Amazon Braket のよくある質問

全般

Amazon Braket は、量子コンピューティングを開始する際に役立つフルマネージドサービスです。 

Amazon Braket で、量子コンピュータのプログラミングを学んだり、潜在的な応用を探求したりできます。独自の量子アルゴリズムを一から設計したり、あらかじめ用意された一連のアルゴリズムから目的のアルゴリズムを選択したりすることも可能です。Amazon Braket は、ラップトップ上でローカルに実行できる、または Amazon Braket のフルマネージド型ノートブック環境で実行できる SDK を提供しています。この SDK には、量子回路シミュレーターが含まれています。Amazon Braket サービスでは、フルマネージド型の量子回路シミュレーターを提供しており、AWS で管理されるインフラストラクチャでアルゴリズムを実行し、実装の検証やテストを行うことができます。準備ができたら、ハードウェアプロバイダーが提供するさまざまな量子コンピュータまたは量子処理ユニット (QPU) を使用して、Amazon Braket でアルゴリズムを実行できます。

Amazon Braket は、Amazon CloudWatch、Amazon EventBridge、AWS Identity and Access Management (IAM)、AWS CloudTrail と統合して、モニタリング、イベントベース処理、ユーザーアクセス管理、ログ記録を行います。シミュレーションと量子コンピューティングの結果は、アカウントの Amazon Simple Storage Service (S3) に保存されます。

量子コンピューティングは初期段階にあるテクノロジーですが、長期的にわたり多くの業界に変革をもたらすと考えられています。量子アルゴリズムの開発や利用価値の高い量子アプリケーションの設計には、新しいスキルとこれまでとはまったく異なるアプローチが必要です。そのような専門知識を蓄積するには時間がかかる上、量子技術や量子プログラミングツールを利用する必要があります。Amazon Braket と Amazon Quantum Solutions Lab を使って、組織は現在の技術レベルの評価やビジネスへの影響の特定を行い、将来に備えることができます。

このサービスは、量子力学の標準記法であるブラケット記法にちなんで名付けられました。量子システムの状態を説明する目的で 1939 年 Paul Dirac が導入し、ディラックの記法としても知られています。

はい。世界中の大学の科学者が Amazon Braket で研究を行っています。Amazon の Github リポジトリである Amazon Braket コンソールから始めることも、AWS Cloud Credit for Research プログラムを通じて Amazon Braket の使用資金をリクエストすることもできます。申請の際、料金計算ツールの URL をお持ちでない場合は、プレースホルダー付きで申請書を送信してください。

デベロッパー用ツール

Amazon Braket ソフトウェア開発キット (SDK) は、テクノロジーに依存しないデベロッパーフレームワークです。これで、量子アルゴリズムを開発し、Amazon Braket サービスを通じてさまざまな量子コンピューティングハードウェアやシミュレーターで実行できます。SDK は、Amazon Braket に送信された量子タスクを追跡やモニタリングし、結果を評価するのに役立ちます。Amazon Braket SDK には、アルゴリズムのテストに使用できるローカルの量子回路シミュレーターが含まれています。

Amazon Braket には、Amazon Braket SDK がプリインストールされたフルマネージドの Jupyter ノートブックと、すぐ開始するのに役立つサンプルチュートリアルが用意されています。Amazon Braket SDK はオープンソースのため、ご希望のローカル統合開発環境 (IDE) で Amazon Braket を使用できます。

今日の量子コンピュータはノイズが多く、研究者はノイズやクロストークを研究したり、より堅牢な新しいゲートを開発したり、エラー緩和のスキームを考案したり、新しい量子アルゴリズムを探求するために、ハードウェアに対する最低レベルの制御へのアクセスをしばしば必要としています。パルス制御では、量子プロセッサの量子ビットを制御する低レベルのアナログ信号やパルスを操作することができます。  

はい。Rigetti Computing と Oxford Quantum Circuits の量子コンピュータで、ゲート、パルス、またはそれらの組み合わせを使って直接量子回路をプログラムすることができます。また、プログラムの特定の領域にパルス命令のブロックを選択的に挿入して、個々の演算の最適化に焦点を当て、性能を微調整することができます。 

