Amazon Web Services ブログ

Amazon Q Developer 活用をプロジェクト全体へ拡げた取り組み

※ この投稿はお客様に寄稿いただいた記事です。

開発チームに生成AIアシスタントを導入しても、「どう使えばいいかわからない」という理由で利用が広がらない——これは多くの組織が直面する課題です。

本稿では株式会社 NTTドコモ(以下、ドコモ)の主要な Web サービス提供基盤である『 POPLAR 』において、Amazon Q Developer を個人利用から組織全体の標準ツールへと展開した実践的なアプローチをご紹介します。

一定規模の開発組織における先行事例の創出、ノウハウの体系化、標準化、そして継続的な改善まで、段階的な取り組みの全体像をお伝えします。

1. 先行利用事例の創出

POPLARでは、Amazon Q Developer の導入後も「どの場面で使うと効果があるかわからない。」という声から利用が伸び悩んでいました。この課題を解消するため、実案件を題材にした先行利用事例の創出に取り組みました。

■ POPLARで先行事例が特に効いた理由

  • 一定規模な開発組織であるため、“再現可能な成功例”が必要だった
  • Software/Middleware のバージョンアップ案件は影響調査・差分分析の負荷が高く、AI効果が可視化されやすい工程構造だった
  • 成果を共有する文化があり、成功事例が口コミのようにプロジェクト内に広がった

こうした背景から、Software/Middleware のバージョンアップ案件を題材に、影響調査・設計・コーディングでAmazon Q Developerを活用しました。その結果、最大で約50%の効率化が確認されています。

図1のとおり、影響調査とコーディングで特に大きな改善が見られました。

(図1:先行開発案件の概要と効率化結果)

また、図2のとおり、Amazon Q Developerに対してバージョンアップ作業の前提条件を追加して改修指示をすることで、精度向上が図れました。

(図2:プロンプト活用例)

この様な成功事例を明確に示すことで、開発者の信頼向上およびプロジェクト全体での利用拡大が進むきっかけとなりました。

2.プロジェクト全体へのノウハウ共有と利用促進

先行事例で得た知見をプロジェクト全体へ展開するため、Amazon Q Developer を活用する際に必要な情報を体系化し、Amazon Q Developer という新しいツールを使うことに対する心理的障壁を下げる取り組みを進めました。

具体的には以下を整備しています。

(1) Amazon Q Developer 利用ガイドライン

機能概要、開発フェーズ別の活用パターン、利用時の制約事項、アカウント申請フローなど、AmazonQ Developer を利用するための各種ノウハウを整理し、開発チーム全体へ公開。

(2) 環境設定マニュアル(VS Code/サーバ)

VS Code のセットアップ、IAM Identity Center 設定、既存リポジトリの取得方法など、利用開始に必要な手順をマニュアル化。

(3) コンテキスト活用ガイド

プロジェクト固有のルールや制約事項をコンテキストとして整理し、VS Code に配布。プロジェクト特有の情報を踏まえた高精度な回答を得られる環境を整備。

(4) ユースケース別プロンプト集

実際の利用者からフィードバックを収集し、用途別のプロンプト集として体系化し公開。

説明会やデモの実施により、初めてのメンバーでも迷わず利用開始できる状態を構築しています。

3. Amazon Q Developer のさらなる利用促進に向けた取り組み

一定の利用拡大が進んだ後も、さらなる活用促進のために次の取り組みを実施しております。

(1)開発利用の標準化(生成AI開発ガイドライン)

Amazon Q Developer の利用方法を工程別に整理し、生成AI開発ガイドラインとして文書化しました。
ガイドライン適用案件では最大約30%の効率化を達成しています。
また、図3のとおり、工数削減と品質安定を再現可能とする取り組みも進めています。

(図3:標準化効果)

(2)MCP Server 連携環境の整備

図4のとおり、複数のMCP Serverと連携できるVS Code環境を整備し、共通設定ファイルや連携アプリを配布しました

(図4:MCP Server連携構成)

なお、POPLARプロジェクトでは以下のMCP Serverを活用しています。

(3)利用状況の可視化と個別フォロー
利用ログを用いて利用状況をダッシュボードにて可視化し、プロジェクトに所属する全メンバーの日次でのユーザ単位の「使用状況(チャット・コード生成行数・サジェスチョン数)」を確認出来る様にしました。また、その情報を活用し、利用が進まないメンバーには個別フォローを実施しています。

4. まとめ

本記事では、POPLAR における Amazon Q Developer の活用をプロジェクト全体へ拡げるための取り組みをご紹介しました。

先行事例の創出から始め、以下の通り段階的に取り組むことで生産性向上と利用拡大を実現しました。

STEP1 小さな成功で信頼を獲得(価値証明)

STEP2 ノウハウを体系化して展開(情報共有)

STEP3 組織の仕組みとして定着(標準化)

今回の取り組みが Amazon Q Developer を活用した開発の参考になれば幸いです。

今後も Kiro を活用した仕様駆動型開発などと組み合わせ、AWS が提供する生成AIアシスタントを最大限活用しながら、POPLAR のさらなる進化に取り組んでいきます。

第1回:NTT ドコモの Web サービス基盤『 POPLAR 』開発における Amazon Q Developer 活用はこちら

著者について

株式会社 NTTドコモ 情報システム部 デジタルデザイン担当

担当部長 深谷 治男 ( Haruo Fukaya )

担当課長 小柴 辰久 ( Tatsuhisa Koshiba )

主査 川口 晃平 ( Kouhei Kawaguchi )