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【開催報告】AWS Summit Japan 2026 – AWS for Telcom 展示ブース
はじめに
2026 年 6 月 25 日(木)、26 日(金)の 2 日間にわたって幕張メッセで開催された AWS Summit Japan 2026 では、AWS Expo の Industry Zone に「AWS for Telecom」として通信業界に関する展示ブースを出展しました。
本ブログでは、株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社の各社と共に展示した全 7 ブースの内容をご紹介します。通信領域では NW 設計・構築から運用保守まで、非通信領域ではスマートシティやコンタクトセンターの領域で Agentic AI が通信業界をどう変えつつあるのかを、各社の最新の取り組みからご覧いただけます。
展示一覧
| カテゴリ | ブース ID | 出展社 | テーマ |
|---|---|---|---|
| 通信領域 | A063 | 株式会社NTTドコモ | Agentic AI で AWS 上に 5G コア構築・運用開始 |
| A064 | KDDI株式会社 | AI 駆動開発で加速する RAN 自動制御と品質改善 | |
| A067 | 株式会社NTTドコモ | ネットワーク保守 AI エージェント | |
| A068 | ソフトバンク株式会社 | Amazon Neptune で実現する NW トポロジー可視化 | |
| A069 | AWS | エージェンティック AI が実現する自律運用 | |
| 非通信領域 | A065 | KDDI株式会社 | KDDI が創る、未来のスマートシティ |
| A066 | AWS | AI で変革する通信業界の顧客体験 |
A063:Agentic AI で AWS 上に 5G コア構築・運用開始(株式会社NTTドコモ)
NTTドコモは AWS 上に 5G コアを構築し、国内初となるハイブリッドクラウド環境での商用サービスを開始しました。
この AWS 上の 5G コア構築は、世界初となる Agentic AI と GitOps を組み合わせた設計・構築自動化によって実現されています。膨大な過去コンフィグやドキュメントの確認、相互依存する複数コンフィグ間の整合性担保、手動作業によるデプロイ完了までの長期間化の課題がありましたが、AI エージェントが自律的にドキュメントを参照しながら設定ファイルを自動生成し、Git を介した CI/CD パイプラインで自動デプロイする仕組みへと変革することで、従来から 80% のリードタイム短縮と自動化による品質向上をを実現しました。
本展示では、この取り組みの概要や効果、技術要素をご紹介しました。
ポイント:
- 国内初:AWS 上での 5G コア商用構築・運用開始
- 世界初:AI × GitOps による 5G コアの設計・構築自動化
- Amazon Bedrock AgentCore 上のオーケストレータエージェントが複数の専門 AI エージェントを統括
A064:AI 駆動開発で加速する RAN 自動制御と品質改善(KDDI株式会社)
KDDI は、無線ネットワーク(RAN)の自動制御に向けて、O-RAN 標準インタフェースに準拠した基地局制御の共通基盤(SMO: Service Management and Orchestration)と、その上で動作するネットワーク制御アプリ(rApp)を AWS 上で内製開発しています。その開発において、AWS が提唱する AI-DLC(AI-Driven Development Life Cycle)を導入しました。
AWS が公開している AI-DLC ワークフロー(aidlc-workflows)をそのまま使うのではなく、社内のガイドラインやセキュリティ要件に合わせてカスタマイズしています。具体的には、開発スコープ・技術制約・質問事項を整理して議論のたたき台を作る事前フェーズの追加や、社内ルール対応のための Claude Code スキル化などを実施しました。AI-DLC を取り入れた結果、要件定義からデプロイまでの開発期間を 70% 削減しました。この取り組みで開発した新 rApp により、基地局パラメータの全国展開期間を約 50% 短縮しています。
この展示内容については、 KDDI Tech note でも紹介されています。
ポイント:
- AI-DLC は導入して終わりではなく、社内要件に合わせて継続的にカスタマイズ
- コード生成だけでなく設計・レビュー・ドキュメントまで、開発ライフサイクル全体への AI 適用
- 要件定義からデプロイまでの開発期間を 70% 削減、パラメータ全国展開期間も約 50% 短縮
