
Graphics Pro インスタンスファミリーでは、特に高いスペックが求められるグラフィックアプリケーションをサポートする、3 種類のインスタンスタイプを提供しています。2048 個の並列処理コアを備えた NVIDIA Tesla M60 GPU を使用する Graphics Pro インスタンスには、16 vCPU、122 GiB システムメモリ、8 GiB グラフィックメモリから 64 vCPU、488 GiB システムメモリ、32 GiB グラフィックメモリまで、3 つのタイプを用意しています。これらのインスタンスタイプは、3D レンダリング、可視化、動画エンコードなどのために大量の並列処理能力が求められるグラフィックワークロードに最適です。Schlumberger Software の Petrel、Landmark の DecisionSpace、MotionDSP の Ikena などが該当します。利用可能なインスタンスタイプと料金設定については、「Amazon AppStream 2.0 料金」をご覧ください。
マルチセッション機能
AppStream 2.0 のマルチセッション機能により、複数のユーザーが特定のインスタンスに関連するコンピューティング、メモリ、ストレージ、およびシステムソフトウェアを共有しながら、実際の使用状況に基づいてリソースを自動スケーリングする機能を利用できます。これにより、ソリューションコストを削減し、リソースを最大限に活用できます。マルチセッション機能により、IT 管理者は個々のユーザーの要件に基づいてインスタンスあたりのユーザーセッション数を調整できるため、オーバープロビジョニングなしで幅広いユーザータイプをサポートできます。マルチセッションフリートの場合、IT 管理者はすぐに使用できる AppStream2.0/Amazon CloudWatch コンソールを使用して、ユーザーセッションのパフォーマンスと基盤となるリソースの使用状況を監視できます。オンデマンドフリートでは、AppStream 2.0 のマルチセッション機能により、ユーザーが特定のマルチセッションインスタンスでセッションをセットアップするのにかかる平均時間が短縮されます。マルチセッション機能は、常時稼働フリートとオンデマンドフリートの Windows 設定でのみサポートされます。マルチセッションインスタンスは、インスタンスごとに実行されているユーザーセッションの数に関係なく、時間単位で料金が発生します。詳細については、「料金表」をご覧ください。
ID フェデレーション
Amazon AppStream 2.0 は SAML 2.0 を使用したフェデーレーションされたサインインをサポートしています。ユーザーは既存の認証情報を使用して AppStream 2.0 にサインインして、アプリケーションのストリーミングを開始できます。管理者は既存のユーザーディレクトリを用いて AppStream 2.0 経由で使えるアプリケーションへのエンドユーザーのアクセスをコントロールできます。ユーザーの場所に応じてユーザーまたはグループへのアクセスを素早く追加または削除し、アクセスを制限し、またマルチファクター認証を有効化できます。フェデレーティッドアクセスおよび制御は、SAML 2.0 に準拠した ID プロバイダー経由で有効にできます。Amazon AppStream 2.0 は、アクティブディレクトリに参加するデプロイにおいて、パスワードなしのログイン体験を提供するために、証明書ベースの認証をサポートしています。
Microsoft Active Directory ドメインのサポート
Amazon AppStream 2.0 の常時稼働およびオンデマンドフリートのストリーミングインスタンスと Image Builder は、Microsoft Active Directory (AD) ドメインに接続することができます。これにより、既存の AD ポリシーをストリーミングインスタンスに適用し、イントラネットサイト、ファイル共有、ネットワークプリンターへのシングルサインオンアクセスをアプリケーション内でユーザーに提供できます。ユーザーは任意の SAML 2.0 プロバイダーを使用して認証され、AD ドメインへの接続が必要なアプリケーションを利用できます。
スマートカードのサポート
ユーザーは、Personal Identity Verification (PIV) と Common Access Card (CAC) のスマートカード、およびその他の種類のスマートカードを使用して、Microsoft Active Directory ドメインに参加している Windows OS ベース の AppStream 2.0 ストリーミングインスタンスにサインインできます。スマートカードは、ストリーミングアプリケーションのセッション内認証でもサポートされています。この機能が有効になっている場合、ユーザーが Windows ネイティブクライアントを使用してストリーミングすると、AppStream 2.0 は、スマートカードのリクエストをストリーミングインスタンスからユーザーのローカルコンピュータに接続されているスマートカードリーダーにリダイレクトします。スマートカードとスマートカードリーダーは、ストリーミングインスタンスとユーザーのローカルコンピュータの両方から引き続きアクセスできます。
