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リモートワークにおけるハイパフォーマンスCADの利用可能性について

本投稿は Preet Virk と Anne Hecht、 Rajesh Gomatam による記事 Enabling High performance CAD for remote workers を翻訳したものです。

リモートワークへの移行は、製造業を含むすべての企業にとって多くの課題となっています。大容量ファイル内の機密データへの安全なアクセス、及び複雑なエンジニアリング業務に対応する高性能のオンプレミスコンピューティング機器の要件により、エンジニアリングやビジネスオペレーションをリモートで実行することは困難になっています。

Creo は、 3D 製品設計・開発業務で利用される CAD/CAM/CAE 製品の市場をリードするアプリケーションです。リモートワークはニューノーマルとなり、各企業では設計者がリモートから Creo に簡単にアクセスして、設計作業を効率的かつ安全に実行できるようにしたいと考えています。個々のユーザーが個々のグラフィックワークステーションを利用することと比較し、クラウドを活用することで、先行投資や長期契約なしに、わずかなコストで高速で流動的なエクスペリエンスを提供できるため、オフィスワークにもリモートワークにも最適です。

製品設計や製造等エンジニアリングのワークフローでグラフィックを多用するアプリケーションを実行する場合、リモートでの作業は困難な場合があります。しかしそうである必要はありません。クラウドで利用できる Amazon AppStream2.0 のハイパフォーマンスな仮想化環境により、エンジニアやデザイナーが必要なパフォーマンス、スピード、セキュリティを得ることができます。

AppStream 2.0 は、フルマネージド型のアプリケーションストリーミングサービスです。 AppStream 2.0 でデスクトップアプリケーションを一元管理し、あらゆるコンピューターに安全に配信できます。ハードウェアやインフラストラクチャの取得、プロビジョニング、運用等を行うことなく、世界中にユーザー数の制限なく拡張することできます。 AWS では、セキュリティを最も重視する組織向けに設計されたインフラストラクチャとネットワークアーキテクチャのメリットも得られます。アプリケーションは、特定のユースケース向けに最適化された仮想マシン (VM) 上で実行され、各ストリーミングセッションがネットワークの状態に合わせて自動的に調整されるため、 GPU を多用する 3D 設計やエンジニアリングのワークロードなど、各ユーザーはアプリケーションに対してスムーズで応答性の高いエクスペリエンスを得ることができます。

AWS では、 G4 インスタンスファミリーの NVIDIA T4 Tensor コア GPU のように、高性能な NVIDIA Quadro RTX 対応の GPU を提供しています。これにより、複雑なモデルをインポートし、材質に基づいたリアリティーのあるライティング環境をサポートできるようになります。デザイナーやエンジニアは、リモートで作業しながら、クラウドから直接フィードバックを得て、リアルタイムのレンダリングとビジュアルを作成できます。 NVIDIA GPU を使用すると、リアルタイムレイトレーシング、AI、高度なシェーディング、シミュレーションなどの最新機能を使用して 3D グラフィックスのワークロードを強化できます。 Creo を使用するエンジニアは、あらゆる製品設計ワークフローで高度なレンダリング機能を利用でき、大規模なアセンブリでもスムーズなモデル操作を実現できます。また、 NVIDIA RTX により、エンジニアは Creo Simulation Live でリアルタイムのエンジニアリングシミュレーションを行い、 Creo Generative Topology Optimization Extension でジェネレーティブデザインを高速化して、より優れた製品を以前よりも早く作成し、市場投入までの時間を短縮できます。

NVIDIA GPU を搭載した Creo on Amazon AppStream 2.0 の使用を開始する方法: わずか 5 つのステップで Creo を Amazon AppStream 2.0 に設定してデプロイできます。

  1. Image Builder を使用して、ストリーミング用に Creo をインストールし、設定します。
  2. フリートインスタンスを準備して、アプリケーションをストリーミングします。このフリートは g4dn インスタンスタイプを使用し、同時にストリーミングできるユーザー数に合わせてスケーリングポリシーを付与します。
  3. スタックを準備して、ユーザーがアプリケーションをストリーミングできる Web ポータルを作成します。
  4. アプリケーションストリーミングセッション全体でユーザーがアクセスできる永続ストレージを構成します。
  5. ユーザープールを作成して、ストリーミングアプリケーションにアクセスするユーザーを管理します。

これらの手順を実行すると、次の図のようなアーキテクチャとなります。

PTC Creo 用の Amazon AppStream 2.0 環境を構築する方法の詳細については、このデプロイガイドを参照してください。

リモートで作業している製造業のエンジニアは、オフィスに設置しているワークステーションほど高性能なワークステーションが自宅にはない場合があります。ビジネスの継続性を維持するため、 CAE ツールや、 Creo のようなグラフィックを多用する 3次元 CAD のワークフローなど、従業員がオフィスにいるときと同じパフォーマンスとユーザエクスペリエンスを企業は提供する必要があり、それにより生産性を高めることができます。 NVIDIA RTX 対応 GPU を搭載した Creo on AWS により、設計エンジニアは、グラフィックスを多用する CAD での設計において、パワフルなワークステーションを利用しているときと同じように、リモートで安全に作業できます。企業は、ユーザが Active Directory 認証情報を使用してサインインする運用環境にスケールアウトできます。 AWS クラウドとパートナーを活用して、イノベーションを迅速化し、コストを削減しながら、成果を出すまでの時間と市場投入までの時間を短縮します。それを実現するため、インフラストラクチャではなく、可能な限り最高の製品設計にフォーカスしてください。

詳細は、NVIDIA Quadro virtual workstationsNVIDIA for Manufacturing をご覧ください。

翻訳はソリューションアーキテクトの 瀬藤 が担当しました。原文は こちら です。