ラーニング・パターン・インタビュー

AWS の同僚に入社してからの学習スタイルを聞いてみた

2021-09-02
How to be a Developer

Author : 吉田 慶章

builders.flash 読者の皆さん ! こんにちは ! シニアテクニカルトレーナーの吉田慶章です。

私は builders.flash で「学び」に関する記事を書いています。前回の記事では、自律的で創造的に学ぶ方法として「ラーニング・パターン」を紹介しました。

今回の記事では builders.flash で一緒に「How to be a Developer」カテゴリーの記事を執筆している西村さんにインタビューをして、「ラーニング・パターン」に当てはめながら入社してからの「学習スタイル」を聞いてみたいと思います。「ラーニング・パターン」に限った話ではありませんが、自分で気付いている「自己認識」と相手から見て感じる「他己認識」は違うことがあるので、話しながら「学習スタイル」の棚卸しをすると効果的です。そんな意味も込めて今回の記事を書きました !

Here We Go ===┌(・_・)┘


吉田「よろしくお願いします !」

西村「テクニカルトレーナー / マネージャーの西村です。よろしくお願いします !」

吉田「2018 年頃にテクニカルトレーナーとして入社をされて、現在はマネージャーとして活躍されていますよね ! 私のマネージャーでもあります。お世話になってます (笑)」

西村「大まかに言うと、テクニカルトレーナー 2 年、マネージャー 1 年ぐらいでしょうか。マネージャーになってからはトレーニングを担当する機会は減りました。」

吉田「立場によって学習スタイルも違いそうですね ! さっそくインタビューをはじめていきましょう !」

(写真左) 吉田 慶章 (シニアテクニカルトレーナー)
(写真右) 西村 航 (テクニカルトレーナー/マネージャー)


テクニカルトレーナーとして入社したときの学習スタイル

吉田「西村さんはテクニカルトレーナーとして入社されてから積極的に AWS を学ばれていた印象があります。当時は目黒オフィスで一緒に働いていたため、よく雑談をしましたよね ! 最初は AWS 経験や現場経験に対する不安もあったとは思いますが、日々詳しくなり、初級・中級・上級コースなど、幅広いトレーニングを担当し、どのコースもお客様の高い満足度を得られていました。そんな西村さんの学習スタイルは builders.flash の読者の参考になると思いまして。」

西村「入社をする前から AWS 認定資格をいくつか取得していましたが、有償トレーニングを提供するほどに深い知識はありませんでした。なので、めちゃめちゃ勉強しました。ただ、丸暗記が苦手なタイプなので『なぜ、このサービスを使うのか ?』という根本的な理解をすることを意識しました。」

吉田「トレーニングだと、活発な質疑応答もありますし、カタログ的な理解だと難しいですもんね !」

西村「いざ教えようとすると自分自身の理解の曖昧さに気付くことがあるので “なぜ” の部分を重要視して学習をしていました。」

吉田「やはり、テクニカルトレーナーは『教えること』から逆算して学ぶんですね ! まさに私が前回の記事で紹介したパターン No.32『教えることによる学び』ですね ! そして “なぜ” を重要視することから No.34『自分で考える』も実践されていますね ! 他には工夫したことはありますか ?」

西村「トレーニングを立ち上げる前の準備として、何度も実際のトレーニングに参加して、先輩トレーナーの表現を真似したり、その場でお客様が疑問に感じた質問なども参考になりました。ちなみに、2019 年 1 月頃に受講した吉田さんの Architecting on AWS  は今でも覚えています。吉田さんが 3 日間のトレーニングで話していた内容を一言一句漏らさずメモしていたので、3 日間で 4 万字を超えていましたね。お客様が主役ということを意識した進行で、お客様の知識レベルを確認しながら各トピックで話すレベルの深さを変えていたことが印象的でした。」

