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Kiro が一般提供開始: IDE とターミナルでチームと共に開発

本記事は米国時間 11 月 17 日に公開された「Kiro is generally available: Build with your team in the IDE and terminal」の日本語抄訳版です。Kiro の最新情報は、https://kiro.dev/ をご覧ください。

7 月に Kiro プレビュー版としてローンチして以来、AI を使った構造化された開発手法として仕様(Specs)駆動開発が広く採用されてきました。私たちは、仕様駆動開発を AI コーディングツールに初めて導入し、業界全体がその価値を認識しています。計画こそが AI エージェントと共に作業する正しい方法です。

この数か月間、リモート MCP(Model Context Protocol)、グローバルステアリングファイル、開発サーバーサポート、Auto エージェントなどの機能を追加し、仕様駆動開発をより柔軟にしてきました。

本日、Kiro の一般提供を開始するにあたり、新しい機能の提供を開始します。これには、1/ 仕様の正確性を検証するプロパティベーステスト、2/ Kiro での開発の進捗を検証する新しい方法、3/ カスタムエージェントを備えたターミナル用の新しい Kiro CLI、そして 4/ 集中管理機能を持つチームプランが含まれます。

Kiro IDE

Kiro IDE は 3 つの新機能を導入します。

プロパティベーステストによる「仕様の正確性」の測定

AI コード生成には根本的な問題があります。コードが実際に仕様通りに動作しているかをどうやって知るのでしょうか?従来のユニットテストは特定の例のみをチェックします。さらに悪いことに、テストを書く人(人間でも AI でも)は自身のバイアスに制限されます。コードをテストするためには、様々な具体的なシナリオをすべて考慮しなければなりませんが実装とテストを同じ存在が書いた場合、思いつかなかったエッジケースを見逃します。AI モデルはしばしば表面的な解決策に走ったり、テストを修正するために無限ループに陥ったりします。

プロパティベーステスト (PBT) は、コードが Spec で定義した動作と一致するかを測定することで、この問題に対処します。特定の例をテストする代わりに、PBT はプロパティ(要件から抽出された一般的なルール)をチェックします。

プロパティとは?:プロパティは普遍的な記述です。任意の入力セットに対して、特定の前提条件が成立する場合、ある述語(期待される動作)が真であるということです。例えば、「任意の認証済みユーザーと任意のアクティブなリストに対して、ユーザーはそのリストを閲覧できる」などです。

どのような仕組みなのか?: Kiro は EARS(Easy Approach to Requirements Syntax)形式を使用した仕様の記述を支援します(例:システムは認証済みユーザーが有効な車のリストを閲覧できるようにしなければならない)。Kiro はこれらの要件からプロパティを抽出し、論理的にテスト可能なものを判断し、数百から数千のランダムなテストケースを生成してコードをチェックします。

例えば、車の販売アプリを開発する場合を考えてみましょう。

  • 従来の単体テスト:「ユーザーが車#5をお気に入りに追加したら、お気に入りリストに車#5が表示される」
  • プロパティベーステスト:「どのユーザーでも、どの車でも、お気に入りに追加した車は必ずお気に入りリストに表示されるべき」という性質を定義します。すると、PBT が自動的に様々なパターンでテストを実行します。例えば、ユーザー A が車#1を追加するケース、ユーザー B が車#500を追加するケース、ユーザー C が複数台まとめて追加するケース、特殊文字を含むユーザー名のケース、新車・中古車・認定中古車など異なるステータスの車のケースなど、数百通りもの組み合わせを自動生成してテストします。これにより、想定外のエッジケースも発見でき、実装が設計意図通りに動作することを確認できます。

このプロセス全体を通じて、PBT は「縮小」を通じて反例を見つけるために探索し、失敗の境界を特定します。—あたかもあなたのコードを壊そうとするレッドチームのようにです。違反や反例を見つけると、Kiro は自動的に実装を更新するか、Spec、実装、または PBT 自体を修正するオプションを提示します。

