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EC2のX1インスタンス – メモリー重視のワークロードに対応可能

多くのAWSのお客様はメモリー性能を必要とするビッグデータ、キャッシング、および分析系のワークロードを実行しており、増え続けるメモリー量に対応したEC2インスタンスについてのご要望をいただいていました。

昨年の秋、初めて新しいインスタンスタイプX1についての計画をお伝えしました。今日、このインスタンスタイプのインスタンスサイズx1.32xlargeが利用可能になったことを発表します。このインスタンスの仕様は以下です:

  • プロセッサー: 2.3GHzの4 x Intel™ Xeon E7 8880 v3 (Haswell) – 64コア / 128 vCPUs
  • メモリー: Single Device Data Correction (SDDC+1)を実現した1,952 GiB
  • インスタンスストレージ: 2 x 1,920 GB SSD
  • ネットワーク帯域幅: 10 Gbps
  • 専用のEBS帯域幅: 10 Gbps (デフォルトでEBS最適化、追加料金不要)

Xeon E7 プロセッサーはターボ・ブースト2.0(最大3.1GHzまで)、AVX 2.0AES-NI、そして非常に興味深いTSX-NI命令をサポートしています。AVX 2.0(Advanced Vector Extensions)は、HPCやデータベース、ビデオ処理といったワークロードの性能を向上できます; AES-NIは、AES暗号化を使用するアプリケーション速度を向上します。新しいTSX-NI命令は、トランザクションメモリーと呼ばれる素晴らしい機能をサポートします。この命令は、並列性が高いマルチスレッドアプリケーションにおいて、メモリーアクセスを必要としたときに行われる低レベルのロックとアンロックの数を削減することで、非常に効率的な共有メモリーの使用を可能とします。

X1インスタンスは、米国東部(バージニア北部)、米国西部(オレゴン)、欧州(アイルランド)、欧州(フランクフルト)、アジアパシフィック(東京)、アジアパシフィック(シンガポール)、そしてアジアパシフィック(シドニー)リージョンで準備ができており、利用申請をしていただければできるだけ早く稼働させようと思っています。また、あまり遠くない将来に、X1インスタンスを他のリージョンで、および他のインスタンスサイズを提供する計画があります。

米国東部(バージニア北部)リージョンの場合、3年契約の一部前払いで1時間あたり3.970ドルでご利用いただけます; 詳細な情報はEC2の料金ページをご覧ください。今日時点で、リザーブドインスタンスDedicated Host Reservationsを購入することができます; スポット価格は短期的なロードマップにあります。

x1.32xlargeが動いているスクリーンショットをいくつか記載します。lscpuで4ソケットにわたり128vCPUsが搭載されていることが表示されています:

システム起動時のカーネルがアクセス可能な総メモリーです:

topコマンドでは膨大な数のメモリーとプロセスが表示されています:

エンタープライズ規模のSAPワークロードに対応可能
X1インスタンスは、本稼働ワークロードにおけるSAP認定を取得しています。SAP HANAに必要とされるSAP OLAPとOLTPの両ワークロードの性能要件を満たしています。

お客様は、オンプレミスからAWSに移行できますし、もちろん新規構築することもできます。次世代ビジネススイートSAP S/4HANA、または以前のバージョンのどちらも稼働させることができます。

現在、多くのAWSのお客様が、複数のR3インスタンスを並べたスケールアウト構成でSAP HANAを稼働させています。これらのワークロードの多くは1台のX1インスタンスで実行できるようになります。この構成であれば、構築も容易で、運用コストも抑えられます。後述していますが、構成オプションの詳細情報は最新のSAP HANA Quick Start にて提供いたします。

X1インスタンスで実行された環境をSAP HANA Studioでみると次のようになります:

X1インスタンスでSAP HANAを稼働させる場合、災害対策(DR)や高可用性(HA)においても複数の興味深いオプションがあります。例えば:

  • 自動リカバリー – RPO (Recovery Point Objective)とRTO(Recovery Time Objective)にもよりますが、EC2 Auto Recoveryを使うことでシングルインスタンスで稼働することができるかもしれません
  • ホットスタンバイ – 2つのアベイラビリティゾーンでX1インスタンスを稼働し、SAP HANAシステムレプリケーションによって予備インスタンスと同期することができます
  • ウォームスタンバイ / 手動フェイルオーバー – プライマリーのX1インスタンスとセカンダリーには永続ストレージが付与された小さなインスタンスで構成することもできます。フェイルオーバーが必要となった場合、セカンダリーインスタンスを停止し、インスタンスタイプをX1に変更し、再起動します。このユニークなAWSならではのオプションであれば、低コストを維持しながら、迅速な復旧が実現できます

今日のローンチにあわせてSAP HANA Quick Startを更新しています。新規のVPCもしくは既存のVPC内に、十分に検証済みのSAP HANAが1時間以内で利用可能です:

このクイックスタートは 、インスタンスと関連するストレージを構成し、SAP HANAと前提となるOSパッケージをインストールするのにお役立ちいただけます。

また、私たちはSAP HANA Migration Guideも公開しました。現行のオンプレミスもしくはAWS上で稼働するSAP HANAワークロードのAWSへの移行をお手伝いします。

Jeff;

翻訳はPartner SA 河原が担当しました。原文はこちらです。