LG Electronics は NICE DCV を使用して、CAE ツールへのリモートアクセスで製品設計を加速

韓国における AWS の大手エンタープライズユーザーである LGE は、家庭用電気機器、家電、自動車部品ソリューションを製造しています。そのブランドである LG ThinQ は、人工知能技術を搭載したスマートなコネクテッドデバイスを提供しているため、ユーザーの行動パターンや環境について学びながら相互に通信できます。同社の従業員は 75,000 人を超え、世界中の 80 の子会社を含む 120 以上の事業所で勤務しています。エンジニアの中には、LGE の 2 つのデータセンターでオンサイトで働く人もいれば、複数の地域で在宅勤務するエンジニアもいます。

LGE のエンジニアは、オンプレミスで動作する CAE ツールを用いて、LG ThinQ 製品の設計に役立つコンピュータシミュレーションを生成します。シミュレーション後、エンジニアはモデルと結果をリモートで表示する必要があります。しかし、LGE の以前のリモートアクセスツールは GPU のパワーを効率的に使用せず、モデルをリモートで表示することに限界がありました。ほとんどのユーザーは、サーバーからローカルデスクトップにデータをダウンロードする必要があり、複雑なモデルでは数時間かかることがありました。「地理的な課題がありました」と、LGE のハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) 専門エンジニアの Woosung Kim 氏は言います。「多くのユーザーがリモートで作業していましたが、HPC インフラストラクチャで大規模なモデルを扱うヘビーユーザーにはネットワークが不十分でした」。

2013 年、LGE は他に 2 つのリモートディスプレイソリューションをテストしましたが、NICE DCV が最もパフォーマンスに優れ、最高の価値をもたらしました。「NICE DCV は、グラフィック解像度の高速化と低レイテンシーという最高のパフォーマンスを備えており、HPC 向けの管理も簡単でした」と Kim 氏は言います。LGE が NICE DCV を選択するのを手伝ったのは、HPC ソリューションコンサルタントのインターナショナルソリューションビジネスコンサルティング (ISBC) でした。同社は AWS 登録コンサルティングパートナーです。「ISBC には NICE DCV の長年の使用歴があり、Linux と HPC に関する優れたスキルとバックグラウンドを持っています」と Kim 氏は言います。

LGE は ISBC の協力を得て、2013 年に概念実証を行い、翌年には本稼働を開始しました。LGE のエンジニアは、NICE DCV を使用することで、オンプレミスのデータセンターで実行されている CAE ソフトウェアやスーパーコンピューティングシステムにリモートアクセスでき、これらのシステムはシームレスに連携できます。ISBC は、LGE が CAE ソフトウェアと一緒に NICE DCV をセットアップして使用できるように支援するとともに、NICE EnginFrame をカスタマイズしました。これにより、AWS のパワー、スケール、柔軟性を活用した技術的および科学的なアプリケーションのセットアップと実行のプロセスが簡素化されます。

このソリューションは、効率を最適化するように簡単に設定できるため、大幅なコスト削減につながりました。NICE DCV では複数のセッションで 1 つの GPU を共有できるため、Linux システムでは GPU リソースの使用率が 70〜90％ 向上し、サーバーインフラストラクチャのコストを節約できます。2,000 台以上のワークステーションが NICE DCV ソリューションを共有しており、各 GPU サーバーは 10～15 人のユーザーを同時にサポートしています。2016 年、LGE は NICE DCV Windows クライアント (Windows オペレーティングシステムでネイティブに実行されるスタンドアロンアプリケーション) のサポートを開始しました。これにより、エンジニアはシミュレーションプロジェクトとデータを拡張できます。「NICE DCV Windows クライアントは素晴らしいパフォーマンスを発揮します」と Kim 氏は言います。

このソリューションはリモート 3D ストリーミングを提供するため、CAE ユーザーは HPC ストレージからアップロードまたはダウンロードする必要がなく、画面を互いに共有して共同作業できます。これにより、ネットワークリソースの効率とスタッフの生産性が向上します。さらに、このソリューションにより、エンジニアはリモートで作業できるようになり、柔軟性が向上します。

LGE のデータはオンプレミスで一元管理され、安全です。AWS で NICE DCV やその他のサービスを使用することで、LGE はリモートで機能するようにしながらデータを安全に保つことができます。ユーザーはデータセンターに保存されているデータに直接アクセスできません。ユーザーの画面にストリーミングできるのは表示データだけです。また、LGE は NICE DCV のさまざまな機能をきめ細かくアクセス制御できるため、ユーザーが実行できることやアクセスできることを設定できます。例えば、LGE では、特定のユーザーのコピーアンドペースト機能や USB ドライブの使用を無効にできます。

最終的に、LGE は NICE DCV を使用して、エンジニアが LG ThinQ 製品の設計に必要なオンプレミスの CAE ソフトウェアにリモートアクセスできるようにしました。このソリューションにより、LGE は安全性を保ちながら GPU 共有によるコスト削減とエンジニア間のコラボレーションの向上を実現できました。また、LGE の柔軟性と俊敏性が向上し、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミック時に迅速に適応できるようになりました。

今後、同社は機械学習のオープンソースソリューションである TensorFlow で開発中の人工知能モデルに NICE DCV を使用して、開発の取り組みをさらに強化する予定です。「ISBC とのコラボレーションは、8 年以上にわたり LGE の HPC チームに大きなメリットをもたらしてきました」と Kim 氏は言います。「ISBC は、NICE DCV の使用を支援してくれただけでなく、AWS のサービスを使用してインフラストラクチャを設計するため、またその他のソリューションを構築するためのコンサルタントとしても活動しています」。