導入事例 / 情報・通信

2025
株式会社 NTT データグループ

NTT DATA、SAP S/4HANA 移行をトラブルなく完了。AWS プロフェッ ショナルサービスとエンタープライズサポートが、成功を強く後押し

15 ~ 20%

Saving Plans の適用によるコスト削減率

94% 減

ダッシュボードの全社標準化による削減数(400 個以上→ 24 個)

AWS プロフェッショナルサービスとエンタープライズサポートをフル活用した確実なプロジェクト推進

概要

国内の基幹システムを刷新する『Project GAIA』に取り組む株式会社 NTTデータグループは、SAP S/4HANA への移行においてアマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用。AWS プロフェッショナルサービスとエンタープライズサポートのテクニカルアカウントマネージャー(TAM)による支援により、4 年間にわたるプロジェクをトラブルなく完遂しました。加えて、SAP S/4HANA に蓄積されるデータを、AWS を中心に構成する分析基盤で可視化し、多様な意思決定に活用しています。

株式会社 NTT データグループ

ビジネスの課題 | 会計システムを SAP S/4HANA にマイグレーション

NTT データグループが自社の変革を目指して 2019 年に立ち上げた『Project GAIA』。「業務・IT・行動・意識を変え、顧客価値の創出と社員の幸せを実現する」をミッションとし、デジタル技術の適用による社内 IT システムの刷新と業務改革を目的としています。

Project GAIA は、2006 年から 15 年以上にわたり利用してきた国内向け基幹システムを刷新するもので、財務会計領域の『GAIA.fin』、人財領域の『GAIA.hr』、情報活用・分析領域の『GAIA.data』で構成されています。その中の GAIA.fin は、業務プロセスと経営判断に必要な財務領域の業務変革を目指すものです。

「GAIA.fin は、旧基幹システムで分断されていた意思決定プロセス、事務処理プロセス、事業計画プロセスの 3 つを有機的に連携させることを目的としています。これにより、社員の事務処理や報告業務の負担を軽減するとともに、経営層によるデータドリブンな意思決定を実現します」と語るのはコーポレート統括本部 IT マネジメント室 DX 推進部システム開発担当部長の髙田哲生氏です。

グローバル標準テクノロジーの活用と Fit to Standard を大方針とする GAIA.fin。事務処理プロセスのコアとなる会計システムは既存の SAP ERP(ECC6.0)を SAP S/4HANA にマイグレーションすることとし、IT インフラは自社データセンターから AWS へ移行することとしました。

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私たちがやりたいことをしっかり解釈しプロアクティブに提案いただける AWS のプロフェッショナルサービスおよびエンタープライズサポートにより、トラブルなくスムースに SAP S/4HANA への移行を完了することができました"

髙田 哲生 氏
株式会社 NTT データグループ コーポレート統括本部 IT マネジメント室
DX 推進部 システム開発担当 部長

ソリューション | AWS プロフェッショナルサービスを活用してプロジェクトを推進

SAP S/4HANA の基盤となるクラウドは、豊富な実績、メンテナンス性、可用性を考慮して AWS を採用しました。コーポレート統括本部 IT マネジメント室 DX 推進部システム開発担当課長の川戸祐介氏は「SAP HANA 認定を取得済みであることに加えて、すでに多くの企業が導入している実績と安定性が AWS 採用の決め手です。加えて、NTT DATA による外部向け SI 事業展開も視野に入れ、市場に技術者が多く認定資格やトレーニングプログラムも充実している AWS がベストであると判断しました」と語ります。

マイグレーションプロジェクトは 2020 年に開始、4 年の期間を経て、2024 年 4 月に本稼働に至りました。プロジェクトでは、要件定義書や詳細設計書のレビュー、技術 QA に AWS プロフェッショナルサービスをフル活用しました。

「AWS 上での SAP システムの構築・運用におけるベストプラクティスについて、QA ベースで確認させていただくことで、開発メンバーが未経験の領域も裏付けを持って進めることができました。また、他社製品との連携に関しては、AWS のプロフェッショナルサービスが実際に検証を行ってくれたおかげで、プロジェクトの個別の要件に合わせた有益な情報を提供していただけました。さらに、VPC エンドポイントの集約についても、具体的で細やかな情報を共有いただくことで、詳細設計および構築作業をスムーズに進めることができました」(川戸氏)

