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フルマネージドの Amazon RDS for SQL Server で Bring Your Own Media によるライセンスモビリティの実現

本記事は 2026 年 6 月 2 日 に公開された “Unlock license mobility with Bring Your Own Media on fully managed Amazon RDS for SQL Server” を翻訳したものです。

長年にわたり、エンタープライズワークロードをクラウドに移行する理由は、管理の容易さ、柔軟なスケーリング、コスト削減を中心に語られてきました。これらは重要な理由ですが、既存のライセンス契約やすでに投資したインフラストラクチャとの兼ね合いで正当化する必要がありました。エージェンティック AI アプリケーションの登場により、その判断基準は変わりました。これらのアプリケーションは、柔軟にスケールする GPU キャパシティ、最新の AI サービスへの低レイテンシーアクセス、そしてデータに直接アクセスして推論できる AI モデルに依存しています。この基盤をセルフマネージドのデータセンターで再現することはますます困難になっています。オンプレミスのインフラストラクチャは管理が難しいだけではありません。クラウドネイティブなエージェンティック AI サービスへのアクセスが限られるため、ビジネスの次の一手に対する制約となりつつあります。

この制約は、業務データが存在するあらゆる場所で顕在化します。多くの企業において、そのデータの大部分は Microsoft SQL Server に格納されており、顧客レコード、注文、在庫、基幹業務システムを支えています。こうしたお客様にとって、移行を妨げていたのは移行したいという意思ではなく、すでに行ったライセンス投資でした。これまで、Software Assurance を持つお客様が SQL Server ライセンスを AWS に持ち込めるのは、Microsoft の License Mobility プログラムを利用したセルフマネージドの Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) 上に限られていました。Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) のようなフルマネージドデータベースの場合、既存の SQL Server ライセンスを持つお客様は、License Included モデルでライセンス費用を二重に支払う必要がありました。

Amazon RDS for SQL Server の Bring Your Own Media (BYOM) がこの問題を解決します。既存の SQL Server インストールメディアと、すでに投資済みのライセンスを持ち込み、フルマネージドデータベースサービスである RDS for SQL Server 上で追加のライセンス費用なしに利用できます。BYOM では、既存の SQL Server Enterprise Edition または Standard Edition のライセンスを再利用できます。AWS License Manager を設定済みであれば、BYOM インスタンスは自動的に追跡され、SQL Server のライセンス使用状況とコンプライアンスを継続的に可視化できます。移行を検討されているお客様のために、Amazon RDS はリフト & シフトのパスを提供し、SQL Server の業務データをフルマネージド環境に移行できます。RDS はパッチ適用、バックアップ、高可用性、モニタリングを自動化しつつ、AWS ネイティブのエージェンティック AI や分析サービスに直接アクセスできる環境を提供します。

本記事では、SQL Server のインストールメディアを Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) にアップロードし、BYOM インスタンスを起動する方法を説明します。

ソリューション概要

既存の SQL Server ライセンスを再利用するには、ライセンスの配布条件に基づき、ライセンス済みの SQL Server Release to Manufacturing (RTM) メディアを Amazon RDS に提供する必要があります。BYOM では、AWS Console から RTM メディアをアップロードします。開始するには、RTM メディアを Amazon S3 にアップロードし、それに対してフルマネージドの RDS for SQL Server BYOM インスタンスを起動します。AWS License Manager を使用すると、Amazon RDS が BYOM インスタンスを自動的に検出し、vCPU 使用量をレポートするため、SQL Server のライセンス消費を継続的に可視化できます。ライセンスコンプライアンスの責任はお客様にあります。

Amazon RDS Console では、データベース作成ページから RDS for SQL Server BYOM インスタンスを直接作成できます。

Create database page in the Amazon RDS console with SQL Server engine option selected

ウォークスルー

このセクションでは、SQL Server 2022 Standard Edition で BYOM インスタンスを作成する手順を説明します。

前提条件

開始する前に、Software Assurance 付きの有効な SQL Server ライセンス (Standard Edition または Enterprise Edition) があることを確認する必要があります。ここからMicrosoft に License Mobility Verification Form を提出する必要があります。

ステップ 1: Visual Studio サブスクリプションから SQL Server RTM メディアをダウンロードする

まず、SQL Server の RTM メディアを Amazon RDS がアクセスできる S3 バケットに配置する必要があります。有効なサブスクリプションをお持ちの場合は、Visual Studio サブスクリプションを通じて Microsoft から RTM ISO ファイルをダウンロードできます。ボリュームライセンスで製品を購入した場合は、Microsoft 365 管理センターからもダウンロードできます。

ダウンロードページで「SQL Server 2022」(またはターゲットバージョン) を検索し、SQL Server 2022 Standard を見つけます。言語として English を選択し (他の言語はサポートされていません)、ダウンロード形式として ISO を選択します。

注意 : 言語は English かつコアベースライセンスの RTM ISO ファイルを使用してください。

SQL Server 2022 Standard download page on the Visual Studio subscription portal showing English language and ISO format options

ステップ 2: Amazon S3 にファイルをアップロードする

S3 バケットがまだない場合は、「バケットを作成」を選択して一意の名前を付けます (この例では sqlserver-byom-media を使用します)。次にアップロード画面で「ファイルを追加」を選択し、SQL Server RTM メディアファイルを選択して、「アップロード」を選択して転送を開始します。

Amazon S3 console showing the sqlserver-byom-media bucket with the SQL Server RTM ISO file uploaded