A067:ネットワーク保守 AI エージェント(株式会社NTTドコモ)
NTTドコモは、RAN からコアネットワークまで 世界最大級の 100 万台超の通信機器データを分析し、ネットワークの保守運用を効率化する AI エージェントの商用利用を開始しました。
本展示では、AI が自律的に異常を検知し、複雑な障害の原因特定から復旧手順の提案を行うまでの一連の動作をご紹介しました。本技術により障害復旧時間を 50% 以上短縮し、通信インフラの安定稼働および早期の異常復旧に貢献することで、お客様の通信をつなぎ続けます。
ポイント:
- 100 万台超の通信機器データをリアルタイム分析
- 異常検知 → 原因特定 → 復旧手順提案まで自律的に実行
- 障害復旧時間 50% 以上短縮を商用環境で実現
A068:Amazon Neptune で実現する NW トポロジー可視化(ソフトバンク株式会社)
*資料配布はございません
ソフトバンクは、ネットワークにおける障害検知から復旧までのプロセスを運用者の手を介さず自動で完結させるクローズドループの取り組みを紹介しました。また、この取組みのさらなる拡張のため、Amazon Neptune を用いたトポロジーの時系列化のアプローチを紹介しました。
即時性の高いトポロジー把握はネットワーク運用に有用ですが、ネットワークは計画作業に伴う変動に加え、障害起因の突発的な変動も発生します。そのため、設計情報や config 等の静的データに加え、実際のネットワークの状態変化を示す動的データを継続的に収集し、トポロジー情報へ反映することも重要です。トポロジーの時系列情報を扱うことができれば、障害調査の際にリアルタイムの状態だけでなく障害前後のトポロジー情報を原因の特定や迂回可否判断に活用できます。
ポイント:
- 静的データ+ 動的データを取り込み Digital Twin と実ネットワークとの同期精度を向上
- Amazon Neptune によるグラフデータベースでトポロジーを時系列管理
- クローズドループをさらに拡張し、状態追従性、判断根拠の鮮度、判断の迅速性を向上
A069:通信ネットワーク運用の未来 — エージェンティック AI が実現する自律運用(AWS)
エージェンティック AI が通信事業者のネットワーク運用を自律的に監視・分析・実行し、リアクティブからプロアクティブへ変革するオペレーションセンターのデモを展示しました。すべて Amazon Bedrock AgentCore 上のマルチエージェントで実現し、専門エージェントが協調して RAN〜Transport〜Core の E2E 運用を担います。デモ全体のコンセプトは、 AI が分析・事項を行い、人間は戦略的な意思決定に集中することです。
本展示では、来場者の関心に応じて4つのデモをご覧いただきました。
① データ統合基盤の構築:4つのソースに分散したデータを AWS Glue で正規化・時刻同期・トポロジー相関付けし、Amazon DynamoDB・Amazon Timestream・Amazon Neptune・Amazon Bedrock Knowledge Bases に格納。エージェントが自律判断できる土台を整えます。
② 障害の自動検知・復旧:バックホール回線の物理故障をアラームスパイクから検知し、グラフ解析で真因と巻き添えを切り分け。バックアップルート起動から故障機器の交換手配まで、人手の判断を待たずに数分で完結します。
③ 予測に基づく最適化:Amazon SageMaker が大規模イベント時の需要急増を事前に予測し、サービス・インフラ・トランスポートの3層にまたがる最適化戦略を自動立案。人間の承認後にエージェントが並列実行します。
④ 顧客別のプロアクティブ対応:障害の影響を SLA やビジネスインパクトで把握し、影響の大きいお客様を優先。代替経路への自動切替と、状況に応じたパーソナライズ通知の自動生成までを実行します。
いずれも最終判断は人間が行う Human in the Loop を前提とし、受動的な運用から AI 主導のプロアクティブな運用への変革をご体感いただきました。
ポイント:
- Amazon Bedrock AgentCore 上のマルチエージェントが、データ統合基盤から障害復旧・予測最適化・顧客対応までを自律実行
- 障害検知から復旧までを数分で完結し、需要急増は事前に予測して予防(リアクティブからプロアクティブへ)
- 重要な実行判断は人間が担う Human in the Loop——「AI が分析・実行、人間は戦略に集中」
A065:KDDI が創る、未来のスマートシティ(KDDI株式会社)
*資料配布はございません
