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Amazon Connect アップデート まとめ – 2024年12月
こんにちは、Amazon Connect ソリューションアーキテクトの坂田です。
みなさん、 re:Invent 2024 はご参加(現地、あるいはオンライン)頂けましたでしょうか?今回も、たくさんのアップデートが発表されましたね。イベントの後にも複数のアップデートが追加されており、2024年12月はいつにも増して盛りだくさんでした。
今号も以下の内容をお届けします。皆さんのお役に立つ内容があれば幸いです!
- 注目のアップデートについて
- 2024年12月のアップデート一覧
- AWS Contact Center Blog のご紹介
1. 注目のアップデートとブログについて
注目#1: Amazon Connect の Amazon Q in Connect エージェントアシスタンスで 64 言語のサポートを開始
Amazon Q in Connect で、エージェントアシスタンス機能で 日本語を含む64 の言語がサポートされるようになりました。エージェントは、Amazon Q in Connect と母国語でチャットしてアシスタンスを利用でき、Amazon Q は回答、ナレッジ記事へのリンク、推奨されるステップバイステップガイドを各国語で提供します。新たにサポートされる言語には、中国語、フランス語、フランス語 (カナダ)、イタリア語、日本語、韓国語、マレー語、ポルトガル語、スペイン語、スウェーデン語、タガログ語が含まれます。ただし、会話内容に基づくナレッジの自動推奨は英語のみのサポートです。
Amazon Q in Connect を英語以外の言語で利用するためには、あらかじめロケールを設定する必要があります。日本語ロケールの設定手順の流れは以下の通りです。
- 利用する Amazon Connect インスタンスで Amazon Q in Connect を有効にし、ナレッジベース(統合)を作成しておく。
- 以下のコマンドで、対象となる assistant-id を取得する。
aws qconnect list-assistants
- ロケールを指定して、AI エージェントを作成する。
aws qconnect create-ai-agent \
--assistant-id <assistant-id> \
--name jp_manual_search_ai_agent \
--visibility-status PUBLISHED \
--type MANUAL_SEARCH \
--configuration '{"manualSearchAIAgentConfiguration": {"locale": "ja_JP"}}'
- AI エージェントバーションを作成する。(ai-agent-id は上のコマンドの出力で確認する
aws qconnect create-ai-agent-version \
--assistant-id <assistant-id> \
--ai-agent-id <ai-agent-id>
- 作成したAI エージェントバージョンを適用する。
aws qconnect update-assistant-ai-agent \
--assistant-id <assistant-id> \
--ai-agent-type MANUAL_SEARCH \
--configuration '{
"aiAgentId": "<ai-agent-id>:1"
}'
以上で Amazon Q in Connect でのマニュアル検索における日本語ロケールが設定できました。詳細な手順は管理者ガイドをご確認ください。
注目#2: Amazon Connect が Amazon Q in Connect で生成 AI を活用したセルフサービスを開始
Amazon Connect のチャットあるいは音声チャネルにおいて、Amazon Q in Connect を利用したセルフサービスを簡単に提供できるようになりました。これにより、Amazon Q in Connect はセルフサービスシナリオにおいてそのナレッジベースに基づいて、顧客へのQA対応、ステップバイステップガイドを利用した推奨アクションの提示、スケジュールの変更などを実行することができます。
Amazon Q in Connect を利用したセルフサービスを構築するための手順は以下の通りです。
- 利用する Amazon Connect インスタンスで Amazon Q in Connect を有効にし、ナレッジベース(統合)を作成しておく。
- Amazon Connect の管理者ウェブサイトから Lex ボットを作成し、Amazon Q in Connect インテントを有効にする。
- 利用するフローで Amazon Q in Connect を有効にし、作成した Lex ボットを呼び出す。
