Amazon Web Services ブログ

Amazon Chimeで行う遠隔授業・講義

皆さんAmazon Chimeはご存じでしょうか?Amazon Chimeは組織の内外で会議やチャットなどができるサービスです。既に会議などでは多くご利用頂いてはおりますが、遠隔授業・講義でももちろんご利用頂くことが可能です。

Amazon ChimeではクライアントソフトウェアやWebブラウザ、SIPまたはH.323準拠のテレビ会議デバイスから遠隔授業に参加できます。もちろんiOSやAndroidのスマートフォンやタブレットも利用できます。またネットワーク回線が安定しない場所からの参加の場合には、電話を使用して音声での参加も可能です。

Amazon Chimeの特徴は、サービスのページ( https://aws.amazon.com/jp/chime/features/)に詳しくはありますが、同じ遠隔授業の仮想ミーティングルームへ 250 接続まで同時参加が可能です。ビデオはデスクトップは最大16名(モバイルデバイスは最大8名)の表示が可能です。遠隔授業の仮想ミーティングルームに接続すると、同一画面内にチャット領域があり、ファイルの転送も可能です。これを例えば質疑応答に使ったり、授業内で出てきたURLを共有したり、補足資料ファイルの配布などに利用したりすることができます。

また、セキュリティについても関心が高いと思われますが、Amazon Chimeはサービスに直接組み込まれたセキュリティ機能が備わっています。メッセージ、音声、ビデオ、コンテンツは AES 256 ビット暗号化を用いて暗号化されます。また、既存のディレクトリサービスと接続し、認証情報を使用して Amazon Chime にログインさせることもできます。

 

 

Amazon Chimeのセットアップ

■ 遠隔授業に参加される方

クライアントソフトウェアまたはWebブラウザでアクセスし、仮想ミーティングルームのID(設定されている場合は仮想ルームのPIN)を入力して参加します。ログインは不要です。

あらかじめ https://app.chime.aws/check から接続環境のチェック、クライアントソフトウェアのダウンロードが可能です。クライアントソフトウェアをご利用いただく方が安定してご利用いただけるかと思います。

■ 遠隔授業を開催される方

仮想ミーティングルームの作成は、作成権限があるユーザ(Proユーザ)でログインします。必要に応じて新規の仮想ミーティングルームのIDを作成しておきます。遠隔授業に参加される方にはあらかじめ仮想ミーティングルームのID等をお伝えしておきます。授業の時間になりましたら、仮想ミーティングIDへ接続し、遠隔授業を開始します。

遠隔授業では、画面シェアできる人、発言できる人を限定したい場合があるでしょう。その場合には、クライアントソフトウェア内のメニューから開催中の遠隔授業をイベントモードに変更し、プレゼンターの指定や参加者のミュート、参加者がミュートを解除できないようにするなどの設定をします。また会議をロックすることが可能ですので、新たな参加者の参加を防ぐ設定も可能です。これらは自由にon/offできますので、授業の説明のときには、イベントモード、質疑応答の時にはイベントモードの解除といったことができます。

■ Amazon Chimeの管理者

Amazon Chimeの環境構築は https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/chime/latest/ag/what-is-chime.html にあります開始方法を参照していただき、AWSアカウントにログインし、Amazon Chimeのアカウントの環境構築をしてください。仮想ミーティングルームを作成できるProユーザの作成・管理も手順にしたがって人数分行い、遠隔授業を主催される先生方にProユーザをそれぞれ割り当ててください。

 

遠隔授業開催のTIPS

ここではAmazon Chimeに限りませんが、遠隔授業開催時のちょっとしたコツをお伝えします。

1) 参加者は必要の無いときはミュートします。ノイズが入ってしまって他の方が聞きづらかったり、音が回ってしまうことを防ぎます。

2) お話する方はできるだけヘッドセットを使いましょう。会議用のマイク・スピーカーでも良いのですが、お部屋の状況によっては音が反射してしまい、他の参加者が聞き取りづらくなることがあります。また自宅からほとんどの方は参加されると思いますが、ヘッドセットを利用すると生活音などの雑音を拾いにくくなりますので、相手方も聞き取りやすくなります。ヘッドセットが用意できない場合には、イヤホンマイク、それも難しい場合は、音はイヤホンで聞いてください。音の回り込みを減らすためです。

