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【開催報告】第三回 中央省庁向け AWS ガバメントクラウドワークショップ

こんにちは。ソリューションアーキテクトの東 健一です。普段はパブリックセクター技術統括本部で中央省庁のお客様の技術支援を担当しており、主にガバメントクラウドや医療 DX に関わるご支援を担当しております。

2025年11月26日に「第三回 中央省庁向け AWS ガバメントクラウドワークショップ」を開催しました。中央省庁向けのガバメントクラウドワークショップは2024年11月に第一回目、2025年6月に第二回目を開催しており、今回は記念すべき第三回目の開催です。

前回のイベントについて知りたい方は下記のブログをご参照ください。
【開催報告】第二回 中央省庁向け AWS ガバメントクラウドワークショップ

今回のイベントでは、ガバメントクラウドにおけるシステム構築において役立つ耐障害性への考え方やAWSサポートの活用法、AIOpsなどをテーマにプレゼンテーションやワークショップを実施しました。

本ブログでは、イベント内容を簡単にご紹介しつつ、当日のセッションやワークショップの様子を共有いたします。また、各セッション・ワークショップで使用した資料のダウンロードリンクもございますので必要に応じて活用ください。

イベント概要

本ワークショップは以下のような形で実施しました。

  • 日時: 2025年11月26日 (水) 15:00-19:00
  • 場所: アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 目黒オフィス
  • 参加対象: 中央省庁の案件に関わるパートナー、中央省庁職員
時間 セッション・ワークショップ名 スピーカー
15:00-15:05 オープニング ソリューションアーキテクト
東 健一・葉山 明寛
15:05-15:35 ガバクラにおける耐障害性(レジリエンス)の考え方
〜障害は起こりうるもの、どのように備えるべきか?〜
ソリューションアーキテクト
小本 昌兵
15:35-16:05 AWSサポートのベストプラクティス テクニカルアカウントマネージャ
猪又 赳彦
16:05-16:35 AIOps を始めよう on ガバメントクラウド ソリューションアーキテクト
鈴木 陽三
16:45-19:00 FIS によるカオスエンジニアリングと生成 AI 活用ワークショップ ソリューションアーキテクト
東 健一

各セッションの概要と発表資料は以下をご覧ください。

ガバクラにおける耐障害性(レジリエンス)の考え方〜障害は起こりうるもの、どのように備えるべきか?〜

発表資料20251126_ガバクラにおける耐障害性(レジリエンス)の考え方

ソリューションアーキテクトの小本 昌兵より、ガバメントクラウドにおける耐障害性(レジリエンス)に関する発表を行いました。政府機関等における情報システム運用継続計画ガイドラインを踏まえ、従来の「障害を起こさない」システムから「障害が起きても自信をもって対応できる」システムへのメンタルモデルの変化の重要性について解説しました。

あわせて、ビジネス影響分析(BIA)による目標復旧時間(RTO)・目標復旧時点(RPO)の設定や、耐障害性ライフサイクルフレームワークに基づく段階的なレジリエンス向上アプローチについても、具体例を交えながら、ユーザーストーリーマッピングや耐障害性モデリングの手法とともにご紹介しました。

また、上記の取り組みをガバメントクラウドで実現するために「AWS Well-Architectedフレームワーク(信頼性)」をアプリケーション観点で活用する考え方や、生成AIツールを活用してビジネス影響分析(BIA)や耐障害性モデリングを効率化するアイデアなどについてご紹介しました。

AWSサポートのベストプラクティス

発表資料20251126_AWSサポートのベストプラクティス

テクニカルアカウントマネージャの猪又 赳彦より、AWS サポートのベストプラクティスに関する発表を行いました。技術サポートケース起票時の効率的な問題解決に向けて、適切な緊急度の設定方法や、解決したい課題を明確にする記載方法の重要性について解説しました。

あわせて、技術的なお問い合わせに関するガイドラインに基づく早期解決のポイントや、対象リソースの特定方法(インスタンス ID、ARN 等の明記)についても、具体的な例文を交えながら、ステートレスな記述やケースクローズ時の適切な対応方法とともにご紹介しました。

また、上記の効果的なサポート活用を実現するために「1ケース=1質問」の原則や、技術系・非技術系問い合わせの適切な窓口選択、ログファイルや画面キャプチャの効果的な共有方法などの実践例や、プロアクティブサポートとリアクティブサポートの使い分けによる運用最適化の実践例も取り上げ、サポートケースの品質向上を通じて継続的にサポート効果を最大化していくためのアプローチについてご紹介しました。

