メインコンテンツに移動

日経リサーチ、AI 活用で調査業務を革新。「ラボ型支援」による環境構築で大幅な業務効率化とともに、全社的な AI 活用文化を醸成

プロフェッショナルサービス

概要

市場調査・世論調査を手がける総合調査会社の株式会社日経リサーチは、AI 技術を使った業務効率化と全社的な DX 推進に取り組んでいます。アマゾン ウェブ サービス(AWS)環境上に、AI と人が協働するワークフロー環境を構築。調査票生成や企業情報調査など複数の業務プロセスで幅広く AI 活用を実現し、特定業務では最大 50 分の 1 の効率化を達成。さらに、社内の AI 活用文化の醸成も進んでいます。

Missing alt text value

課題・ソリューション・導入効果

ビジネスの課題

AI 活用による調査業務の効率向上と付加価値創出

日本経済新聞社グループの総合調査会社として、市場調査、社会調査、世論調査、企業調査、経済データの収集・メンテナンス、調査に関するシステム開発、コンサルティングまで幅広く手がける日経リサーチ。同社の経営企画室 R&D グループは、新規事業開発支援、社内の業務効率化・最適化支援、自社での新規事業開発を担当しており、その一環として AI を活用したシステムの企画にも取り組んでいます。

同社が本格的な AI 活用に乗り出した背景には、調査業務全体での効率化というニーズがありました。「調査業務のさまざまなプロセスにおいて、もっと効率化を図れるのではと思っていました。アンケートの実施、データの収集、分析、レポート作成など、AI を活用してシステム化することに大きな可能性があると考えたのです」と語るのは、経営企画室 R&D グループ部長の高橋正剛氏です。

近年の AI 技術の急速な進歩によって、効率化だけでなく新たな付加価値創出の可能性も見えてきていたと、経営企画室 R&D グループ 部長補佐の太田祐介氏は語ります。

「集計表を AI に渡すと、非常に優れた分析結果が出てきます。このような分析を活用すれば、ジュニアクラスのリサーチ担当者もより高度な提案ができるようになります。幅広く AI を活用することが、お客様により付加価値の高いサービスを提供する機会になると捉えました」

同社は、2024 年後半から AI 活用環境の本格的な構築を開始。AWS 環境でのシステム構築を選択した理由として、AWS の技術に長けた開発会社が多く、学べる環境が充実していることに加え、日本経済新聞社グループとして AWS を利用していることも選択の後押しとなったといいます。

ソリューション

AWS パートナーのラボ型支援により AI システムを柔軟に構築

AWS 環境で AI システムを構築するにあたって、日経リサーチは複数のパートナーを比較検討して株式会社 Relic を選択しました。提案内容への評価に加え、高橋氏が読んでいた Amazon Bedrock による生成アプリ開発に関する書籍の執筆者の一人が Relic の AI リードエンジニアである熊田寛氏で、提案を受けた際、熊田氏本人に直接話が聞けたのも安心材料になったといいます。

Relic の熊田氏は、日経リサーチへの提案について次のように語ります。「当時は生成 AI プロジェクトに関する決定的な成功事例が広まっていなかったので、お客様の不安を解消できるようできるだけレスポンスを早くしながら、お客様の要件に最適なものをおすすめすることを意識しました」

また、日経リサーチが特に評価したのが、Relic の「ラボ型支援」です。「突発的な課題や要求にも柔軟に対応していただけるラボ型支援の提案は、非常にありがたいものでした。AI の進化は非常に早く、従来の手法では時間がかかる課題も、新しい技術なら簡単に解決できてしまうことも頻繁に発生します。ラボ型の支援によって、適切な技術を適切なタイミングで取り入れられると思いました」(太田氏)

実際の環境には、複数の AWS 環境を組み合わせた構成を採用。Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)上に AI ワークフロー構築ツールを配置した環境には、調査票生成ワークフロー、企業情報調査ワークフロー、セキュリティチェックワークフロー、社内マニュアルチャットボットなど、複数の AI ワークフローが稼働しています。

また、技術検証用として Amazon SageMaker の Code Editor を活用した開発環境も整備しました。エンジニアがよく使う環境をクラウド上に再現し、Amazon Bedrock と組み合わせた AI エージェントの検証や、データ分析に利用している SAS 言語によるコードの改修環境としても活用しています。さらに、調査業務自動化の検証用として、Amazon EC2(Windows)環境でのブラウザ自動化ツールの適用性検証も行いました。

