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週刊生成AI with AWS – 2025/10/20 週
みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの野間です。ようやく秋の深まりを感じる空気となりました。今年も残すところあと2ヶ月ほどとなりましたが、生成AIの世界は相変わらず目まぐるしい進化を続けています。AWS re:Invent 2025 (2025年12月1日~5日) の開催も近づいてきており、今年はどのような革新的な発表があるのか、今から楽しみでなりません。特に生成AI分野での発表の期待が高まりますね。
直前のご案内になりますが、「AWS 生成 AI 活用ワークショップ~ Amazon Q Developer で生成 AI の一歩先へ! ~」という Amazon Q Developer のワークショップイベントを 10月29日(水) に開催予定です。ご興味のある方は申し込みページを参照ください。
そして繰り返しのお知らせですが「AWS ジャパン生成 AI 実用化推進プログラム」も引き続き募集中ですのでよろしくお願いします。
では今週も生成 AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう!
さまざまなニュース
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- AWS生成AI国内事例ブログ「NTT西日本の AWS 事例:Amazon Bedrock Knowledge Bases を活用した営業支援 AI ボットの開発」を公開
NTT西日本様がビジネスチャット「elgana」上でAmazon Bedrock Knowledge Basesを活用した営業支援AIボットを開発し、営業担当者の情報検索効率化を実現しました。従来は複数システムに散在していた膨大なマニュアルや資料の検索に時間がかかっていた課題を、RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術により解決し、質問に対して即座に回答を提示するとともに関連マニュアルページへのリンクも提供する仕組みを構築しています。実際の営業担当者によるトライアルでは「知りたい情報に素早くアクセスできる」「マニュアルを探す時間が減った」との好評を得ており、今後はAmazon Bedrock AgentCoreを活用したAgentic RAGへの発展も視野に入れています。企業内ナレッジを効果的に活用したRAGシステムの具体的な実装例として、メタデータフィルタリングによる検索精度向上や、AI回答の信頼性確保の手法など、実用的な生成AIアプリケーション構築のベストプラクティスを学べる事例となっています。 - ブログ記事「[資料公開 & 開催報告] Amazon Q Developer Meetup #3 を開催しました」を公開
2025 年 9 月 30 日に AWS Startup Loft Tokyo (目黒) で開催された「Amazon Q Developer Meetup #3 生成AIの利用を中心としたソフトウェア開発の新しいアプローチであるAI-DLCおよびその活用実績のご紹介」のイベントの様子をレポートしています。このイベントは、生成 AI を中心としたソフトウェア開発に対する新たなアプローチである、AI 駆動開発ライフサイクル (AI-DLC) をテーマに実施しました。LINEヤフー様、サイバーエージェント様、東京海上日動システムズ様の3社が実際にAI-DLCを体験した事例を発表し、負荷試験環境構築での活用事例や全社展開への取り組み、金融業界でのワークショップ体験談など、具体的な実践方法や学び、課題点について発表していただきました。 - ブログ記事「Amazon Q Developer で Audible のユニットテスト自動化を強化」を公開
Amazonの子会社であるAudibleが、Amazon Q Developerのエージェント機能を活用してユニットテストカバレッジの向上と開発効率化を実現しました。従来は締切に追われてテスト作成が後回しになりがちだった課題に対し、Amazon Q Developerがコードの意図やビジネスロジック、エッジケースを自動分析してJavaクラスの包括的なテストスイートを生成し、null入力チェックや例外処理テストまで網羅的にカバーしています。その結果、10以上の主要パッケージで包括的テストカバレッジを実現し、テストクラスあたり約1時間の節約、5,000以上のテストケースのJUnit4からJUnit5への移行、JDK8からJDK17への移行で50時間以上の手作業削減を達成しました。単純なコード生成を超えて開発プロセス全体の効率化を実現する具体例として、AI支援によるテスト駆動開発の実践方法や、レガシーコードの品質向上アプローチ、人間とAIの協働による継続的品質改善の手法を学べる事例となっています。 - AWS生成AI国内事例ブログ「株式会社ファイン様のAWS 生成AI活用事例:建築AIパース生成サービスにレコメンドAI機能を実装。担当者の商品検索時間を75%削減し、顧客満足度も向上。」を公開
建築CGのデジタル素材を提供する株式会社ファイン様は既存の建築AIパース生成サービス「AI PERS」にレコメンド機能を追加して業務課題を解決しました。従来は生成されたパース画像から実際の商品を探すのに時間がかかっていた問題に対し、Amazon SageMaker、Amazon Bedrock、Amazon Titan Multimodal Embeddingsを活用してベクトル検索システムを構築し、設計からわずか1か月半で実装を完了しています。システムでは生成されたAIパース画像から床部分を自動切り抜きしてベクトル化し、Amazon RDS PostgreSQLで類似商品を検索することで、おすすめ度を瞬時に表示する仕組みを実現しました。 - AWS生成AI国内事例ブログ「株式会社クリエイティブ・ウェブ様の AWS 生成 AI 事例「Amazon Bedrock を活用したコールセンターお問い合わせ管理システムの実現」のご紹介」を公開
