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2022 J Sync 株式会社

SaaS 型不動産クラウドファンディングシステムをAWS のサーバーレス環境を採用して 5 か月で構築

概要

不動産クラウドファンディングシステムの開発・運用・保守を手がける J Sync 株式会社。同社は SaaS 型システム『fundingtool』の新規リリースにあたり、初期コスト低減と早期のサービス提供を目的にアマゾン ウェブ サービス(AWS)のサーバーレスアーキテクチャを中心に環境を構築。オンプレミス比でサービス提供コストを 30% 抑制したうえ、Infrastructure as Code(IaC)化により、高い再現性とサービス拡張性を確保しています。

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不動産クラウドファンディングシステム『fundingtool』を新規リリース

J Sync は、総合金融グループ・J トラスト株式会社を親会社に持つ株式会社日本保証の 100 % 子会社として 2021 年 1 月に設立されました。不動産クラウドファンディングシステム『fundingtool』の提供・開発・運用・保守をはじめ、不動産特定共同事業の許認可取得からプロモーション活動、サービス開始後のフォローアップまで、ワンストップソリューションを提供しています。

不動産クラウドファンディングとは、不動産特定共同事業の許認可を得た事業者が一般の投資家から資金を集めてマンション、ビル、リゾート地などの不動産事業に投資することです。2017 年の不動産特定共同事業法の改正によりインターネット上での契約締結が可能となり、参入する事業者が増加。1 口 1 万円程度から始められ、預金等に比べて利回りが高いことから、投資商品として個人を中心とした投資者が増えています。

J Sync の fundingtool は、投資家の募集・入出金・法定帳票などのフロントエンド機能と、ファンド運営に必要な分配計算・ファンド管理などのバックエンド機能を有しています。「fundingtool は、J Sync のみならず、10 年以上にわたり J トラストグループが培ってきた金融システムとインフラネットワークの構築・運用のノウハウを活かした、安心安全の不動産クラウドファンディングシステムです。SaaS 型システムとして提供するため、短期間での導入が可能で、コストを安価に抑えることができます」と語るのは、代表取締役の松本英樹氏です。

コスト低減と早期サービス提供に向けてサーバーレスを中心に AWS 環境を構築

同社は fundingtool をリリースするにあたり、プラットフォームに AWS を採用。情報管理部のジョン・チャンジン氏はその理由を「クラウドサービスのシェアの高さ、豊富なサービス群、SOC などの認証を取得したセキュリティレベル、安定性の高さを評価しました。さらに J トラストグループの IT 子会社が各種金融サービスで AWS を採用してきた実績とノウハウの蓄積、開発要員の確保のしやすさを加味して決めました」と語ります。

導入パートナーには、Ragate 株式会社を指名しました。

「当初からサーバーレスでの開発を想定しており、当該技術の経験豊富なパートナーとの共同開発を想定していました。極力早期にビジネスをスタートするため、実績豊富な Ragate に支援を依頼しました」(ジョン氏)

フロントエンド初期開発フェーズは 2021 年 8 月にスタートし、同年 12 月に構築が終了。2022 年 3 月に fundingtool をリリースしました。開発はフロントエンドとバックエンドに分けて実施。フロントエンドの開発では、WebAPI にGraphQL を採用し、GraphQL のマネージドサービスである AWS AppSync を介してデータリソースと連携しました。

Ragate の久保翔太氏は「インフラコストを抑えたいという要望に応えるため、稼働時以外は費用が発生しない AWS LambdaAmazon DynamoDB を採用して高速レスポンスとスケーラビリティを両立しました。ユーザーの投資金額をリアルタイムに画面上に反映させたいという要望に対しては、AWS AppSync のGraphQL サブスクリプション機能で対応しました」と語ります。

SaaS サービスの開発・デプロイをスムーズにするために、フロントエンドは AWS CloudFormation によってインフラを Infrastructure as Code(IaC)化。CI/CD によって運営事業者へのサービス提供や、機能のアップデートがスピーディにできるようにしました。さらに、投資プラットフォームとしての信頼性を確保するため、AWS IAMAmazon Cognito ID プールによるクラウド準拠のセキュリティを構築しています。

