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AWS Skill Builder で 生成 AI を勉強する 4 ステップ

こんにちは、AWS トレーニングデリバリーマネージャー の西村航です。

こんな悩みをかかえている方はいませんか?「生成 AI を勉強したいんだけど何から勉強すればよいだろう?」という方、または「基盤モデルをチューニングしたり自社開発したりすることに興味があるけど、どこかに勉強方法がまとまってないかな?」という方。本記事はそういった 生成 AI を勉強したい初学者の方や生成 AI を活用した開発がしたいエンジニアの方を対象にした記事になります。

どこで生成 AI を勉強するのか? AWS Skill Builder で勉強しましょう。AWS Skill Builder は AWS のオンライン学習センターです。何度でも視聴できるオンデマンドの AWS デジタルトレーニング、AWS 認定の公式練習問題、ゲーム形式で AWS を学べる AWS Cloud Quest などなど、幅広い AWS 学習コンテンツにアクセスすることができます。さらに AWS Skill Builder の 有償サブスクリプション にお申し込みいただくと、AWS 認定の公式模擬試験、ハンズオンラボ、AWS Jam Journey などの追加コンテンツをお楽しみいただけます。

本記事では 生成 AI を勉強する方法に関して、学習リソースとして AWS Skill Builder やイベント資料・ブログ記事をご紹介しつつ、4つのステップに分けてお話していきます。

ステップは勉強の内容や目的によって分かれています。

ステップ 1:生成 AI の基礎を勉強したい初学者の方
ステップ 2:公開済み生成 AI 基盤モデルや API をまず活用してみたいエンジニアの方
ステップ 3:公開済み生成 AI 基盤モデルをチューニングしたいエンジニアの方
ステップ 4:生成 AI の基盤モデルを自社開発したいエンジニアの方

それではここから各ステップに分けて詳細にお話していきます。

ステップ1. 生成 AI とは

本ステップは、エンジニアロールではない営業職や企画職の方なども含めた生成 AI 初学者を対象に、そもそも生成 AI とは何か?ユースケースは?といった生成 AI の基礎内容を取り扱います。

1. AWS で始める生成系 AI for Entry:AWS における生成 AI の学習の第一歩となる日本オリジナルコースです。これから生成 AI を業務で活用していく上で、そもそも生成 AI とは何なのか、どのような技術的背景や種類があるのか、業務で活用する上でのユースケースや課題などを学習します。また、それらの課題に対して、AWS がどのように活用できるかを学習します。

2. Generative AI for Executives:生成 AI の概要を説明するコースです。受講者は、生成 AI とは何か、それがどのようにして経営者の懸念や課題に対応するのか、またどのようにしてビジネスの成長をサポートするのかを学びます。また、AI が数多くの業界に大変革をもたらす可能性をどれほど秘めているのかも学びます。

3. Introduction to Generative AI – Art of the Possible:3部構成のシリーズの1個目です。生成 AI とそのユースケースやリスクと利点について紹介するコースです。このコースを修了すると、受講者は生成 AI、およびそのリスクと利点の基本を説明できるようになります。また、自身のビジネスでコンテンツ生成をどのように活用できるかを説明できるようになります。

4. Planning a Generative AI Project:3部構成のシリーズの2個目です。生成 AI に関する技術的な基本と主要な用語について学ぶコースです。また、生成 AI プロジェクトを計画するためのステップを学び、生成 AI を使用するリスクと利点を評価します。

5. Building a Generative AI-Ready Organization:3部構成のシリーズの3個目です。このコースを修了すると、生成 AI 対応組織の構築に関する主な考慮事項を説明できるようになります。また、従業員をスキルアップさせ、職場に生成 AI の思考を導入するためのツールや知識を身に付けることができます。

6. AI ユースケースエクスプローラー: AI に関してユースケースを探すことができるサイトになります。業種やビジネス機能やビジネス成果、テクノロジー など複数のフィルタリングメニューから選択することもできますので、興味のあるユースケースが探しやすい構成となっています。

7. 生成系 AI でプロダクトの価値を高めるには:自社の現状を分析して、生成 AI でプロダクトの価値を上げる3ステップを知ることができる資料です。すぐに始めることができる生成 AI 活用プロジェクトチャートなど AWS の機械学習のサービスをどのように使うのか分かりやすく記載されています。

ステップ2. プロプライエタリ

本ステップでは、エントリーレベルの生成 AI エンジニアの方を対象に、公開済み生成 AI 基盤モデルや API を活用する際に必要な情報を取り扱います。

1. Amazon Bedrock Getting Started:Amazon Bedrock は生成 AI アプリケーションの構築とスケールを素早く行うための基盤モデルと一連のツールを提供するフルマネージドサービスです。このコースでは、Amazon Bedrock の利点、特徴、一般的なユースケース、技術的概念、コストについて学習します。また、チャットボットソリューションを構築するために、他の AWS サービスと Amazon Bedrock を組み合わせて使用したアーキテクチャも確認することができます。

