Amazon Web Services ブログ
週刊生成AI with AWS – 2025/9/8 週
みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの野間です。最近若干?の涼しさを感じる日も増えてきましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。先週はAWS Amazon Nova Igniteの開催発表(申し込みはこちら)や、Amazon Bedrockの新機能アップデートなど、生成AIの実運用に役立つニュースが盛りだくさんでした。今週も引き続き、現場ですぐに活用できる事例やサービスアップデートをピックアップしてお届けしますので、ぜひご一読ください。
新たに2つのプランが追加された「AWS ジャパン生成 AI 実用化推進プログラム」も、たくさんのお申し込みをいただいています。企業やプロジェクト単位でもまだまだ募集中ですので、この機会にご活用いただけますと幸いです。
では今週も生成 AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう!
さまざまなニュース
- 資料公開 & 開催報告 「AWS for Software & Technology | Builders Forum Tokyo – AI Agent 時代の SaaS イベントを開催しました」
このブログは、2025年9月3日に開催されたAWS主催のイベント「AI Agent時代のSaaS」の詳細レポートです。300名以上が参加したこのイベントで紹介された、AIエージェント技術の最新動向と実践的な活用事例について詳しく解説しています。ブログでは、フリー、kubell、エムオーテックスの3社による貴重な導入事例が紹介されており、特に「まほう経費精算」での業務効率化や、Amazon Q Developerの全社導入により月600時間の効率化を実現した具体的な取り組みが詳細に説明されています。また、AWSのソリューションアーキテクトによる3つの技術セッションでは、マルチテナント環境でのAIエージェント設計思想、Observability、セキュリティという本番運用に欠かせない要素が包括的に解説されています。さらに、初心者向けから上級者向けまでのワークショップの内容や、Amazon Bedrock Knowledge Basesを活用したRAGの実装方法も紹介されており、実際に手を動かして学べる貴重な学習機会の様子も詳しくレポートされています。イベントの全資料も公開されていますので是非ご参照ください。 - ブログ記事「チャットから仕様へ : Kiro を用いた AI 支援開発の深掘り」
AIコーディングアシスタントを使っていて「要件を整理するのに1時間かかったのに、肝心のコードは思うように生成されない」という経験はありませんか?今回ご紹介する記事では、この課題を根本から解決する新しいIDE「Kiro」と、その革新的な「仕様駆動型開発」のアプローチについて詳しく解説しています。記事では、従来のAIコーディングアシスタントがなぜ非効率になってしまうのかという根本原因から始まり、Kiroがどのようにstructure.md、tech.md、product.mdなどの基礎ドキュメントを自動生成し、その後requirements.md、design.md、tasks.mdという詳細仕様を作成することで開発プロセスを変革するかを具体的なワークフロー例とともに紹介しています。 - ブログ記事「Kiro の AI エージェントフックで開発ワークフローを自動化する」
開発プロジェクトが成長するにつれて、ドキュメントの更新やテストの同期など、重要だけれど繰り返し発生する作業に多くの時間を取られていませんか?このブログではエージェント型IDE「Kiro」の革新的な「エージェントフック」機能について詳しく解説しています。ブログでは、従来の受動的なAI支援から能動的なAI統合への転換を実現するエージェントフックの仕組みを、具体的な設定方法とともに紹介しています。エージェントフックは、ファイルの保存や編集といったトリガーイベントに対して、AIが自動的にテスト更新やドキュメント同期などのアクションを実行する機能で、自然言語による設定が可能です。ブログでは、TypeScriptプロジェクトでのユニットテスト自動更新やPythonアプリケーションでのテスト生成、APIドキュメントの自動同期など、実際の開発現場で即座に活用できる具体的な実装例が豊富に紹介されています。また、フックの設定からチーム共有、ベストプラクティスまで、実際の運用に必要な知識が体系的にまとめられています。
サービスアップデート
- Amazon SageMaker Unified StudioにおけるAIアシスタント機能の改善
Amazon SageMaker Unified Studioの開発環境において、Amazon Q Developerのチャット機能が改善され、Jupyter NotebookとCode Editorでのコマンドライン操作時にもAmazon Q Developerが利用可能になりました。Model Context Protocol (MCP)サーバーとの統合により、プロジェクトのリソース(データ、コンピューティング、コードなど)を認識し、データエンジニアリングや機械学習開発作業において、より個々に合わせたサポートを提供できるようになります。コードのリファクタリングやファイルの修正、トラブルシューティングなどのタスクに対して、より関連性の高い支援が可能になり、開発者の生産性向上に貢献します。この機能はAmazon Q Developer Free Tierで無料で利用でき、Amazon SageMaker Unified Studioが利用可能なすべてのAWSリージョンで提供されています。 - Amazon Q in Connect が Connect Web UI で直接LLMを選択可能に
