Amazon Web Services ブログ
Kiro 導入ガイド:始める前に知っておくべきすべてのこと
こんにちは。ソリューションアーキテクトのいなりくです。
Kiroweeeeeeek in Japan の Day 1 では、Kiro を利用するうえで最初に押さえておくべき「プラン」「請求」「認証」「移行」について整理します。本記事では、すでに Amazon Q Developer を利用している方とこれから Kiro を使い始める方の二つの立場に分けて解説します。
11 月 18 日に一般提供開始された Kiro について知りたい方はまず「Kiro が一般提供開始: IDE とターミナルでチームと共に開発」と「Kiro CLI の紹介:Kiro エージェントをあなたのターミナルへ」をお読みください。
はじめに : あなたはどちらのユーザーですか?
Kiro の導入における最初のステップは、次のどちらに該当するかを把握することです。
- すでに Amazon Q Developer Pro サブスクリプションを利用している方
- これから Kiro を新規利用する方
両者は使える機能、請求の扱い、必要な操作が大きく異なります。
知っておきたい基本情報
Kiro と Amazon Q Developer の関係
Amazon Q Developer と Kiro は独立したサブスクリプション体系を持つ別製品です。Amazon Q Developer Pro を契約していても自動的に Kiro へ移行されず、手動でのアップグレードが必要です。
ただし、アップグレードをしなくても、現在 Amazon Q Developer Pro のサブスクリプションを保持している場合は、既存の全機能に加えて Kiro の一部機能(Kiro CLI / Kiro IDE を Pro 相当として)を利用できます。
Amazon Q Developer Pro から Kiro Pro プラン以上へのアップグレードでは、サブスクリプションが完全に Kiro へ切り替わり、Amazon Q Developer Pro サブスクリプションは解除されます。
Kiro のプラン体系
Kiro では統一されたクレジットシステムを採用しており、Vibe mode と Spec mode のリクエストが単一のクレジットプールから消費されます。これにより、柔軟にコントロールしながら Kiro をご利用いただけます。クレジットの考え方については「新しい料金プランと新エージェント Auto の発表」もあわせてご確認ください。
認証方式と請求統合
認証方式によって請求方法が変わる点は、多くの導入検討者がつまずきやすい部分です。以下の表では、各認証方式と対応する Kiro プラン、また支払い方法について一覧にまとめています。AWS 請求に一本化したい場合は、AWS IAM Identity Center での認証が必須になります。
| 認証方式 | 対応する Kiro プラン | 支払い方法 |
|---|---|---|
| AWS IAM Identity Center | Pro / Pro+ / Power | AWS アカウント |
| Builder ID | Free/Pro/Pro+/Power | クレジットカード |
| GitHub | Free/Pro/Pro+/Power | クレジットカード |
| Free/Pro/Pro+/Power | クレジットカード |
ユーザー別ガイド
すでに Amazon Q Developer Pro サブスクリプションを利用している方
Kiro の一部機能をそのまま利用できます。Kiro CLI と Kiro IDE が Kiro Pro プラン相当の範囲内で有効になります。既存の IDE プラグインやマネジメントコンソールで提供される Amazon Q Developer の機能は継続利用できます。
ただし、Amazon Q Developer Pro サブスクリプションを維持したままの場合は Kiro のプランは変更できず、Pro プラン相当の機能のみ利用可能で上位プランへの変更ができません。
Kiro CLI への自動アップデート
2025 年 11 月 17 日から手動で q update コマンドでアップデート可能になり、11 月 24 日に自動アップデートが実行されます。設定から自動アップデートを無効化できます。無効化した場合、今後の Amazon Q Developer CLI アップデートは受け取れませんが、重要なセキュリティアップデートは手動でパッチ適用可能です。セキュリティパッチを確実に受け取るため、自動アップデートを有効にしたままの利用を推奨します。
アップデートを実行した場合、設定ファイルは .amazonq から .kiro ディレクトリにコピーされますが、ワークスペースレベル設定は変更されません。新しい設定(プロンプトやカスタムエージェント)は .kiro ディレクトリに保存されます。
Amazon Q Developer CLI から Kiro への詳細なアップグレード手順や設定ファイルの変更点については、「Upgrading from Amazon Q Developer CLI」をあわせてお読みください。
これから Kiro を新規利用する方
新規で Kiro を利用する場合、Amazon Q Developer Pro の既存機能との関係を理解しておくことが重要です。以下は、Kiro Pro プラン以上をご利用の場合に、Amazon Q Developerで利用できる機能と利用できない機能をまとめたものです。
- 利用可能な機能
- Amazon Q Developer IDE プラグイン:Visual Studio、JetBrains で利用可能
- 新規契約の場合に利用できない機能
- AWS マネジメントコンソール内の Amazon Q Developer Pro
- 各種 AWS サービス(Amazon SageMaker など)との連携
次のステップ
企業で利用したい場合は Kiro Pro プラン以上と AWS IAM Identity Center を推奨します。AWS 請求に統合でき、Kiro コンソールでは組織単位での従量管理、ユーザーごとのプラン割り当て、MCP の管理といった統制機能が利用できます。個人で利用する場合は Kiro Free から始めることができ、基本的なコード生成機能に加えて仕様駆動開発も体験できます。
Amazon Q Developer Pro をお使いの方は、既存のサブスクリプションで Kiro の仕様駆動開発やエージェントフックなどの新機能を体験できるため、ぜひ一度お試しください。Kiro は次世代の開発環境として設計されており、新機能への投資が集中しています。既存のワークフローを維持しながらも、段階的に Kiroの機能を評価し、将来的な移行を検討することをお勧めします。まずは現在のサブスクリプションや Kiro Free プランで開発体験を試し、チームのニーズに応じて Kiro Pro プラン以上への移行を進めることで、より効率的で先進的な開発環境を構築できます。
まとめ
Day1 では、Amazon Q Developer の既存ユーザーと Kiro の新規ユーザーそれぞれの視点で、プラン、請求、認証、CLI 移行といった導入前に知っておきたい事項を整理しました。導入への第一歩として、自身がどちらのユーザーなのかを明確にし、必要な情報を適切に理解することが大切です。
Day2 をお楽しみに!