3) ビデオが本当に必要かは考えましょう。ビデオを利用するとその分ネットワークの帯域を消費しますので、できるだけビデオは切るのが良いでしょう。板書などをしたいという方がおられると思いますが、残念ながら一般的にカメラ映像での板書は見づらくなります。数千円程度でタブレットが購入可能な時代ですので、タブレットとペイントソフト(またはPowerPointの描画機能)などを組み合わせ、その画面をシェア(またはアプリケーションウィンドウのシェア)してあげることで、見やすくしてはどうでしょうか。また妨害やストーカー行為などを懸念される先生方もいらっしゃるでしょう。その観点からも必要無ければ参加のビデオをoffとするのも良いでしょう。

4) セキュリティには気をつけましょう。大学等の講義であれば参加者を厳密に管理する必要性はないかもしれませんが、学校などで参加者を限定したい場合には、仮想ミーティングIDの他にPINを設定しておくなどの必要があるでしょう。またAmazon Chimeの管理者はどの地域で仮想ミーティングをホストするのかの選択も可能です。

5) 可能であれば、事前に資料(や動画・音声)などをLMSなどで配信しておくことでネットワーク負荷を分散させることができるかもしれません。コンテンツはトピックごとに5〜15分程度におさまるようにしておくのが良いでしょう。一部コンテンツが古くなってアップデートする際に、全部変えなくても良くなり、再利用性が高まります。また授業時間を事前学習時間分短くし、双方向のオンライン授業では質疑やディスカッションの場にするのも面白いかもしれません。

6) Amazon Chimeは音声は電話からの接続も可能です(※1)。ネットワーク回線が安定しない場合には画面シェアはPCから、音声は電話からの接続といった形も可能です。または事前に資料をダウンロードできている場合には音声だけ電話で接続しても良いでしょう。

7) Amazon Chimeでは画面シェアと音声のみの収録となり、必要最低限のサイズで録画ができます。録画されたものは、Amazon Chime内の通知からダウンロード可能です。画面シェアと音声の場合にはmp4形式でダウンロード可能です。

8) Amazon Chimeでは標準でSIPまたはH.323準拠のルームタイプのテレビ会議システムとも接続が可能です。教室にそのような設備がある場合には接続して利用いただくことが可能ですが、Amazon Chimeはインターネットに接続されていれば使用可能です。もし、外出自粛が要請されている、テレワークが可能である場合には、本当に学校に行って収録する必要があるのかについても考えていただくのもよいかと思います。

9) コンテンツを沢山用意しなくてはならなくなることもあるでしょう。AWS Educateには無償でご利用いただけるセルフラーニング用のコンテンツが用意されていますので、こちらも組み合わせてご利用頂くのも良いかもしれません。日本語や英語を含む複数言語で提供されていますので、留学生の方などがいらっしゃる場合にも便利にお使いいただけるかもしれません。AWS Educateについては下記をご覧ください。
■ AWS Educate の紹介 https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/aws-educate-from-home/
■ AWS Educateへの参加 https://aws.amazon.com/jp/education/awseducate/

10) コンピュータを利用した実習の環境が必要な場合もあるでしょう。こちらも上記の無償のAWSEducateのプログラムにて各自にコンピュータ環境を提供することができます。各自がそれぞれ独立したコンピュータリソースをクラウド上に展開できますので、実習や自習をしていただくことが可能です。また教員の方がクラスルームを作成することでその授業用にリソースを追加で確保して利用頂くことができます。

 

Amazon Chimeを新しく始める方向けのオファー等は下記のリンクなどにありますので、ご覧ください。

 教育機関の方からの問い合わせ先: aws-jpps-er@amazon.com 教育担当 まで


パブリックセクター ソリューションアーキテクト 櫻田


※1 電話の接続には、電話料金の他にAmazon Chimeのアカウント発行側に電話接続料金が利用している時間分発生します。