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1 年間で最も輝いたスタートアップの CTO を表彰。「CTO of the year」の軌跡をふり返る

テックイベント「TechCrunch Tokyo」ではイベント内イベントとして、「TechCrunch CTO of the year powered by AWS」を開催してきました。これは、スタートアップ企業の CTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)にフォーカスを合わせたピッチコンテストです。

本イベントでは 2014 年から 2021 年まで、その年に最も輝いたスタートアップの CTO の功績を称えて「CTO of the year」を表彰してきました。この記事では「TechCrunch Tokyo」関係者への感謝の気持ちを伝えるとともに、歴代の「CTO of the year」をふり返ります。

「CTO of the year」の表彰をしていた背景

「CTO of the year」の試みがスタートしたのは 2014 年。当時は、優れた CEO などビジネス系の人材を表彰するイベントは数多くあった一方で、CTO 関連のイベントは非常に限られていました。

技術課題に取り組む CTO は、企業の成長を支える重要な存在です。CTO の活動を積極的に広報するために、AWS は「TechCrunch Tokyo」関係者の方々とともに「CTO of the year」の表彰をスタートしました。この取り組みでは、テクノロジーだけでなく組織設計や情熱など複数の観点に基づき、CTO としての活動を評価します。「CTO of the year」受賞者や応募者は、現在の日本の IT 業界をけん引してきた方々ばかりです。

ここからは、2014 年から 2021 年までの「CTO of the year」を「ダイジェスト+優勝者から寄せられたコメント」の形式でふり返ります(優勝者からのコメントは受賞当時のものではなく、この記事をリリースするにあたって各人が新たに寄せてくださったものです)。

*…文中の社名や肩書きはいずれも当時のものです。


初代「CTO of the year」に輝いたのは誰か ー 2014 年ダイジェスト

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2014 年 11 月 18 日初開催

<登壇者>

Beatrobo, Inc. CTO 竹井英行

freee株式会社 CTO 横路隆

株式会社Tokyo Otaku Mode CTO 関根雅史

ヴァズ株式会社 CTO 清田史和

株式会社オモロキ CTO 和田裕介

株式会社Moff CTO 米坂元宏

株式会社ユーザベース CTO 竹内秀行

株式会社エウレカ CTO 石橋準也

株式会社DoBoken CTO 磯部有司

<審査員>

グリー株式会社 CTO 藤本真樹

クックパッド株式会社 CTO 舘野祐一

株式会社ビズリーチ CTO 竹内真

株式会社はてな CTO 田中慎司

株式会社サイバーエージェント CTO 佐藤真人

アマゾン データ サービス ジャパン合同会社 技術本部長 玉川憲

初代「CTO of the year」に選出されたのはユーザベース竹内氏。「予算ゼロで『NewsPicks』を開発」という驚きのエピソードを披露しました。竹内氏は CTO 業務の重要なテーマとして「サービスの技術的改善、エンジニアのスキル向上、健全な組織を作るための施策を検討・実行すること」を提示。その概念を「ビジネスにおける多様性、技術における多様性、チームにおける多様性」という印象的なフレーズで表現しました。

また、エウレカの石橋氏による「全エンジニアのハイブリッド化*」の実現や、オモロキの和田氏による「全員ダブルワーク体制」プロジェクトの推進など、インパクトのある発表に会場がわきました。

*…エンジニアがサーバーサイド、Web フロントエンド、ネイティブフロントエンドの 3 種類を全て担当できる状態

<優勝者コメント>

株式会社ユーザベース在籍時、初回の「CTO of the year」を受賞させていただきました。その当時作っていた SPEEDA・NewsPicks ともに、現在も多くの方々に利用いただいており、事業自体に関わる人も増え、賞に恥じることのない結果を出せたと思っております。

受賞した際にいただいた「手書き」の受賞パネルは、現在もユーザベース社在籍時の思い出とともに大切に保管しております。このたび、TechCrunch Japan 様が終了するのは大変残念ですが、スタートアップの片隅にいる者として、起業家がより増えるように頑張っていきたいと思います。