PennyLane は、Amazon Braket と統合される変分量子コンピューティングのためのオープンソースソフトウェアライブラリです。変分量子コンピューティングとは、ハイブリッド量子古典アルゴリズムを利用して、化学、最適化、量子機械学習などのさまざまな領域でのコンピューティング問題のソリューションを反復的に見つけるパラダイムです。量子微分可能プログラミングの概念に基づいて構築された PennyLane を使用すると、ニューラルネットワークと同じ方法で量子回路をトレーニングできます。PyTorch や TensorFlow などの一般的な機械学習ライブラリのインターフェイスで、量子アルゴリズムを簡単かつ直感的にトレーニングできるようにします。PennyLane の詳細については、https://pennylane.ai をご覧になるか、こちらのデベロッパーガイドをご参照ください。 

化学、最適化、量子機械学習における短期的な量子コンピューティングアプリケーションは、古典コンピュータと量子コンピュータの間の反復処理を利用する変分量子アルゴリズムに基づいています。PennyLane を使えば、Amazon Braket で変分量子アルゴリズムと量子機械学習アルゴリズムの構築を簡単に始められます。アルゴリズムの構築とトレーニングには、使い慣れた機械学習ツールを使用できます。PennyLane には化学ライブラリ qchem が用意されています。qchem を使用すると、計算化学の問題を、わずか数行のコードで量子コンピューティングの定式化にマッピングできます。

Amazon Braket で、PennyLane を使用したより迅速なイノベーションが加速します。アルゴリズムをテストおよび微調整する場合、アルゴリズムをローカルでシミュレートする場合と比較して、フルマネージドの高性能オンデマンドシミュレーターではトレーニングを 10 倍以上高速化します。  ハイブリッド量子アルゴリズムを高速化するために、GPU ベースのワークロード用に NVIDIA の cuQuantum SDK によって高速化された lightning.gpu シミュレーターなど、PennyLane の高性能組み込みシミュレーターを活用できるようになりました。これらのシミュレーターは、勾配の計算に必要な回路の数を減らす、勾配計算用の隣接法などの手法を備えており、高速な反復実験とプロトタイピングに使用することができます。 

Amazon Braket ノートブックは PennyLane を使って事前に設定されています。また、チュートリアルノートブックはすぐに開始するのに役立ちます。あるいは、IDE に Amazon Braket PennyLane プラグインをインストールすることもできます。プラグインはオープンソースで、こちらからダウンロードできます。PennyLane のドキュメントは、https://pennylane.ai でご覧いただけます。 

OpenQASM は、量子コンピューティングプログラムのためのオープンソースの中間表現 (IR) です。OpenQASM のプログラムは、Amazon Braket SDK を使うか、Braket API に直接送信することで、すべてのゲートベースの Braket デバイス上で実行することができます。AWS は OpenQASM の運営協議会に参加し、ゲートベースの量子プログラムのための、ハードウェアに依存しないオープンな統一仕様の構築を支援しています。 

エラー軽減には、今日のエラーが発生しやすいハードウェアに対するシステマティックノイズの影響を軽減するさまざまな方法が含まれます。これは、関連する一連の回路に入力回路をマッピングし、その結果に従来の後処理を適用することで行われます。

はい。IonQ Aria QPU のエラー軽減は、IonQ のバイアス除去技術を使って試すことができます。このタイプのエラー軽減には、タスクごとに最低 2,500 ショットを使用する必要があることに注意してください。

シミュレータ

量子回路シミュレーターは、古典コンピュータで実行します。シミュレーターを使用すると、量子ハードウェアを使用するよりも低いコストで量子アルゴリズムをテストでき、特定の量子マシンへアクセスする必要もありません。シミュレーションは、量子ハードウェアでの実行前に、量子回路を迅速にデバッグしたり、ハイブリッドアルゴリズムのトラブルシューティングや最適化を行ったりするのに役立ちます。短期的な量子計算ハードウェアの結果を検証し、ノイズの影響を研究するのに、従来のシミュレーションも不可欠です。

Amazon Braket では、量子回路シミュレーターを 4 つから選択できます。1 つは SDK に含まれるローカルシミュレーターです。他の 3 つはオンデマンドシミュレーターで、汎用の量子回路シミュレーター SV1、ノイズによる回路への影響をシミュレートできる DM1、高性能のテンソルネットワークシミュレーター TN1 があります。これら 4 つの選択肢から、要件に最も適したアプローチを選択できます。