重要性: PBT は検証や証明ではありませんが、手動では決して書かないようなシナリオ全体で正確性の証拠を提供し、実装が定義した通りに動作するかを示します。

プロパティベーステストの技術的詳細を読む →

チェックポイント

エージェント実行フロー内の以前の変更に戻ることができます。Kiro は、エージェントが変更を加えたりアクションを実行したりするたびにチェックポイントを生成します。進捗を失うことなく、任意のステップをロールバックできます。これは、タスクの実装が進んでいて、進捗を失いたくない場合や、クレジットを使って作業をやり直したくない場合に便利です。

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マルチルートワークスペースサポート

Kiro は、複数のプロジェクトルートを同時に扱えるようになりました。複数の git サブモジュールや単一プロジェクト内の複数のパッケージを持つチームは、AI エージェントを使ってそれらすべてを横断して作業できます。典型的な Kiro ワークスペースには、単一の「ルート」フォルダ(例:/users/bob/my-project)が含まれます。マルチワークスペースサポートにより、単一の kiro ワークスペースが複数のルートを持つことができます。例えば、/users/bob/my-project/shared/utils/auth の両方をトップレベルフォルダとして含む単一のワークスペースです。

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Kiro CLI の導入

Kiro エージェントがターミナルで利用可能になりました。CLI を使用して、機能の構築、ワークフローの自動化、エラーの分析、バグの追跡、修正の提案を、選択したターミナルで数秒で実行できます。フローを維持する高度にインタラクティブなループで作業できます。

何が含まれるのか?: CLI は、Kiro の全機能をターミナルにもたらします。Claude Sonnet 4.5、Claude Haiku 4.5、Auto、ステアリングファイル、高度なコンテキスト管理、ローカルでファイルを読み書きし、API を呼び出し、bash コマンドを実行する MCP ツールが含まれます。Spec 作成サポートは間もなく提供されますが、CLI で既存の spec を使って作業することもできます。

CLI はまた、特定のタスク用にカスタマイズされた専門的な AI アシスタントであるカスタムエージェントもサポートしています。事前承認されたツール権限、コンテキストファイル、カスタムプロンプトで最適化されています。例えばバックエンドスペシャリストは API パターンとスキーマのみに焦点を当てます。フロントエンドエージェントはコンポーネントのみを知っています。各エージェントは、重要なことだけにコンテキストウィンドウを使用します。カスタムエージェントは、繰り返しやコンテキストの劣化のリスクなしに、Kiro がその分野の専門家として機能するように、専門知識を非常に正確にパッケージ化する方法と考えてください。

過去数週間 CLI を使用しているユーザーからは、そのスピードとインタラクティブ性を気に入っているとの声をいただいています。IDE で使用しているのと同じ Kiro サブスクリプションとログインで CLI を使用でき、クレジット制限と超過分は両方のツールで共有されます。

以下のコマンドで macOS または Linux にインストールしてください。

curl -fsSL https://cli.kiro.dev/install | bash

Kiro CLI とカスタムエージェントの詳細を読む →

チーム向け Kiro

チームは、AWS にログインするのと同じ方法で、AWS IAM Identity Center 経由で Kiro にサインアップできるようになりました。管理者は AWS Management Console からアクセスを管理でき、Pro、Pro+、または Power サブスクリプションを割り当てることができます。また、超過分をオンにし、コストを監視し、MCP をセットアップおよび制御し、組織全体で単一の請求書を管理できます。新しい管理ダッシュボードは、チーム、スタートアップ、またはエンタープライズ向けに Kiro を管理するために必要なすべてのツールを 1 か所で提供します。ユーザーとしては、「組織の ID でサインイン」をクリックしてプロセスに従うだけです。

スタートアップ向け Kiro Pro+

本日から、スタートアップ向けオファーも提供します。世界のほとんどの地域で 1 年間の Pro+ ティアアクセスを提供します。シリーズ B までの適格なスタートアップに提供され、2025 年 12 月 31 日まで、クレジットの在庫がある限り利用可能です。既存の AWS Activate クレジットは Kiro に使用でき、両方のオファーは重複適用できます。

こちらから申し込む →

チーム、ツール、テスト全体で、Kiro は、AI 駆動型開発に適切なレベルのコンテキストと構造をもたらすことで、あなたが望む働き方をより良くサポートします。これは始まりに過ぎません。

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