システム・PCサポート・Webサイト関連の問い合わせ対応サービスを提供する株式会社クリエイティブ・ウェブ様が、Amazon BedrockによるRAG(Retrieval-Augmented Generation)技術を活用してコールセンターお問い合わせ管理システム「コールトラック」を開発し、業務効率化と品質向上を実現しました。従来は手作業による情報管理や対応品質のばらつき、過去ナレッジの活用困難といった課題があったものの、Amazon OpenSearch Service、AWS Lambda、Amazon RDS、Amazon S3を組み合わせたサーバーレス構成により、過去の対応履歴から最適な対応をサジェストする機能を構築しています。その結果、初回解決率30%向上、平均対応時間40%削減、情報検索時間を従来の5分から1分以下に短縮するなど大幅な業務改善を達成し、新人スタッフでもベテランと同等の対応品質を提供できるようになりました。さらにAI による自動要約機能や対応履歴の自動評価機能により、継続的な品質向上とナレッジの蓄積も実現しています。蓄積された過去データをRAGシステムで有効活用する実践例として、コールセンター業務の包括的なデジタル変革手法や、マネージドサービスを活用した短期間でのAIシステム構築アプローチを学べる事例となっています。 - ブログ記事「製造・金融・メディア・レジャー 業界における生成AI活用の最前線」を公開
2025年11月4日にAWS目黒オフィスで「AWS Industry GenAI Innovation Day」が開催されます。金融業界の音声データ分析によるコンプライアンス自動化、製造業界のAIカメラ活用設備管理、エンターテイメント業界のSNS動画自動編集など、製造・金融・エンターテイメント・レジャー各業界の具体的課題を解決する実践的なAIソリューションを体験できるイベントの内容が紹介されています。 - AWS生成AI国内事例ブログ「株式会社 WhiteBox 様の AWS 生成 AI 活用事例 : Amazon Bedrock で AI エージェントを活用した次世代飲み会幹事代行システム「KanpAi」を開発。 AI 駆動開発の活用で数か月の開発工数を3週間に削減。」を公開
株式会社WhiteBox様が、Amazon Bedrockを活用してAIエージェントによる次世代飲み会幹事代行システム「KanpAi」を開発し、AI駆動開発の活用により通常数ヶ月を要する開発工数をわずか3週間に短縮することに成功しました。システムは会場リサーチ提案、Web予約、二次会リサーチ提案、電話予約、精算計算、継続学習の6つの専門AIエージェントで構成され、それぞれがAWS LambdaとAmazon Bedrockで実装されており、Amazon RekognitionやAmazon Connectも活用して高度な機能を実現しています。複数の専門AIエージェントを組み合わせたマルチエージェントシステムの構築例として、各エージェントの役割分担や連携手法、AI駆動開発による劇的な開発期間短縮の実現方法などを学べる事例となっています。 - ブログ記事「Kiro によるマルチモーダル開発:設計から完成まで」を公開
AWSの開発エージェントツールKiroが、ホワイトボードの手描き図から実際のプロダクションコードまでを一貫して処理するマルチモーダル開発アプローチを実現し、金融取引システムの開発において従来数週間を要する作業をわずか3日間で完成させることに成功しました。Kiroは手描きのER図を理解してTypeScriptモデルを自動生成し、アーキテクチャの議論からKubernetesマニフェストまでを一気通貫で作成することで、設計の整合性を保ちながら各開発フェーズを連携させています。テキストベースの対話を超えて視覚的な設計情報も同時に処理できるマルチモーダルAIの活用により、設計ビジョンと実装の間のギャップを解消し、より迅速で正確なシステム開発が可能となる新しいアプローチを紹介しています。 - AWS生成AI国内事例ブログ「株式会社リネア様の AWS 生成 AI 事例:GraphRAGで実現するサプライチェーンリスク検知と管理への取り組み」を公開
株式会社リネア様が、Amazon NeptuneとAmazon Bedrockを組み合わせたGraphRAG(Graph Retrieval-Augmented Generation)技術を活用し、サプライチェーン上の人権リスク検知サービスの開発に取り組み、従来5日から数ヶ月を要していたサプライチェーンリスク調査を1日程度に短縮することに成功しました。Amazon Neptuneでグラフデータベースとして企業間の複雑な関係性を格納し、Amazon Bedrockで自然言語による問い合わせを複雑なグラフクエリに変換する仕組みを構築しています。ユーザーが複雑なクエリやグラフ探索アルゴリズムを意識することなく、文章での質問だけで多段の取引関係を効率的に分析できます。複雑な関係性データを自然言語で効率的に分析できるアプローチとして参考になる事例です。
- AWS生成AI国内事例ブログ「NTT西日本の AWS 事例:Amazon Bedrock Knowledge Bases を活用した営業支援 AI ボットの開発」を公開
サービスアップデート
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- Amazon Nova がコンテンツモデレーション設定のカスタマイズをサポート
Amazon Nova が、機密コンテンツの処理や生成が必要な特定の用途において、コンテンツモデレーション設定のカスタマイズ機能をサポート開始しました。この新機能により、そうした要件を持つ企業は、安全性、機密コンテンツ、公平性、セキュリティの4つのドメインにおいて、自社のビジネス要件に応じた細かな設定調整が可能になります。ただし、児童保護やプライバシー保護といった基本的な安全対策は変更できない仕組みになっており、責任あるAI利用が担保されています。この機能は現在、米国東部 (バージニア北部)リージョンで Amazon Nova Lite および Amazon Nova Pro にて利用可能です。 - Amazon Bedrock Data Automationが動画フォーマット追加対応と画像処理高速化を実現
Amazon Bedrock Data Automation が新たにAVI、MKV、WEBM形式の動画ファイルとAV1、MPEG-4 Visual(Part 2)コーデックに対応し、さらに画像処理速度が最大50%向上しました。Amazon Bedrock Data Automation は、ヨーロッパ (フランクフルト)、ヨーロッパ (ロンドン)、ヨーロッパ (アイルランド)、アジアパシフィック (ムンバイ)、アジアパシフィック (シドニー)、米国西部 (オレゴン) と米国東部 (バージニア北部)、GovCloud (米国西部) の 8 つの AWS リージョンで利用可能です。
- Amazon Nova がコンテンツモデレーション設定のカスタマイズをサポート
今週は以上です。それでは、また来週お会いしましょう!