フリート
Amazon AppStream 2.0 は、様々なフリートオプションを提供しており、お客様の要件に最適なソリューションを構成することができます。下の表は、利用可能な各フリートタイプの概要を示しています。
フリートタイプ | 説明 | ユースケース | 料金 |
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常時稼動 |
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即時起動が必要な場合
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オンデマンド |
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コスト削減が重要で、使用量が予測可能な場合
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伸縮自在性 |
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- 利用状況が予測できない場合
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Elastic フリート
Elastic フリートは、サーバーレスのフリートタイプで、同時実行の予測やオートスケーリングポリシーの作成または管理、イメージの作成などを必要とせずに、エンドユーザーにアプリケーションを提供することができます。アプリケーションは仮想ハードディスク内に保存され、ユーザーのリクエストに応じてストリーミングインスタンスにダウンロードされるため、ユーザーへのストリーミングアプリケーションの提供方法が簡素化されます。Elastic フリートは、フリートの容量を管理するのではなく、アプリケーションの提供に集中することができます。トライアル、トレーニング、デモの提供や、従来から提供されているデスクトップアプリケーションをサービスとしてのソフトウェアに変換する場合など、ポータブルアプリケーションの提供や、使用パターンが一定でない場合に最適です。
AppStream 2.0 にはアプリケーションマネージャーが含まれています。アプリケーションマネージャーでは、基盤となる基本イメージやオペレーティングシステムに影響を与えることなく、さまざまな環境で Windows アプリケーションをパッケージ化してモバイル化できるように設計されています。 App block ビルダーのインスタンスを起動したら、アプリケーションをインストールし、自己完結型で共有可能なアプリケーションイメージを作成するだけです。このアプリケーションイメージは、異なる AWS リージョンにプロビジョニングされた複数の AppStream 2.0 エラスティックフリート間で共有できます。
フリートの自動スケーリング
常時稼働フリートやオンデマンドフリートでは、オートスケーリングポリシーを使用して実行中のインスタンス数を調整し、ストリーミングコストを削減することができます。新規に作成した常時稼働フリートおよびオンデマンドフリートには、デフォルトのスケールアウトおよびスケールインのポリシーが設定されており、お客様のユーザーの要件に合わせてカスタマイズすることができます。また、常時稼働およびオンデマンドの各フリートに対して、独自のスケーリングポリシーを作成することもできます。スケジュールベース、使用量ベース、またはその両方のポリシーを使用して、フリートが持つインスタンス数を最適化することができます。
Elastic フリートでは、AppStream 2.0 がフリートのサイズを管理するため、オートスケーリングポリシーを使用する必要がありません。
モニタリング
Amazon AppStream 2.0 では、Amazon CloudWatch メトリクスを使用して、AppStream 2.0 フリートのリソース使用率をモニタリングできます。Elastic フリートでは、使用されているインスタンスの数を時間経過と共に追跡することができます。常時稼働フリートやオンデマンドフリートでは、フリートのサイズ、実行中のインスタンス数、新しい接続に対して使用できる容量を確認できます。また、時間経過に伴う使用率を追跡できるため、フリートが正しいサイズであることを確認することもできます。CloudWatch を使用して、ユーザーをサポートするための容量が不足する際に通知するアラームや、常時稼働フリートとオンデマンドフリート内の変更に対応するためのアラームを設定できます。
プログラムによる制御
Amazon AppStream 2.0 には、サービスを簡単に統合および拡張するために使用できる API が含まれています。API により、AppStream 2.0リソースの作成、更新、削除が可能となり、リソースの状態について詳しい情報が提供されます。管理者が Image Builder に接続してアプリケーションをインストールするための URL と、ユーザーが AppStream 2.0 アプリケーションにアクセスするための URL を作成できます。
