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Amazon Connect アップデート まとめ – 2025年2月

こんにちは、Amazon Connect ソリューションアーキテクトの清水です。早いもので気付けば2025年ももう3月となり、春の訪れとともに花粉の季節がやってきます。私も毎年大変な思いをしていますので、同じお悩みを持つ方は早めに対策して乗り切りましょう!

さて、今月も アップデート情報を中心に以下の内容をお届けします。皆さんのお役に立つ内容があれば幸いです!

  1. 注目のアップデートについて
  2. 2025年2月のアップデート一覧
  3. AWS Contact Center Blog のご紹介

1. 注目のアップデートについて

注目#1: Amazon Connect Contact Lens がエージェントのパフォーマンス評価に関するインサイトを集約したダッシュボードの提供を開始

Amazon Connect Contact Lens のパフォーマンス評価機能は、コンタクトセンターの作成した評価シートを元に、スーパーバイザーがレポートから手動で評価を行えるほか、会話中の特定ワードや顧客の感情を元に自動評価を行ったり、設問を元に生成 AI が対話内容を評価して結果を提案することができます(生成 AI 対応は現在英語の会話をサポート)。この評価結果は一件ごとに確認することが可能ですが、月次の状況やエージェント毎の評価結果を参照する場合は、従来 Amazon QuickSight 等を使用して分析を行う必要がありました。さらに今回のアップデートによりエージェントのパフォーマンスを Amazon Connect のダッシュボードから参照可能になったため、管理者やスーパーバイザーは日次・週次・月次の評価レポートに簡単にアクセスし、全体的にトレーニングが必要な評価項目や、評価の高いエージェントの抽出を簡単に行う事が可能になりました。

新しいダッシュボードは、管理画面の「分析と最適化」-「ダッシュボードとレポート」内の「エージェントパフォーマンスの評価ダッシュボード」を選択してください。

注目#2: Amazon Connect でチャット開始時のインタラクティブなウェルカムメッセージをサポート

Amazon Connect Chat のインタラクティブメッセージは、Amazon Lex や AWS Lambda と連携することでリストやパネルインタフェースを表示します。これにより、顧客はテキスト入力を行わず選択だけで自分の意図を伝えやすくなり、コールセンターは最適な窓口への誘導を効率的に行うことができます。この仕組みは Amazon Lex から Lambda を呼び出すために顧客のテキスト入力をトリガーとする必要がありましたが、2024年10月のアップデートでチャットインタフェースから初期メッセージを渡すことも可能になりました。今回のアップデートではフロー側で初期メッセージを設定可能になったため、チャット開始時からリストやパネルの表示が可能になります。

設定方法は、フローの「顧客の入力を取得する」ボックス内の「カスタマープロンプトまたはボットの初期化」において、「メッセージでボットを初期化」において「手動で設定」または「動的に設定」を使用します。この図の例では「help」という入力を Lex に連携しています。Lex ボットやインタラクティブメッセージ用の Lambda は別途用意する必要があります。

