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Amazon Q Developer CLI から Kiro CLI へ : 知っておくべき変更点
こんにちは、Amazon Q Developer CLI Contributor 兼ソリューションアーキテクトの小西 (konippi) です。
Kiroweeeeeeek in Japan の Day 6 では、Amazon Q Developer CLI から Kiro CLI で変更された点や Kiro CLI のおすすめ機能について解説します。本記事では、Kiro の一般提供で利用可能になった Kiro CLI に焦点を当て、「Amazon Q Developer CLI から Kiro CLI で何が変わったの?」という疑問をお持ちの方の参考になれば幸いです。
まだ Day 5 の記事を読んでいない方はぜひ、松本さん執筆の「インフラエンジニアのあなたも!Shell スクリプト開発で Kiro を使ってみよう」をご一読ください。
はじめに
Kiro が一般提供されてからちょうど 1 週間が経ちましたが、Kiro CLI はもうお試しいただけたでしょうか?まだインストールがお済みでない方は、インストール方法を参考にぜひインストールしてみてください。また、Kiro CLI の概要を知りたい方はぜひ「Kiro CLI の紹介 : Kiro エージェントをあなたのターミナルへ」をご一読ください。
Amazon Q Developer CLI から Kiro CLI へ
Kiro CLI は Amazon Q Developer CLI の次期アップデート版となっており、2025 年 11 月 17 日にリリースされた Amazon Q Developer CLI v1.20.0 より正式に Kiro CLI にアップデートされました。このアップデートに伴い、起動コマンドも q / q chat から kiro-cli に変更されました。
過去の変更履歴を確認したい方は kiro-cli version --changelog=all コマンドよりご確認いただけます。
$ kiro-cli version --changelog=all
Changelog for all versions:
Version 1.20.0 (2025-11-17)
- Added: The Kiro CLI is here! Kiro CLI leverages the Kiro Auto agent to deliver the best results at the best price, in your terminal, and takes you from natural language, to code, to deployment. Kiro CLI supports different agent modes, MCPs, Kiro steering files, and custom agents, allowing you to mold the CLI to meet your needs.
Version 1.19.7 (2025-11-17)
- Added: Kiro CLI announcement. Learn more at kiro.dev/cli-upgrade
Version 1.19.6 (2025-11-13)
- Fixed: Right arrow key being disabled - [#3439](https://github.com/aws/amazon-q-developer-cli/pull/3439)
Version 1.19.5 (2025-11-12)
- Fixed: Minor bug fixes
(以下省略...)
Kiro CLI リリースによる変更点
2025 年 11 月 24 日時点では、ロゴやテーマカラー、設定ファイルパスを除き Kiro CLI は Amazon Q Developer CLI と基本機能に差異はございません。また、Amazon Q Developer サブスクリプションと Kiro サブスクリプション利用における基本機能も差異はございません。つまり、基本機能に関しては今までの Amazon Q Developer CLI と同等であり、これからの Kiro CLI のアップデートを楽しみにしていただけますと幸いです。本記事では、利用条件 (認証方法やライセンスなど) や設定ファイルパスなどの変更点について解説していきます。
利用条件における変更点は以下の通りです。
| 利用条件 | Kiro CLI | Amazon Q Developer CLI |
|---|---|---|
| インストール方法 | ネイティブインストール | dmg と zip ベースのインストール |
| 認証方法 | Google, GitHub, AWS Builder ID, AWS IAM Identity Center | AWS Builder ID, AWS IAM Identity Center |
| エントリーポイント | kiro-cli |
q / q chat |
| ルール | Kiro ステアリング | Amazon Q Developer ルール |
| サブスクリプション (詳細はこちら) | Amazon Q Developer, Kiro | Amazon Q Developer, Kiro |
| ライセンス | AWS Intellectual Property License | Apache 2.0 |
設定ファイルパスの変更点は以下の通りです。
| Configuration | Scope | Kiro CLI | Amazon Q Developer CLI |
|---|---|---|---|
| MCP サーバー | ユーザー | ~/.kiro/settings/mcp.json |
~/.aws/amazonq/mcp.json |
| ワークスペース | .kiro/settings/mcp.json |
.amazonq/mcp.json |
|
| プロンプト | ユーザー | ~/.kiro/prompts |
