Amazon Web Services ブログ
今すぐ利用可能 – AWS上でSAP S/4HANAを迅速に展開するためのクイックスタート
Amazon Web Services (AWS)でSAPソリューションアーキテクトを務めるKuang-Shih Howard Leeによる記事です。
今日のビジネスの世界では、スピードがすべてです。企業は、複雑なテクノロジーや展開モデルに対応しながら、一歩先へ行くためにペースを上げてIT資産を変革する必要があります。Amazon Web Services (AWS)では、お客様が時間とリソースを節約できるよう、クラウドへのSAPソフトウェアの導入を簡素化し、そして迅速に追従することに取り組んでいます。手動だと完了まで数日から数週間はかかっていた導入作業に対し、SAP S/4HANAワークロードをAWSクラウド上に3時間以内で展開できる新しいSAP S/4HANA用のAWSクイックスタートを発表できたことを嬉しく思います。
SAP S/4HANAは、コアのエンタープライズビジネス機能をサポートするSAP社の最新世代のエンタープライズリソースプランニング (ERP)ソフトウェアパッケージで、SAP HANAインメモリデータベースに最適化されています。最近リリースしたAmazon EC2 High Memory インスタンスにより、現在SAPを利用しているお客様は、非常に大規模なSAP S/4HANAの展開のためにSAP HANAデータベースをスケールアップ (最大12TBメモリ)、あるいはスケールアウト (最大48TBメモリ)することができます。詳細については、AWSのWebサイトのSAP S/4HANA on AWSを参照してください。
SAP S/4HANA用のAWSクイックスタートとは
SAP S/4HANA用のAWSクイックスタートは、AWS CloudFormation、Python、シェルスクリプトを使って構成された、AWSソリューションアーキテクトが設計したデプロイ自動化ツールです。このクイックスタートは、AWS、SAP、およびLinuxベンダーのベストプラクティスに従って、AWS環境とすぐに使用できるSAP S/4HANAシステムを自動的に構築します。(このクイックスタートはSAPワークロードの展開を自動化するための一連のAWSクイックスタートに追加された最新のものです。また、SAP HANA、SAP Business One, version for SAP HANA、SAP NetWeaver用のクイックスタートも確認してください。)
SAP S/4HANAのコンポーネントと展開オプション
このクイックスタートでは、お客様のAWSアカウントの新規、あるいは既存の仮想プライベートクラウド (VPC)内に、いくつかのAmazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)インスタンスとAWSコアインフラストラクチャサービスで構成されるSAP S/4HANAシステムを展開します。これには主に2つの展開オプションがあります。SAPソフトウェアのインストールありまたはなしの単一シナリオの標準展開 (セントラル構成)と複数シナリオの分散展開です。さらに、共有ファイルシステムにAmazon Elastic File System (Amazon EFS)とNetwork File System (NFS)のどちらを使用するかを選択できます。また、踏み台ホストとリモートデスクトッププロトコル (RDP)サーバーを展開することもできます。以下のコンポーネントの組み合わせを選択して、お客様の要件を満たすSAP S/4HANA環境を立ち上げることができます。
プライマリのリソース:
- SAP HANA プライマリデータベース
- SAP S/4HANA ABAP SAPセントラルサービス (ASCS) サーバー
- SAP S/4HANA プライマリアプリケーションサーバー (PAS)
セカンダリおよびオプションのリソース:
- 高可用性のためのSAP HANA セカンダリデータベース
- 高可用性のためのSAP S/4HANA スタンバイASCSサーバー
- オプションのSAP S/4HANA アディショナルアプリケーションサーバー (AAS)
- オプションの踏み台ホストとRDPサーバー
事業継続性を確実にするために、SAP S/4HANA用のAWSクイックスタートでは、AWSリージョン内のアベイラビリティーゾーン間でSAP HANAシステムレプリケーション (HSR)を使用した高可用性を備えたSAP HANAデータベースを作成することもできます。さらに、アベイラビリティゾーン障害からミッションクリティカルなSAPワークロードを保護するために、SAP HANAデータベースと一緒に高可用性のためのスタンバイASCSサーバーを構成することができます。
このクイックスタートでは、AWS上のSAP S/4HANAとして、次の標準および分散構成の展開オプションを提供しています。
これらの展開オプションの詳細については、SAP S/4HANA用のAWSクイックスタートデプロイガイドを参照してください。
AWS上のSAP S/4HANAアーキテクチャ
次の図は、同じアベイラビリティゾーン内のプライベートサブネットにSAP HANAデータベース、ASCS、PAS、AASを個別に配置する典型的な4サーバーによるSAP S/4HANA、およびパブリックサブネットの踏み台ホストとRDPサーバーから構成される標準的な展開アーキテクチャを示しています。
次の図は、1つのアベイラビリティーゾーン内のプライベートサブネットでプライマリのSAP HANAデータベース、ASCS、PAS、AASを個別に配置し、別のアベイラビリティゾーン内のプライベートサブネットでセカンダリのSAP HANAデータベース、スタンバイのASCSを配置する典型的な高可用性クラスタの展開アーキテクチャを示しています。このアーキテクチャには、Auto Scalingグループの踏み台ホストと最初のアベイラビリティーゾーン内のパブリックサブネットのRDPサーバーも含まれます。
始め方
このクイックスタートによる展開を始めるには、コンポーネントと展開オプションの一般的な理解を深めるためにデプロイガイドを読んで、そしてガイドの指示に従ってお客様のAWSアカウントでクイックスタートを起動するだけです。パラメータの選択内容によって、クイックスタートは1時間半から2時間半の実行で展開を完了します。
テンプレートとコードのソースはGitHubからダウンロードできます。お客様要件に合わせてクイックスタートをカスタマイズしたい場合、AWSクイックスタートのコントリビューターガイドを参照してください。
今後について
新しいオペレーティングシステムバージョンやSAP S/4HANAのソフトウェアパッケージ、AWSサービスとインスタンスタイプに対応するため、SAP S/4HANA用のクイックスタートは継続的に機能強化をしていきます。ご意見やご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。私たちは、皆様のフィードバックを非常に大切にしています。
翻訳はPartner SA 河原が担当しました。原文はこちらです。