Amazon Web Services ブログ
AI inside の AWS 生成 AI 事例:セキュアな生成 AI 環境を実装し、対応帳票テンプレートの大幅な拡充を実現
本ブログは、AI inside 株式会社と Amazon Web Services Japan が共同で執筆しました。
AI inside 株式会社は、生成AI・LLM や自律型 AI をはじめとした最先端テクノロジーの研究開発と社会実装を行うテックカンパニーです。AI エージェント「Heylix」や AI-OCR サービス「DX Suite」に加え、それらを支える AI インフラ「AnyData」と「AI inside Cube」を、政府機関・地方公共団体・民間企業へ広く提供しています。提供する AI サービスは既に、5 万人を超えるお客様に累計 72 億回以上ご利用いただいています。
直面していたビジネス上の課題
AI inside が提供する「DX Suite」は、これまで手入力で行っていた帳票のデジタル化を効率的に実現する AI-OCR サービスです。多くのお客様にご利用頂いていますが、OCR 対象の書類はフォーマットが統一されていない非定型帳票も多く、フォーマット毎に AI モデルの学習が必要となるケースがあり、その対応には約 2000 万円というコストと 1 ヵ月以上の時間が発生するというビジネス上の課題がありました。
この課題を解決するために、LLM を活用した「学習不要であらゆる帳表の読み取りを実現する機能」の実装を進めていました。本機能を「DX Suite」を利用するユーザーに提供するためには、精度・スループット・人件費含むコスト最適化に加え、エンタープライズのお客様が望む高い水準のセキュリティを満たす LLM 環境が必要でした。
ソリューション
Amazon Bedrock は、単一の API を介して AI21 Labs、Anthropic、Cohere、Meta、Mistral AI、Stability AI、および Amazon といった大手 AI 企業からの高性能な基盤モデルを選択できるフルマネージドサービスです。セキュリティ、プライバシー、責任ある AI を備えた生成 AI アプリケーションを構築するために必要な幅広い機能を提供します。
AI inside は Amazon Bedrock を活用することで、精度・スループット・コストにおいて他社モデルと同等以上の水準を確保しながら、Amazon Bedrock の特徴である豊富なモデルのラインナップや最新モデルへの対応などの高い柔軟性を獲得しました。
また、セキュリティの観点からも Amazon Bedrock を採用することによってメリットがありました。「DX Suite」は Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS) 上で稼働しており、AWS PrivateLink を活用することで AWS 内に閉じられたネットワークで Amazon Bedrock を利用することが可能です。また Amazon Bedrock は入力情報やトレーニングに使用するデータを学習しないため、推論データの追加学習が行われないセキュアな LLM 環境を実装できます。
導入効果
AI モデルの学習に必要だった約 2000 万円の費用と 1 ヵ月以上の時間が不要になり、「DX Suite」サービス開始から 7 年間で 13 種類だった非定型帳票プリセットが、わずか 3 ヵ月で 1000 種類を超えました。また Amazon Bedrock を活用した LLM 環境を実装することによって、エンタープライズレベルの顧客が求める水準でのサービス提供が出来るようになりました。
まとめ
Amazon Bedrock を活用した LLM 環境の実装によって、安価かつ短期間での多様な帳票フォーマットへの対応を実現し、エンタープライズレベルの顧客が求める水準でのサービス提供が出来るようになりました。
AI inside では、生成AIエージェント「Heylix」などの新サービスにおいても AWS の先進的なテクノロジーを活用し、高付加価値かつセキュアなサービス提供を目指します。