ブラウザとクライアントのアクセス
Amazon AppStream 2.0 では、Google Chrome、Mozilla Firefox、Microsoft Internet Explorer、Microsoft Edge といった HTML5 対応ブラウザからデスクトップアプリケーションにアクセスできます。プラグインは必要ありません。AppStream 2.0 Windows Client からデスクトップのアプリケーションにアクセスすると、デュアルモニタと 3D マウスのような USB 周辺機器を使用することもできます。Windows Client は、Alt + Tab や、クリップボードのショートカット、そしてファンクションキーといったキーボードのショートカットもサポートしています。 Windows Client および Chromium ベースのウェブブラウザは、AppStream 2.0 セッションに接続する際のリアルタイムのオーディオビデオ (AV) をサポートしています。
永続的ストレージ
Amazon AppStream 2.0 には永続ファイルストレージに複数のオプションを用意しており、ユーザーは、アプリケーションストリーミングセッション間でファイルの保存や取得が可能です。Amazon S3、Google Drive for G Suite、または Microsoft OneDrive for Business でバックアップされたホームフォルダを使えます。これらはそれぞれアクティブな AppStream 2.0 ストリーミングセッション内のマイファイルタブからアクセスし、コンテンツはほとんどのアプリケーションのファイルメニューから直接保存することや開くことができます。
永続的設定
AppStream 2.0 では、ユーザーのアプリケーションと Windows の設定を永続的に行えます。ユーザーのプラグイン、ツールバー設定、ブラウザのお気に入り、アプリケーションの接続プロファイル、その他の設定は保存され、ユーザーがストリーミングセッションを開始するごとに適用されるようになりました。ユーザーの設定はお客様が制御する AWS アカウントの S3 バケットに保存されます。
シンプルなユーザーインターフェイス
Amazon AppStream 2.0 は直感的なユーザーインターフェイスを備えており、サービスを簡単に制御できます。複数のアプリケーションを実行でき、アプリケーションでの切り替えや操作を簡単に行うことができます。また、アプリケーションからのオーディオ出力を聴くことや、サービスの帯域幅および再現性を制御することもできます。AppStream 2.0 Windows クライアントを使えば、アプリケーションがローカルマシンと統合され、ローカルにインストールされたアプリケーションと AppStream 2.0 のリモートアプリケーションとの間でのシームレスな体験が提供されます。
Amazon DCV プロトコル
Amazon AppStream 2.0 では Amazon DCV テクノロジーを利用して、アプリケーションへの安全で高性能なアクセスを実現します。Amazon DCV は、ビジネス、設計、エンジニアリング、およびソフトウェア開発アプリケーションで、スムーズなインタラクティブエクスペリエンスを提供します。また、エンドユーザーに安全なピクセルストリームを配信し、エンドユーザーに最適なサービスを提供できるよう、常にネットワーク条件に合わせて設定を調整できます。Amazon DCV では、エンドツーエンドの AES-256 暗号化を使用して、ピクセル入力とエンドユーザー入力の両方の安全性が確保されます。
HTTPS アクセス
Amazon AppStream 2.0 では、AWS over HTTPS の安全なストリーミングゲートウェイ経由でアプリケーションがストリーミングとユーザー入力の転送が実行されます。ストリーミングインスタンスにインターネットから直接アクセスすることはできません。ユーザーは、認証後にストリーミングゲートウェイ経由でのみアプリケーションにアクセスできます。
世界で利用可能
Amazon AppStream 2.0 は、複数の AWS リージョンでグローバルに利用できます。複数の AWS リージョンで AppStream 2.0 リソースをホストし、最も近い AWS リージョンにユーザーを転送することで、エンドユーザーに最適なサービスを提供できます。
Amazon VPC のサポート
Amazon AppStream 2.0 では、Amazon Virtual Private Cloud (VPC) 内でデスクトップアプリケーションを起動できます。VPC セキュリティグループを使用して、ストリーミングインスタンスにきめ細かいアクセスコントロールを設定することや、データベース、ファイル共有、ライセンスサーバー、アプリケーションサーバーといった VPC 内のリソースへのユーザーのアクセスを管理することができます。また、VPC 内で他のリソースを使用する場合と同様に、デスクトップアプリケーションから公共のインターネットにアクセスする方法を指定することもできます。
Amazon AppStream 2.0 料金の詳細