最低限の設定は以上です。なお、2025年1月16日時点では selfServiceAIAgentConfiguration は locale の指定をサポートしていません。そのため、Amazon Q in Connect インテントで英語以外の言語を利用するには、セルフサービスプロンプト(SELF_SERVICE_PRE_PROCESSING と SELF_SERVICE_ANSWER_GENERATION) を特定の言語で応答するようにカスタマイズする必要があります。詳細については、管理者ガイドの Customize Amazon Q in Connect をご確認ください。
2. 2024年12月のアップデート一覧
- Amazon Connect でルーティング時に特定の習熟度を除外する機能を提供 – 2024/12/24
- Amazon Connect ではコンタクトをエージェントに割り当てる際のエージェントセレクション基準として、”エージェント習熟度(スキルレベル)”を利用することができます。今回のアップデートにより、特定の習熟度をもつエージェントをコンタクトルーティングの対象から除外することができるようになりました。これを利用して、数は少ないが重要な問い合わせに対応することができるエージェントを空けておくことができます。
- 習熟度の除外条件(NOT 条件)をルーティング基準として利用するには、Lambda 関数を使ってルーティング基準を動的に設定する必要があります。
- 関連リンク
- Amazon Connect で特定の範囲の習熟度を備えたエージェントへのルーティングのサポートを開始 – 2024/12/24
- Amazon Connect がチャット内で組み込みのお客様認証機能の提供を開始 – 2024/12/21
- Amazon Connect のチャットに、お客様認証の機能が組み込まれました。これにより、チャット対話においてお客様の身元確認を行い、本人情報に基づくパーソナライズされたサービスを提供することが容易になります。
- 「顧客を認証」フローブロックを使用することで、チャットのワークフローで簡単に認証を行うことができます。例えば、認証されていないお客様がエージェントの支援を必要とする場合には、エージェントにコンタクトする前にサインインするためのポップアップが表示されるので、エージェントはよりパーソナライズされた効率的なサポートを提供できます。
- この機能の利用を開始するには、AWS コンソールから Amazon Connect > [顧客認証] ページにアクセスして、 ID プロバイダーを構成してください。その後、Amazon Connect の管理者ワークスペースで、チャットで使用するコンタクトフローに「顧客を認証」ブロックを追加してください。
- 関連リンク
- Amazon Connect が管理ウェブサイトからのキューとルーティングプロファイルの削除のサポートを開始 – 2024/12/21
- 不要になったキューやルーティングプロファイルを、これまでサポートされていた API ベースの削除に加えて、直接 Amazon Connect の管理者ワークスペースから削除できるようになりました。
- 関連リンク
- Amazon Connect がエージェントステータスの構成のための AWS CloudTrail のサポートを開始 – 2024/12/21
- Amazon Connect で、エージェントステータスのページに対して加えられたすべての変更が AWS CloudTrail のイベントとして記録されるようになりました。これにより、AWS CloudTrail を調べて、エージェントステータスの追加、更新、無効化を行った管理ウェブサイトユーザーを特定できます。
- 関連リンク
- Amazon Connect でエージェント階層構成インターフェイスが改善され AWS CloudTrail のサポートを開始 – 2024/12/21
- Amazon Connect で、管理ウェブサイトで階層を構成する UI が一新され、複雑な組織構造をすばやく正確にナビゲートできるように改善されました。階層とは、レポートを作成する目的でエージェントをチームやグループにまとめる手法です (部門別、場所別、知識や技能別など)。この改善でお客様はツリー構造を視覚化し、全文先行入力検索を使用してリソースを検索できるようになりました。
- また、新しい UI での変更は、AWS CloudTrail を利用して追跡することができるようになりました。階層のグループや構造へのすべての変更を、変更者や変更方法にかかわらずログに記録したり、参照したり、監査したりできるようになります。
- Amazon Connect の Amazon Q in Connect エージェントアシスタンスで 64 言語のサポートを開始 – 2024/12/20
- Amazon Connect 上ですぐに使える、生成 AI を活用したアシスタント機能の Amazon Q in Connect が日本語対応しました!
