Amazon Web Services ブログ
週刊AWS – 2025/9/1週
みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの根本です。
今週も週刊AWSをお届けします。
残暑が厳しいですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?早く涼しくなると良いですね・・・
アップデートの前に一つ宣伝をさせてください。
今月、9月25日にデータベースパフォーマンスの最適化をテーマに、MariaDBとAWSの専門家によるイベントを予定しています!MariaDBを利用する方に限らず、RDSのパフォーマンス最適化をお考えのデータベース管理者やアプリケーション開発者の方がいらっしゃいましたらぜひご活用ください!
- 2025 MariaDB Database Performance Meetup@Japan
2025年9月25日(木)13:00~17:00(開場 12:30)
会場:AWS Startup Loft 東京 / 目黒セントラルスクエア 17F
それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。
2025年9月1日週の主要なアップデート
- 9/1(月)
- 米国の祝日のためアップデートはありませんでした。
- 9/2(火)
- Simplified Cache Management for Anthropic’s Claude models in Amazon Bedrock
Amazon Bedrock の Anthropic Claude モデル (Claude 3.5 Haiku、Claude 3.7、Claude 4) で使いやすさが向上し、簡素化されたプロンプトキャッシング機能が利用できるようになりました。これまでは開発者が明示的にプロンプトの一部を指定し、管理する必要がありました。今回の機能により、リクエスト末尾にキャッシュブレークポイントを設定するだけで、システムは以前にキャッシュされた最も長いプレフィックスから自動的に読み取るため、手動で指定する必要がなくなります。この簡素化されたキャッシュ管理機能はキャッシュ読み取りトークンが 1 分あたりのトークン (TPM) クォータにカウントされないため、マルチターン会話や検索アシスタントの構築がより効率的になります。この機能は各モデルが提供されているリージョン全てで利用可能です。詳細はドキュメントをご確認ください。 - Amazon Neptune Now Integrated with Zep to Power Long-Term Memory for GenAI Applications
Amazon Neptune と Zep の統合が発表されました。Zep は LLM アプリケーション向けのオープンソースメモリサーバーで、ユーザーインタラクション履歴の永続化、取得、および拡張が可能です。これにより、Neptune Database または Neptune Analytics を基盤となるグラフストアとして、Amazon OpenSearch を Zep のメモリシステムのテキスト検索ストアとして使用できるようになり、長期記憶、コンテキスト、推論を備えた LLM エージェントの構築がより簡単になります。詳細についてはこちらのサンプルノートブックをご確認ください。 - Announcing a new open source project for scenario-focused AWS CLI scripts
新しいオープンソースプロジェクト「AWS Developer Tutorials」が GitHub で公開されました。これは 60 以上の AWS サービスに対応したシェルスクリプト集で、エラーハンドリングやリソースのクリーンアップまで含んだシナリオ重視の実用的なCLIコードを提供するものです。従来 AWS CLI でスクリプトを書く際に発生しがちなエラー処理やリソース管理の課題を解決し、Amazon Q Developer CLI などの生成 AI ツールと組み合わせることで、反復的なテストと改善プロセスを通じて動作するスクリプトを生成できます。わずか 15 分程度で動作するスクリプトを作成できるようになります。詳細は GitHubのリポジトリとBuilder Centerの投稿をご確認ください。 - Amazon CloudWatch Synthetics adds multi-browser support for application testing
Amazon CloudWatch Synthetics が既存の Chrome に加えて、Firefox ブラウザをサポートしました。Amazon CloudWatch Synthetics はウェブアプリケーションのテストと監視を可能にするサービスで、Playwright や Puppeteer ベースのカナリアスクリプトを実行できます。今回のFirefox ブラウザサポートによりブラウザ固有の問題特定も対応し、パフォーマンスメトリクス、成功率、ビジュアル監視結果を自動的に収集できます。この機能はすべての商用AWSリージョンで利用可能です。詳細についてはこちらのドキュメントをご確認ください。
- Simplified Cache Management for Anthropic’s Claude models in Amazon Bedrock
- 9/3(水)
- Amazon Bedrock now supports Global Cross-Region inference for Anthropic Claude Sonnet 4
Amazon Bedrock で Anthropic Claude Sonnet 4 のグローバルクロスリージョン推論がサポートされました。これまでもUS、EU、APAC などの特定の地域に紐づいたクロスリージョン推論を選択できました。今回の機能によりトラフィックが集中した際に、これまでより柔軟に分散処理が可能になり、モデルスループットをさらに向上させることができます。詳細についてはクロスリージョン推論によるスループット向上、および 推論プロファイルでサポートされているリージョンとモデルのドキュメントもご確認ください。 - Amazon RDS for Oracle introduces bare metal instances with 25% lower pricing compared to equivalent virtualized instances
