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Novetta が、災害対応のための IoT と機械学習をエッジに提供
災害対応時には、高い安全基準を維持することが最重要事項となります。人員、車両、機器の位置を知ることは、初期対応者の効率を最大化し、安全性に対する取り組みをサポートするために不可欠です。複数の組織からの参加者がいる状態で、複雑な対応全体でこれらのリソースの場所を追跡することは困難になる可能性があります。対応する組織は、多くの場合、地域、州、連邦の司令センターや、組織同士の相互運用性に欠けています。さらに、使用可能なほとんどの位置追跡ソリューションは、携帯電話ネットワークや衛星ネットワークなどの通信バックボーンに依存しており、信頼性が低く高コストのため、災害対応活動中の使用は困難になります。
Novetta は、公共部門の防御、諜報活動、連邦法執行期間の分野の顧客を対象にしたミッションの成功に注力する、高度な分析ソリューション企業です。当社の目標は、事前に設定されたソフトウェアコンポーネントをエッジにデプロイすることで、対応オペレーション中の状況認識を改善することです。過去 6 か月にわたり、Novetta は AWS Snow ファミリー および AWS 災害対策チームと特別協力体制を取ってきました。AWS との協力により、ミッションで実証済みの Novetta の C4ISR (司令、制御、通信、コンピューター、インテリジェンス、調査、偵察の頭文字) ソリューションである Ageon ISR を統合しました。近年登場した IoT および機械学習機能を備える Ageon ISR は、堅牢な AWS Snowball Edge Compute Optimized デバイスにデプロイされています。デバイスは、臨時災害司令センターのコンピューティングおよびストレージハブとして機能します。
このブログ記事では、Novetta が Snowball Edge デバイスを使用して、災害対応の作業に関するさまざまな要素の場所追跡をシミュレートする方法について説明します。最終的に、エッジでのストレージとコンピューティング機能を備えた Snowball Edge デバイスによって、Ageon ISR ソリューションを統合してこれらの要素を正常に追跡することができました。
AWS で災害対応における全体像を再定義する
AWS は Verizon と提携して、災害対応時の革新的なワークロードと高度な接続性を組み合わせています。Verizon が開催する 2 つの イベントで、Novetta は AWS でコードをデプロイし、エッジでのリアルタイムの人員と重要なアセットの追跡に重点を置いた革新的なソリューションをテストしました。
当社は 2019 年 11 月、ジョージア州ペリーのガーディアンセンターズ施設で、Verizon と Nokia が開催する年次イベント Operation Convergent Response (OCR) をサポートしました。OCR は、初期対応者、地方、州、連邦政府機関に、命を救うためのテクノロジーを実証する機会を提供しています。2020 年 2 月には、当社のソリューションを Steven Todd Dooley Search and Rescue (SAR) フォーラムに持ち込みました。SAR フォーラムは、バージニア州ハンプトンロードで毎年開催される、バージニア州港湾局と米国沿岸警備隊による合同の捜索および救助演習です。この 2 つのイベントでは、インターネットや携帯電話との接続なしで、どのグループの人員やアセットであっても同じ動的マップに配置できるという革新的な機能を実証しました (図 1)。
図 1: バージニア州ハンプトンロードの港湾で、初期対応船舶の位置データを表示する Novetta の Ageon ISR
Novetta のソリューション
当社の高レベルアプローチでは、人、車両、機器に動的に割り当てられた汎用 GPS センサーを使用して追跡情報を表示します。LoRa (長距離) プロトコルは、各センサーと中央 LoRa ゲートウェイ (レシーバーおよびパケットフォワーダー) 間で、長距離の暗号化通信を低電力で可能にします。処理エンジンおよびアプリケーションサーバーは、高耐久化 AWS Snowball Edge Compute Optimized デバイスで起動する Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスで動作しています (図 2)。Snowball Edge デバイスを使用すると、データと EC2 インスタンスを現場に持ち込むことができます。80 TB 以上のストレージ容量が利用可能で、複数のコンピューティングインスタンスを並行してホストする機能を備えた Snowball Edge は、クラウドに接続していなくても機能する堅牢なボックス内で、クラウド環境の一部を提供します。