- Amazon Q in Connect のエージェントアシスタンス機能において、日本語を含む 64 の言語が新たにサポートされるようになりました。これにより、エージェントは Amazon Q in Connect に日本語で質問し回答を得ることができます。Amazon Q in Connect は、回答、ナレッジ記事へのリンク、推奨されるステップバイステップガイドをそれぞれの言語で提供します。
- 新たにサポートされる言語には、中国語、フランス語、フランス語 (カナダ)、イタリア語、日本語、韓国語、マレー語、ポルトガル語、スペイン語、スウェーデン語、タガログ語が含まれます。サポートされている言語の全一覧については、Amazon Connect 機能でサポートされている言語をご覧ください。
- Amazon Q in Connect で日本語を利用するには、CLI または API から言語ロケールを変更する必要があります。
- なお、2025年1月16日時点では、日本語で利用できる Amazon Q in Connect の機能は”マニュアル検索”となります。会話の内容に基づくナレッジの自動推奨は英語のみのサポートとなります。
- 関連リンク
- Amazon Connect でマルチパーティチャットのサポートを開始 – 2024/12/20
- Amazon Connect でマルチパーティチャットがサポートされるようになりました。これにより、最大 4 人のエージェントが進行中のチャットの会話に参加できるようになり、コラボレーションと顧客の問題の迅速な解決が容易になります。たとえば、エージェントはスーパーバイザーや対象分野の専門家にチャットに参加してもらい、顧客が正確でタイムリーなサポートを受けられるようにすることができます。
- 関連リンク
- Amazon Connect タスクが最大 30 日間の期間をサポート – 2024/12/19
- Amazon Connect タスクは作成から最大 30 日で有効期限が切れるように設定できるようになりました。デフォルトは 7 日間です。
- たとえば、毎月の経費通知などの緊急度の低いタスクは上司にエスカレーションされるまで最大 30 日間アクティブに保たれ、顧客エスカレーションなどの緊急タスクは 1 分後に上司に送信できるようになりました。
- 関連リンク
- Amazon Connect が分析データレイクでエージェントのスケジュールデータの提供を開始 – 2024/12/18
- Amazon Connect の分析データレイクで、公開されたスケジュールデータを提供するようになりました。これにより、このデータからレポートやインサイトを簡単に生成できるようになります。
- 例えば、分析データレイク内のエージェントのスケジュールデータから、給与計算の有給時間と無給時間に関するレポートの生成、特定の期間で勤務がスケジュールされているエージェントの数と休暇をとるエージェントの数の概要ビューの生成など、主要な運用ユースケースを自動化できます。また、過去 2 年間ですべてのエージェントについてスケジュールされているすべてのイベントの詳細レポートの生成など、監査とコンプライアンスのユースケースにも対応できます。
- これらのレポートやインサイトを生成するには、Amazon Athena と Amazon QuickSight または他の任意のビジネスインテリジェンスツールを使用できます。
- 関連リンク
- Amazon Connect で営業時間の休日のオーバーライドをサポート – 2024/12/13
- Amazon Connect のオペレーション時間を「オーバーライド」できるようになりました。これを使用して、コンタクトセンターの特別休日やその他の営業時間を設定できるようになりました。
- オーバーライドは、コンタクトセンターの標準曜日営業時間の例外です。たとえば、コンタクトセンターが午前 9 時に開店、午後 10 時に閉店するが、大晦日にはエージェントがお祝いに間に合うように午後 4 時に閉店したい場合、そのためのオーバーライドを追加できます。休暇が近づいてコンタクトセンターを早期に閉鎖すると、電話をかけてきた人は営業時間外のカスタマーエクスペリエンスを得ることができます。
- 関連リンク
- Amazon Connect がモバイルチャット用のプッシュ通知のサポートを開始 – 2024/12/12
- Amazon Connect は、iOS および Android デバイスでのモバイルチャットのプッシュ通知をサポートするようになりました。これにより、カスタマーエクスペリエンスが向上し、より迅速な問題解決が可能になります。
- Amazon Connect Chat SDK を使用するモバイルチャットエクスペリエンス向けに組み込みのプッシュ通知が利用可能になったため、顧客が積極的にチャットをしていない場合でも、エージェントやチャットボットから新しいメッセージを受信するとすぐにプロアクティブに通知されます。
- 関連リンク