UI は、財務会計/管理会計の業務を担当するユーザー向けには SAP 標準のインターフェースを採用しました。一方、一般の業務ユーザー向けには、ローコードプラットフォームで社内業務システムから一元的に入力ができる UI を別途開発することで、業務プロセスを効率化しました。

高可用性については、障害時に Auto Recovery で復旧できるように設計するとともに、東京リージョンが利用不可となった場合に備えてバックアップデータを AWS の大阪リージョンに配置しています。コーポレート統括本部 IT マネジメント室課長代理の濱嶋伸輔氏は「可用性設計において、ビジネスインパクトの観点から影響度を SA、A、B、C の 4 段階で定義し、サービスレベルの基準を作成しました。今回、SAP S/4HANA とオンプレミス環境にある数十システムとの連携を、データ連携 HUB を用いて一元化しています。高可用性が求められるデータ連携 HUB については SA レベルとしてマルチアベイラビリティーゾーン(AZ)で冗長化構成を組むことで、障害時にはもう一方の AZ でサービスを継続提供できるように構成としました」と語ります。

導入効果 | データ分析基盤を戦略的な意思決定に活用し、データドリブン経営を推進

AWS への移行後はインフラ起因による障害発生は無く、安定稼働を続けています。SAP S/4HANA の本稼働後には AWS のエンタープライズサポートを活用し、TAM の運用支援を受けながらコストの最適化などを進めています。AWS エンタープライズサポートについては、期待を超えるアウトプットが出ていると高く評価しています。

「技術面では、AWS のサービスに関する更新情報を提供いただけるため、EOL までに事前の対策を漏れなく検討ができとても助かっています。加えて、コスト面でもプロアクティブに提案いただいています。Saving Plans の適用では環境に応じた仕様を提示いただくことで、最適な購入数量を検討することができました。結果、本番環境、検証環境でトータルコストを 15~20% 削減することができました」(濱嶋氏)

SAP S/4HANA に蓄積されたデータは、Project GAIA における『GAIA.data』の領域に拡張され、意思決定のベースとなる情報の見える化を実現しています。その 1 つが Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) によるデータレイク、データウェアハウス、ETL ツール、BI ツールを組み合わせて構築したデータ分析基盤です。コーポレート統括本部 IT マネジメント室システム開発担当主任の宮部暁彦氏は次のように語ります。

「データドリブン経営に向けて SAP S/4HANA のデータを Amazon S3 に日次で取り込み、最終的に BI ツールで可視化しています。これまで各組織で個別作成していた 400 個以上のダッシュボードは 標準化により、24 個の全社共通ダッシュボードに集約できました。データ分析基盤により、データマートを活用した複数軸による多角的な分析や、テンプレートによる自由分析ができるようになりました。現在、経営層、営業担当者、会計担当者など約 1,350 名が、日次、月次、四半期など短期視点での意思決定や、年次、3 か年、5 か年といった長期視点での戦略的意思決定において全社共通ダッシュボードをアクティブに活用しています」

今後については、グループ会社の 70 社に対して GAIA .fin を展開して、本体とグループ会社を統合した新フロント機能によるグループ業務の標準化・効率化を進めていく計画です。「AWS に移行したシステムで得られるメリットを最大限に活用するため、最新の情報を収集し、プロジェクトで得た知見を分析することで、システムの最適化・高度化に継続的に取り組んでいきます。

データの利活用では、AI を使ったインサイトの獲得や、生成 AI による業務改善を加速させていきます」(髙田氏)

カスタマープロフィール:NTT データグループ

日本電信電話株式会社の 100% 子会社として設立。2023 年 7 月に持株会社体制へ移行し、株式会社 NTT データグループに商号変更。現在、国内事業会社を株式会社 NTT データ、海外事業会社を株式会社 NTT DATA, Inc. として事業を展開する。グループとして世界 50 か国以上に IT サービスを提供。コンサルティングからシステムづくり、システムの運用に至るまで、さまざまなサービスを提供している。

株式会社 NTT データグループ
髙田 哲生 氏

髙田 哲生 氏

川戸 祐介 氏

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濱嶋 伸輔 氏

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宮部 暁彦 氏

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