Amazon Braket SDK に付属する無料のシミュレーターです。ラップトップでも、Amazon Braket のマネージドノートブック内でも動作し、回路設計の迅速な検証に利用できます。小~中規模のシミュレーションに適しており、ハードウェアにもよりますが、ノイズなしで最大 25 量子ビット、ノイズありで最大 12 量子ビットに対応します。

SV1 は、最大 34 量子ビットまでの量子回路に対応する、フルマネージド型の高性能な状態ベクトルシミュレーターです。状態ベクトルシミュレーターなので、量子状態の完全な波動関数を取得し、回路の演算を適用してその結果を計算します。Amazon Braket SDK のローカルシミュレーターを使用して量子アルゴリズムを設計しデバッグした後で SV1 を使用すれば、スケーリングしたテストや研究を行うことができます。SV1 は、古典的なコンピュートリソースを自動的にスケーリングするので、35 件までのシミュレーションを並行して実行することが可能です。

DM1 は、フルマネージド型の密度行列シミュレーターで、現実的なノイズが量子アルゴリズムに及ぼす影響を調べることができます。最新の量子コンピューティングデバイスから高精度の結果を得られる、エラー削減戦略を開発できるようになります。

DM1 は、最大 17 量子ビットまでの回路のシミュレーションをサポートしています。35 件までのシミュレーションを並行して実行でき、実験がスピードアップします。DM1 を使用する前には、ラピッドプロトタイピングとデバッグのために、Amazon Braket SDK のローカルノイズシミュレーターを使用できます。

TN1 は、フルマネージド型の高性能なテンソルネットワークシミュレーターで、最大 50 量子ビットの構造化量子回路に使用されます。テンソルネットワークシミュレーターは、量子回路を構造化グラフにエンコードし、回路の結果を計算する最適な方法を見つけます。TN1 は、スパース回路、ローカルゲートを備えた回路、および固有の構造を持つ回路に特に適したシミュレーターです。

SV1 は、状態ベクトルの技術を用いた汎用シミュレーターです。最大 34 量子ビットのユニバーサル回路を使って実行が予測可能となり、高い性能を発揮します。

DM1 は、ノイズモデリングをサポートできるように特別に設計されたシミュレーターです。さまざまなノイズの影響下でアルゴリズムを研究する必要がある場合は、DM1 を使用してください。

TN1 は、最大 50 量子ビットまでの特定タイプの量子回路に特化したシミュレーターです。スパース回路、ローカルゲートを備えた回路、および固有の構造を持つその他の回路に適しているとお考えください。他の回路タイプ、たとえば全対全接続の回路などには、多くの場合 SV1 が適しています。

現在の量子デバイスは、本質的にノイズを含んでいるものです。演算を実行するたびにエラーが発生する可能性があります。したがって、量子コンピュータから得られる結果は、理想的に想定される結果とは異なります。 DM1 を使えば、現実的なノイズの影響下でアルゴリズムの堅牢性を調査し、現在の量子コンピューティングデバイスで精度の高い結果を得るためのエラー削減戦略を構築することができます。

DM1 は、ノイズのない回路をシミュレーションできます。ただし、最高のパフォーマンスを得るために、ノイズのない回路の大規模なシミュレーションには SV1 を使用することをお勧めします。

いいえ、Amazon Braket オンデマンドシミュレーターを使用している場合は、選択する必要はありません。SV1、TN1、DM1 の各シミュレーターを使用する場合は、Amazon Braket がソフトウェアとインフラストラクチャを管理します。お客様は、実行する回路を用意するだけです。

Amazon Braket マネージドノートブックの SDK でローカルシミュレーターを実行している場合、ノートブックにすでに指定した Amazon インスタンスで実行されます。

回路がこちらで説明されている量子ビット数と回路深度の制限内にある限り、TN1 はその回路をシミュレートしようとします。しかし SV1 とは対照的に、量子ビット数と回路の深度だけに基づいて、ランタイムを正確に見積もることはできません。いわゆる「リハーサルフェーズ」では、TN1 は最初に回路の効率的なコンピューティングパスを特定して、次のステージの「収縮フェーズ」の実行時間を推定します。推定収縮時間が TN1 の制限を超えた場合、TN1 は収縮をしません。したがって、リハーサルフェーズで費やされた時間に対してのみ料金をお支払いただきます。詳細については、テクニカルドキュメントをご覧ください。