~/.aws/amazonq/prompts |
| ワークスペース | .kiro/prompts |
.amazonq/prompts |
|
| カスタムエージェント | ユーザー | ~/.kiro/agents |
~/.aws/amazonq/cli-agents |
| ワークスペース | .kiro/agents |
.amazonq/cli-agents |
|
| ルール / ステアリング | ユーザー | ~/.kiro/steering |
~/.aws/amazonq/rules |
| ワークスペース | .kiro/steering |
.amazonq/rules |
|
| 設定 | グローバル | ~/.kiro/settings/cli.json |
– |
他詳細な変更点は以下の通りです。
- Kiro CLI のアップデート時には既存の
.amazonqフォルダを直接変更しない - MCP サーバー、エージェント、ルール、プロンプトは、インストール時に
~/.aws/amazonqフォルダから~/.kiro内の適切なフォルダ (上記参照) に自動的にコピー - Kiro Web ポータルによる認証
- ログは
$TMPDIR/kiro-logに書き込み - 既存のカスタムエージェントは引き続き動作可能
- デフォルトエージェント名が
q_cli_defaultからkiro_defaultに変更 (kiro-cli agentまたはチャット内の/agent listコマンドにて確認できます)- kiro_default の設定パス欄が “No path found” なのはインメモリで管理しているため
- デフォルトエージェントは Amazon Q Developer ルールと Kiro ステアリングの両方をサポート
- UI の色とロゴがアップデート
おすすめ機能
ここからは Amazon Q Developer CLI Contributor の私から Kiro CLI のおすすめ機能をいくつかご紹介します。Kiro CLI には 20 を超える機能が用意されており、その中でも特に便利な機能を厳選してご紹介します。
ファジー検索機能
kiro-cli コマンドでチャット画面を表示している際、Ctrl+S を押下することで全てのコマンドをファジー検索可能な機能が搭載されています。
※ 実験機能 (/experiment) については、有効化された機能のみ表示されます。
カスタムエージェント機能
カスタムエージェントは、異なるユースケースごとに特定の構成を定義することで、Kiro の動作をカスタマイズすることができます。各カスタムエージェントはエージェントがアクセス可能なツール、付与される権限、含めるコンテキストを指定する構成ファイルによって定義されます。カスタムエージェントに関する詳細な内容は「Amazon Q Developer CLI カスタムエージェントで開発の混乱を乗り越えよう」をご一読いただけますと幸いです。
カスタムエージェント機能で解決できることの例を以下に示します。
- 特定のツールを事前承認 : プロンプトなしで実行できるツールを定義
- ツールアクセスを制限 : 利用可能なツールを制限して複雑さを軽減
- 関連するコンテキストを含める : プロジェクトファイル、ドキュメント、システム情報を自動読み込み
- ツールの動作を設定 : ツールの動作方法に関する特定のパラメータを設定
以下の画像では、フロントエンドエージェントとバックエンドエージェントの例を示しています。フロントエンドエージェントには Figma という追加のツールがあり、バックエンドエージェントには PostgreSQL という追加のツールがあることに注目してください。さらに、フロントエンドエージェントは fs_write とすべての Figma ツールを信頼しますが、バックエンドエージェントは fs_write の使用許可を求め、2 つの PostgreSQL ツールのうち 1 つだけを信頼します。

スクリーンショット貼り付け機能
/paste コマンドもしくは Ctrl+V によってクリップボードにコピーしたスクリーンショットを直接チャットに貼り付けることができます。
スクリーンショット貼り付け機能で解決できることの例を以下に示します。
- UI/UX レビューの迅速化 : スクリーンショットをもとに改善点やアクセシビリティの問題を指摘してもらえる
- パフォーマンス分析の効率化 : モニタリングツールのグラフやメトリクスから、ボトルネックを特定してもらえる
/experiment コマンド
/experiment コマンドは、実験的に利用可能な高度な機能を提供するコマンドです。実験機能であるため、
- いつでも変更や削除される可能性があること
- 機能自体完璧でない可能性があること
を認識していただいた上でご利用いただくようお願いします。
現在利用可能な実験機能は以下の通りです。
/knowledge: チャットセッション間で情報を保存・取得できる永続的なコンテキストストレージ機能/thinking: 複雑な問題を段階的に推論するための思考プロセス機能/tangent: 一時的な独立した会話モードに入る機能/todos: タスクリストを作成・管理できる機能/checkpoint: ワークスペースのスナップショットを作成し、ファイルの状態を保存・比較・復元できる機能
(/tangent使用中は使用不可)- コンテキスト使用率インジケーター : プロンプトにコンテキスト使用率をパーセンテージで表示する機能
Delegateツール : バックグラウンドで非同期に実行されるサブエージェントプロセスを起動・管理できる機能
まとめ
Kiro CLI は Amazon Q Developer CLI の次期アップデート版として、基本機能を維持しながら、認証方法の拡張やライセンスの変更などの利用条件、設定ファイルパスなどが刷新されました。また、今回ご紹介したファジー検索やカスタムエージェント機能などのおすすめ機能に加え、開発効率を向上させる便利な機能が多数搭載されています。これからの Kiro CLI に関するアップデートをぜひ楽しみにしていただければと思います。
Kiro CLI に関しては、Kiro のドキュメントを参照し、ぜひたくさんの機能を触ってみてください!


