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富士電機ITソリューションが挑戦する働き方の大変革 〜Amazon Q Developer 活用から Kiro による新しい企業価値創出へ〜
みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの川﨑です。この記事では、富士電機ITソリューション株式会社が Amazon Q Developer Pro サブスクリプションを活用し、開発者が実施する業務だけではなく日常業務でも生成 AI を取り込むことで、業務効率化のその先にある新しい企業価値の創出へと歩みを進めている旅路をご紹介します。
Amazon Q Developer の新規利用についてはAmazon Q Developer のサポート終了に関するお知らせ をご確認ください。
富士電機ITソリューション株式会社について
富士電機ITソリューション株式会社(以下、 FSL )は、システム開発・運用保守・インフラ構築からセキュリティ対応まで、幅広いITソリューションを提供するシステムインテグレーターです。製造・流通・金融・建設など幅広い業界向けの”民需分野”、中央省庁や自治体などの”公共分野”、そして小中学校から大学までをカバーする”文教分野”の 3 本柱で構成され、コンサルティングからシステム設計・開発、ICT インフラ構築、運用・保守までを一気通貫で提供しています。
長年培われた業種・業務ノウハウと、全国規模の顧客基盤を持つ FSL にとって、生成 AI による開発生産性の向上は、自社の競争力強化だけでなく、お客様への付加価値提供を大きく加速する重要なテーマとなっています。
Amazon Q Developer Pro サブスクリプションの展開
FSL では Amazon Q Developer Pro サブスクリプション を 2025年12月に金森 重晴 執行役員 の指揮のもと 20 ユーザーから展開し、現在(2026年4月から)では、50 ユーザー以上へ展開しています。利用場面は、開発現場だけではなく通常業務での活用を推進してきました。導入当初から「まず使ってみる」を合言葉に、各メンバーが自身の業務のなかで生成 AI をどう活かせるかを自律的に模索する文化を育てています。一方的に「こう使ってください」とルールを押し付けるのではなく、自分の業務課題と向き合いながら活用方法を見つけ、社内で事例を共有し合う。このボトムアップ型のアプローチが、想像を超える多様なユースケースを生み出し短期間での利用者拡大を実現できています。勉強会や事例共有会を通して、今後も利用者は拡大していく予定です。
本稿では、2026年4月に実施した Amazon Q Developer ハンズオン勉強会の中でも特に反響の大きかった FSL 社内事例 LT ( Lightning Talk )で共有された 3 名のメンバーの取り組みをご紹介します。
現場から生まれた 3 つの活用事例
事例 1:原田 浩司 氏 – 業務ドキュメント作成の効率化と生成 AI 比較評価 –
原田 氏は、Amazon Q Developer を業務ドキュメントの効率化に活用されています。代表的なユースケースは、テスト結果報告書の作成です。これまで手作業で多くの時間を割いていた報告書ドラフト作成を Amazon Q Developer に支援させることで、レビューに集中できる時間が大幅に増えました。作成時のポイントは、HTML出力をすることです。マークダウン形式よりも表現豊かな報告書として出力できるため、作成後の報告にそのまま活用できる点がポイントです。さらに、管理用のExcelレポートへ変換出力をし、業務の効率化をはかっています。説明時に以下のようにコメントされていました。
「Amazon Q Developer の利点である動作しているファイルの読み書きが実行できることで、生成AIを疑問の回答を得るツールではなく、解決策まで実装できる点が使いやすい」
図1:システム試験結果のHTML出力例 |
図2:システム試験結果のExcel出力例 |
報告書を作成するだけではなく、障害情報を利用し再発防止策を講じるためのインサイトも生成AIを利用し作成しています。この時の説明時には、以下のようにコメントされていました。
「出力結果も妥当な結果が多く、ある程度の経験者が考えたインサイトと同程度である品質になっている」
さらに原田 氏は、Amazon Q Developer と他の生成 AI との比較評価にも取り組んでいます。同じタスクを複数のツールで試し、それぞれの強み・弱みを見極めながら「業務ごとに最適な AI を選ぶ」という視点を社内にもたらしています。ツール選定を「感覚」ではなく「実測」で判断する文化は、今後の AI 活用拡大に向けた重要な資産になっています。
事例 2:久保田 匡史 氏 – 開発者業務の生産性を底上げする使いこなし –
久保田 氏は、日常業務の幅広い場面で Amazon Q Developer を使いこなしています。コーディングの枠を超えた特徴的な活用方法を3つ紹介しました。
従来では紙の書類をスキャンした押印画像から、押印部分を透過画像に変換する作業を画像変換ソフトなどを用い数時間かけて作業をしていました。この作業時間短縮のため、 Amazon Q Developer を活用し、画像編集ソフトで手作業していた業務を自動化されています。