2. 2025年2月のアップデート一覧

  • Amazon Connect でエージェント同士のシフト交換が可能に (Amazon Connect launches the ability for agents to exchange shifts with each other) – 02/28/2025
    • Amazon Connect で、エージェント同士のシフト交換が可能になりました。これにより、サービスレベルを損なうことなく、より柔軟なスケジュール調整が可能になります。この機能のリリースにより、エージェントは直接シフトの交換が可能になり、休暇を取得せずに予期せぬ個人的な用事に対応することができます。さらにコンタクトセンターの管理者は、一部の承認を自動化しながら、必要に応じて手動での承認も可能になり、必要なコントロールを維持しつつ管理業務を削減できます。例えば、スーパーバイザーは「一般的な顧客問い合わせなど、重要度の低いタスクを担当するエージェントのシフト交換は自動承認」「医療関連や重要企業アカウントなど、機密性の高い顧客セグメントを担当するエージェントからの申請は手動承認」というシナリオを設定可能になります。
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  • Amazon Connect Contact Lens が、生成 AI を利用した問い合わせ分類機能を5つの新しいリージョンで提供開始 (Amazon Connect Contact Lens now offers AI-powered contact categorization in five new regions) – 02/28/2025
    • Amazon Connect Contact Lens は、生成 AI を活用した問い合わせ分類機能を5つの新しいリージョンで提供開始しました。これにより、問い合わせの主要な要因、カスタマーエクスペリエンス、エージェントの行動を容易に特定することができます。この機能のリリースにより、自然言語による指示を使用して、顧客との問い合わせを自動的に分類するための基準を定義できます(例:「顧客が支払いしようとした問い合わせを表示」)。Contact Lens は、基準に一致するやり取りに自動的にラベルを付け、関連する会話のポイントを抽出します。さらに、分類された問い合わせに関するアラートを受け取りタスクの生成が可能になり、自動付与されたラベルを使用して問い合わせを検索することもできます。この機能により、管理者は「特定の製品に対する顧客の関心度の特定」「顧客満足度の評価」「エージェントが通話中にプロフェッショナルな対応をしていたかのモニタリング」のようなシナリオで問い合わせを簡単に分類できます。
    • 対象リージョンにはアジアパシフィック(東京)が含まれますが、本機能のサポート言語は英語です。
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  • Amazon Connect がベトナムでの電話料金を引き下げ (Amazon Connect reduces telephony pricing in Vietnam) – 02/27/2025
    • Amazon Connect は、アジアパシフィック (シンガポール) リージョンのベトナム向け料金を引き下げました。これにより、DID を $0.0815/分から $0.004/分に 95% 値下げし、アウトバウンドを $0.0896/分から $0.05/分に 44% 値下げしました。新しいテレフォニー料金は、アジアパシフィック (シンガポール) リージョンの Amazon Connect サービス利用の標準料金としてご利用いただけるようになりました。
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  • Amazon Connect でチャット開始時のインタラクティブなウェルカムメッセージをサポート (Amazon Connect now supports interactive welcome messages when starting chats) – 02/25/2025
    • Amazon Connect Chat では、チャット開始時にインタラクティブメッセージでお客様を出迎えることができるようになりました。これにより、文脈に応じたパーソナライズされた体験を提供し、エンゲージメントとセルフサービスの解決率を向上させることができます。例えば、お客様が商品ページを訪れてチャットウィジェットを開くと、類似商品の比較、店舗での在庫確認、保証内容の確認などのオプションを含む、状況に応じたウェルカムメッセージが表示されます。Amazon Lexを使用してインタラクティブなウェルカムメッセージをカスタマイズするには、Amazon Connectのフローデザイナーの「顧客入力の取得」ブロックで「メッセージでボットを初期化」オプションを選択します。お客様体験をパーソナライズするために、チャットボットに送信される初期メッセージを手動で入力するか、動的に設定することができます。
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  • Amazon Connect Contact Lens で保留時間とエージェントの対話時間に基づく自動アクションを実行可能に – 02/11/2025
