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Infcurion が AWS Fargate、Amazon RDS for SQLServer への移行で インフラコストを約 30% 削減

Infcurionは、金融・決済領域を中心とした プラットフォーム提供、コンサルティング など プラットフォーム型サービス「ウォレットステーション」「Xard(エクサード)」を中心に、さまざまなサービスに金融機能を組み込むEmbedded Fintech事業を展開しています。

Infcurion では、2022 年 11 月に提供しているウォレットステーションを AWS に移行しました。本ブログでは、Infcurionで提供しているウォレットステーションの AWS への移行検討から移行後の効果について、お客様の声をご紹介します。

移行検討フェーズでの検討観点

AWS への移行検討を開始したのは、2022 年 1 月。検討の結果、AWS に移行することで以下三つの観点で効果があることがわかり、AWS への移行を決めました。

  • 業務要件を実現可能なアーキテクチャ
    ウォレットステーションのサービス開始当初は、DR 要件やセキュリティ要件により AWS の採用を断念していました。ですが、2021 年 3 月の大阪リージョンのローンチや FISC の安全基準準拠が可能であることが確認できたことで、AWS 移行に向けた技術的課題は無くなっていました。
  • エンジニアのキャリア形成
    現場では、AWS の技術を習得している、または習得したいと考えるエンジニアが多く、自身のキャリア観点から AWS を利用した業務経験を積み上げていきたいといった AWS への移行を望む要望がメンバーから出てきていました。メンテナンス対応などでエンジニアの負担が大きくなっていた状況もあり、現場エンジニアの意見やモチベーションも考慮するべきだと考えました。
  • コスト
    AWS の営業担当やソリューションアーキテクトに AWS 移行後のアーキテクチャを相談しながら検討した結果、AWS Fargate、Amazon RDS for SQLServer などの AWSのマネージドサービスを採用したアーキテクチャに移行することで、AWS 移行によるコスト削減を実現できることが確認できました。

アーキテクチャ

移行前からアプリケーションモダナイゼーション化は進めており、コンテナエンジン、CI/CDパイプライン、データベースについてはクラウドの PaaS サービスを利用していました。AWS 移行後はそれぞれ Fargate、GitHub やGitHub Actions、RDS for SQL Server が採用されました。

Fargate については、細やかなリソース設定によって業務量に応じたジャストサイジングを実現する事ができたため、大幅なコスト削減が実現できました。データベースは、SQL Database から RDS for SQL Server に移行しました。

当初は Aurora PostgreSQL への移行も検討されましたが、アプリケーションの移行が課題となり、移行スピードを重視して RDS for SQL Server が採用されました。

AWSへの移行効果

2022 年 1 月に AWS への移行を検討してから約 10 ヶ月年後の 2022 年 11月に AWS への移行をしました。移行した結果、現場エンジニアは、本来の業務に集中できるようになりモチベーションが大きく向上しました。例えば、インフラ面では、AWS だと API や周辺ツールが充実しているため、環境構築に 5 日以上かかっていたものが 1 日で構築できるようになっています。

開発面では、業務要件を実現するための AWS の機能やサービスを採用していますが、採用に向けて参考にできる外部サイトの情報量が非常に多く、さらにアーキテクチャやサービスの仕様確認など、サポート問い合わせだけではなく AWS のソリューションアーキテクトに気軽に相談することができるため、開発スピードが格段に向上し、開発にとって大きなメリットとなっています。

運用面では、ドキュメントの充実や事例の豊富さは運用面でもエンジニアの安心感にもつながっています。また、決済情報の取り扱いというサービスの特性上セキュリティを重視する必要がありますが、移行に合わせて AWS WAF などのマネージドサービスを利用することでスピード感を持って高セキュアな要件を満たすことができるようになりました。

コスト面についても、Fargate 採用によるサイジングの最適化や CI/CD プロセスの改善などで、インフラコストは移行前の約 3 割削減を達成することができました。

今後

長田 嘉充氏 株式会社インフキュリオン 執行役員 CTO

「AWS では新規サービスのリリースや機能改善の頻度が高く、将来的に出てくるであろう顧客要件の実現に対して、スピード感を持って実現できるようになりました。このようなリリースを生かして、ビジネス拡大に伴ったアーキテクチャの最適化を図っていきたいです。」

AWS への移行後、お客様は現在のアーキテクチャの最適化を実現したいと考えています。

  • より幅広い業界・企業への提供方法
    事業規模に応じてサイジング可能な提供方法を開発中です。裾野を広げて、幅広い企業様で金融サービスを自社サービスに取り込めるよう、開発スピードの向上やコスト最適化を実現できる柔軟なアーキテクチャにしていきたい。
  • セキュリティ強化
    CI/CD パイプラインの中で脆弱性診断を自動化するような DevSecOpsなど、AWS のサービスを利用してより高セキュアなシステムを実現していきたい。
  • Amazon Aurora へのデータベース移行
    アプリケーション移行にかかる時間から RDS for SQL Server を採用しているが、AWS はマルチリージョンに関する高可用性など Amazon Aurora の機能強化に注力していて、そのメリットを享受していきたい。

まとめ

Infcurion は、AWS に移行することで、エンジニアのキャリア形成やコスト削減という課題を改善することができました。今後は、AWS の機能やサービスを採用した柔軟なアーキテクチャや Aurora 移行による可用性の向上など、AWS のメリットを活かしてアーキテクチャを最適化していき、お客様のサービス向上につなげていきたいとのことでした。


著者

  • 藤川 貞信(ISV/SaaS Business ソリューションアーキテクト)
  • 内山 義夫(シニアデータベーススペシャリスト)
  • 藤田 将大(データベーススペシャリスト)
  • 菊地 晋哉(アカウントマネージャー)