いいえ、Amazon Braket を使用すると、数行のコードを変更すれば、サービスで利用できる任意のシミュレーターやゲートベースの量子ハードウェアで実行するのと同じように量子回路を指示できます。

AWS Marketplace では、最適化のための組み合わせについての問題に、従来のアプローチの中でも最新のものを使用する製品 (Meta Analytics や Toshiba SBM など) をお探しいただけます。 

量子コンピュータ

実際の量子処理ユニット (QPU) で、回路を設計するのは難しいことではありません。Amazon Braket SDK で回路または問題のグラフを作成したら、マネージド Jupyter Notebook あるいは任意の IDE (PyCharm など) からタスクを送信できます。

QPU で量子タスクを実行する手順は、シミュレーターで実行する手順と同じです。Amazon Braket SDK 内で API コールを行う際に、バックエンドまたはデバイスを選択するだけです。どちらのタスクもコンピューティングオペレーションであり、Amazon Braket SDK 内の API コールを介してさまざまなバックエンドやデバイスをリクエストできます。デバイスの選択には、サービスにおいて利用可能なさまざまなシミュレーターや量子コンピュータが含まれます。あるデバイスから別のデバイスへの切り替えは、コードを 1 行を変更するだけです。QPU リソースは待機時間を必要とする可能性がありますが、シミュレーターは常に利用可能です。

一部のタイプの量子コンピュータは、一連の特定の問題を解決するのに特に適しています。量子ビット数、量子ビットの忠実度 (エラー率)、量子ビットの接続性、コヒーレンス時間、コストなど、ニーズに合ったマシンを選択するための要素は数多くあります。量子コンピュータの仕様の完全版は、Amazon Braket コンソールで提供しています。

Amazon Braket のハードウェアプロバイダーの詳細については、こちらをクリックしてください。 

アナログハミルトニアンシミュレーション (AHS) は、ゲートベースの汎用量子コンピューティングとは異なる量子コンピューティングのパラダイムです。AHS が可能なデバイスは、ハミルトニアンで表される限られた問題群を解くために設計された特別な目的の QPU です。AHS では、ユーザーが目的のハミルトニアンを指定するができ、量子コンピュータはそのハミルトニアンの下での量子状態の連続的な時間発展をエミュレートするようにパラメータを調整します。ハミルトニアンはシステム上に直接実装されるため、AHS システムでは、回路やゲートでアルゴリズムを定式化するのに必要なオーバーヘッドに悩まされることがなく、古典的なシミュレーションでは不可能な数百量子ビットのシステムをすでにシミュレーションすることが可能です。Amazon Braket は、QuEra QPU を介して AHS をサポートしています。

ゲートフィデリティやコヒーレンスタイムなど、Rigetti QPU のシステムと性能に関する情報は、Rigetti の QPU に関するページにアクセスしてください。

IonQ QPU のトポロジー、ゲート、およびベストプラクティスに関する情報は、IonQ のベストプラクティスに関するウェブページにアクセスしてください。

QuEra システムは、カスタマイズ可能な 2 次元の光ピンセットに配置されたリュードベリ原子からなるプログラマブル QPU です。この装置の量子ビットは、原子の基底状態と 1 つの高励起リュードベリ状態という 2 つの状態を持つ中性のルビジウム-87 原子から構成されています。原子間のリュードベリ-リュードベリ相互作用は、原子間距離の 6 乗として減衰し、局所的相互作用を伴う有効スピンハミルトニアンを生じさせます。さらに、レーザー場は横方向の磁場を調整することができ、新しい基底状態や非平衡状態を生み出すことができる興味深いスピンダイナミクスを生じさせます。Braket を通じてこの装置にアクセスする研究者は、Braket SDK をすべて使用して、2 次元原子配列の形状をプログラムし、縦方向および横方向の磁場の強さを時間依存で変化させることが可能です。これにより、目的の有効ハミルトニアンが生成され、その連続的な時間発展をデバイス上で研究することができます。詳細については、こちらの QuEra のベストプラクティスをご覧ください。