Relic の熊田氏は AWS 環境の柔軟性や技術的メリットについて、次のように語ります。「多様なサービスをビルディングブロックのように組み合わせて、実現したいことをスムーズに環境構築できます。要件に合わせてすぐにコストを抑えた状態で検証できますし、使わない場合はすぐやめられます。また、Anthropic など、外部企業の AI モデルの最新版が公開翌朝には使えるようになっているため、すぐ評価を行って新しいモデルに切り替えられる点も、非常に利便性が高いです」

導入効果

大幅な効率向上に加え、AI 活用文化の醸成

日経リサーチにおいて、AI 活用の効果は顕著に現れています。その 1 つが、企業ホームページ調査業務の大幅な効率化です。調査を人力で行うと 1 社あたり 5 分から 10 分かかるため 1,000 社分で 80 時間ほど要し、その分の人件費がかかります。AI であれば約 50 分の 1 のコストで処理も可能で、大きなコスト削減になっています。

「そもそも 1,000 社分の作業を人力で実施するとなると工数が膨大になるため、『やらない』という判断になることもあります。AI の活用により、今までやれなかったことができるようになりました」(太田氏)

日経リサーチ社内で AI を活用する文化の醸成も進んでおり、AI に関する勉強会やチャットスペースでの情報発信が行われています。さらに、今まで調査を担当していた人も、「大変な作業の繰り返しをシステム化したい」と考えていた業務について AI と対話してプログラムを書き始めるなど、大きな変化が現れています。

加えて、専門人材が担当していた SAS 言語でのコード生成も容易になりました。「特殊だと思っていた SAS 言語も AI で書けることがわかり、当社基準でジュニアレベルのコードなら、AI に任せられます。学習効果も含めてさまざまな使い道が広がっています」(太田氏)

事業面では、AI 活用による付加価値創出が進んでおり、従来では対応が困難だった幅広い知識領域への対応も可能になり、顧客とのコミュニケーションに大きな変革をもたらしています。「従来は調査結果の数値について良好/不良の判定で終わっていた報告が、『次のステップはこのような施策が効果的です』『貴社の課題はこの部分にあると考えられます』といった戦略的な提案まで踏み込んで行えるようになりました」(太田氏)

同社は今後の展望として、AI 操作支援ツールや外部サービスとの連携を可能にする MCP(Model Context Protocol)技術を活用したさらなる業務自動化を計画しています。「当社は受託ビジネスが中心なので、AI の活用を社内の業務効率化の観点で考えがちでした。しかし今回の取り組みをきっかけに AI の使い方を深く理解できたため、さらに新たな商品やサービスを開発し、付加価値の高いものを作ることに応用していきたいです」と高橋氏は語っています。

Missing alt text value
人力で行うと膨大な作業が、AI だと 50 分の 1 程度のコストで処理できることもあり、大きな効率化とコスト削減になります。今後は商品開発やサービス開発にも活用し、付加価値の高いものを作ることに応用していきます

高橋 正剛 氏

株式会社日経リサーチ 経営企画室 R&D グループ部長

株式会社日経リサーチ

日本経済新聞社グループのマーケティングリサーチ会社。「気づきの力で世界を動かす」を掲げ、企業や行政の課題解決を支援している。1970 年の設立以来、市場調査、顧客満足度調査、ブランド価値評価、従業員意識調査など幅広い分野でリサーチを実施。ビジネス・経済分野に強い分析力とデータ活用力を活かし、クライアントの意思決定を支える高品質なリサーチサービスを提供している。

AWS アドバンストティア サービスパートナー: 株式会社 Relic

大企業からスタートアップ企業まで、5,000 社以上を超える企業を支援する国内シェア No.1 の新規事業支援実績を持つ事業共創カンパニー。新規事業開発に特化した高い専門性を有するプロフェッショナル人材、成功確率を高めるインキュベーションテック、およびベンチャー・スタートアップ投資の「三位一体」で、リアルなイノベーションマネジメントを提供している。

取組みの成果

  • 最大 50 分の 1:企業ホームページ調査業務の効率化
  • 複数の AI ワークフローを社内で運用
  • 全社的な AI 活用文化の醸成
  • 顧客への戦略的提案の品質向上

今すぐ始める

あらゆる業界のさまざまな規模の組織が AWS を活用してビジネスを変革し、日々ミッションを遂行しています。当社のエキスパートにお問い合わせいただき、今すぐ AWS ジャーニーを開始しましょう。

お問い合わせ