吉田「トレーニングは担当するトレーナーや参加されるお客様の疑問によっても進行が変わることもありますもんね ! 西村さんはシャドーイングなどを効果的に活用されている印象があります。パターンで言えば No.5『まねぶことから』ですね !」

西村「もしかしたら非効率と言われてしまうかもしれませんが、とにかくインプット量を増やす学習スタイルを意識していました。例えば AWS のドキュメントを読むときには多読をします。一つの情報ソースを見て完璧に覚えよう ! とすると疲れてしまうので、複数の情報ソースを並行してざっと目を通して多読するようにしていました。例えば AWS サービス別資料AWS ドキュメント や よくある質問 などでしょうか。多読をすると重要なフレーズ・仕様を繰り返し目にするので、理解しやすくなります。」

吉田「なるほど ! 多読 !」

西村「多読をして詳細を理解できてきたら、今度はハンズオンを実施したり、自分で開発環境を作ったりします。前職の尊敬する先輩から『手を動かしたことのある人が 1 番説得力がある、だから手を動かし続けろ。』と口酸っぱく言われていたので。同じハンズオンでも、1 回目は手順を見ながら、2 回目はわからないところだけ手順を見る、3 回目はほとんど手順を見ない、などレベルを上げていくとサービスの勘所を体で覚えられます。このあたりは吉田さんの記事 ハンズオンの「腹落ち問題」を改善する 5 Tips にも書かれていましたよね !」

吉田「多読やハンズオンなど、たくさんインプットをされていますね。まさに No.12『量は質を生む』ですね ! 当時目黒オフィスでよくその姿を目にしたのがなつかしいです。」

西村「ラッシュに巻き込まれずに出勤をして、静かなオフィスで集中するために、朝型に切り替えて早朝出勤をしていました。そして、仕事をしていると今度はわからないことがたくさん出てくるので、質問できるメンバーを探していたりしました。その後に教えてもらったことを自分なりに再整理すると、気付いたら夜になっていたこともしばしば。」

吉田「一緒に夕飯を食べて仕切り直したりしたこともありますね。学習に投資していた "時間" という観点でも『質より量』かもしれませんね (笑)」


マネージャーとしての学習スタイル

吉田「話題を少し変えましょう ! 直近 1 年ほどはマネージャーとして活躍されているとのことで、ピープルマネジメントなど領域が異なるため、合わせて学習スタイルにも変化があったのではないでしょうか ?」

西村「マネジメントには決まった正解がありませんよね。でも『型』や『ベストプラクティス』は多くあります。私はマネジメントに関する本をたくさん読んで『型』を学びました。また読むべき本をメンバーから教えてもらうこともありました。私が読んだ本を以下に載せておきます。ちなみに『1 分間マネージャーの時間管理』などを紹介してくれたのは吉田さんですよね !」


吉田「本を読んで『型』を学ぶのは良いですね ! そこから『型』を実践するのはどう工夫をしていますか ?」

西村「例えば『1 兆ドルコーチ』という本を読んで  1on1 の重要性を改めて認識しました。そこからはメンバーとの 1on1 の頻度を上げて効果を感じています。また、私自身も私のマネージャーと 1on1 をしているのですが、その 1on1 の中で、話し方や疑問の投げかけ方など、気付くことが多くあります。それらも真似しています。」

吉田「おお ! これまた No.5『まねぶことから』ですね ! 西村さんは本当に『ラーニング・パターン』の実践者ですね !」


教わり上手になるために

吉田「私から見ると、西村さんはメンバーをうまく巻き込んで学習していると思います。何というか、教えてもらうのがうまいというか、なんか教えてあげたくなっちゃう雰囲気がありますよね。まさに No.6『教わり上手になる』を日々実践しているというか。」

西村「男三人兄弟の三男という、キングオブ甘えん坊なので人に教えを請うのは得意かもしれません (笑) という冗談は置いておいて、変にプライドを持たないということを意識しています。自分自身である程度は調べて『こういう課題に対して、こうこう考えて、こういう結論に至りましたが、ここが腑に落ちないです。』という明確な質問を考えたりはしますが、それ以上調べても自分 1 人ではより良い答えが出ないと感じたらすぐに質問をします。」