株式会社イエソド 代表取締役 竹内秀行氏(現肩書き)


接戦をくり広げたレベルの高いプレゼン ー 2015 年ダイジェスト

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2015 年 11 月 17 日開催

<登壇者>

BASE株式会社 CTO 藤川真一

Increments株式会社 CTO 高橋侑久

株式会社トランスリミット CTO 松下雅和

株式会社トレタ CTO 増井雄一郎

株式会社VASILY CTO 今村雅幸

株式会社ソラコム CTO 安川健太

株式会社フォトシンス CTO 本間和弘

株式会社エアークローゼット CTO 辻亮佑

<審査員>

グリー株式会社 CTO 藤本真樹

株式会社ディー・エヌ・エー 取締役 川崎修平

クックパッド株式会社 CTO 舘野祐一

株式会社はてな CTO 田中慎司

株式会社サイバーエージェント SGE統括室CTO 白井英

アマゾン データ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 松尾康博

優勝者はソラコムの安川氏。前職の AWS で働く過程で「テレコムのコアネットワークをクラウド上で実現する」というアイデアを思いつき、CEO の玉川憲氏に話したことをきっかけに、ソラコムの創業に至ったことを解説。自社について「チームもアーキテクチャも疎結合で非同期的。それらをインテグレートすることで大きな力を発揮する」と表現しました。

他には、それまで書いたことのなかった Python をベースとした決済サービスを立ち上げた BASE の藤川氏や「プロダクトの改善が CTO にとって最重要の仕事」と語る Increments の高橋氏などの、興味深いプレゼンテーションが展開されました。

<優勝者コメント>

IoT プラットフォーム SORACOM をリリースした直後の 2015 年 12 月、その裏にある技術と、それを実現した疎結合で非同期なチーム、熱気あふれる会場と名だたる著名 CTO の眼前でプレゼンした日の緊張と興奮、その後頂いた栄誉ある賞の感動は今でも昨日のことのように思い出します。

普段注目されることの少ない CTO に注目した本賞が、スタートアップ及びあらゆるビジネスにおいて、CTO という役割の意義を世に広めることに大きく貢献したことは言うまでもありません。さらに、「TechCrunch CTO of the year」というグローバルに通用する名称を冠する本賞は、グローバル展開を早期から目指す我々のビジネスにおいてこの上ない追い風でした。

株式会社ソラコム Co-Founder & CTO 安川健太氏(現肩書き)


多種多様な業種のスタートアップが登壇 ー 2016 年ダイジェスト

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2016 年 11 月 17 日開催

<登壇者>

株式会社プレイド CTO 柴山直樹

株式会社クフ CTO 佐藤大資

Repro株式会社 CTO 橋立友宏

株式会社One Tap BUY CTO 山田晋爾

株式会社フロムスクラッチ CTO 井戸端洋彰

カラフル・ボード株式会社 CTO 武部雄一

株式会社BONX CTO 楢崎雄太

株式会社チカク CTO 桑田健太

株式会社フューチャースタンダード CTO 鈴木秀明

ウェルスナビ株式会社 CTO 井上正樹

<審査員>

グリー株式会社 取締役 執行役員常務 最高技術責任者 藤本真樹

元楽天グループ株式会社 CTO / カーディナル合同会社 安武弘晃

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 ソリューションアーキテクト 松尾康博

株式会社サイバーエージェント SGE統括室 CTO 白井英

元株式会社nanapi CTO 和田修一

ヤフー株式会社 執行役員 CTO 藤門千明

「CTO of the year」に選出されたのは Repro の橋立氏。プレゼンテーションでは「公開できるものは積極的に公開してコミュニティに還元する。それがエンジニアの世界を良くすることにつながる。そしてエンジニアの世界が良くなれば、世の中全体を良くしていく力になる」と力強く語りました。