量子コンピューティングは初期段階にある技術のため、量子コンピュータのリソースはまだ十分とは言えません。量子コンピュータの種類が異なれば、動作特性や可用性のレベルも異なるため、タスクの処理速度も変わります。選択した QPU が稼働中にあるが現在使用されていない場合、タスクはすぐに処理され、それ以外の場合はキューに入れられます。QPU が利用可能になると、キュー内のタスクは挿入された順に処理されます。タスクの完了時の通知を行うため、Amazon Braket はステータス変更イベントを Amazon EventBridge に送信します。EventBridge でルールを作成し、実行するアクションを指定できます。アクションの例としては、SMS で、あるいは E メール、HTTP、AWS Lambda、Amazon SQS などの他の方法でアラートを送信できる Amazon Simple Notification Service (SNS) の使用が挙げられます。

いいえ、必ずしもそうではありません。Amazon Braket は、実行時にコードを自動的にコンパイルします。ただし、Rigetti、OQC、および IonQ デバイスでは、逐語的コンパイルを使用してコンパイラを変更することなく、回路をそのまま実行するオプションがあります。Rigetti では、コンパイラパスを介在させることなく、コードの特定のブロックのみをそのまま実行するように追加で定義できます。詳細については、逐語的コンパイルに関するドキュメントを参照してください。

量子回路のコンパイルでは、量子回路をコンパイルされた回路に変換し、量子ビットの割り当て、ネイティブゲートへのマッピング、最適化などを行います。しかし、コンパイラのゲートの最適化は、ゲートや冗長な部品を削除したり、並べ替えたりするため、ベンチマークやエラー軽減のための回路を開発している研究者や量子アルゴリズムの専門家にとっては問題となります。逐語的コンパイルでは、ユーザーが回路の一部または回路全体を指定して、コンパイラを変更せずにそのまま実行することができます。

はい、AWS Marketplace 経由で D-Wave のアニールデバイスなどの量子ハードウェアにアクセスできます。

ハイブリッドジョブ

Hybrid Jobs は、ハイブリッド量子古典ワークロードの実行をより簡単に、より速く、より予測可能にします。この機能を使用すると、アルゴリズムスクリプトまたはコンテナを提供するだけで、AWS はリクエストされたリソースを起動してアルゴリズムを実行し、完了後にリソースを解放するため、お支払いいただくのは使用した分の料金のみとなります。Hybrid Jobs 機能は、アルゴリズムメトリクスについてのライブインサイトも提供するため、アルゴリズムの進行状況を確認できます。最も重要なことは、ジョブがターゲット QPU に優先的にアクセスできるため、実行がより速く、より予測可能になり、かつ、他のユーザーのワークロードによる影響がより小さくなるということです。

Braket Hybrid Jobs には、3 つの主な利点があります。第一に、ハイブリッド量子古典アルゴリズムの実行を簡素化します。多くの量子研究者は、クラウドコンピューティングに不慣れであることが多く、ハイブリッドアルゴリズムを実行する前にコンピューティング環境をセットアップして管理したくないと考えています。Hybrid Jobs で必要なのは、優先するコンピューティングインスタンスを指定することだけです。あるいは、デフォルトを使用することもできます。 Braket Hybrid Jobs は、従来のリソースを起動し、構築済みのコンテナ環境でワークロードを実行して結果を Amazon S3 に返して、最後にコンピューティングリソースを解放するので、使用した分だけの料金を支払うことができます。

第二に、Hybrid Jobs は実行中のアルゴリズムについてのライブインサイトを提供します。アルゴリズムの一部としてカスタムアルゴリズムメトリクスを定義できます。これは、Amazon CloudWatch よって自動的にログ記録され、Amazon Braket コンソールで表示されます。これにより、アルゴリズムの進行状況を追跡できます。

第三に、Amazon Braket Hybrid Jobs は、独自の環境からハイブリッドアルゴリズムを実行するよりも優れたパフォーマンスを提供します。ジョブが実行されている間中、選択した QPU に優先的にアクセスできます。これは、ジョブの一部としてそのデバイスで実行されるタスクが、デバイスでキューに入れられる可能性のある他のタスクよりも先に実行されることを意味します。これにより、ハイブリッドアルゴリズムの実行時間がより短くなり、かつ、より予測可能になります。また、アルゴリズムのパフォーマンスに対するゆっくりとしたデバイス特性の変化 (「デバイスドリフト」) の悪影響を軽減することで、最終的にはより良い結果が得られます。

