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週刊AWS – 2025/8/18週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。今週も 週刊AWS をお届けします。

8 月 21 日に Amazon Aurora の 10 周年を記念した YouTube のライブ配信 が行われました。Amazon Aurora の歴史を振り返りつつ、新機能を活用したデモも含まれています。pgvector を利用した AI アプリケーションの構築方法、新しい分散 SQL データベースの Aurora DSQL 料金モデルによるコスト最適化、グローバルアプリケーションのためのマルチリージョンの一貫性、といった内容も視聴可能です。YouTube でいつでも視聴可能なので、興味があればぜひご覧ください。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2025年8月18日週の主要なアップデート

  • 8/18(月)
    • AWS Batch でデフォルトインスタンスタイプオプションがサポート開始
      AWS Batch で新しいインスタンスタイプオプション default-x86_64 と default-arm64 が追加されました。従来の optimal インスタンスタイプでは m4, m5 といった少し古いインスタンスファミリーが選択されていました。一方、AWS には、よりコストパフォーマンスが良い m6, m7 といった新しいインスタンスタイプがありますが、これらは従来の optimal では選択されていませんでした。新しく追加した default-x86_64 と default-arm64 では、新しい EC2 インスタンスタイプがリリースされると自動的に選択肢に追加されるため、常に最新世代の高性能・低コストなインスタンスでバッチ処理を実行できます。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。
    • Amazon Bedrock が Anthropic Claude Sonnet 4 と OpenAI GPT-OSS モデルのバッチ推論をサポート開始
      Amazon Bedrock で Anthropic Claude Sonnet 4 と OpenAI GPT-OSS モデルが Batch inference に対応しました。複数の推論リクエストを非同期で処理でき、オンデマンド価格の 50% で利用できます。大量の文書分析やコンテンツ生成、データ抽出などの作業を効率的かつ低コストで実行可能です。大量のデータをバッチ処理的に、定期的に一気に処理するようなユースケースで最適にご利用可能です。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
    • Amazon S3 が保存されたデータセットのコンテンツを検証する新しい方法を導入
      Amazon S3 で多くのオブジェクトを対象に、データの整合性を検証する新機能を提供開始しました。S3 Batch Operations を使用して、数十億の保存されたファイルが破損していないか、効率的にチェックサムの確認ができます。この機能を利用すると、処理されたすべてのオブジェクトのチェックサム情報を含む詳細なレポートをダウンロードできます。このレポートを、手元で保管し、コンプライアンスや監査目的で使用できます。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
    • Amazon Aurora MySQL 3.10 を長期サポート (LTS) リリースとして発表
      Amazon Aurora MySQL 3.10 が LTS (長期サポート) リリースとして提供開始されました。LTS を利用すると、データベースクラスターを最低 3 年間、もしくはメジャーバージョンの標準サポート終了まで、同じバージョンを継続利用できます。バージョンアップ作業の頻度を下げることができ、よりほかの作業に時間を費やしやすくなります。本番環境で長期間安定してデータベースを運用したいお客様に、よくご利用いただいています。LTS 期間中はセキュリティと運用上の重要な問題を修正するパッチが提供されます。このパッチには、新機能は追加されません。詳細は こちらのドキュメントをご参照ください。
    • Amazon QuickSight が計算フィールドの制限を拡張
      Amazon QuickSight で計算フィールドの上限が拡張されました。分析 (Analysis) あたり 500 個から 2000 個に、データセットあたり 200 個から 500 個に拡張しています。これまで制限に引っかかって複雑な分析ができなかった大規模データセットでも、より多くのデータ変換やインサイトを発見しやすくなります。自然言語を使った計算フィールド作成機能も活用でき、データ分析の幅が広がります。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
  • 8/19(火)
    • Amazon EC2 I7i インスタンスが追加の AWS リージョンで利用可能に
      Amazon EC2 I7i インスタンスが東京、シドニー、フランクフルト、ロンドン、マレーシアリージョンで新たに利用できるようになりました。第 5 世代 Intel Xeon プロセッサと AWS Nitro SSD を搭載し、前世代 I4i と比べて最大 23% のコンピュート性能向上と 50% のストレージ性能向上を実現しています。データベースやリアルタイム分析など、高い IOPS 性能と低レイテンシが求められるワークロードに最適で、torn write prevention 機能によりデータベースのボトルネックを解消しやすくなります。詳細はこちらのページをご参照ください。
    • Amazon Bedrock が OpenAI オープンウェイトモデルへの簡素化されたアクセスを提供開始
      Amazon Bedrock で OpenAI のオープンウェイトモデル gpt-oss-120b と gpt-oss-20b へのアクセスがシンプルになりました。これまでは手動でモデルアクセスを有効化する必要がありましたが、今回のアップデートで全ユーザーで自動的に利用可能となり、コンソールや API ですぐに使い始められます。AI アプリケーション開発の初期検証やプロトタイピングが格段にスムーズになります。詳細はこちらの Blog 記事をご参照ください。
  • 8/20(水)
  • 8/21(木)
  • 8/22(金)
    • Amazon Bedrock で Anthropic の Claude モデル向け Count Tokens API がサポート開始
      Amazon Bedrock で Count Tokens API を提供開始しました。提供開始時点では、Claude モデルのみサポートしています。この API を使うことで、AI モデルにデータを送信する前に、消費トークン数を事前に確認できるようになります。従来は推論実行後にしかトークン数がわからなかったため、コスト予測が難しいことがありましたが、今回のアップデートにより事前にコストを把握できるようになりました。また、実行前にコンテキスト長の制限を超えないように事前に調整がしやすくなり、予期しないエラーやスロットリングを回避できます。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
    • AWS Billing and Cost Management MCP サーバーの発表
      AWS が Billing and Cost Management MCP サーバーをリリースしました。過去の支出を分析し、コスト最適化ができそうな箇所を見つける、新しいシステムのコストを見積もることが可能です。Amazon Q Developer CLI、Kiro IDE、Visual Studio Code、Claude Code など、MCP を利用できるクライアントからアクセスが可能です。詳細はこちらの GitHub リポジトリをご参照ください。
    • Amazon RDS for Db2 でリードレプリカがサポート開始
      Amazon RDS for DB2 で read replica (読み取り専用レプリカ) 機能が利用可能になりました。最大 3 つまでのレプリカを作成でき、メインのデータベースに負荷をかけずに読み取り専用のアプリケーションを動かせます。レポート作成やデータ分析など、読み取り処理が多い業務で特に効果的です。また災害復旧時にはレプリカを昇格させて書き込み処理も可能になります。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。
    • Amazon RDS for PostgreSQL で遅延リードレプリカがサポート開始
      Amazon RDS for PostgreSQL で遅延リードレプリカ機能が利用可能になりました。この機能により、ソースデータベースから、レプリカデータベースにデータをレプリケーションする際に、最大 24 時間の範囲のなかでレプリケーションの遅延を設定できます。誤ってテーブルを削除したり、データを間違って変更したりする人的ミスからデータを保護するための、猶予時間を作れるうれしさがあります。従来のポイントインタイム復元では、大規模データベースだと数時間かかる場合がありましたが、この新機能を利用することで、より高速な復旧が実現しやすくなります。詳細はこちらのドキュメントをご参照ください。

それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Suguru Sugiyama

杉山 卓(Suguru Sugiyama) / @sugimount

AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、幅広い業種のお客様を担当しています。最近は生成 AI をお客様のビジネスに活かすためにアイデア出しやデモンストレーションなどを多く行っています。好きなサービスは仮想サーバーを意識しないもの全般です。趣味はゲームや楽器演奏です。