2. Amazon Bedrock で始める生成系 AI アプリケーション:Amazon Bedrock を使った 生成 AI アプリケーションでどんなことができるのかを、実際にサンプルアプリケーションを動かしながら紹介するコースです。アプリケーションのコードは公開されていますので、実際に動かしてみたいという方は、動画を見ながら一緒に環境構築してみていただくこともできます。

3. Foundations of Prompt Engineering:効果的なプロンプトを設計するための原則、テクニック、ベストプラクティスについて学習するコースです。プロンプトエンジニアリングの基礎から高度なプロンプトテクニックまでカバーしています。また、基盤モデルを操作する際に、プロンプトの誤用を防ぎ、バイアスを軽減する方法についても学習します。

4. Amazon CodeWhisperer – Getting Started:Amazon CodeWhisperer は生成 AI を活用した高度なコーディングコンパニオンで、ユーザーの入力時にユーザーとやり取りしながらコードを提案することで、コーディングの効率と生産性を高めます。このコースでは、サポートされている統合開発環境 (IDE) やコードエディタに CodeWhisperer をインストールして、使用する方法を学習します。

5. Amazon Transcribe Getting Started:Amazon Transcribe は、音声をテキストに変換できるフルマネージドの人工知能 (AI) サービスで、自動音声認識技術 (ASR) を用いて音声をテキストに変換します。この Getting Started コースでは、Amazon Transcribe の利点、特徴、一般的なユースケース、技術的概念、コストについて学習します。

6. Amazon Kendra Getting Started:Amazon Kendra は、機械学習による高精度な検索結果と非構造化データの検索機能を提供する自然言語検索サービスです。このコースでは、Amazon Kendra の利点、特徴、一般的なユースケース、技術的概念について学習します。また、ユースケースにさらに適応できる Amazon Kendra を使用した検索ソリューションのアーキテクチャも確認します。

7. PartyRock : 誰でも生成系 AI のアプリケーションを作成し共有できるサービス:PartyRock は生成 AI の様々なユースケースをアプリケーションとして実現し、共有を可能にする AWS の新しいサービスです。PartyRock でアプリケーションを作成してカスタマイズして公開する一連の流れをブログ記事で確認することができます。

8. Build Using Amazon CodeWhisperer:AWS の安全なサンドボックス環境で一連の課題をこなすことで、DevOps プロフェッショナルの皆様に Amazon CodeWhisperer による構築を実際に経験してもらう、実践的なハンズオンラボです。実施するには AWS Skill Builder の有償サブスクリプションが必要になります。

9. Build a Question-answering Bot using Generative AI:このハンズオンラボでは、AWS のサービスに関する質問に答えるチャットボットを作成します。ハンズオンラボは、大規模言語モデル (LLM) のデプロイ、Amazon Kendra データソースとの統合、さらに、ユーザーの質問に対する回答を見つけるために、LLM にクエリを実行して検索拡張生成 (RAG) を使用する Amazon Lex V2 チャットボットの作成といった実践的な経験を提供するよう設計されていますので、このハンズオンラボを実施することで言語モデルの基本的な機能に情報を追加して強化する方法を理解できます。実施するには AWS Skill Builder の有償サブスクリプションが必要になります。

ステップ3. チューニング

本ステップでは、ミドル〜ハイレベルの生成 AI エンジニアの方を対象に、公開済み生成 AI 基盤モデルをチューニングする情報を取り扱います。

1. Amazon SageMaker JumpStart で始める生成系AI :Amazon SageMaker は、機械学習モデルの構築、トレーニング、デプロイを簡単にするフルマネージドサービスです。このコースでは、生成 AI に興味があるが、どのように始めればよいかわからないという方に向けて、Amazon SageMaker を使って、シンプルかつ迅速に生成 AI の基盤モデルをデプロイしたり、チューニングする方法を紹介します。Amazon SageMaker の機能には、ユーザーが迅速に機械学習を開始できるよう Amazon SageMaker JumpStart と呼ばれる機械学習ハブが含まれています。今回のコースでは、画像生成のユースケースをテーマに、Amazon SageMaker JumpStart で公開されている基盤モデルの利用方法をデモ動画で解説していきます。

2. AWS Cloud Quest: Machine Learning:AWS Cloud Quest は、AWSのサービスを利用した演習や実習を通して、実践的なAWSスキルを身につけることができるロールベースの学習ゲームです。AWS Cloud Quest ではいくつかの技術領域から選択できるロールがありますが、本 Machine Learning Role では AWS AI サービスを使用したソリューション構築を支援するソリューション構築課題を探索します。なお、2024年3月時点では英語版のみの提供となります。実施するには AWS Skill Builder の有償サブスクリプションが必要になります。