    • Amazon Connect Contact Lens により、マネージャーは顧客の保留時間とエージェントの対応時間のパターンに基づいてルールを作成し、コンタクトの分類、エージェントのパフォーマンス評価、スーパーバイザーへの通知などの自動アクションを実行できるようになりました。この機能により、マネージャーはエージェントが顧客を保留にする際のガイドラインをどの程度遵守しているかを確認するルールを作成できます。例えば、エージェントが顧客を5分以上保留にする前に、保留時間について説明したかを確認できます。さらにマネージャーは、顧客との関係構築や顧客の問題の根本原因分析など、複雑なエージェントの行動を評価するのに十分な時間、エージェントの対応が続いたかどうかを確認できます。短すぎるコンタクト(30秒未満など)を除外することで、マネージャーは自動コンタクト分類とエージェントのパフォーマンス評価からより意味のある洞察を得ることができます。
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  • Amazon Connect Contact Lens がエージェントのパフォーマンス評価に関するインサイトを集約したダッシュボードの提供を開始 – 02/11/2025
    • Contact Lens は、エージェントのパフォーマンスの集計とエージェントグループ全体の経時的なインサイトを確認できる、エージェントパフォーマンス評価ダッシュボードを提供しました。この機能により、マネージャーは評価スコア、生産性 (対応したコンタクト数、平均処理時間など) および運用指標にわたるエージェントのパフォーマンスを統合したダッシュボードにアクセスできます。チームレベルと個人レベルの詳細なパフォーマンススコアカードを通じて、マネージャーは特定のパフォーマンス基準を詳しく分析し、類似のグループとの比較や経時的な比較を行うことで、エージェントの強みと改善の機会を特定できます。また、このダッシュボードはエージェントの時間配分とコンタクト処理の効率性に関するインサイトをマネージャーに提供し、エージェントの生産性向上を促進することができます。
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  • Amazon Connect Contact Lens で完了したパフォーマンス評価について自動的にエージェントにメールを送信可能に – 02/04/2025
    • Amazon Connect Contact Lens により、企業はコンタクトが評価された際にエージェントに自動メール通知を送信できるようになったことで、エージェントは評価を確認してパフォーマンスを向上させることができます。管理者は、特定の評価基準に基づいてメールを送信するルールを作成できます。たとえば評価スコアが 50% 未満のエージェントに自動通知を設定して、迅速にパフォーマンス改善に対応できます。マネージャーは、業績レベルに基づいてメールの内容をパーソナライズすることもできます。たとえばトップパフォーマーを表彰したり、改善内容について建設的なガイダンスを提供することもできます。
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  • Amazon Connect Cases が条件付き必須フィールドのサポートを開始 – 02/04/2025
    • Amazon Connect Cases では、条件付き必須フィールドがサポートされるようになりました。これにより、エージェントのケースフィールド入力が効率化され、データ入力ミスが減少します。管理者は、ケースが「クローズ」ステータスになったときに「クローズ理由」を、「問題の種類」が「ハードウェアの問題」の場合は「製品シリアル番号」を、システムによって生成されたケースを処理するときは「ディスポジションコード」を提供するなど、特定の状況においてエージェントに関連情報を入力するように求めるケーステンプレートを設定できるようになりました。条件付き必須フィールドは、エージェントが必要な情報を収集するためのプロセスを順守し、報告、解決追跡、およびコンプライアンスにおけるデータ品質を向上させるのに役立ちます。
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  • Amazon Connect で、エージェントがスケジュールに従っているときのステータス設定のサポートを開始 – 02/03/2025
    • Amazon Connect では、エージェントがスケジュール準拠中のステータスを選択可能になりました。これにより、独自のオペレーションニーズに合わせて準拠性の追跡方法を簡単にカスタマイズできるようになりました。今回のリリースによってエージェントステータスとスケジュールアクティビティ間のカスタムマッピングを定義できるようになりました。たとえば、スケジュールアクティビティ「Work」を「Available」や「バックオフィス業務」などの複数のエージェントステータスにマッピングできます。午前8時から午前10時まで「Work」が予定されているエージェントは、「Available」または「バックオフィス業務」のいずれかのステータスであれば、遵守しているとみなされます。さらに、リアルタイムメトリクスのエージェントの準拠ダッシュボードで、スケジュールされたアクティビティの実際の名前を確認できるようになりました(生産的/非生産的だけではありません)。今回の発表では、カスタムマッピングと強化されたリアルタイムダッシュボードにより、より正確で柔軟なエージェント準拠モニタリングが可能になります。
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3. AWS Contact Center Blog のご紹介