カスタマーサービス向けの生成AI搭載アシスタント「Amazon Q in Connect」において、コンタクトセンターの管理者がAmazon Connect web UIから直接異なる大規模言語モデル(LLM)を選択できるようになり、AIエージェントの設定がよりシンプルになりました。管理者はコードを書くことなく、ビジネスニーズに合わせて最適なLLMを選択できます。例えば、素早いレスポンスが必要な場合はAmazon Nova Proを、複雑な推論が必要な場合はAnthropic Claude Sonnetを選択するなど、顧客とのやり取りの種類に応じて柔軟にモデルを切り替えることが可能です。 - Amazon BedrockでTwelveLabs’ Marengo Embed 2.7の同期推論が利用可能に
Amazon BedrockでTwelveLabs社のMarengo 2.7モデルの同期推論がサポートされるようになりました。これまでは動画や音声ファイルなどの大容量コンテンツ処理に特化した非同期推論のみでしたが、今回のアップデートによりテキストや画像の埋め込みベクトル生成において低遅延での同期処理が可能になりました。これにより、自然言語クエリによる瞬時の動画検索や、画像の類似性を使ったインタラクティブな商品発見など、よりレスポンシブな検索・検索体験を構築できるようになります。一般ユーザーにとっては、動画コンテンツから特定のシーンを素早く見つけたり、商品画像から類似商品を即座に発見できるなど、より直感的で高速な検索体験が提供される点が大きな価値となります。生成AIを活用している開発者にとっては、マルチモーダル埋め込みモデルの高度な機能を低遅延で活用できることで、リアルタイム性が求められるアプリケーションの開発が格段に容易になり、ユーザーエクスペリエンスの向上と開発効率の改善を同時に実現できます。 - Amazon Bedrock AgentCore GatewayがAWS PrivateLinkの呼び出しと呼び出しログ機能をサポート
Amazon Bedrock AgentCore Gatewayにおいて、AWS PrivateLinkによる呼び出しと、Amazon CloudWatch、Amazon S3、Amazon Data Firehoseを通じたinvocation loggingがサポートされるようになりました。AgentCore Gatewayは開発者がエージェントツールを安全かつ大規模に構築、デプロイ、発見、接続するための基盤を提供するサービスです。AWS PrivateLinkサポートにより、VPC内のユーザーやエージェントがパブリックインターネットを経由することなく、プライベートネットワーク経由でAgentCore Gatewayにアクセスできるようになり、セキュリティが大幅に向上します。また、呼び出しログを使用すると、各呼び出しログを可視化し、問題や監査アクティビティを深く掘り下げることができます。Amazon Bedrock AgentCore は現在プレビュー段階で、米国東部 (バージニア北部)、米国西部 (オレゴン)、アジア太平洋 (シドニー)、およびヨーロッパ (フランクフルト) でご利用いただけます。 - AWSがセキュリティ分析強化のためのCloudTrail MCP Serverを発表
AWS Labs MCPオープンソースリポジトリにAWS CloudTrail用のModel Context Protocol(MCP)サーバーを追加しました。これにより、AIエージェントが会話形式のインターフェースを通じて、CloudTrailの包括的なセキュリティおよびコンプライアンス機能を活用できるようになります。AIアシスタントはAPI呼び出しの分析、ユーザーアクティビティの追跡、AWS環境全体での高度なセキュリティ分析を自然言語で実行でき、90日間の管理イベント履歴の検索や最大10年間のCloudTrail LakeデータへのTrino SQLも実行可能です。セキュリティ担当者にとっては、複雑なセキュリティ調査やコンプライアンスワークフローが大幅に効率化され、専門的な技術知識がなくても直感的にセキュリティ分析を実行できる点が大きな価値となります。カスタムAPI統合を構築することなく、AIエージェントが自然言語でセキュリティデータにアクセスし、高度な分析を自動化できることで、セキュリティ運用の自動化と効率性が向上します。 - Amazon SageMakerノートブックがP6-B200インスタンスタイプをサポート
Amazon SageMakerノートブックでAmazon EC2 P6-B200インスタンスの一般提供が開始されました。P6-B200 インスタンスには、1440 GB の高帯域幅 GPU メモリを搭載した 8 機の NVIDIA B200 GPU、第 5 世代インテル Xeon スケーラブルプロセッサ (Emerald Rapids)、2 TiB のシステムメモリ、30 TB のローカル NVMe ストレージが搭載されており、従来のP5enインスタンスと比較してAIトレーニングで最大2倍の性能向上を実現します。LLM、MoEモデル、マルチモーダル推論モデルなどの大規模ファウンデーションモデルの開発やファインチューニングが可能で、JupyterLabやCodeEditor環境で効率的に実験できるようになり開発サイクルの短縮と、より高品質なAIモデルの構築が実現できます。Amazon EC2 P6-B200 インスタンスは、AWS 米国東部 (オハイオ) および米国西部 (オレゴン) リージョンの SageMaker ノートブックで利用できます。
今週は以上です。それでは、また来週お会いしましょう!