- Amazon Lex が新しい多言語音声認識モデルを発表 – 2024/12/11
- Amazon Lex で新しい多言語ストリーミング音声認識モデル (ASR-2.0) の一般提供が開始されました。これらのモデルは、ポルトガル語、カタロニア語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語をサポートする欧州ベースのモデルと、中国語、韓国語、日本語をサポートするアジアパシフィックベースのモデルという 2 つの特殊なグループによって認識精度を向上させます。
- これらの Amazon Lex 多言語ストリーミングモデルは、各グループで共有されている言語パターンを利用して、認識精度を向上させます。これらのモデルは特に英数字の認識に優れているため、発信者の識別や自動音声応答 (IVR) アプリケーションでのタスクの自動化にしばしば必要となる顧客の発話を正確に理解しやすくなります。たとえば、新しいモデルでは、アカウント番号、確認番号、シリアル番号、製品コードをより正確に認識できます。
- これらのモデルは現在 Amazon Lex でサポートされている言語の標準となっており、お客様は既存のボットをリビルドするだけでこれらの機能強化を利用できます。新しい ASR-2.0 モデルは Amazon Lex V2 をサポートするすべてのリージョンで利用できます。
- re:Invent 2024期間中のアップデートは以下の通りです。こちらも合わせてご覧ください。
- Amazon Connect が WhatsApp Business メッセージングのサポートを開始 – 2024/12/02
- Amazon Connect Contact Lens がエージェントのパフォーマンス評価を生成 AI を使用して自動化 – 2024/12/02
- Amazon Connect が Amazon Q in Connect で生成 AI を活用したセルフサービスを開始 – 2024/12/02
- Amazon Connect では、チャット内で重要な顧客データを簡単に収集できるようになりました – 2024/12/02
- Amazon Connect が外部音声の転送をサポート – 2024/12/02
- Amazon Connect Contact Lens が会話型 AI ボットのパフォーマンスを分析するための組み込みダッシュボードをリリース – 2024/12/02
- AWS が Amazon Connect での Salesforce Contact Center を発表 (プレビュー) – 2024/12/02
- Amazon Connect が新しい日中予測ダッシュボードを発表 – 2024/12/02
- Amazon Connect Contact Lens が生成 AI を使用してコンタクトを自動的に分類 – 2024/12/02
- Amazon Connect が Amazon Q in Connect の AI ガードレールを発表 – 2024/12/02
- Amazon Connect Contact Lens が外部音声のサポートを開始 – 2024/12/02
- Amazon Connect がシンプルな会話型 AI ボットの作成を提供 – 2024/12/02
- Amazon Connect が顧客セグメントとトリガーベースのキャンペーン向けの AI アシスタントをリリース – 2024/12/02
- Amazon Connect で IVR およびその他の自動対話中の音声が録音可能に – 2024/12/01
3. AWS Contact Center Blog のご紹介
- Revolutionise CX in your contact centre through IVR modernisation(英語記事)
- AWS re:Invent 2024 recap: Amazon Connect の新しいアナウンス(日本語翻訳)
- Elevate your contact center: AI-powered analytics with Amazon Connect(英語記事)
- Amazon Connect で実現する生成 AI を活用したセルフサービスの簡素化(日本語翻訳)
- Amazon Connect チャットによる機密情報の収集(日本語翻訳)
- Amazon Connect が生成 AI、WhatsApp、セキュアなデータ収集機能を強化(日本語翻訳)
- Amazon Connect でさらにサステナブルなコンタクトセンターを実現(日本語翻訳)
今月のお知らせは以上です。2024年もたくさんのアップデートが発表されましたが、これらは利用者の皆さんからのフィードバックに基づいています。今後も皆さんのコンタクトセンター変革に役立つ改善を続けられるよう、ぜひフィードバックやアイデアを我々に教えてください。それでは、本年もどうぞよろしくお願いいたします!
シニア Amazon Connect ソリューションアーキテクト 坂田 陽一郎