Hybrid Jobs を使用して、Amazon Braket で利用可能な QPU のいずれかを使用できます。

利用可能な Amazon Braket オンデマンドシミュレーター (SV1、DM1、TN1)、PennyLane lightning プラグインに基づく組み込みシミュレーター、または Hybrid Jobs のコンテナとして組み込まれたカスタムシミュレーターのいずれかを使用できます。組み込みシミュレーターまたはカスタムシミュレーターの場合、ハイブリッドワークロードを実行するために 1 つまたは複数の CPU および GPU インスタンスを選択できます。  

組み込みシミュレーターは、アプリケーションコードと同じコンテナに直接組み込まれる一連の高性能シミュレーターであり、SV1 などのフルマネージド型のオンデマンドシミュレーターとコンテナ化された従来のコードとの間のラウンドトリップに関連するレイテンシーを回避します。組み込みシミュレーターは、勾配の計算に必要な回路の数を減らす、勾配計算用の隣接法などの高度な機能をサポートしています。現在、Amazon Braket は、高性能 GPU で量子回路シミュレーションを実行するために特別に設計された NVIDIA cuQuantum SDK によって高速化された lightning.gpu シミュレーターなど、PennyLane の組み込みシミュレーターをサポートしています。

はい。シミュレーターとその依存関係をコンテナに埋め込むことで、独自のシミュレーターライブラリを Amazon Braket Hybrid Jobs に取り込むことができます。次に、コードをエントリポイントとしてコンテナに渡し、CPU または GPU インスタンスで Amazon Braket Hybrid Jobs としてコードを実行できます。Amazon Braket は、ジョブの期間中、リソースのスピンアップを処理し、使用した分だけ支払います。

いいえ、デフォルトでは、ジョブコンテナは 1 つの ml.m5.xlarge インスタンスタイプで実行されます。Amazon Braket オンデマンドシミュレーター (SV1、TN1、DM1) または QPU を使用してハイブリッドアルゴリズムを実行している場合、Amazon Braket がソフトウェアとインフラストラクチャを管理します。PennyLane の組み込みシミュレーター、またはコンテナとしてパッケージ化されたカスタムシミュレーターを使用してハイブリッドアルゴリズムを実行している場合は、ジョブを実行する 1 つ以上の CPU または GPU インスタンスタイプを選択できます。Amazon Braket は、基盤となるインフラストラクチャのセットアップを管理し、ジョブが完了するとリソースを解放するため、使用した分だけ支払うことができます。

現在、Amazon Braket Hybrid Jobs コンテナにプリインストールされた PennyLane の組み込み状態ベクトルシミュレーターは、バックプロパゲーションや隣接法 (勾配計算用) などの手法のメリットを利用できる変分アルゴリズムに使用することができます。これらのアルゴリズムの例には、量子機械学習 (QML)、量子断熱概算アルゴリズム (QAOA) または変分量子固有値 (VQE) があります。組み込みシミュレーターでは、GPU ベースの加速度からアルゴリズムが恩恵を受けることができ、GPU メモリに適合できる場合、GPU インスタンスを使用することもできます。一般的に、中程度の量子ビットカウント (<30) を持つ変分アルゴリズムと QML アルゴリズムがこれに当てはまります。それ以外の場合は、SV1 オンデマンドシミュレーターを使用することを検討してください。隣接法は今日ではゼロ以外のショットをサポートしていないため、ショット数がゼロより大きいワークロードに SV1 を使用することを検討してください。組み込みシミュレーターは、Hybrid Jobs 機能の一部としてのみサポートされますが、SV1 はスタンドアロンタスクと Hybrid Jobs の両方をサポートしています。 

PennyLane lightning.gpu シミュレーターは、問題サイズが GPU メモリ内に収まるほど小さい場合、QML、QAOA、VQE などのハイブリッドアルゴリズムに使用できます。lightning.qubit CPU ベースのシミュレーターは、高い量子ビット数 (29 以上の量子ビット) を持つ変分アルゴリズムなど、メモリを大量に消費し、GPU メモリに適合できないアルゴリズムに使用できます。 コストは、CPU インスタンスタイプと GPU インスタンスタイプのどちらを使用するかよって異なります。詳細については、PennyLane のドキュメントを参照してください。 