開発時には、Ragate の支援を通して AWS やサーバーレスのノウハウを蓄積していきました。フロントエンドの開発を担当したシステム開発部 次長の西川勉氏は次のように語ります。

「Ragate には GraphQL の実装から、データベースの更新処理、AWS CloudFormation によるインフラ環境構築まで、高い技術力で支援いただきました。質問に対するフィードバックも速く、その回答をもとにサービス要件を的確に判断できました。納品いただいた成果物(ソースコード)もメンテナンスがしやすく、自社の資産として有効に活用しています」

IaC 化によるクイックなサービス展開とサーバーレスによるコスト軽減が実現

フロントエンド初期開発フェーズ開始からわずか 5 か月でリリースした fundingtool は現在、複数の不動産クラウドファンディング事業者と商談が進行中で、2025 年までに 100 社との契約を想定しています。

「サービスの開始時点では、ユニークユーザー数 1,300、リクエスト数 1 日 3,000 を想定して多くの投資家が受け入れられるインフラを構築しました。今後もセミナーなどを通して情報を発信していきます」(ジョン氏)

AWS とサーバーレスアーキテクチャの採用により、インフラ領域は AWS に任せることが可能になり、開発者はサービスの開発に集中することができるようになりました。AWS CloudFormation によってサービスのクイックな展開が可能になり、サーバーレスによってコスト軽減が実現しています。

「不動産投資クラウドファンディングシステムは、投資の申し込み時に急激なアクセスピークが発生します。利回りが高く、募集期間が短い投資案件には投資家が集中しますが、募集がない時はほとんどアクセスがありません。今回、サーバーレスを採用したことで大幅にコストの抑制ができ、結果としてオンプレミスと比べて約 30 % 安価な価格で提供することが可能になり、競争優位性の高いサービスをリリースすることができました」(松本氏)

内製開発を加速しながら継続的に機能をブラッシュアップ

fundingtool は、今後も継続的に機能をブラッシュアップしながら、事業者や投資家がより使いやすいサービスへと進化させていく計画です。

「投資家が情報を管理しやすいポータルサイトを用意するなど、競合他社との差別化を図りながら、多くの運営事業者から選ばれるサービスになるべく改善を続けていきます」(ジョン氏)

fundingtool にかかわるエンジニアは、今後もノウハウの習得をしながら積極的に UI/UX 改善に取り組んでいくといいます。

「GraphQL やサーバーレスの領域の技術力に関し、Ragate さんは頼りになります。fundingtool の品質の一翼を担ってもらっています」(西川氏)

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AWS サーバーレスを採用したことでオンプレミス環境と比べて約 30 % 安価な価格で不動産クラウドファンディングシステムを提供することが可能になり、競争優位性の高いサービスをリリースすることができました

松本 英樹 氏

J Sync 株式会社 代表取締役

アーキテクチャ図

Architecture diagram for the jsync case study showing AWS components such as Amazon CloudFront, S3, AppSync, Lambda, SQS, DynamoDB, SES, CloudWatch, CloudTrail, CodePipeline, CodeBuild, CodeDeploy, and Aurora, with labeled environments and resource flows in Japanese.

J Sync 株式会社

  • 設立:2021 年 1 月 22 日

  • 資本金:1,000 万円

  • 事業内容:不動産クラウドファンディングシステム『fundingtool』の提供、システム開発、運用および保守

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • サービス提供コストをオンプレミス比で 30 % 抑制

  • サーバーレスによる高速レスポンスの実現とスケーラビリティの確保

  • IaC 化によるスピーディなサービス提供と機能のアップデート

  • 内製開発に向けたノウハウの蓄積を継続

Ragate 株式会社

AWS セレクトティアサービスパートナー

AWS のサーバーレスソリューションによる高速かつ低コストな開発を提供している。「新しいテクノロジーを大衆化する」というミッションを掲げ、AWS のサーバーレスや GraphQL 開発、OpenSearch による全文・ログ解析、ReactJS/VueJS など、最先端かつエッジの効いた技術指向により、日本はじめアジアで大規模な AWS 開発案件に注力するテクノロジーパートナー企業。

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本事例のご担当者

松本 英樹 氏

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ジョン・チャンジン 氏

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西川 勉 氏

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