3. Jam Journey GenAI re:Invent 2023:re:Invent 2023 にて使用されたハンズオンラボです。AWS 環境を触りながら与えられた課題を解決していく実践形式のハンズオンラボで、生成 AI をテーマにした課題が複数ピックアップされています。実施するには AWS Skill Builder の有償サブスクリプションが必要になります。

4. AWS AI Week For Developers:オンラインイベント AWS AI Week for Developers の動画を YouTube で視聴することができます。生成 AI を中心とした AI 技術の基礎から最新情報、そして開発者視点の活用方法 / 適用事例など、「まだ生成 AI について十分な知識がない」とお考えの方から、すでに知識をお持ちの方まで、スキルレベルに合わせた内容になっており、どなたにもお楽しみいただけるコンテンツとなっております。

ステップ4. スクラッチ

本ステップでは、ミドル〜ハイレベルの生成 AI エンジニアの方を対象に、生成 AI の基盤モデルを自社開発する際に必要な情報を取り扱います。

1. AWS で作る自社用基盤モデル (YouTube):本セッションでは、AWS が提供する機械学習基盤を活用して、自社用の大規模言語モデルを独自に学習させるためのベストプラクティスや事例について取り扱います。基盤モデルの特徴と独自構築の必要性、基盤モデル構築のための開発プロセス、基盤モデル作成に関わる AWS の支援体制・テクノロジーを順を追ってお話します。

2. AWS での生成 AI 基礎 Technical Deep Dive Series:YouTube にて視聴できる英語の動画コンテンツになります。本コンテンツでは、最先端の基盤モデルを事前トレーニング、ファインチューニング、デプロイするための概念的な基礎、実践的なアドバイス、実践的なガイダンスなど技術的に深堀りすることができます。

3. 大規模言語モデルからはじめる生成AI:DeepLearning.AI と AWS が共同で Coursera 上で提供するコースです。このコースを受講することにより、データサイエンティストやエンジニアの方は、実世界のアプリケーション向けに LLM を選択、トレーニング、ファインチューニング、デプロイするエキスパートになるための準備を整えることができます。このオンデマンドコースは、約 16 時間の動画、クイズ、ハンズオンラボ、追加の読み物を含む 3 週間のコンテンツで構成されています。

4. FMOps/LLMOps : 生成系 AI の運用と MLOps との違い:最近、多くのお客様は大規模言語モデル (Large Language Model: LLM) に高い期待を示しており、生成 AI がビジネスをどのように変革できるか考えています。しかし、そのようなソリューションやモデルをビジネスの日常業務に持ち込むことは簡単な作業ではありません。本ブログ記事では、MLOps の原則を利用して生成 AI アプリケーションを運用化する方法について説明します。これにより、基盤モデル運用 (FMOps) の基盤が築かれます。さらに、Text to Text のアプリケーションや LLM 運用 (LLMOps) について深掘りします。

Next Action

Next Action では、さらに生成 AI を活用したシステム構築に向けて提案や実装方法の引き出しを増やしていくための、ワークショップ・フレームワーク・事例を取り扱います。

Action 1. Workshop で理解を深める
1. Generative AI Use Cases JP:生成 AI を活用したビジネスユースケースのデモンストレーションです。
2. Amazon Bedrock Workshop:Amazon Bedrock を通じて基盤モデルを活用する実践的な体験を提供するワークショップです。
3. Generative AI Workshop:ユースケースに活用できる生成 AI モデルの構築、トレーニング、デプロイについて、エンドツーエンドで理解できるワークショップです。
4. ML Enablement Workshop:組織横断的にチームを組成し、機械学習による成長サイクルを実現する計画を立てるワークショップです。

Action 2. フレームワークを理解する
1. CAF-AI:CAF-AI は AI への移行を支援する目的で設計されており、AI/ML によってビジネス価値を生み出そうとする組織にとってのメンタルモデルを示しています。
2. Machine Learning Lens | AWS Well-Architected:MLワークロードを設計する際に適用することができるガイダンスとアーキテクチャーの原則です。

Action 3. 事例やアップデートを確認する
1. AWS サービス別資料 (機械学習とAI):AI/ML のサービス別資料です。
2. AWS Summit Tokyo 2023(機械学習とAI):AI/ML カテゴリの AWS Summit Tokyo 2023 セッション資料です。
3. AWS ブログ(カテゴリ:GenerativeAI):AWS 公式ブログに投稿されている生成 AI の記事です。

まとめ

本記事では AWS Skill Builder で生成 AI を勉強する 4 ステップ を紹介しました。
今日から早速始めてみましょう。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!


著者について

西村 航 (Wataru Nishimura) @kuwablo
AWS トレーニングサービス本部 トレーニングデリバリーマネージャー

ジャスミン茶が好きです。