Hybrid Jobs の料金の詳細については、Amazon Braket の料金ページの [Hybrid Jobs] タブをご覧ください。

使用を開始するには、Braket ドキュメントの Amazon Braket Jobs ユーザーガイドセクションにアクセスしてください。Amazon Braket ハイブリッドサンプルノートブックは、Jobs の使用を開始し、さまざまなタイプのハイブリッドアルゴリズムを実行する方法に関するチュートリアルを提供します。これらのサンプルは、Amazon Braket ノートブックにプリインストールされており、すぐに使用を開始するのに役立ちます。また、Amazon Braket サンプルリポジトリの PennyLane プラグインを使用して、ハイブリッドアルゴリズムのサンプルを確認することもできます。 

Braket Direct

Braket Direct は Amazon Braket プログラムで、顧客が量子ハードウェアにアクセスする方法や、Braket を活用して今日のノイズの多い量子デバイスに関する最先端の研究を行う方法を拡張するものです。既存のオンデマンドアクセスを補完するものとして、お客様は Braket Direct を使用してワークロード専用のデバイス時間を確保したり、量子コンピューティングの専門家と連絡してワークロードを改善したり、次世代デバイスなどの実験機能を試したりすることができます。

Braket Direct は、最先端の量子コンピューティングを先取りすることを目指すお客様を支援します。これにより、研究を加速するために必要なレベルのデバイスへのアクセス、専門家によるガイダンス、および厳選された次世代デバイスがもたらされます。Braket Direct は、従量制料金でさまざまなデバイスにアクセスできるワンストップショップを提供するという Braket の価値提案を強化します。先行投資や定期/長期契約は必要ありません。

現在、IonQ の Aria、IQM の Garnet、QuEra の Aquila、および Rigetti の Aspen-M-3 デバイスへの専用アクセスを予約できます。

はい。予約 ARN を使用して、次回の予約に備えて量子タスクとハイブリッドジョブをキューに入れることも、予約中にワークロードを臨機応変に送信することもできます。

予約が終了すると、保留中のタスク/ハイブリッドジョブはすべてキャンセルされます。そこから、新しい予約をスケジュールするか、誰もが利用できる時間帯にオンデマンドで実行するように再送信するかを選択できます。

予約が終了すると、デバイスへの専用アクセスはなくなり、実行中のハイブリッドジョブはすべてキャンセルされます。チェックポイントを使用してハイブリッドジョブを保存し、都合の良いときに再開することをお勧めします。

いいえ。各予約はスタンドアロンの専用デバイスアクセスを表します。例えば、連続した 2 つの予約は別々と見なされ、最初の予約で保留中のタスクが 2 番目の予約で自動的に再開されることはありません。

予約はお客様の AWS アカウント専用のデバイスアクセスとなるため、デバイスは予約期間全体にわたってお客様専用となります。そのため、使用時間に関係なく、予約した時間分の料金が請求されます。

予約はキャンセルされ、残りの予約時間分の料金は返金されます。

予約は最低 1 時間単位で受け付けており、一部のデバイスには追加の予約期間の制限 (最小予約期間と最大予約期間を含む) がある場合があります。

はい、予約開始予定時刻の 48 時間前までに無料で予約をキャンセルできます。その時間を過ぎると、予約をキャンセルすることはできなくなり、予約した時間の全額が請求されます。

はい。スケジュールを変更するには、予定された予約開始時刻の少なくとも 48 時間前に既存の予約をキャンセルし、新しい予約を作成する必要があります。

はい。予約を作成すると、追加料金なしで Braket エキスパートによる 30 分間の予約準備セッションにオプションで登録できます。

エキスパートのアドバイスを受ければ、さまざまな量子コンピューティングのエキスパートとつながり、ワークロードに関するアドバイスを得ることができます。

Braket のエキスパートの Braket のオフィスアワー、AWS Marketplace を通じた量子ハードウェアプロバイダーが提供する専門サービス、または AWS Quantum Solutions Lab のエキスパートによるサポートから選択できます。

Braket オフィスアワーのセッションは 1 対 1 で、先着順で毎月開催されます。利用可能な各オフィスアワーの時間枠は 30 分で、無料です。Braket のエキスパートに相談することで、アイデアから実行までの時間を短縮できます。また、ユースケースからデバイスへの適合性を調べ、アルゴリズムに最適な Braket を活用するオプションを特定し、ハイブリッドジョブ、Braket Pulse、アナログハミルトニアンシミュレーションなどの特定の Braket 機能の使用方法に関するレコメンデーションを受けられます。