  • Amazon Connect でコンタクトセンターを構築するための反復的なアプローチ(日本語翻訳)
    • 効果的なコンタクトセンターソリューションの導入は、特に独自の要件を持つ企業にとって複雑な場合があります。この記事では、要求分析、文書化、開発に関する標準化されたアプローチを含む基本的なプロセスを概説します。
  • エージェントの習熟度とキューを使った Amazon Connect のルーティング最適化(日本語翻訳)
    • コンタクトセンターでは、問い合わせ量とエージェント数の変動に対応するため、キューとエージェントの習熟度に合わせたの適切なルーティング設計が重要です。このブログ記事では、Amazon Connect におけるキューと習熟度の設定のベストプラクティスを紹介し、経路制御の要件と運用効率のバランスを取る方法について説明します。
  • NatWest の Amazon Connect に対する DevSecOps エコシステムの実装事例(日本語翻訳)
    • イギリスの大手金融グループ NatWest が、Amazon Connect を活用したコンタクトセンター改革において、DevSecOps エコシステムを構築した事例が紹介されています。複数の事業部門で共有する Amazon Connect インスタンスの管理や、セキュリティ・コンプライアンスの確保、イノベーションの加速など、様々な課題に対して包括的な DevSecOps アプローチを採用し、その結果として顧客体験の向上と運用効率の改善を実現しました。この記事では、NatWest の取り組みにおける具体的な戦略と、得られた成果について詳しく解説しています。
  • Capitec Elevates Experiences with Amazon Connect(英語記事)
    • Capitec は、南アフリカで20年以上にわたり、手頃な価格の銀行サービスを提供してきた金融機関です。従来のオンプレミスのコンタクトセンターシステムでは、198台のサーバー管理に時間を費やし、イノベーションが限られていました。また古いシステムは現在の銀行プラットフォームと統合できず、顧客対応に課題がありました。この記事では、Capitec が Amazon Connect と Amazon Bedrock などの生成 AI 機能を活用してコンタクトセンターを刷新し、不正対策の強化、カスタマーサービスの改善、マルチチャネル対応の実現の成果を上げた事例を紹介しています。
  • Performing a tabletop exercise with Amazon Connect(英語記事)
    • コンタクトセンターで予期せぬサービス障害が発生した場合、その影響は即座に深刻なものとなる可能性があります。エージェントがシステムにアクセスできない、顧客が通話できない等といった問題に対し、サポートチームが緊急でサービスの復旧に取り組むことになります。このようなシナリオは極端に思えるかもしれませんが、このような状況こそが、現代のコンタクトセンター運営において机上での演習が不可欠である理由を示しています。この記事では、Amazon Connect を使用したいくつかの机上演習について説明します。この記事を読んだ後には、コンタクトセンターの移行に関する様々なシナリオの確認事項とその方法を理解し、予期せぬ事態に備えてプロセスと手順を更新するのに役立つはずです。
  • Enterprise Connect 2025: Your guide to AWS sessions on AI and CX innovation(英語記事)
    • Enterprise Connect 2025 が、2025年3月17日から20日にかけてフロリダ州オーランドで開催予定です。本イベントでは、AI とカスタマーエクスペリエンスの革新的な融合に焦点が当てられます。AWSのリーダーたちが、AI の戦略的実装と、より意味のある顧客体験の提供についてのナレッジを共有します。基調講演、パネルディスカッション、インタラクティブセッションを通じて、参加者は企業が AI を活用してエージェントを支援し、顧客満足度を向上させ、ビジネス成長を促進する方法を学ぶことができます。カスタマーエクスペリエンスソリューションの評価、プロアクティブな顧客エンゲージメントの探求、AIの実装戦略の最適化など、様々なニーズに応える包括的なセッションが提供される予定です。この記事では、予定されているセッションの概要について説明します。
  • Automate agent onboarding with Amazon Connect using Okta(英語記事)
    • コンタクトセンターでは、エージェントのオンボーディングプロセスの効率性が重要です。季節変動やスキル要件による人員変更が頻繁な状況において、組織はオンボーディングプロセスの合理化とセキュリティ確保が必要です。アカウントの発行・削除などの作業を自動化することで、エラーの削減、セキュリティの向上、プロセスの迅速化が実現できます。これにより、不正アクセスのリスクを最小限に抑え、データ保護規制への準拠を確保できます。この記事では、Okta イベントフックと Amazon Connect を統合し、エージェントのプロビジョニングプロセスを効率化する方法を解説します。この統合により、Okta で作成された新規エージェントを自動的にAmazon Connect に追加可能になり、エラーの可能性を最小限に抑えながら、コンプライアンスと効率性を向上させることができます。

今月のお知らせは以上です。皆さんのコンタクトセンター改革のヒントになりそうな内容はありましたでしょうか?ぜひ、実際にお試しいただき、フィードバックをお聞かせ頂けますと幸いです。

シニア Amazon Connect ソリューションアーキテクト 清水 幸典