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PartyRock : 誰でも生成系 AI のアプリケーションを作成し共有できるサービス

テキストによる指示から様々なタスクを高精度に行えるのは生成系 AI の特徴の一つです。メールのドラフトを作成したり、アイデアについて意見を求めたり、ちょっとした資料に使うイラストを作成するのは生成系 AI の代表的なユースケースです。 PartyRock は生成系 AI の様々なユースケースをアプリケーションとして実現し、共有を可能にする AWS の新しいサービスです。テキストによる指示と画面操作のみで生成系 AI を組み込んだアプリケーションを作り、共有することができます。次の画面ショットは、私が作成したテキストから資料に使うクリップアートを生成するアプリケーションです。 PartyRock は作ったアプリケーションの共有ができると書きましたが、こちらのリンクから実際に利用いただくことができます。

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PartyRock の背後ではもちろん Amazon Bedrock が使用されています。 Amazon Bedrock では複数の基盤モデルが選択でき、 PartyRock はそれらを組み合わせるインターフェースを提供します。 PartyRock を利用するのに AWS アカウントやクレジットカードは必要ありません。エンジニアの方はもちろん、プログラミングの経験がない方でも簡単かつ無料で使うことができます。

1. PartyRock でアプリケーションを作る

partyrock.aws にアクセスしましょう。画面右上の “Sign in” からログインをします。

PartyRock ではソーシャルログインが可能です。お好きな方法でアカウントの作成・認証を行ってください。

ログインするとトップページに戻ってきます。 “Build your own app” を押しましょう。

App builder が立ち上がります。どんなアプリケーションを作りたいか入力し、 “Generate app” を押します。 ( 日本語への対応は明言されていませんが、試したところある程度解釈できるようです ) 。ゼロベースで作成したい場合は “Start from an empty app” を押します。ここでは「入力されたテキストからプレゼン資料で使えるクリップアートを生成するアプリケーション」と入力しました。

アプリケーションが出来上がりました。要望に沿いある程度自動的に作成してくれます。 input にテキストを入れると Generated Image に画像が作成され、 Prompt に代替テキストが出力されました。日本語で作成しましたが、おおむね意図に沿った内容になっていると思います。

もちろん、自動作成されたアプリケーションを編集したいこともあるでしょう。次のセクションでは PartyRock のアプリケーションをカスタマイズする方法をご紹介します。

2. PartyRock のアプリケーションをカスタマイズする

Edit のボタンを押すことでカスタマイズができます。

PartyRock のアプリケーションは、ウィジェットを組み合わせるように作成します。各ウィジェットには、①プロンプトやモデルなどの詳細設定をするための Edit ボタン、②大きさを調整する角が付属しています。ウィジェットは、次の図 ③ のように “+Add Widget” のメニューか空きスペースの “Create Widget” のテキストを押すことで作成できます。

ウィジェットの種類は次の通りです

  1. User Input : ユーザーのテキスト入力を受け付ける。必ず 1 つは必要。
  2. Static Text : 事前入力されたテキストを表示する。アプリケーションの説明文を書くときなどに使用。
  3. Text Generation : テキストを生成する。
  4. Image Generation : 画像を生成する。
  5. Chatbot : チャットボットとの対話を行う。

ウィジェット同士を連携させるにはどうしたらよいでしょうか ? 例えば、 “User Input” をもとに “Image Generation” をしたいなどです。その際は、ウィジェットの右上にある Edit ボタンを押すことでウィジェットの編集メニューを開き、プロンプトの編集ボックスで “@” をつけることで他ボックスの入力を参照してプロンプトを作成できます。

公開時点では、テキストモデルについてモデルの設定ができます。後述する通り、高性能なモデルほど多くのクレジットを消費します ( 後述しますが、クレジット = 課金額ではないためご安心ください ) 。たとえば、下図では Cohere Command より Claude が 3 倍のクレジットを使用することになります ( 画面は執筆時点のものです ) 。

このように、様々なウィジェットを組み合わせながらアプリケーションを作ることができます。

3. PartyRock でアプリケーションを公開する

アプリケーションを作ったら誰かに使ってほしいものです。 “Make public and Share” を押すことでアプリケーションの公開リンクを取得することができます。リンクを共有することで Bedrock してもらうことができます。

ぜひいろいろなアプリケーションを作ってみてください!

PartyRock する際の注意事項

最後に、 PartyRock を利用する際の注意事項を記載しておきます。

オプトアウトポリシー

PartyRock へ入力するデータはデフォルトで PartyRock の開発と改善、またサービスを運用するためのモニタリングに利用されます。これを許容しない場合、 My Apps の画面からオプトアウトができます。詳細は FAQ を参照ください。

クレジット

PartyRock は無料で使えますが無限に使えるわけではありません。アカウントごとクレジットが割り当てられており、入出力したトークンの量に応じ消費されていきます。現状クレジットを回復する手段は提供されていないのでご注意ください。一方で、安心頂きたいのは公開したアプリが使われてもクレジットは消費されません。自分自身が使った場合のみ消費されます。

おわりに

PartyRock により、プログラミング不要で生成系 AI を用いたアプリケーションを作成し他の人に提供できるようになりました。 AWS では AI/ML のユースケースを発見する “ML Enablement Workshop” の資料をすでに無料で公開しており、  PartyRock と組み合わせることで簡単なユースケースであれば発見から検証までを迅速に行うことができるようになりました。 PartyRock は今後使えるモデルやウィジェットが増えていくと “Build AI apps with PartyRock and Amazon Bedrock” にてアナウンスされています。生成系 AI によるサービスや業務の改革をより一層進めていくために役立てていただければ幸いです。

著者プロフィール

久保 隆宏 (Takahiro Kubo) は AWS Japan の機械学習領域のデベロッパーリレーションを担当しており、「機械学習をするなら AWS 」と感じて頂くべくコンテンツの作成とフィードバックの収集による AWS サービスの改善を行っています。