いいえ。緊急の問題やトラブルシューティングに関する簡単な質問については、AWS サポートに連絡することをお勧めします。緊急ではない質問については、AWS re:Post フォーラムまたは Quantum Computing Stack Exchange を使用して、以前に回答した質問を参照できます。

料金

Amazon Braket では前払い料金は発生せず、使用している AWS リソースに対してのみ料金が発生します。量子コンピューティングハードウェアやオンデマンドシミュレーターへのアクセスなど、Amazon Braket の機能ごとに個別に請求します。また、Amazon Braket が管理するノートブックなど、Amazon Braket を介して提供する AWS のサービスについても個別に課金されます。料金の詳細については、料金ページをご覧ください。 

A: タグを使用すると、コストセンター、部門、プロジェクトなど、チームやビジネスにとって意味のある論理グループごとに AWS リソースを整理することができます。Amazon Braket では、作成するクォンタムタスクにタグを適用できます。ユーザー定義のタグを作成して適用すると、AWS 請求情報とコスト管理ダッシュボードでタグをアクティブ化して、コスト配分を追跡することができます。AWS はタグを使用してコストを分類し、月次のコスト割り当てレポートを配信して、AWS のコストを追跡できるようにしています。このコスト割り当てレポートには、タグキーが各行に適用可能な値を持つ追加の列として表示されるため、一貫したタグキーのセットを使用すると、コストを追跡しやすくなります。

はい。世界中の大学の科学者が、AWS Cloud Credit for Research プログラムで提供されているクレジットを使用して、Amazon Braket で研究を行っています。上記のリンクから提案書をご提出ください。申請の際、料金計算ツールの URL をお持ちでない場合は、プレースホルダー付きでリクエストを送信してください。

セキュリティ

はい。Amazon Braket の QPU は、サードパーティの量子ハードウェアプロバイダーがホストしています。Amazon Braket を使用して量子コンピュータにアクセスする場合、回路および関連するメタデータは、AWS が運営する施設外のハードウェアプロバイダーに送信され、処理されます。コンテンツは匿名化され、量子タスクの処理に必要なコンテンツのみが量子ハードウェアプロバイダーに送信されます。AWS アカウントに関する情報は送信されません。すべてのデータは保存時および転送時に暗号化され、処理の際にのみ復号化されます。また、Amazon Braket ハードウェアプロバイダーは、タスクの処理以外の目的でコンテンツを保存または使用することはできません。回路が完了すると、結果は Amazon Braket に返され、Amazon S3 バケットに保存されます。Amazon Braket サードパーティの量子ハードウェアプロバイダーのセキュリティを定期的に監査し、ネットワークセキュリティ、アクセス制御、データ保護、物理的セキュリティの基準が満たされていることを確認しています。

Amazon S3 に結果を保存します。Amazon Braket は実行結果を出力するだけでなく、イベントログとパフォーマンスメトリクス (完了ステータスや実行時間など) を Amazon CloudWatch に送信します。

Amazon Braket は AWS PrivateLink と統合されています。そのため、トラフィックがインターネットを経由する必要なしに、Amazon Virtual Private Cloud (Amazon VPC) 内から Amazon Braket にアクセスできます。これにより、インターネットベースの攻撃によるセキュリティの脅威への露出と機密データ漏洩のリスクが軽減されます。

Amazon Quantum Solutions Lab

Amazon Quantum Solutions Lab は、量子コンピューティングのエキスパートを擁する共同研究および専門サービスプログラムです。これらのエキスパートは、お客様が量子コンピューティングをより効果的に探索し、この初期の技術について発生する課題を克服するための作業を支援します。開始するには、Quantum Solutions Lab のウェブページをご覧ください。 

このフォームを送信し、AWS アカウントマネージャーに連絡することで、QSL とパートナーとの契約に関する情報をリクエストできます。

QSL 契約にかかるコストは、契約期間の長さとニーズの性質によって異なります。詳細については、アカウントマネージャーにご確認ください。 

Quantum Solutions Lab の契約期間は、通常 6〜12 か月です。

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