Amazon RDS for Oracle と Amazon RDS Custom for Oracle がベアメタルインスタンスをサポートしました。ベアメタルインスタンスは同等の仮想インスタンスと比較して25%低価格で、 M7i、R7i、X2iedn、X2idn、X2iezn、M6i、M6id、M6in、R6i、R6id、R6inがサポートされます。例えば、db.r7i.16xlarge インスタンスと db.r7i.8xlarge インスタンスで実行されているデータベースを、単一の db.r7i.metal-24xl インスタンス上の個別のプラガブルデータベースに統合するなどマルチテナントにして収容率を高めることができます。また、ベアメタルインスタンスは基盤サーバーの CPU コア数とソケット数を完全に可視化するため、商用データベースライセンスとサポートコストを削減できる可能性があります。ライセンス削減の可能性に関しては、Oracle Cloud Policy と Oracle Core Factor Table を参照し、ライセンスパートナーに相談して判断ください。利用可能なインスタンス構成、価格設定、リージョンの可用性については、Amazon RDS for Oracle の料金と Amazon RDS Custom for Oracle の料金を参照してください。 - Amazon CloudWatch now supports querying metrics data up to two weeks old
Amazon CloudWatch の Metrics Insights が、2 週間前までのメトリクスデータのクエリをサポートしました。これまでは 3 時間前までのデータのみ対応していましたが、今回の機能拡張により長期間のトレンド分析や障害の影響調査が可能になります。この機能は全ての商用AWSリージョンで利用可能です。詳細はドキュメントをご確認ください。
- Amazon Bedrock now supports Global Cross-Region inference for Anthropic Claude Sonnet 4
- 9/4(木)
- Amazon Connect adds detailed disconnect reasons for improved call troubleshooting
Amazon Connect で、アウトバウンド通話の詳細な切断理由が確認できるようになりました。従来は通話が失敗した際の原因調査において多くのケースでサポートチケットの作成が必要でした。今回のアップデートにより標準的なテレコムエラーコードに基づいた詳細な理由が表示されるため、コールセンターの運用担当者は迅速にトラブルシューティングを行えます。この機能はAmazon Connectが利用可能なすべてのリージョンで利用可能です。詳細はこちらのドキュメントとベストプラクティスガイドをご確認ください。 - ECS Exec is now available in the AWS Management Console
Amazon ECS のECS Exec がAWS マネジメントコンソールからの実行をサポートしました。これまでECS Exec は AWS API、CLI、または SDK を通じてのみアクセス可能で、コンソールでトラブルシューティングを行う際にはそれらにインターフェースを切り替える必要がありました。今回マネジメントコンソールからの実行をサポートしたことでインターフェースを切り替えることなく、実行中のコンテナに対して安全でインタラクティブなシェルアクセスを直接開くことが可能になりました。この機能はすべての商用AWSリージョンで利用可能です。詳細についてはドキュメントをご確認ください。 - Amazon EC2 announces AMI Usage to better monitor the use of AMIs
Amazon EC2 で AMI (Amazon Machine Image) 使用状況確認機能が提供されました。これまで AMI の使用状況の確認をするには独自スクリプトが必要でした。今回のアップデートにより、インスタンス、起動テンプレート、Image Builder レシピ、SSM パラメータなど、複数のリソース全体でアカウント内の任意の AMI の使用状況を確認できる他、使用しているアカウントを一覧表示するレポートを生成できます。この機能により管理・運用作業を効率的に実施できます。この機能はすべてのリージョンで利用可能です。詳細はこちらのドキュメントをご確認ください。
- Amazon Connect adds detailed disconnect reasons for improved call troubleshooting
- 9/5(金)
- Announcing general availability of Organizational Notification Configurations for AWS User Notifications
AWSのユーザー通知をOrganizations全体で設定および表示できるようになりました。これまで通知設定は各 AWS アカウント個別にしていましたが、今回のアップデートにより管理アカウントもしくは委任管理者(DA)から一元管理できるようになります。また、EventBridgeのイベントによる通知もサポートされます。この機能はすべての リージョンで利用可能です。詳細はドキュメントをご確認ください。 - Enhancing threat detection with Amazon GuardDuty new custom entity lists
Amazon GuardDuty がエンティティリストを使用した脅威検出のカスタマイズをサポートしました。これまでの脅威検出は IP アドレスリストを元に実施することができました。今回のアップデートによりサポートされたエンティティリストにはドメイン、 IP アドレスまたはその両方を含めることができ、より包括的な脅威検出が可能になります。また、エンティティリストは信頼できるソースからのアラート抑制にも利用可能です。この機能はGuardDutyが提供されるすべてのリージョンで利用可能です。詳細はドキュメントをご確認ください。 - Amazon CloudFront launches TLS security policy with post-quantum support
Amazon CloudFront は、既存のすべての Transport Layer Security (TLS) セキュリティポリシーにおいて、ハイブリッド耐量子鍵確立のサポートを発表しました。現在は復号できない情報も量子コンピューティングの発達によって将来的に復号される脅威に対抗する耐量子暗号 (PQC)をクライアントからエッジへの接続において適用し、データを保護することが可能です。PQC は既存ポリシーで自動有効化され、追加設定や料金は不要です。加えて、TLS オプションを強化する新しい TLS 1.3 専用ポリシー(TLS1.3_2025)も提供されました。これにより最新のセキュリティ標準を要求する組織でもより高いセキュリティと性能を実現できます。これらの詳細はドキュメントをご確認ください。
- Announcing general availability of Organizational Notification Configurations for AWS User Notifications
それでは、また来週!
ソリューションアーキテクト 根本 裕規