KDDI は「つなぐチカラ」で、都市の価値を最大化するスマートシティを推進しています。「100年先の心豊かなくらしのための実験場」を掲げる TAKANAWA GATEWAY CITY では、JR東日本と共創し、都市OS「TAKANAWA GATEWAY URBAN OS」を核としたサービスを展開しています。
本展示では、この都市OS 上で動く 2 つのサービスをご紹介しました。
来街者向け:TAKANAWA GATEWAY CITY アプリ
都市OS のリアルタイムデータを活用し、街で働くワーカーや来街者に、街の中での“快適さ”を提供するアプリです。駅改札やオフィス入館ゲートとの連動で来街タイミングを捉えたレコメンドを実現し、Amazon Bedrock でコンテンツ訴求文章を自動生成しています。
事業者向け:「データダッシュボード」で街の状況を可視化するサービス
街の有事(防災・警備)と平時(マーケティング・イベント計画)を同一機能で可視化・分析するダッシュボードです。3D 人流シミュレーションやリアルタイム可視化に加え、Amazon Bedrock による AI 分析でイベントの成果や改善策を把握できます。
ポイント:
- JR東日本との共創による都市型デジタルツイン
- URBAN OS を核としたリアルタイムデータ連携
- 来街者と事業者それぞれに最適化された体験の提供
A066:AI で変革する通信業界の顧客体験 — Amazon Connect で実現する自律的な顧客支援(AWS)
通信業界の顧客サポートを、AI エージェントでリアクティブからプロアクティブへ、そしてコストセンターと捉えられがちなコンタクトセンターを収益に貢献するバリューセンターへ変革するソリューションを、コンタクトセンターとデバイスの両面から実現する 2 部構成のデモでご紹介しました。
前半:コンタクトセンターの自律型顧客応対エージェント(日本語デモ)
Amazon Connect 上の AI エージェントが、携帯電話料金の問い合わせを日本語で自律対応する様子をご覧いただきました。意図認識から本人確認、請求明細の取得、最適なプランの提案、プラン変更の実行まで、Amazon Bedrock AgentCore Gateway(MCP) で業務システムと連携し、回答だけでなく手続きまでを一気通貫で完結します。人手が必要な場面では会話の文脈を引き継いで有人対応へシームレスにつなぎ、AI が担当者を支援します。
後半:Agentic AI で実現するコネクテッドデバイスケア
デバイスを起点に、問題が起きる前に対応する体験もご覧いただきました。お客様の許可のもと、デバイス上の SDK が多数の診断テストでバッテリー劣化などの予兆を検知し、デバイス上で動く Agentic AI の音声エージェント(Amazon Nova Sonic)がプロアクティブに連絡してその場で解決します。解決しない場合も文脈を引き継いだまま有人対応へつなぐため、お客様が同じ説明を繰り返す必要はありません。海外の通信事業者での導入実績をもとにした発展形で、課題解決を起点に最適な料金プランや端末下取りといった次の提案(=「ケアをコマースへ」)にもつなげられます。
ポイント:
- 前半:Amazon Connect の AI エージェントが日本語で自律対応し、Amazon Bedrock AgentCore Gateway(MCP)連携で手続きの実行まで完結(必要時は文脈を保ったまま有人へ)
- 後半:予測 AI と Amazon Nova Sonic による、デバイス起点のプロアクティブなケア
- リアクティブからプロアクティブへ、コンタクトセンターを収益に貢献するバリューセンターへ(=「ケアをコマースへ」)
まとめ
今回の AWS Summit Japan 2026 AWS Expo「AWS for Telecom」展示では、通信業界における Agentic AI の活用が、ネットワークの設計・構築から運用保守、顧客体験、さらにはスマートシティまで、幅広い領域で商用レベルで活用されていることをお伝えしました。
AWS は今後も通信業界の皆さまと共に、ネットワークの自律化と新たなサービス創出に向けた取り組みを加速してまいります。
著者
神谷 拳四郎
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 技術統括本部 通信・メディア技術本部 通信第二ソリューション部 ソリューションアーキテクト
川岸 基成
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 技術統括本部 通信・メディア技術本部 通信第一ソリューション部 ソリューションアーキテクト
小林 新一
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 技術統括本部 通信・メディア技術本部 通信第一ソリューション部 ソリューションアーキテクト