続いて、障害発生時のリスク分析として、修正前後 ( before / after ) のソースコードを Amazon Q Developer に渡し、「この変更にはどのようなリスクが潜在するか」を問いかけるという、レビュー支援ツールとして利活用できるか検証されていました。人間が特定した原因と同じ問題を、ソースコードと一行のプロンプト”問題があれば指摘してください”だけで特定できたとのことです。この結果を受け、レビュー観点の追加だけではなく、潜在的リスクを早期に検出できるツールとして利用を検討されています。
図3:レビュー支援ツールとしての利用レポート
最後に、既存プログラムの理解として、引き継ぎや保守で読み解く必要のあるソースコードを Amazon Q Developer に解説させ、キャッチアップ時間を大幅に短縮されていました。説明時に、以下のようにコメントされていました。
「人間だと理解してドキュメントを作成するために、2週間は必要であった時間が1日で実用レベルのドキュメントを作成することができました。」
図4:既存プログラム理解のレポート |
図5:既存プログラムの画面イメージ |
久保田 氏の使い方は、「生成 AI はコードを書くためのもの」という固定観念を超え、開発者の思考を拡張するパートナーとして位置付けている点が印象的です。
事例 3:前田 隆憲 氏 – 既存資産の分析から業務ツール内製まで –
前田 氏は、より高度で専門性の高い領域に Amazon Q Developer を活用されています。
ログ/テレメトリーの分析として、 Amazon Q Developer の利用データを Amazon S3 へ保存する設定をしています。そのため、ユーザー単位で利用状況が csv ファイルとして保存されます。この保存される膨大なログファイルやテレメトリーデータを Amazon Q Developer に読み込ませ、利用状況分析を行っています。
リバースエンジニアリングでも活用されています。既存ソースコードから画面遷移図や ER 図を生成し、ドキュメントが失われた既存システムの保守性を向上されています。また、プロジェクトルールを活用することで、機能ごとに作成させる設計書のフォーマット統一を図るなど工夫されています。
図6:プログラムから設計書の作成
FSL がソリューションを導入する際の見積もりツールの開発にも Amazon Q Developer を利用しています。情報を入力することで、お客様もしくは社内向けに提示する費用を算出することができ、さらに、PDF化することで印刷して見積書としても利用できるツールとなるように開発をされています。
図7:作成中の見積もりツール画面イメージ
前田 氏の事例は、 Amazon Q Developer を「開発の隣にいるアシスタント」から、業務プロセスに組み込まれたインフラへと昇華させている点が特徴的でした。
勉強会参加者の声
「事例紹介や演習問題を通して、現在の業務の中で活用シーンはありそうなので、積極的に活用していきます。」
「画面の基本的な利用手順から具体的なチャットへの入力内容を確認できてスタートできそうです。事例では、具体的な入力イメージができました。」
「Amazon Q Developer は、コードを書くときだけでなく、調べる・考える・まとめるといった周辺業務全てに効いてきます。一度使い始めると、もう手放せません」
利用者拡大と Kiro への展開
50 を超えるユーザーでの活用成功と、社内から自然発生的に広がる多様なユースケースを受け、FSL は次のステップとして Amazon Q Developer の利用者数拡大、そして Kiro による次世代の開発体験の取り込みへと舵を切ろうとしています。
Kiro は、仕様からコードまでを一気通貫で扱える、スペック駆動の AI 開発ツールです。Amazon Q Developer で「部分最適」の効率化を積み重ねてきた FSL にとって、Kiro は要件定義から設計・実装・テストまでを横断的に変革する、次なるレバレッジ・ポイントとなります。業務効率化ツールの延長ではなく、SDLC(ソフトウェア開発ライフサイクル) 全体を再設計する挑戦が始まろうとしています。
今後の展望:業務効率化から、新しい企業価値の創出へ
FSL の旅路は、コーディングエージェントの導入が「開発者の作業を速くする」ことだけに留まらないことを示されていると考えます。今回事例として紹介いただいたものは、生産性向上に留まらず、自身のお客様へ提供する価値そのものを変えていく動きになっている点が特徴的でした。FSL は今後、Amazon Q Developer の利用者拡大と Kiro の導入も通じて、働き方のイノベーションを起こすことを目指していかれる予定です。生成 AI を導入し利用する本当の目的は、業務や携わっている事業にどのように価値を与えるかにあります。FSL の事例が示すように、現場の一人ひとりが「まずやってみる」を積み重ねることで、自身の業務から事業、さらには、企業全体の変革が形になっていきます。
AWS は、Amazon Q Developer や Kiro をはじめとするコーディングエージェントや生成 AI サービスを通じて、お客様ならではの価値創出の旅路を引き続きサポートしてまいります。生成 AI を活用した開発変革について、ぜひ AWS の担当者にご相談ください。







