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IoT@Loft #13 IoTスタートアップVol2
こんにちは、AWSソリューションアーキテクトの渡邊 です。8月19日の IoT@Loft 第13回目のテーマは、「IoTスタートアップVol2」でした。
前回のIoT@Loftはこちら
IoT@Loft とは ?
IoT 関連ビジネスで開発を担当するデベロッパーのためのイベントです。IoT の分野は、「総合格闘技」と呼ばれるほど、必要な技術分野が非常に多岐に渡ること、ビジネスモデルが複雑なケースが多く、全体を理解することは難しいと言われています。その結果、実証実験 (Proof of Concept : PoC) から商品への導入が進まないケースや、PoC でさえ十分に実現できていないケースも多々あります。
IoT@Loft は、そういった IoT 特有の課題と向き合い、情報共有・意見交換を行う場として、参加者の事業や製品開発を成功に近づけることができれば幸いです。この勉強会では、膨大な IoT 関連の情報の見通しを良くするために、各回ごとにテーマを定め、それに沿った形で登壇者に事例や技術のご紹介を頂きます。テーマは、インダストリー、ソリューション、テクノロジー、開発フェーズなどを軸に決めていきます。
IoT@Loftについて詳しく知りたい方はこちらのブログを見て頂ければと思います。
https://aws.amazon.com/jp/builders-flash/202005/iot-loft/
Connpassのグループに入っておくと、次のイベントの通知や、登壇資料の通知が受け取れますので、ぜひご参加ください。
IoT@Loft Connpass
https://iot-loft.connpass.com/
LT セッション
LT1- with/after コロナ時代の不動産IoT
不動産・都市向けIoTプラットフォームを提供しているMyCity様からは、コロナ禍における不動産業界の事業領域の変化と自社で提供しているプロダクトの紹介をしていただきました。
ワークスタイルの変化によりオフィスの利用形態も変化しています。これによって不動産業界では既存の事業領域を再定義する必要がありました。現在のコロナ禍においては一層顕著になっていることですが、MyCity様ではそれ以前から人々が自由な場所で働いたり暮らしたりすることをテクノロジーでサポートしたいという思いから複数のソリューションを提供されています。
今回は主にオフィス・都市開発向けに位置情報、混雑検知、設備連携を提供するIoTプラットフォームのMyPlaceについてお話しいただきました。
ビーコン、開閉センサー、混雑センサー、カメラなど各種ハードウェアを利用してビル設備との連携や同僚の位置検索・空調操作・共用部の混雑把握・働き方の見える化などを行うことができます。
これによって、オフィスで働く人一人一人が最適な場所で作業することができたり、実際のオフィスの活用率をみることができます。加えて、コロナ禍で有用な機能として混雑状況の可視化、接触履歴ログがあります。企業としてどうやって感染を抑制するかの取組みとして利用されています。
Q&A
Q. フロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアは何名程度いらっしゃるのでしょうか?
フロントエンド3名、バックエンド5名 です。
Q. デバイスの選定や設置など、ここのお客様に対してSI的な要素もあるかと思いますが、お客様にどのような形でこのサービスを提供されているのでしょうか。
初期導入費用+月額利用料で標準的なサービス(ハードも含め)で提供し、要望に応じてカスタマイズをSI的に提供しています
Q. Webカメラから”MotionJPGを取得”と仰いましたが、Webカメラの高画質/高フレームレートなCapabilityとなるとMotionJPGとなりがちですが、実際重いばかりで扱いにくくないですか?
処理方法によっては静止画の処理にし、また動画の場合でも画質・FRはなるべく落としています。また極力エッジで処理しています
Q. 御社のエンジニアの方で開発から運用まで全てやられているのでしょうか?また、何人くらいの規模ですか?
原則は弊社エンジニアで行っていますがキャパシティーが足りない場合は開発パートナーを活用しています。フロントエンド3名、バックエンド5名 です。
Q. IoTシステムのテストは普段どのようにされていますか?工夫されている点や難しいことや困っていることがあれば、教えていただきたいです。
QAがテストケースを作って、端末などの環境を極力実際に近づけて実施しています。IoTの常で現地の環境や端末依存、連携先システムの問題で思わぬエラーが起こったり、エラー発生時に原因を切り分けるのが難しいです。
LT 2 -スタートアップとともに歩むハードウェア量産
企画・設計から製造・保守までワンストップで提供しハードウェアの量産を行っているジェネシスホールディングス様からは
これまでのIoT事業開発の経験から成功するためのポイントをお話いただきました。
サーバーサイドエンジニアと組み込みエンジニアのすり合わせを考えると、たとえば、サーバーサイドエンジニアがPush通知を実装したいときにMQTTでデータをPublishすることを組み込み開発者に伝えますが、常にネットワークにつなぐことは消費電力の考慮をしなければならず相互に必要な要件を理解してベストなソリューションをすり合わせする必要があります。これだけでなくIoT開発には多数のパラメータを多数の視点で最適にすることが求められます。
解決策として、スタートアップ企業には得意な分野の作業に集中してもらい、ODMやEMSを担うジェネシスホールディングス様のような企業が組み込み開発や電子回路のアプリServerの開発を実施されています。工場がある深センにはハードウェアを1から設計して作成するエコシステムがあるので有効活用することでスムーズかつコストメリットを享受することができます。IoTの開発を考えるにあたっては、考慮すべき点が多いため、すべてを理解するのは大変です。ReliabilityについてはAWSを利用し、独自でハードウェアを設計開発する必要がある場合はODMやEMSを利用して、自社の得意領域に集中することが大切であると説明していただきました。
