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Kiro の Spec が速く、そしてスマートになりました

本記事は 2026 年 5 月 12 日に公開された Ankit Sharma による “Specs just got faster (and smarter)” を翻訳したものです。

仕様駆動開発を導入したとき、Spec フローは最初こそ少し時間がかかるかもしれないが、最終的にはより高品質な実装をもたらすと考えていました。しかし時間が経つにつれ、「構造と品質は遅さを意味する」という前提自体を問い直すようになりました。

たとえば、10 個のタスクを持つ Feature Spec があるとします。そのうち 6 つは独立しています。異なるエンドポイント、異なるファイル、共有状態なし。それでも Kiro は順番に 1 つずつ実行します。あるいは、スコープ・制約・エッジケースをすでに明確に把握している機能であれば、現在のステップごとの承認フローは問題の規模に対してプロセスが多すぎると感じることもあります。逆のケースも起こります。一見シンプルに見える機能のプロンプトに、多くの未記述の前提や曖昧さが含まれており、実装を間違った方向に導いてしまうことがあります。事前の小さな確認が、実装時間(とトークン!)を大幅に節約できます。本日、Kiro IDE にこれらの問題を解決する改善を導入します。Spec フローをより速く開始し、より速く実装し、最初から正しい解決策を得られるようになります。必要なところではスピードを、重要なところでは深さを得られるようになりました。

タスクの並列実行

Spec で「Run all Tasks」をクリックすると、Kiro はタスクリストを分析し、同時に実行できるタスクを特定するようになりました。タスクリストの多くは真に逐次的ではありません。依存関係があります。タスク 2 とタスク 3 がどちらもタスク 1 に依存しているとしても、互いには依存していないことがあります。順番に実行するのは時間の無駄です。Kiro はタスクリストから依存グラフを構築し、同じファイルに書き込むタスク、以前のタスクのコードをテストするタスク、真に独立しているタスクを識別します。同じファイルを扱うタスクは並列実行されません。セットアップやインフラ作業が最初に実行されます。テストはそれが検証するコードの後に実行されます。それ以外はすべて同時に実行され、同時実行されるウェーブ (wave) にグループ化されます。各タスクは独立したコンテキストで実行されるため、タスク間で状態が漏洩することはありません。タスクが失敗しても、他のタスクは実行を続けます。どれが成功し、どれが注意を要するかを確認できます。以前の作業に依存するタスクは引き続き順番を待ちます。並列実行のために設定は不要です。「Run all Tasks」をクリックすれば、Kiro が残りを処理します。独立したタスクが複数ある Spec では、すぐに違いを実感できるでしょう。私たちの経験では、大きな Spec の実装時間が 1 時間超から約 4 分の 1 に短縮されるケースも見られています。

並列タスク実行:独立したタスクがウェーブ (wave) にグループ化されて同時実行される依存グラフ

Quick Plan モードで Spec を高速化

標準の Spec フローには 3 つのフェーズがあります。要件、設計、タスクです。次のフェーズに進む前にそれぞれを承認します。これは未知の領域を探索するときに価値を発揮します。しかし、スコープを明確に把握している、よく理解された機能の場合、Quick Plan モードを使うと正確さを犠牲にせず速く進められます。

プロンプトに基づいて、Kiro は事前に確認事項(スコープ、制約、エッジケース)を質問し、要件・設計・タスクを一度に自動生成します。質問する前に、Kiro はワークスペースをスキャンして言語・フレームワーク・プロジェクト構造を検出し、質問をあなたのスタックに特化したものにします。質問は 4 つの軸を対象とします。スコープと制約、説明の曖昧さ、実装の分岐点、機能の方向性に関する決定です。タスクリストが完成したら、すぐにビルドに取りかかれます。成果物は引き続き作成・保存され、エージェントが実行時に使用します。後から確認・編集することも可能です。タスクの変更を依頼した場合は、タスクのみが再生成されます。設計を調整した場合は、設計とタスクが再構築されます。スコープを変更した場合は、要件からパイプライン全体が再実行されます。Kiro は影響を受ける部分のみを再生成します。

Quick Plan :アイデアからタスクリストまでをワンパスで生成する 5 ステップのワークフロー図

Kiro は実装中、spec の成果物を信頼できる唯一の情報源 (single source of truth) として使用します。これにより、Kiro が行うすべての判断は、文書化された要件や設計上の選択に基づいて追跡できるようになります。Quick Plan は同じ成果に向かうより速いパスであり、構造をスキップするショートカットではありません。

要件分析:ひと通り読むだけでは見逃すものを捕捉する

要件には、一目では気づきにくい微妙な問題が含まれることがあります。たとえば、個々に見ると問題なさそうな2つの要件が、組み合わせてみると同時には満たせない場合があります。 また、読む人によって解釈が分かれ、異なる実装につながってしまう曖昧な表現が含まれていることもあります。 さらに、誰もが「当然そうだろう」と思い込んでいるものの、実際には明文化されていない前提が、後になって問題になることもあります。

Kiro がプロンプトに基づいて要件を生成した後、「Analyze Requirements」を選択すると、ニューロシンボリック AI (Neurosymbolic AI) を活用した深い分析を開始できます。ニューロシンボリック AI は LLM と自動推論を組み合わせ、どちらか単独では実現できないことを達成します。Kiro は曖昧さや矛盾を発見次第(修正案とともに)提示します。それにより、確信を持って設計・実装フェーズに進めます。

曖昧さの検出。Kiro は各要件の複数の解釈をサンプリングし、異なる開発者が異なる意味に取り得る箇所を見つけます。「レコードを削除する」とは、物理削除を意味するのか、論理削除を意味するのか?Kiro が真の曖昧さを発見した場合、「どちらの意味を意図していましたか?」といった、シンプルな 2 択の質問として提示します。

論理分析。Kiro は自動推論を使って、要件が整合しているか(2 つの要件が矛盾していないか)を検証し、要件が何も言及していないギャップを見つけます。これは LLM が矛盾の可能性を推測するのではなく、数学的論理を使ってどんな実装も両方のルールを同時に満たせないことを証明するものです。

内部の仕組みを詳しく知りたい場合は、要件分析の詳細解説をご覧ください。

必要なところではスピードを、重要なところでは深さを

この 3 つの新機能により、Spec はより速くスマートになります。Quick Plan モードは生成を高速化します。並列タスク実行は実装を高速化します。要件分析は、ひと通り読むだけでは見逃す問題を捕捉します。構造はソフトウェアをより良くするものであり、プロセスを遅くするものであってはなりません。今やその両方を実現します。

Quick Plan、並列タスク実行、要件分析は現在利用可能です。Kiro Spec を使い始める

翻訳は Solutions Architect の吉村が担当いたしました。