ステップ 3: 最初の BYOM インスタンスを作成する

RTM メディアが S3 に配置されたら、最初の BYOM インスタンスを作成する準備が整いました。特定のメジャーバージョンに対して初めてインスタンスを起動する際、Amazon RDS Console はバックグラウンドで 2 つのオペレーションを単一のワークフローで処理します。RTM メディアから BYOM エンジンバージョンを作成し (約 20 分)、その BYOM エンジンバージョンに対してインスタンスを起動します。

  1. Amazon RDS Console を開き、左のナビゲーションペインで「データベース」を選択します。
  2. 「データベースの作成」を選択します。
  3. 「エンジンのオプション」で以下を設定します:
    1. エンジンのタイプ : Microsoft SQL Server を選択
    2. データベース管理タイプ : Amazon RDS を選択
    3. エディション : SQL Server Standard Edition を選択
    4. ライセンス : bring-your-own-media を選択
    5. メジャーエンジンバージョン : SQL Server 2022 を選択
    6. マイナーエンジンバージョン : ターゲットバージョンを選択 (例 : 16.00.4245.2.v1)
  4. 「S3 からの SQL Server RTM メディア」 (メジャーバージョンごとに初回のみ表示) で「S3 を参照」を選択 : バケット名 (sqlserver-byom-media) から RTM ファイルを選択し、ISO ファイルを選択します。例 : “Enu_sql_server_2022_standard_core_edition_x64_dvd.iso”
  5. DB インスタンス識別子 : 名前を入力します (例 : sqlserver-se-2022-byom)
  6. 残りの設定 (DB インスタンスクラス、ストレージ、接続、認証、バックアップ、メンテナンス) は、License Included インスタンスと同様に設定します。
  7. すべての設定を確認し、「データベースの作成」を選択します。

Amazon RDS Create database page configured for a SQL Server BYOM instance with the bring-your-own-media license model selected

注意 : 言語は English かつコアベースライセンスの RTM ISO ファイルを使用してください。

重要な制限事項と考慮事項

Amazon RDS for SQL Server で BYOM を使用する際は、以下の考慮事項に留意してください。

まず、SQL Server ライセンスが Microsoft のライセンス契約に準拠していることを確認する責任はお客様にあります。AWS License Manager を使用してライセンス使用状況を追跡できますが、ライセンス上限を超過しても AWS がオペレーションをブロックすることはありません。コンプライアンスはお客様の責任です。

次に、RTM ファイルはコアベースライセンスかつ English 言語のみに対応しています。これらの条件を満たさない場合、BYOM エンジンバージョンの作成は失敗します。

最後に、関連する RDS インスタンス、スナップショット、またはバックアップが存在する間は、BYOM エンジンバージョンを削除できない点に注意してください。

クリーンアップ

不要な課金を避けるため、このウォークスルーで作成したリソースが不要になったら削除してください。

  • RDS インスタンスの削除 : RDS Console → 「データベース」を選択 → インスタンスを選択 → 「アクション」 → 「削除」
  • S3 オブジェクトとバケットの削除 : S3 Console → バケットを選択 → 「空にする」 → 「削除」

まとめ

SQL Server のライセンス投資を守ることと、クラウドで新たな可能性を生み出す AWS の分析およびエージェンティック AI サービスへのデータアクセスパスを確保することを、二者択一にする必要はありません。Amazon RDS for SQL Server の Bring Your Own Media がその道を開きます。Software Assurance をお持ちであれば、Microsoft の License Mobility プログラムを利用して、既存の SQL Server Standard Edition または Enterprise Edition ライセンスをフルマネージドの Amazon RDS 環境に持ち込むことができます。Amazon RDS では、自動バックアップ、モニタリング、パッチ適用、高可用性の恩恵を受けられます。

本記事では、Amazon RDS for SQL Server で Bring Your Own Media (BYOM) を使い始める方法を説明しました。ウォークスルーでは、Release to Manufacturing (RTM) ファイルの S3 へのアップロードと BYOM エンジンバージョンの作成を取り上げました。

SQL Server の業務データとエージェンティック AI の間にあったライセンスの壁は、もはや存在しません。Amazon RDS for SQL Server の Bring Your Own Media サポートの詳細については、以下のリソースをご参照ください :

BYOM は、Amazon RDS for SQL Server がサポートされているすべての商用 AWS リージョンで利用可能です。最新の利用可能状況については、Amazon RDS for SQL Server の料金ページをご確認ください。

翻訳はソリューションアーキテクトの Yoshinori Sawada が担当しました。原文はこちらです。


著者について

Srikanth Katakam

Srikanth Katakam

Srikanth は AWS のシニアデータベースエンジニアで、Oracle、MySQL、PostgreSQL、Amazon Aurora、Microsoft SQL Server、Amazon Redshift などのデータベース技術、および Oracle Apps や Informatica を含むデータ統合プラットフォームにおいて 10 年以上の経験を持っています。Amazon RDS for SQL Server や Amazon RDS Custom for SQL Server を含む Amazon RDS の商用データベースエンジンを専門としています。AWS 上の SQL Server に関する深い専門知識を活かし、AWS のお客様の多様なニーズに応える機能設計に情熱を注いでいます。

Colleen Betik

Colleen は AWS のシニアテクニカルプロダクトマーケティングマネージャーで、Amazon Relational Database Service を担当しています。新しい製品や機能のローンチに向けた差別化されたメッセージングとコンテンツの構築をチームと共に推進しています。Southern Methodist University でマーケティングの B.B.A.、University of Virginia で Global Commerce の M.S.、ESADE で Global Strategic Management の MSc を取得しています。