また、システムの内製にこだわり社員の半数以上がエンジニアという体制を整えたウェルスナビの井上氏や、サービス開発の過程で直面した課題を、常識とされている事柄への「逆説」で解決してきたフロムスクラッチ(現社名:株式会社データX)の井戸端氏など、印象的な発表が多数ありました。

<優勝者コメント>

多分、私は「CTO of the year」の歴史の中で最も雑な準備で「CTO of the year」に選ばれてしまった人間だと思います。当時、CTO を引き継いで 1 か月と経たないうちに社内で出てくださいよと頼まれ、何も CTO として仕事をしていないまま登壇することになりました。

最終的にどういう仕事をしていた結果 CTO になることになったのかを、技術者としてのスタンスを強く押し出して話すことで得票数 1 位を勝ち取ることが出来ましたが、そういうちょっと浮いている感じが、その時は良い方向に作用したのだと思います。正直、ほとんど LT のノリで話していた気がします。

今でも自分で良かったのかなと思うことはありますが、会社の認知度向上に多少なりとも貢献できて、交友関係も広まったので、良い経験をさせていただいたと思っています

Repro株式会社 チーフアーキテクト 橋立友宏氏(現肩書き)


他企業の参考になる事例が多数 ー 2017 年ダイジェスト

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2017 年 11 月 16 日開催

<登壇者>

WAmazing株式会社 CTO 舘野祐一

dely株式会社 CTO 大竹雅登

C Channel株式会社 CTO 西村昭彦

CONCORE’S株式会社 CTO 藤田雄太

株式会社FOLIO CTO 椎野孝弘

トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 CTO 九頭龍雄一郎

AnyPay株式会社 CTO 中村智浩

Tunnel株式会社 CTO 平山知宏

<審査員>

グリー株式会社 取締役 執行役員常務 最高技術責任者 藤本真樹

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 ソリューションアーキテクト 松尾康博

株式会社サイバーエージェント SGE統括室 CTO 白井英

株式会社ユーザーベース インキュベーション担当 専門役員 竹内秀行

優勝者は dely の大竹氏。当時まだ 24 歳の若さであったことも注目されました。たった 1 人のエンジニアとして開発を行う厳しい環境からレシピ動画サービス「kurashiru」を生み出したことや、「サービスを伸ばすにはデータ分析が不可欠」と考え、リリース直後に分析基盤を整備したエピソードなどを披露しました。

また、C Channel 西村氏からはインフラを AWS に移設したことによる運用コストの大幅削減の実現や、WAmazing 舘野氏からは空港設置の SIM 自販機を 3 か月で立ち上げた話など、他の企業にとっても大いに参考になるエピソードが語られました。

<優勝者コメント>

2017 年、リリースして間もない「クラシル」を代表してノミネートしていただきました。当時こそエンジニアが私一人しかいなかった中で開発したシステムで動いていたものの、5 年が経ち、クラシルは 3600 万ダウンロードを超え、国内で最も利用されるレシピ動画プラットフォームに成長しました。それを実現できたのは、優秀なメンバーが入社したからに他なりません。

名もなきベンチャーであった dely にとって、そしてテクノロジーで世界を変えることを目指すスタートアップ業界にとって、CEO だけでなく CTO にもスポットライトの当たる「CTO of the year」が果たしてくださった役割は、非常に大きかったと感じています。日本のスタートアップ業界、CTO をはじめとするエンジニアコミュニティが今後も盛り上がっていくことを、その一員として、心から願っています。

dely株式会社 執行役員 コマースカンパニー GM 大竹雅登氏(現肩書き)