図 2: 接続可能な環境では、Snowball Edge からのデータはリモートの状況認識用に AWS クラウドでホストする Ageon ISR と同期される
当社のソリューションは、バックホールで Amazon EC2 にホストされた Ageon ISR を確認しつつ、衛星回線接続のリモートユーザーだけではなく、「現場の」ローカルユーザーもサポートします。災害対応時にはオペレーションの接続性は保証されないため、インターネットにアクセスせずにエッジで運用することが重要です。インターネットのバックホールが確立されると、エッジで収集したデータを接続されたクラウド環境で実行中の Ageon ISR のインスタンスと同期し、リモートユーザーに状況認識を提供します。Snowball Edge で動作する最先端の動画処理ソフトウェアを活用し、災害対応時ではよくある状況として低帯域幅で作業できるよう、ビデオ監視フィードの後処理を行います。
センサーの属性を管理するために、現場の Snowball Edge デバイスにホストされている API のモバイルアプリケーションを開発しました (図 3)。このアプリケーションでは、センサーを所持している人や物、センサーの稼働状態、受信内容、バッテリーの状態を追跡します。
図 3: Novetta は、センサー管理 (割り当て、バッテリーレベルなど) 用のエッジで実行するカスタムモバイルアプリケーションを開発
アプリを使用すると、QR コードをスキャンしてセンサーを別の人、車両、機器にすばやく簡単に再割り当てできます (図 4)。
図 4: LoRaWAN GPS センサーにはモバイルアプリケーションですばやくアクセスできる QR コードのラベルを貼付
API (アプリケーションプログラミングインターフェイス) が、割り当てられた LoRaWAN (長距離広範囲ネットワーク) ゲートウェイからのセンサーの位置、ID、バッテリー電圧を統合しました (図 5)。その後、API は NATO 標準 (4676) の追跡メッセージを Ageon ISR に送信しました。センサーの移動速度を調整して、センサーの移動中、各センサーに ping を毎秒送信しました。単 4 電池 3 本は平均で 48 時間持続しました。これは予想されるパケット送信回数に必要な時間を上回っています。
図 5: 位置データは、LoRaWAN を介して Snowball Edge デバイスに送信される
LoRaWAN センサーは「低電力で長距離通信」という評価を得ています。 単一の CISCO IXM ゲートウェイアンテナを使用して、7 マイル以上離れた場所からのパケットを観測することができました。当社では、現場で観測された状況に基づき、Ageon ISR マップ上でゲートウェイ配置の推奨とエリアのラベル付け (「人気のルート」「駐車場」など) を行い、機械学習のパフォーマンスを改善する方法を模索しました。
最初のデプロイでは、ゲートウェイから数マイルの場所の観測記録でも明確にわかりましたが、距離のパフォーマンスは予想を上回りました。SAR フォーラムの終わりまでに、当社のチームはスタック全体を 20 分かけずにセットアップできるようになり、エッジでの柔軟で相互運用可能なソリューションの価値を証明しました。35 平方マイルの開放水域をカバーする同じ地図に、30 以上の組織の船舶と人員を配置することができました (図 6)。当社のチームは、センサーデータを後処理して機械学習モデルをトレーニングしています。これにより、ゲートウェイの配置を改善し、センサーの動作を分類して、初期対応者にリアルタイムでより適切に通知することができます。
図 6: SAR フォーラム中に収集された未加工の GPS センサーデータ
まとめ
OCR および SAR フォーラムでは、最新の IoT デバイスとエッジコンピューティングテクノロジーを使用して、災害対応時の状況認識を強化できることを検証しました。当社は AWS 災害対策と連携して、高度な分析、IoT、エッジコンピューティングテクノロジーによって、複雑な国際対応の取り組みにおけるニーズを満たすソリューションを拡張する方法を模索しています。
図 7: 複数の Snowball Edge デバイスを準備して、対応への取り組みを調整し、在宅勤務を再定義する
次のステップは、「マルチサイト」機能を提供することです。これにより、さまざまなバックホール方式の接続チャネルによって実現されるローカル対応の取り組みをクラウドで監視できます。Novetta は AWS 災害対策と連携して、強化したアーキテクチャ、フィールドネットワーキング、統合サポートを提供し、Snowball Edge ベースのソリューションをより大規模な対応の取り組みに向けた次のレベルに引き上げます。
このブログ記事の動画による説明をご希望の場合は、AWS re:Invent 2019 のプレゼンテーション動画をご覧ください。
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