吉田「どこまで調べたのかという情報があると、質問された側も考えやすいですもんね。」

西村「あとは知ったかぶりは絶対にしないようにしています。教えてもらっているときに、また新しくわからないことが出てきます。そのときは、話の腰を折ってしまうかもしれませんが『ちょっと何言っているか分からないです』と素直に言います。」

吉田「さっき、トレーニングを何度も参加して真似するという話もありましたが、西村さんは多角的な視野で知識をインプットするのが上手ですね。パターンで言えば No.3『学びをひらく』ですね。

西村「自分がわからないことは、もしかしたら他のメンバーもわからないかも、と考えています。そのときは個人的に教えてもらうのではなく、勉強会をして ! とお願いすることも多いですね。印象に残ってるものだと、吉田さんに開催をお願いした『キャッシュ勉強会』や『Git 勉強会』は当時に本当に勉強になりました。モブプログラミング的な運営で誰か 1 人でも疑問を持ったら進行を止めてディスカッションをしながら理解を深めることができました。これは自分 1 人で学習していても到達できないレベルでした。」

吉田「勉強会やりましたね ! なつかしい ! そんな教わり上手な西村さんに相談です。私は前回の記事で書いた通り、No.6『教わり上手になる』の実践が苦手です。何かアドバイスをもらえませんか。」

西村「吉田さんは独学でどんどん深く学べるし、お客様のトレーニング中にお客様から直接アドバイスをもらっていたりもしますよね。既に実践できているのではないでしょうか。」

吉田「マネージャーとして、忖度なしでアドバイスをもらえませんか ?」

西村「もし変なプライドを持っているのであれば、捨てた方が良いかもしれませんね !」

吉田「(´・ω・`)」

西村「あと性格的にストイックで完璧主義すぎるので、もう少しカジュアルに教えてもらうことも重要だと思いますよ !」

吉田「(´・ω・`)」

吉田「アドバイスありがとうございます !」


苦手なラーニング・パターン

吉田「最後に西村さんが苦手だったり、今後挑戦したいと思う学習スタイルはありますか ?」

西村「パターンを見てみたのですが No.38『セルフプロデュース』はもともと得意ではないと思いました。自分が今後どうなりたいかよりも、お客様が現時点で何を望んでいてそのために何を自分が今できるかを考えて行動している気がします。」

吉田「なるほど !」

西村「今後挑戦したいという意味ではないですが No.30『ライバルをつくる』も苦手かもしれません。」

吉田「パターンの意味としては『切磋琢磨する』という意味でのライバルなので、メンバーを巻き込む学習スタイルは近いかもしれませんね。」

西村「切磋琢磨するというのは意識していますね ! もしかしたら『ライバル』という言葉が自分には合っていないかもしれません。吉田さんはそういう言葉が好きそうですね。」

吉田「(´・ω・`)」

吉田「西村さんらしい ! ありがとうございました !」


まとめ

今回の記事では西村さんにインタビューをして、「ラーニング・パターン」に当てはめながら入社してからの「学習スタイル」を聞いてみました。話を聞けば聞くほど、西村さんの実践している「ラーニング・パターン」の多さに驚くばかりです。このように「ラーニング・パターン」を話しながら「学習スタイル」の棚卸しをすると効果的です。

読者の皆さんも「ラーニング・パターン」を活用してみてください !


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筆者プロフィール

吉田 慶章
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
AWS トレーニングサービス本部 シニアテクニカルトレーナー

ウェブエンジニア/プログラミング講師などの経験から AWS テクニカルトレーナーに。教えることを本職とし、効果的な学習メソッドを考え続けている。教えることは最高の学習である。Keep on Learning 👍

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