AIOps を始めよう on ガバメントクラウド

発表資料20251126_AIOps を始めよう on ガバメントクラウド

ソリューションアーキテクトの鈴木 陽三より、AIOps に関する発表を行いました。ガバメントクラウドへの移行やマネージドサービスの活用が進む中、従来型のインフラストラクチャ監視だけでは十分とは言えず、AIOps による運用効率化がますます重要になっていることを解説しました。

あわせて、AIOps を実現するために必要なテレメトリデータ(ログ・メトリクス・トレース)、コスト情報、イベントデータ、ソースコード(IaC を含む)の収集・活用の重要性についても、具体例を交えながら紹介しました。

また、上記の取り組みをガバメントクラウドで実現するために、利用リージョンの制限や AWS Marketplace の利用制約、AWS Organizations を介した機能制限といった制約事項を踏まえた上で、主にStrands SDK を活用した AIOps エージェントの構築例や、マルチアカウント構成におけるクロスアカウントデータ参照の実践例も取り上げ、段階的にAIOpsの成熟度を高めていくためのアプローチについてご紹介しました。

FIS によるカオスエンジニアリングと生成 AI 活用ワークショップ

ワークショップ資料: FIS によるカオスエンジニアリングと生成 AI 活用

ソリューションアーキテクトの東 健一 から、クラウドレジリエンスの考え方と AWS Fault Injection Service (FIS) を活用した障害試験、生成 AI を使った障害調査についてワークショップを実施し、皆様に体験していただきました。

従来の「壊れない」システムを目指す堅牢性のアプローチから、「壊れてもすぐ回復する」システムを目指すレジリエンスのアプローチへの意識変革が重要です。AWS FIS を使用することで、アベイラビリティーゾーンの停電シナリオなど、実環境の条件で障害注入テストを簡単に実行できることを体験いただきました。

また、障害調査・対応の効率化に生成AIを活用するテーマとして、Amazon Q DeveloperAmazon CloudWatch investigations を紹介しました。実際にこれらのサービスを用いて、関連するメトリクスやログ、AWS CloudTrail などの情報を自動で収集・分析し、調査結果から「仮説」と「アクション」を提案することで、障害対応の迅速化・簡易化ができることを体験いただきました。

参加者からは「すぐにでも使いたい内容だった」「実際に手を動かせたので記憶に残りやすいと思いました」「新たな障害対応のアプローチが増えて非常に参考になりました」といった感想が寄せられました。

まとめ

今回のイベントでは、ガバメントクラウドにおけるシステム構築において役立つ耐障害性への考え方やAWS サポートの活用法、AIOps などをテーマにプレゼンテーションやワークショップを実施しました。

耐障害性セッションでは、従来の「障害を起こさない」システムから「障害が起きても自信をもって対応できる」システムへのメンタルモデル変革の重要性が解説され、AWS Well-Architected フレームワークやカオスエンジニアリングを活用したレジリエンス向上手法が紹介されました。AWS サポートセッションでは効率的な問題解決に向けた技術サポートケースの起票方法やベストプラクティスが、AIOps セッションではガバメントクラウドの制約を踏まえた Strands エージェントを活用した運用効率化手法が解説されました。

ワークショップでは、AWS FIS を使った実際の障害注入テストと生成AIを活用した障害調査を体験していただき、参加者からは「すぐにでも使いたい内容だった」「実際に手を動かせたので記憶に残りやすい」「新たな障害対応のアプローチが増えて非常に参考になった」といった声が多く聞かれ、大変好評でした。

ご参加いただいた方におかれましては、お忙しい中ご足労いただき誠にありがとうございました。今後も、AWS ではガバメントクラウドの活用を支援するためのイベントや情報提供を継続して実施してまいります。

ガバメントクラウドに関するお問い合わせ

AWS の公共チームではガバメントクラウド相談窓口を設けております。ガバメントクラウド利用全般に関するお問い合わせについて、担当の営業およびソリューションアーキテクトがご回答いたします。ぜひご活用ください。

https://aws.amazon.com/jp/government-education/worldwide/japan/gov-cloud-advisory-site/

著者について

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東 健一

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社のソリューションアーキテクト。パブリックセクター技術統括本部に所属し、主にガバメントクラウドや医療 DX 、コンテナワークロードに関する案件の技術支援に取り組んでいる。