「オーディエンス賞」を新設 ー 2018 年ダイジェスト

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2018 年 11 月 21 日開催

<登壇者>

株式会社カケハシ CTO 海老原智

株式会社Voicy CTO 窪田雄司

atama plus株式会社 CTO 川原尊徳

株式会社空 CPO 田仲紘典

GVA TECH株式会社 CTO 本田勝寛

株式会社scouty CTO 伊藤勝梧

株式会社FACTBASE CTO 前田翼

<審査員>

グリー株式会社 取締役上級執行役員/最高技術責任者 藤本真樹

株式会社Craft Egg、株式会社ジークレスト、株式会社サムザップ各社におけるCTO 白井英

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 ソリューションアーキテクト 松尾康博

TechCrunch Japan(Boundless株式会社) 副編集長 吉田博英

<特別審査員>

2014年CTO of the year 株式会社ユーザベース チーフテクノロジスト 株式会社UB Ventures テクノロジーパートナー 竹内秀行

2015年CTO of the year 株式会社ソラコム CTO Co-founder 安川健太

2016年CTO of the year Repro株式会社 CTO 橋立友宏

2017年CTO of the year dely株式会社 CTO 執行役員 大竹雅登

ハイレベルな競争の末に、atama plus の川原氏が「CTO of the year 2018」に輝きました。Lean UX/Lean AI 開発という手法を採用し、創業 4 か月目から収益化を果たして、創業 1 年で大手塾の 2 割が導入するまでに事業拡大した経緯を解説。企業の成長を支えたアーキテクチャ設計のノウハウは、注目を集めました。

2018 年度に新設された、来場者の投票によって決まる「オーディエンス賞」には、Voicy の窪田雄司氏が選出。「CTO は CEO の少し先に視点を置き、さまざまな準備を進めておくことが大切」と語りました。

<優勝者コメント>

「CTO of the year」は毎回内容が濃く、僕が受賞した 2018 年も高レベルな発表が多くて大きな刺激を受けました。高い技術力を持つスタートアップが増えることは世界の進化を加速させる上でとても大切だと思います。そのため、技術者にスタートアップをより身近に感じてもらえるこのようなイベントは、大げさではなく世界中の人にとって非常に意義があるものでした。

スタートアップの存在感は日々高まっており、世界が進化する速度は確実に上がっていると感じていますが、そこに対する TechCrunch さん、AWS さんの貢献は多大なるものだったと思います。今後の開催がなくなるのは大変残念ですが、僕もその志を少しでも受け継ぎ、より良い社会に向けた技術の発展に微力ながら貢献していきたいと思います。

atama plus株式会社 Co-Founder 川原尊徳氏(現肩書き)


幅広い技術スタックが登場 ー 2019 年ダイジェスト

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2019 年 11 月 22 日開催

<登壇者>

株式会社RevComm CTO 平村健勝

ウミトロン株式会社 CTO 岡本拓磨

株式会社タイミー CTO 阿部勇一郎

Yper株式会社 CTO 島添彰

株式会社NearMe CTO 細田謙二

株式会社GINKAN CTO 三田大志

株式会社オクト 取締役 CTO 金近望

株式会社LegalForce CTO 時武佑太

<審査員>

グリー株式会社 取締役上級執行役員 CTO 藤本真樹

株式会社Craft Egg、株式会社ジークレスト、株式会社サムザップ各社におけるCTO 白井英

株式会社ビズリーチ 取締役 CTO CPO 竹内真

Sansan株式会社 執行役員 CTO 藤倉成太

株式会社メルカリ 執行役員 CTO 名村卓

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 シニアソリューションアーキテクト 塚田朗弘

「CTO of the year 2019」を勝ち取ったのは、LegalForce の時武氏。契約書レビュー支援サービスの開発にあたり、エンジニアと弁護士との“認識のギャップ”を埋める取り組みをしたことを解説。両者が理解できる共通言語の定義や、開発チームに法務メンバーを組み込む組織改革など、興味深い施策を披露しました。

イベント内で、審査委員長の藤本氏は「毎年テクノロジーのスタックが広がっているのは面白い」と述べました。その言葉の通り、技術的な多様性のある「CTO of the year」となりました。

<優勝者コメント>

プレゼン資料を社内で叩きに叩いて、開催前日にようやく発表できるクオリティまでこぎつけたのを覚えています。当時協力してくれたメンバーには本当に感謝しています。伸び盛りの会社にフォーカスした CTO によるピッチという新鮮な切り口で、登壇者としてもオーディエンスとしても楽しめるイベントでしたし、異彩を放っていたと思います。