LT 3 -AWS IoTを使ったcookpad storeTV端末の管理
cookpad様からはcookpad storeTV端末のAWS IoTを活用した管理機能についてお話いただきました。
cookpad storeTVは全国のスーパーの農業、畜産、水産の売り場に設置するサイネージ端末です。現在約17000台設置されていて、スーパーの売りたい商品をレシピを提供することでアピールすることができたり、レシピに関わる食材のさらなる購買意欲につなげることができます。
もともとは、他社MDMサービスを利用していたので台数と比例して増加するコストや、管理画面はAWSで実装されているので連携に問題がありました。そこでAWS IoTを利用して端末の管理をされています。端末のバージョンやバッテリー状態を取得したい場合に、端末からデバイスごとにTopicを指定して状態のデータをPublishしてAWS IoTルールを利用してAmazon Kinesis、AWS Lambdaを経由してAmazon DynamoDBに保存する仕組みを作られています。このAmazon DynamoDBのデータを管理画面から閲覧することができます。
端末のアプリケーションのアップデートを利用したい場合は、事前にアップデートファイルをS3に置きAWS IoT Jobを使ってファイルのダウンロードURLを提供しています。IoT Jobはステータスを管理することができるので管理画面からJobが成功しているか失敗しているか状況を確認したい場合に利用することができます。これからは管理部分のみでなく、端末内のコンテンツの管理やリアルタイムの更新も構想にあるそうです。
Q&A
Q. ストアTV端末とクラウドとの間のネットワークは何を使われているのですか?モバイル網、WiFi等。
モバイル網を使用。
Q. 既存のMDMソリューションを運用していく場合に比べ逆に開発コストがかかってくることになると思いますが、移行した方が安い(良い)と判断した決め手があれば教えてください。
開発コストよりもランニングコストの削減の方が大きかったため。また、他のデバイスへの展開の可能性を感じたため。
LT 4 -IoT開発を成功させるためのPoCの進め方と実践
発表資料: IoT開発を成功させるためのPoCの進め方と実践
動画: https://www.youtube.com/watch?v=x_ncg7DumMQ
AWSからは、これからIoT開発を進めていく方々に向けて、初期のPoCにおける課題や考慮事項と、そこでAWSがどのように利用可能かについてご紹介しました。IoTにおいても様々なユースケースでPoCやプロトタイプが実施されており、その取り組み方次第で、プロダクションの開発をスムーズに進められることができると考えています。
PoCには大きく2つのタイプがあります。体験評価のためのPoCと設計フィージビリティを確認するためのPoCです。それぞれで目的や成功基準、手段が異なりますし、どちらも重要です。それぞれのPoCをスピーディに重ねていくことでプロダクションの成功率が上げられるのではないでしょうか。このLTでは、それぞれのPoCの要素をリストアップし、ヒト・モノ・カネという観点でそれぞれの課題と、AWS IoTを使った解決方法についてご紹介しています。登壇内容については、SlideShareおよびYouTube動画を御覧ください。
Q&A
Q. デバイスから Amazon DynamoDB にデータを送信していくときに、なぜ Amaozn Kinesis を挟んでいるのでしょうか?
Amazon Kinesis Data Streamsを利用することで、IoTデバイスなどから継続的に送られるデータ(ストリーム)をリアルタイムで収集(バッファリング)し、Lambdaなどを用いてデータをまとまった単位で一括処理をすることが可能となります。デバイスの数やデータの送信頻度が低い場合には、Amazon Kinesis Data Streamsを挟む必要がない場合もあります。一方で、デバイス数、データ送信頻度が高くなると、AWS Lambdaの起動回数およびAmazon DynamoDBのWriteの回数も同時に多くなります。こうなった場合に、AWS Lambdaの起動回数の上限に達する可能性や、起動数が増えることに依るコストの増加が懸念されます。また、Amazon DynamoDBへのアクセスが高頻度になった場合、Amazon DynamoDBの書き込みキャパシティを越えてしまい、書き込みに失敗する可能性があります。こういったことを避けるためにAmazon Kinesis Data Streamsを用いています。
お知らせ
次回 IoT@Loft
第14回目のIoT@Loftは、「IoTにおけるAI/機械学習活用の取り組み」という内容で開催いたします。
イベントの詳細や申込についてはこちらのサイトからご確認ください。
IoT@Loft ウェブサイト
https://aws.amazon.com/jp/start-ups/loft/tokyo/iot-loft/
IoT@Loft Connpass
https://iot-loft.connpass.com/
AWS IoT Deep Diveセミナー
AWS IoT Deep DiveセミナーとはIoT製品やサービスを設計・開発する際のよくある課題や考慮すべき事項を共有し、AWSによるソリューションをより深く・詳細にお伝えするセミナーです。参加者の皆様には、IoT製品やサービスを設計・開発する際のよくある課題や考慮すべき事項などの技術トピック情報やそれらをAWSで解決するため、AWS IoTや関連AWSサービスとそれらの機能についての詳細な解説をAWSの技術者から説明させていただきます。
AWS IoT Deep Diveセミナーの詳細はこちらのブログを見て頂ければと思います。
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/aws-iot-deep-dive/
AWSのソリューションアーキテクトです。好きなサービスはAWS IoT Coreです。好きな飲み物はプロテインです。