私自身幸いにも「CTO of the year」をいただくことができ、その後採用面談等で話題にしていただくことが増えました。会社の知名度向上に一役買えたかと思うと参加した意義が大きかったと感じます。晩秋の一大テックイベントがなくなるのは寂しいですが、これまで運営いただいた皆さまに敬意を表します。

株式会社LegalForce LegalForceキャビネ開発部 部長 時武佑太氏(現肩書き)


初のオンライン開催 ー 2020 年ダイジェスト

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2020 年 12 月 24 日開催

<登壇者>

SyntheticGestalt株式会社 CTO 神谷幸太郎

株式会社アダコテック CTO 伊藤桂一

オーティファイ株式会社 CTO 松浦隼人

CUICIN株式会社 CTO 為藤アキラ

MiddleField株式会社 CTO 杉田允

株式会社O: CTO 青木光平

株式会社センシンロボティクス CTO 高橋和也

デザミス株式会社 CTO 小佐野剛

<審査員>

株式会社VOYAGE GROUP 取締役 CTO 小賀昌法

ビジョナル株式会社 取締役 CTO 竹内真

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 スタートアップソリューションアーキテクト 塚田朗弘

freee株式会社 取締役 CTO 横路隆

「CTO of the year 2020」に輝いたのはデザミスの小佐野氏。同社は日本の農家が抱える課題を IoT の活用によって解決する企業です。IoT デバイスを使って牛の行動データを 24 時間収集・解析し、発情兆候や疾病兆候、起立困難状態を検出します。小佐野氏はデータ分析やセンサーシステム開発、牛の観察など、多種多様な業務の興味深いエピソードを語りました。

コロナ渦の影響もあり、今回のイベントは初のオンライン開催。生配信だけではなく、期間限定の見逃し配信も実施しました。

<優勝者コメント>

「CTO of the year」に参加させていただいたことで、CTO としてどのような仕事をしてきたか自分としても棚卸しができて、社内にも共有する良い機会となりました。

受賞させていただいた後は取引先や株主の皆様、知り合い等から温かい言葉をいただき、また社内でも自分の会社の CTO が賞を取ったのが誇らしく思うと喜んでくれる他部署のメンバーもいて改めて影響の大きさを感じました。

CTO は技術分野だけに留まらず、顧客と経営を見ながらバランスを取った判断と、どちらかといえば後方での働きを求められる役割と思っています。元々の専門分野に関係なくがむしゃらに何とかやってきた雑草系を自認する私ですが、そうした地味 CTO にもスポットライトが当たる「CTO of the year」というステージは懐が深いのが有り難く、また楽しいお祭りだと感じます。素晴らしいイベントを企画・運営いただき、感謝しております。有難うございました。

デザミス株式会社 取締役 CTO 小佐野剛氏(現肩書き)


年々レベルの上がる充実したプレゼン ー 2021 年ダイジェスト

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2021 年 12 月 2 日開催

<登壇者>

株式会社スマートバンク 共同創業者兼CTO 堀井雄太

株式会社DATAFLUCT CTO 原田一樹

株式会社エンペイ取締役 CTO 田野晴彦

oVice株式会社 CTO 長谷川博和

株式会社I’mbesideyou 共同創業者兼CTO 能勢康宏

株式会社estie CTO 岩成達哉

<審査員>

グリー株式会社取締役 上級執行役員 最高技術責任者 藤本真樹

Sansan株式会社 執行役員 CTO VPoE 藤倉成太

freee株式会社 取締役CTO 横路隆

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 Head of Startup Solutions Architect 塚田朗弘

厳正なる審査の結果「CTO of the year 2021」に選ばれたのは、I’mbesideyou の能勢氏。I’mbesideyou では、表情、音声、顔の向き、視線などを解析する「マルチモーダル技術」によりオンラインコミュニケーション動画を解析。個人に合ったコミュニケーションができているかを判定する仕組みを開発しています。

他にも、個性豊かな事業に取り組む CTO たちが登場。審査委員長を務める藤本氏が「2014 年から毎年レベルが上がっている」と話す通り、非常に充実した内容のプレゼンテーションが披露されました。

<優勝者コメント>

「CTO of the year」は、自分たちを振り返る良い機会になりました。幸運にも賞を頂いたことは、インド採用で大きな影響がありました。当日のプレゼンでも触れたインド工科大学(IIT)のインターンを今年も募集しているのですが、その方たちとの面談では必ずといっていい程、受賞のことを触れて頂けます。結果的に、今年は 3435 人の IIT の方に応募頂くことができました。

「CTO of the year」は、日本のスタートアップがグローバルで知名度を得るチャンスを提供して頂いていたのだと思います。そのような場が無くなってしまうのは残念ですが、我々は、グローバル、特にインドの連携を進めながら、日本のスタートアップを盛り上げていきたいと考えています。

株式会社I’mbesideyou Co-founder & CTO 能勢康宏氏(現肩書き)


おわりに

あらためて「CTO of the year」の取り組みを支えてくださった「TechCrunch Tokyo」関係者の方々に感謝いたします。以下は「CTO of the year」の審査員代表であるグリー株式会社 取締役 CTO / デジタル庁 CTO の藤本真樹氏と、企画・運営に注力してきたアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社のスタートアップ事業開発部本部長 畑浩史のコメントです。

「CTO of the year」を振り返ってみて 1 番に思うのは、本当に毎年、CTO、そしてスタートアップのレベルが上がっていることを実感できた、させられたことです。まだまだ牧歌的だった、登壇者も審査員もほとんど知り合い、というところから、8 年の時を経て、スタートアップの数は増えフィールドも広がりました。CTO としてのあり方も手探りのような状況からプラクティスも広く共有されたり、CTOとして 2 社目 3 社目、というかたも増えてきました。

初回からほぼ毎回審査員として参加させていただくなかで、自身にとっても、そしてオーディエンスのみなさまにとっても高いレベルのピッチを拝見することで、良い刺激になり、そして自身の立ち位置を再確認する良い機会になったのではないか、そしてそうした機会が年に 1 度ある、ということは業界にとっても大きなプラスだったのではないかと思う次第です。

だからこそ、「CTO of the year」が(おそらく一旦)その歴史に幕を下ろす、というのは寂しさがありますが、またいつかこうしたイベントが開催されたとき、自分自身も、そして業界全体がもっと成長している、と思えるように切磋琢磨していきたいと思います。8 年間、ありがとうございました!

グリー株式会社 取締役 CTO / デジタル庁 CTO 藤本真樹氏


2014 年「CTO にもっとスポットライトを当て、CTO のプレゼンスをもっと高めていきましょう!」というある種の使命感から TechCrunch の皆さんと意気投合し、8 年に渡り「CTO of the year」を開催して参りました。これまで 64 名のご登壇頂いた CTO の中から、8 名の「CTO of the Year」が生まれ、当時一般的に知られてなかった CTO というロールを多くの人々が目にすることに少なからず繋がったのではないかと思います。

実は 8 年の間に様々な開催の危機がありましたが、TechCrunch の皆さんと「CTO of the Yearの灯を消してはならない」という思いの元、なんとか継続して開催してこれたことに大変感謝しております。「TechCrunch CTO of the Year」としての開催は終わりとなりますが、TechCrunch の皆さんの意思を引継ぎ世の中の多くの CTO にスポットライトを当てることができるように、AWS Japan として何かしらの形で継続できないか考えております。8 年間どうもありがとうございました!

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 スタートアップ事業開発部本部長 畑浩史


新進気鋭のスタートアップ企業の CTO が集結し、プレゼンテーションを競う「CTO of the year」は、スタートアップ企業における CTO の重要性を周知する役割を果たしてきました。回を重ねるにつれて、CTO 全体の、そしてスタートアップ全体のレベルが上がっていることが伺えました。

AWS はこれからも、スタートアップと CTO の支援に取り組みます。